584A LiNKX

LiNKX 584A 東証G

LiNKX, Inc.|金融機関の勘定系、APIゲートウェイ、データ基盤など、停止が許されない基幹システムのモダナイゼーションを支援するIT企業。クラウドネイティブ技術、AI、マイクロサービス、アジャイル開発を組み合わせる。

※2026年6月23日時点の情報

事業内容

2026年6月23日の時価総額は約93億円。同日の終値は1,375円、上場時発行済株式総数は6,787,400株で、終値ベースの時価総額は約93億33百万円となる。

2020年7月設立。本社は東京都港区赤坂一丁目12番32号、代表取締役社長CEOはオサムニア・モハメッド氏、決算期は6月。2026年6月23日に東京証券取引所グロース市場へ新規上場した。金融分野を中心に、勘定系システム、APIゲートウェイ、データ基盤、インターネットバンキング、電子マネー関連システムなどの刷新を支援する。

2026年6月期第3四半期累計は、売上高13億86百万円、営業利益3億83百万円、経常利益3億82百万円、四半期純利益2億38百万円。9カ月間で2025年6月期通期の売上高13億73百万円、営業利益3億36百万円、純利益2億27百万円を上回った。2026年6月期通期は売上高19億2百万円、営業利益4億6百万円、経常利益3億67百万円、当期純利益2億28百万円を予想している。

システムモダナイゼーション事業 – 売上高推移と収益構造

売上高は2021年6月期の2億97百万円から2025年6月期の13億73百万円へ約4.6倍に拡大した。4年間の年平均成長率は約46.6%。2025年6月期の収入構成は、開発支援を中心とするフロー型収入が97.9%、ライセンスや保守・運用などのストック型収入が2.1%である。

売上高の推移(単位:百万円)

2021年6月期から2025年6月期までの売上高推移 298 21/6 537 22/6 672 23/6 827 24/6 1,374 25/6

LiNKXは、システムモダナイゼーション事業の単一セグメントである。老朽化した基幹システムを単純に新しいサーバーへ移すのではなく、業務機能を分解し、クラウド上で拡張しやすいアーキテクチャへ再設計する。

主な対象は、金融機関において24時間365日の安定稼働が求められるミッション・クリティカル・システムである。勘定系システム、APIゲートウェイ、データ基盤、インターネットバンキング、電子マネー関連システムなどを扱う。

収益の中心となるフロー型収入は、主に準委任契約によるシステム開発支援から発生する。顧客のプロジェクトへハイエンド・エンジニアやソリューション・コンサルタントを配置し、アーキテクチャ設計、開発、テスト、移行、プロジェクト管理を行う。

売上高の拡大には、稼働可能なハイエンド・エンジニア数と1名当たり売上高が重要となる。ハイエンド・エンジニア数は2024年6月期の45名から2025年6月期に72名へ増加し、2026年3月末には86名となった。

1名当たり年間平均売上高は、2024年6月期が2,357万円、2025年6月期が2,294万円だった。人員を急拡大しながら2,000万円を超える水準を維持しており、高単価案件の受注とエンジニア稼働率が収益性を左右する。

2025年6月期は金融機関向け売上高の増加により、売上高が前期比66.1%増、営業利益が同143.5%増となった。売上高の伸びに対して人件費や販売管理費の増加を抑えたことで、営業利益率は16.7%から24.5%へ上昇した。

2026年6月期は、次世代勘定系を含む高付加価値案件の増加と、AI活用による生産性向上を前提に売上高38.5%増を見込む。一方、採用、営業、管理体制、AI・セキュリティ関連ツールへの投資により、営業利益の伸び率は20.9%となる計画である。

金融基幹システム – 勘定系・API・データ基盤の刷新

金融機関向けの基幹システム刷新が事業の中核。勘定系システムを一括で置き換える方式だけでなく、既存資産を生かしながら機能単位で分離し、クラウドネイティブ、API、マイクロサービスを用いて段階的にモダン化する。

勘定系システムは、預金、入出金、決済、融資、残高管理、利息計算などを処理する銀行業務の中枢である。障害が社会インフラへ直結するため、一般的な業務システムより高い信頼性、可用性、セキュリティ、処理整合性が要求される。

金融機関では、長期間利用されてきたメインフレームや密結合型システムが多く、仕様書の欠落、技術者の高齢化、改修期間の長期化、運用費の増大、外部サービスとの接続難易度が課題となる。

LiNKXは、既存システムの業務機能や依存関係を分析し、重要機能をモジュール化する。機能単位で段階的に切り離すことで、全面更改に伴う移行リスクを抑えながら、新しいサービスを追加しやすい構造へ変える。

APIゲートウェイ領域では、銀行内部の勘定系システムと外部サービスの接続、認証・認可、通信制御、接続先管理などを支援する。オープンAPIの利用拡大により、金融機関はフィンテック企業や事業会社と接続しやすくなる一方、セキュリティと運用管理の重要性が高まる。

自社ソリューション「BX Connect」は、レガシーな勘定系システムと外部のモダンなシステムを接続するための認証・認可、接続管理などの機能を提供する。個別開発だけでなく、共通機能のソリューション化によって開発期間の短縮とストック型収入の獲得を目指す。

データ基盤領域では、銀行内に分散する取引情報や顧客情報の統合、データ分析環境の導入、クラウド移行、AI活用を支援する。Teradata VantageCloudなど、他社データプラットフォームのライセンス収入もストック型収入に含まれる。

顧客の内製化支援も特徴である。LiNKXが完成品を納入して終了するのではなく、顧客側のエンジニアと共同チームを組み、設計、開発、テスト、運用のノウハウを移転する。顧客は特定ベンダーへの過度な依存を抑え、自社主導で機能追加を進めやすくなる。

一方、顧客側の内製力が高まるほど、将来的に外部委託範囲が縮小する可能性もある。LiNKXには、初期開発後も高度な設計、AIソリューション、保守・運用などで継続的な価値を提供することが求められる。

AI活用 – AXceleratorとLiNKX WAY

AIをレガシーシステム解析、設計、コーディング、テスト、保守へ組み込み、エンジニアの生産性と品質を高める。自社ソリューション「AXcelerator」と、開発・プロジェクト運営のノウハウを集約した「LiNKX WAY」を展開する。

レガシーシステムの刷新では、ソースコードが大量に存在する一方、設計書や仕様書が更新されていないケースがある。担当者の退職によって、コードの目的や他システムとの依存関係を把握できないことも移行の障害となる。

「AXcelerator」は、AIを用いて老朽化したシステムのソースコードを解析し、システム構造の可視化や依存関係の特定を支援する。旧言語から新言語へ移行するための仕様書作成やコード変換を自動化し、移行設計の精度向上と工数削減を狙う。

AIの適用範囲はコード変換だけではない。要件定義時の情報整理、設計書の作成、コード生成、レビュー、テストケース作成、不具合や脆弱性の検出、障害原因の調査など、開発工程全体で利用を進めている。

特にテスト工程では、ソースコードから実際の業務フローに沿ったシナリオテストを自動生成する。金融システムでは、個別機能が正常でも複数システムをまたぐ処理で不具合が生じる可能性があり、業務シナリオ単位の検証が重要となる。

「LiNKX WAY」は、独自のエンジニアリング手法、プロジェクト遂行方法、AI活用方法を集約したノウハウである。顧客との共同チームへ適用し、アジャイル開発の進め方や品質管理方法を顧客側へ移転する。

アジャイル型では、長期間をかけて全要件を固定してから開発するのではなく、機能を小さく分け、開発と検証を反復する。要件変更への対応速度を高めやすく、段階的なモダナイゼーションとの親和性が高い。

AIによってエンジニア1名当たりの処理量が増えれば、人員増加を上回る売上成長や利益率向上につながる可能性がある。さらに、社内で蓄積したAI駆動開発のノウハウを外販できれば、準委任型の人月収入からソリューション収入へ収益源を広げられる。

ただし、AIによる解析やコード生成は、金融システムで求められる正確性を自動的に保証するものではない。熟練エンジニアによる検証、セキュリティ管理、顧客データの取り扱い、生成結果の品質管理が不可欠である。

ストック型収入 – 自社サービスと保守・運用

2025年6月期のストック型収入比率は2.1%にとどまる。BX Connect、AXcelerator、LabHub、shikAI、データ基盤ライセンス、開発後の保守・運用を拡大し、プロジェクト受注に依存する収益構造の安定化を目指す。

ストック型収入には、自社ソリューションのライセンス、他社データプラットフォームのライセンス、開発したシステムの監視、保守、障害対応、運用支援などが含まれる。

金融基幹システムは稼働後も、法令・制度変更、セキュリティ対策、外部サービス接続、機能追加への対応が必要となる。初期開発から運用まで関与できれば、顧客システムへの理解を生かした継続収入を獲得しやすい。

「LabHub」は、研究開発プロセスのデジタル化を支援するプラットフォームである。実験データや研究情報を管理し、研究開発の品質と生産性を高める機能を提供する。

「shikAI」は、点字ブロック上のQRコードをスマートフォンで読み取り、視覚障がい者を目的地まで音声で案内するナビゲーションシステムである。金融以外で自社技術をサービス化した事例となる。

非金融領域については、採算性を維持できる製薬関連プロジェクトや自社サービスを選別して受注する方針であり、現時点では金融領域と同じ規模で積極拡大しているわけではない。

ストック型収入の拡大は、売上高の安定性と人員依存度の低下につながる可能性がある。一方、ソフトウェア製品は開発後も改良、営業、導入支援、保守が必要であり、利用企業が増えるまで先行費用が発生する。

2025年6月期時点ではフロー型収入が97.9%を占めるため、当面の業績は大型開発案件の受注、エンジニア数、平均単価、稼働率の影響を強く受ける。ストック型収入比率の上昇が確認できるかは、中長期的な企業価値を判断する重要な観測項目となる。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期予想
売上高 298 537 +240 / +80.5% 672 +135 / +25.2% 827 +155 / +23.0% 1,374 +547 / +66.1% 1,903 +529 / +38.5%
営業損益 公表なし 公表なし 公表なし 138 336 +198 / +143.5% 407 +70 / +20.9%
経常損益 -97 -20 +77 56 黒字転換 138 +81 / +144.9% 336 +199 / +144.3% 368 +31 / +9.3%
当期純利益 -97 -256 -158 77 黒字転換 87 +11 / +13.9% 228 +140 / +160.8% 229 +1 / +0.6%
EPS -14.31円 -37.66円 -23.35円 11.29円 黒字転換 12.86円 +1.57円 33.53円 +20.68円 33.74円 +0.20円
PER 非上場 非上場 非上場 非上場 非上場 40.76倍 終値1,375円基準
PBR 非上場 非上場 非上場 非上場 非上場 予想BPS未公表
BPS 168.21円 130.53円 -37.68円 / -22.4% 141.27円 +10.74円 / +8.2% 130.38円 -10.89円 / -7.7% 190.46円 +60.08円 / +46.1% 予想未公表
純資産 1,142 886 -256 / -22.4% 959 +73 / +8.2% 885 -74 / -7.7% 1,293 +408 / +46.1% 予想未公表
営業CF 186 293 +107 / +57.6%
投資CF -17 -10 +7
財務CF 53 180 +127 / +238.8%
現金及び現金同等物 870 1,334 +464 / +53.4%
単位は百万円。EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。
2026年3月1日付で普通株式1株を100株とする株式分割を実施。EPS・BPSは上場時発行済株式総数6,787,400株を用いて再計算している。
2021年6月期から2023年6月期の営業損益およびキャッシュ・フローは、公表資料で確認できないため空欄としている。過去5期は非上場期間のためPER・PBRを算出していない。
2026年6月期予想のPERは、2026年6月23日終値1,375円と再計算後の予想EPS33.74円から算出している。

中期経営計画

独立した中期経営計画は未公表 – 成長戦略と2026年6月期計画

2026年6月23日時点で、期間と数値目標を定めた独立した中期経営計画資料は公表されていない。上場時開示資料では、2026年6月期業績予想と短期・中期・長期の成長方針が示されている。

2026年6月期 売上高 1,902百万円
2026年6月期 営業利益 406百万円
営業利益率 21.4%
当期純利益 228百万円

短期戦略は、金融機関向けシステムモダナイゼーション案件の拡大である。次世代勘定系システム、APIゲートウェイ、データ基盤などの高付加価値案件を獲得し、ハイエンド・エンジニア数を増やす。

2026年6月期は、前期と同水準となる約27名のハイエンド・エンジニア採用を計画し、1名当たり年間平均売上高は前期と同水準の約2,294万円を前提としている。

中期戦略は、AI駆動開発による生産性向上と自社ソリューションの拡大である。AXcelerator、BX Connect、LiNKX WAYなどを顧客へ提供し、個別の開発支援だけでなく、ライセンス、保守、運用によるストック型収入を増やす。

長期戦略では、金融システムで蓄積したクラウドネイティブ技術、AI活用、ミッション・クリティカル・システムの開発能力を他業界へ展開する方針を掲げる。ただし、現時点では金融領域が主要市場であり、非金融領域は採算性を確認しながら選別している。

2026年6月期は売上高が前期比38.5%増となる一方、当期純利益は同0.6%増にとどまる。採用費、営業部門・管理部門の増員、AI・セキュリティ関連ツール、上場関連費用を先行して負担する計画であり、これらの投資が翌期以降の売上成長へつながるかが焦点となる。

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競合他社

① TIS<3626>

2026年6月23日終値は3,011円、時価総額は約6,877億円。LiNKXの時価総額約93億円に対して約74倍の企業規模となる。

2026年3月期は売上高5,964億79百万円、営業利益762億29百万円、経常利益765億11百万円、親会社株主に帰属する当期純利益466億24百万円。売上高は前期比4.3%増、営業利益は同10.4%増、営業利益率は12.8%だった。

金融IT、決済、クレジットカード、産業IT、公共、医療など、LiNKXより幅広い顧客基盤を持つ。金融ITセグメントの2026年3月期売上高は987億30百万円、営業利益は127億29百万円である。

「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」では、COBOLやPL/Iなどで構築された基幹システムをJavaへ変換し、オープン環境へ移行する。事前アセスメント、マイグレーション、システム拡張、クラウド移行、DX計画、保守までを提供する。

LiNKXとは、金融機関のレガシーシステム刷新、旧プログラムの解析、クラウド移行、AIを用いた仕様書作成、API・データ連携基盤、ミッション・クリティカル・システムの運用で競合する。

TISは大規模案件の実績、人員、顧客基盤、自動変換ツールを持ち、数百万から数千万ステップ規模の一括移行で優位性がある。LiNKXは、少数精鋭チームによるアジャイル開発や、機能を段階的に切り出して再設計する案件で機動力を発揮する構図となる。

② BIPROGY<8056>

2026年6月23日終値は4,147円、時価総額は約4,104億円。LiNKXの時価総額約93億円に対して約44倍の企業規模となる。

2026年3月期は売上収益4,336億86百万円、営業利益426億4百万円、調整後営業利益435億67百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益312億9百万円。売上収益は前期比7.3%増、営業利益は同9.1%増、営業利益率は9.8%だった。

地域金融機関向けのオープン勘定系システム「BankVision」と、パブリッククラウド上で稼働する「BankVision on Azure」を展開する。複数行への導入実績と長期運用実績を持つ。

API公開基盤、銀行内システムを接続するハブ、データ基盤、チャネルシステム、アウトソーシングを組み合わせ、勘定系から周辺領域まで一体で提供できる。

LiNKXとは、地方銀行の勘定系刷新、クラウド移行、APIゲートウェイ、データ基盤、24時間365日稼働する基幹システムの運用で競合する。主要顧客層と対象システムが重なる競合である。

BIPROGYは、完成度の高い共通パッケージと複数金融機関での稼働実績を持ち、標準化や共同利用を重視する金融機関に強い。LiNKXは、顧客固有の既存資産を残しながら段階的に再構築し、金融機関自身の開発力を高める案件で差別化を図る。

③ シンプレクス・ホールディングス<4373>

2026年6月23日終値は911円、時価総額は約2,161億円。LiNKXの時価総額約93億円に対して約23倍の企業規模となる。

2026年3月期は売上収益586億82百万円、営業利益144億20百万円、税引前利益143億52百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益105億38百万円。売上収益は前期比23.8%増、営業利益は同33.5%増、営業利益率は24.6%だった。

銀行、証券、保険、FX、暗号資産などの金融領域で、企画、業務設計、コンサルティング、システム開発、クラウド移行、運用保守までを一気通貫で提供する。

高度な金融知識と技術力を持つ人材を中心に高付加価値案件を獲得する事業モデルで、営業利益率はLiNKXの2025年6月期24.5%と近い。大手SI企業よりLiNKXと事業構造が近い競合となる。

LiNKXとは、金融機関向け高難度システム、AWSなどを利用したクラウド基盤、アジャイル開発、コンサルティングから運用までの一貫支援、金融機関の内製化支援、高度技術者の採用で競合する。

シンプレクスは大手金融機関を含む顧客基盤、金融商品・規制・業務への深い知見、コンサルティング組織、採用力を持つ。LiNKXには、地域金融機関の次世代勘定系、API・データ基盤、AIによるレガシー解析へ経営資源を集中することが求められる。

強みと将来性

金融基幹への専門性、高収益な技術者組織、AIソリューションの拡張性

LiNKXの強みは、停止が許されない金融基幹システムを対象に、クラウドネイティブ、マイクロサービス、API、AI、アジャイル開発を一体で扱う点にある。

単純なクラウド移行ではなく、老朽化したシステムの構造を解析し、重要機能を分離しながら段階的に再設計する。既存システムを全面廃棄せず、顧客の資産を活用しながら移行リスクを抑える方式である。

金融基幹システムは、業務知識、規制対応、セキュリティ、障害対応、データ整合性が要求され、新規参入の難易度が高い。一度プロジェクトへ深く関与すると、追加開発、他システムとの連携、保守、運用へ取引を広げられる可能性がある。

ハイエンド・エンジニア数は2024年6月期の45名から2025年6月期に72名、2026年3月末に86名へ増加した。採用人数を拡大しながら、1名当たり年間平均売上高は2,000万円を超える水準を維持している。

外国籍を含む多国籍なエンジニア組織を構築し、採用時には独自のコーディングテストなどを用いる。国内企業だけに採用対象を限定せず、クラウドやAIの技術を持つ人材へアクセスできる点は、IT人材不足下での差別化要因となる。

2025年6月期の営業利益率は24.5%で、一般的な人員投入型SI企業より高い。金融機関向けの高単価案件、厳格な人材選考、AI活用、アジャイル開発による生産性が利益率を支えている。

AXceleratorは、仕様書が不足するレガシーシステムのコード解析、依存関係の可視化、仕様書作成、コード変換を支援する。金融機関だけでなく、古い基幹システムを抱える製造、流通、公共などへ適用できる余地がある。

LiNKX WAYは、AI活用と開発ノウハウを顧客の内製チームへ移転する。顧客のベンダーロックイン解消を支援する立場を取ることで、従来型SI企業とは異なる関係を構築できる。

国内金融機関では、メインフレームの維持費、旧言語技術者の減少、外部サービスとの接続、データ活用、サイバーセキュリティへの対応が課題となる。モダナイゼーションは一時的なシステム更新ではなく、長期的な投資テーマとなる可能性がある。

2026年6月期第3四半期累計の売上高と利益は、9カ月時点で前期通期を上回った。通期予想に対する進捗率は、売上高が約72.9%、営業利益が約94.4%、経常利益が約104.1%、純利益が約104.2%となる。

営業利益と純利益は第3四半期時点で通期計画に近い、または上回る水準にある。ただし、第4四半期の人件費、採用費、上場関連費用、案件検収時期によって最終実績は変動する。

中長期では、フロー型案件で獲得した顧客基盤を、AXcelerator、BX Connect、保守・運用、ライセンス契約へつなげられるかが重要となる。ストック型収入比率が上昇すれば、売上の予測可能性と利益率が改善する可能性がある。

弱みとリスク要因

顧客集中、人材依存、先行投資、金融システム特有の品質責任

最大のリスクは、特定顧客への売上依存である。2026年6月期第3四半期累計売上高のうち、北國銀行向けが53.9%、SU-PAY向けが16.6%を占める。両社合計では売上高の70%を超える。

主要顧客の開発計画変更、案件縮小、検収延期、契約条件変更、内製化の進展が発生した場合、他顧客の成長だけでは短期間に補えない可能性がある。

金融機関向け案件は規模が大きく、複数年度にわたり段階的に進行する。大型案件の開始時期や人員配置がずれると、四半期ごとの売上高と利益が大きく変動する可能性がある。

2025年6月期の収入構成はフロー型97.9%、ストック型2.1%である。現時点では、ソフトウェアライセンスを大量販売する事業ではなく、エンジニアの人数、平均単価、稼働率が成長上限を左右する。

売上原価の中心はエンジニアの人件費である。クラウド、AI、金融業務の経験を持つ人材の採用競争が激化し、採用単価や給与水準が上昇した場合、顧客単価へ転嫁できなければ営業利益率が低下する。

2026年6月期は、営業部門とコーポレート部門の増員、採用活動、AI・セキュリティ関連ツール導入を進める。販売費及び一般管理費は前期比50.3%増、採用費は同72.4%増を計画しており、人員採用が売上拡大へ結び付くまで利益を圧迫する可能性がある。

2026年6月期の売上高は前期比38.5%増、営業利益は同20.9%増を見込む一方、当期純利益は同0.6%増にとどまる。上場関連費用38百万円などの一時費用に加え、成長投資の負担が利益成長を抑える。

金融基幹システムでは、小さな設計ミスや障害でも決済、預金、融資、顧客サービスへ重大な影響を及ぼす可能性がある。損害賠償、追加改修費、信用低下、取引停止につながる品質リスクがある。

顧客の機密情報やソースコードを扱うため、情報漏えい、不正アクセス、委託先管理、生成AIサービスへのデータ入力などに厳格な統制が求められる。セキュリティ事故が発生した場合、金融機関向け事業の継続に大きな影響が及ぶ。

AIを活用したコード解析や自動生成では、誤った仕様解釈、変換漏れ、脆弱性の混入、知的財産権、外部AIサービスの仕様変更などのリスクがある。AIによる生産性向上が計画どおり実現する保証はない。

TIS、BIPROGY、シンプレクスを含む競合企業は、LiNKXを大きく上回る人員、資金、顧客基盤、製品群を持つ。競合が同様のAI解析、クラウド移行、アジャイル支援を強化した場合、価格や採用面で競争が激しくなる。

外国籍エンジニアの採用は人材確保の強みである一方、在留資格、各国の雇用規制、為替、国際的な人材獲得競争、コミュニケーション、定着率の影響を受ける。

新株予約権が存在し、将来の権利行使によって発行済株式数が増加する可能性がある。増資やストックオプションの行使は、1株当たり利益と既存株主の持分を希薄化させる。

2026年6月23日に上場した新規上場銘柄であり、市場での価格形成実績が短い。流通株式数、需給、ロックアップ解除、初値形成後の売買動向により、業績変化以上に株価が変動する可能性がある。

出典

本ページは、公表された決算短信、有価証券報告書、上場関連資料、公式サービス情報を基に作成したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。業績予想や成長戦略は将来の実績を保証するものではなく、実際の業績や株価は事業環境、顧客動向、人材採用、競争、需給その他の要因により変動します。投資判断は最新の開示資料を確認したうえで、自身の責任において行ってください。

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