楽天銀行 5838 東証プライム
楽天グループの上場インターネット専業銀行 ─ 国内預金量2,700万口座超、台湾でも銀行業を展開、フィンテック事業再編で楽天カード・楽天証券HDを子会社化へ
事業内容
楽天銀行は、楽天グループ株式会社が49.26%出資するインターネットを活用した銀行で、東証プライム上場(業種:銀行業)。日本においては個人・法人に対して、台湾においては主に個人に対して、多様な顧客ニーズに応える銀行サービス及びこれに付随する金融サービスを提供。同行グループは連結子会社23社、非連結子会社4社で構成され、連結子会社の楽天信託株式会社は信託業法に基づく信託業務を担う。中核事業は預金、貸出、為替、資産運用、決済、銀行代理業務、信託業務、クレジットカード・ローン等の金融サービス。2026年5月20日、楽天グループのフィンテック事業再編に関する最終合意が発表され、株式交付により楽天カード・楽天証券ホールディングスを子会社化することが決定。再編後は楽天銀行の議決権比率49.95%(持株比率72.35%)を楽天グループが保有、議決権比率10.52%(持株比率5.81%)をみずほ銀行が保有する形となる。
主要事業セグメント
① 銀行業務(預金・貸出・為替)
インターネット専業銀行として、円預金、外貨預金、各種ローン(住宅ローン、教育ローン、トラベルローン、不動産担保ローン、カードローン)を提供。リバースモーゲージや証券担保ローンの取扱を開始し、証券担保ローンは開始後短期間で残高が拡大。商品ライン拡充により貸出残高と顧客当たり収益が向上中。
② 資産運用業務
円預金、外貨預金、FX、特別運用商品(楽天信託)、投資信託、楽天証券の金融商品仲介を提供。楽天証券との口座連携サービスの普通預金で優遇金利の適用上限を引き上げ、連携顧客の資金滞留促進と証券取引を含むクロスセル機会の増加を図る。
③ 証券化ビジネス(独自運用資産の創出)
当行独自の証券化アレンジ、楽天信託での信託受託による倒産隔離、当行による証券化資産の購入というワンストップの証券化サービスを提供。楽天カード(クレジットカード債権)、楽天モバイル(通信料債権・端末割賦債権)の証券化に加え、楽天グループ外企業の証券化も幅広く手掛ける。太陽光発電プロジェクト等の事業リスク証券化にも取り組み、運用収益の拡大に貢献。
④ 銀行代理業務・BaaS(Banking as a Service)
外部企業と連携するBaaSを推進し、交通事業者と連携した「JRE BANK」が順調に拡大。楽天モバイルとの銀行代理業務提携を開始し、条件達成で普通預金金利を上乗せするサービスを提供。提携先チャネルでの口座獲得が預金量と取引機会の拡大に寄与。
⑤ 台湾での銀行業(連結子会社)
台湾で銀行業を営む連結子会社を保有し、主に個人向けに銀行サービスを提供。海外展開の第一歩として、台湾市場での顧客基盤拡大を進めている。
直近の業績サマリー
2026年3月期は経常収益255,579百万円(前期比+38.5%増)、経常利益103,091百万円(+44.1%増)、当期純利益73,072百万円(+43.9%増)と、過去最高水準の業績を達成。EPSは418.76円。経常利益が初めて1,000億円を超え、口座数の継続的な拡大、貸出残高の伸長、証券化ビジネスの好調、JRE BANK等のBaaS提携拡大が業績を牽引した。2027年3月期会社予想は経常収益254,376百万円(△0.5%減)、経常利益101,262百万円(△1.8%減)、当期純利益71,266百万円(△2.5%減)と、ほぼ横ばい〜微減見通し。実績PER 15.34倍、PBR 3.02倍と、ネット銀行業界では妥当な株価指標。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | ― | 120,445 | 137,950 +14.5% |
184,534 +33.8% |
255,579 +38.5% |
254,376 |
| 営業損益 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| 経常利益 | ― | 38,746 | 48,367 +24.8% |
71,524 +47.9% |
103,091 +44.1% |
101,262 |
| 当期純利益 | ― | 27,692 | 34,436 +24.4% |
50,779 +47.5% |
73,072 +43.9% |
71,266 |
| EPS(一株利益) | ― | 168.37円 | 198.42円 | 291.03円 | 418.76円 | 408.41円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
― | 1,834円 | 3,365円 | 5,600円 | 6,422円 | ― |
| 実績PER | ― | 10.89倍 | 16.96倍 | 19.24倍 | 15.34倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 15.72倍 |
| PBR | ― | 1.42倍 | 2.25倍 | 3.24倍 | 3.02倍 | ― |
| PSR | ― | 2.50倍 | 4.23倍 | 5.29倍 | 4.38倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績ハイライト
2026年3月期経常利益は前期比+44.1%増の1,030億円(初の1,000億円超え)、当期純利益+43.9%増の730億円と、いずれも過去最高水準を達成。経常収益は3期で約2.1倍に成長(2023年3月期1,204億円→2026年3月期2,555億円)と急成長中。一方、2027年3月期会社予想は経常収益△0.5%減、経常利益△1.8%減、純利益△2.5%減と、フィンテック事業再編後の影響を踏まえやや慎重な見通し。EPSは418.76円→408.41円見通し。
強みと注目点
① 国内インターネット銀行のトップ層
2026年3月期に経常利益1,000億円を初めて突破。インターネット専業銀行として、預金口座数、貸出残高、決済件数などで国内トップ層の地位を確立。住宅ローン、カードローン、預金、投資信託、為替などフルラインの金融サービスを提供。
② 楽天エコシステムとのシナジー
楽天市場、楽天カード、楽天証券、楽天モバイル、楽天ペイなど楽天グループ70以上のサービスとの強固な連携。楽天ポイントを介した顧客誘導と、楽天証券との口座連携サービスによる優遇金利提供で、顧客基盤の安定的な拡大を実現。
③ 証券化ビジネスの収益力
楽天信託を活用したワンストップの証券化サービスで、楽天カード債権・楽天モバイル債権の証券化のみならず、楽天グループ外企業の各種資産証券化にも幅広く対応。太陽光発電プロジェクト等の事業リスク証券化も手掛け、運用収益の多様化を実現。
④ BaaS(Banking as a Service)の拡大
JR東日本との「JRE BANK」が順調に拡大。楽天モバイルとの銀行代理業務提携も開始。外部企業との連携を通じた口座獲得が、預金量と取引機会の拡大に寄与。BaaS領域での先行優位性を確立。
⑤ 台湾でのアジア展開
台湾連結子会社を通じた銀行業展開。国内ネット銀行業界での競争に加え、アジア地域での将来的な拡大可能性を示す位置づけ。
弱み・リスク要因
① 楽天グループ再編による希薄化懸念
2026年5月20日発表のフィンテック事業再編で、楽天銀行が株式交付により楽天カード・楽天証券HDを子会社化することが決定。希薄化によるPER水準の割高感が想定以上と捉えられ、5月21日のストップ安(△15.43%)の直接要因となった。再編後は楽天グループが議決権比率49.95%(持株比率72.35%)を保有する形となり、少数株主の希薄化が大きい。
② 再編後の自己資本比率低下
再編後の自己資本比率が低水準となることが指摘されており、将来的な株主還元(配当・自社株買い)への影響が懸念されている。フィスコのアナリスト見解では「将来的な株主還元に影響を及ぼす可能性なども意識されているもよう」と報じられた。
③ みずほ追加出資の見送り
今回の再編では、みずほによる追加出資が見送られた。当初期待されていたみずほの追加出資による財務基盤強化シナリオが実現しなかったことで、市場の期待値が下がった面もある。
④ 2027年3月期予想の減益
2027年3月期会社予想は経常利益△1.8%減、当期純利益△2.5%減と、4期連続の大幅増益基調から減益見通しへ転じる。再編影響に加え、ネット銀行業界の競争激化、金利環境変化が逆風となる可能性。
⑤ ネット銀行業界の競争激化
金利環境の変化の下で、各行が預金獲得プロモーションを強化し競争激化が示されている。住信SBIネット銀行、PayPay銀行、ソニー銀行、auじぶん銀行など競合が多く、預金獲得競争・金利競争・サービス競争で資金調達費用の増加が利ざやや利益率に影響する可能性。
直近の急落要因(2026年5月21日 ストップ安)
2026年5月20日大引け後、楽天グループ<4755>が「楽天銀行の株式交付による楽天カード・楽天証券ホールディングスの子会社化等による楽天銀行を含む楽天グループのフィンテック事業再編に関する最終合意」を発表したことが直接の急落要因。同合意により、楽天銀行が株式交付(自社株を対価とする買収)によって楽天カード・楽天証券ホールディングスを子会社化する。再編後の楽天銀行は、楽天グループが議決権比率49.95%(持株比率72.35%)を保有、みずほ銀行が議決権比率10.52%(持株比率5.81%)を保有する形となる。市場の主な懸念は3点:(1) 株式交付に伴う大規模な株式希薄化でPER水準の割高感が想定以上、(2) 再編後の自己資本比率が低水準で将来的な株主還元への影響、(3) 期待されていたみずほの追加出資見送り。5月21日にストップ安(前日比△1,000円、△15.43%)の5,480円で引け、1日で時価総額約1,500億円が失われた。なお、本再編により楽天グループは年間850億円の利益寄与を見込んでいる。翌5月22日も売り圧力が継続し、4,847円(△11.55%)まで下落して年初来安値を更新した。

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