7063 Birdman

Birdman 7063東証G

Birdman Inc.|広告クリエイティブ、マーケティング支援、エンターテインメント領域を主力とし、2026年に系統用蓄電池の運用開始へ進む企業。
※2026年7月2日時点の情報

事業内容

2026年7月2日の時価総額は約36億円。2026年7月2日終値106円、発行済株式数33,720,200株を前提に算出した。

株式会社Birdmanは、2012年7月26日設立、東京都渋谷区松濤一丁目5番3号に本店を置く。代表取締役社長は吉川元宏。証券コードは7063、東京証券取引所グロース市場上場、6月決算である。事業内容は、戦略立案・コンサルティング、事業企画・開発、ブランディング、テクノロジーを活用したデバイス・PoC開発、デザイン・クリエイティブ制作、UI/UX、広告キャンペーン、戦略的PR、エンターテインメント・トランスフォーメーション事業などである。

2026年6月期第3四半期累計は、売上高243百万円、営業損失386百万円、経常損失769百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失707百万円。会社は2026年5月15日に通期予想を修正し、2026年6月期通期は売上高369百万円、営業損失474百万円、経常損失903百万円、親会社株主に帰属する当期純損失841百万円を見込む。

MS事業(Marketing Solutions事業)

2025年6月期のMS事業売上高は315百万円、セグメント損失は40百万円。旧MX事業を含む5期推移では、2022年6月期の売上高2,079百万円・セグメント利益458百万円をピークに、2025年6月期は受注実績の未達と人員面の見直しにより大幅縮小した。
MS事業(旧MX/ブランディング、百万円) -587 167 920 1673 2427 1757-2392021 20794582022 17882142023 1199982024 315-412025 売上高 事業利益
MS事業は、顧客企業や商品・サービスのブランド価値向上、一般消費者へのイメージアップ、認知度向上、購買意欲向上を目的とするソリューションを提供する主力事業である。顕在化したニーズだけではなく潜在ニーズを引き出し、各ニーズに合わせて複数のサービスを組み合わせる。元請けから下請けに至る多段階構造ではなく、戦略、クリエイティブ、ビジネスソリューション、テクノロジーをワンストップで提供する点が事業モデルの中心である。

2026年6月期第2四半期から、従来のMX事業をMS事業へ名称変更している。名称変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はない。2026年6月期第3四半期累計では、MS事業の売上高は242百万円、セグメント損失は75百万円である。受注実績が当初見込みを大きく下回ったことが、赤字継続の主因となった。

中期経営計画では、広告クリエイティブ領域にMoldBreaking株式会社のライブコマースソリューションを掛け合わせ、既存顧客基盤とライブコマース運用ノウハウを統合する方針が示されている。FY30のMS事業計画は売上高1,106百万円、事業利益330百万円である。MS事業の投資評価では、広告制作会社としての単純な受注回復ではなく、ライブコマース、BPO、D2C支援への拡張が実際の案件獲得に結びつくかを確認する必要がある。

EX事業(Entertainment Transformation事業)

2025年6月期のEX事業売上高は3百万円、セグメント損失は225百万円。2023年6月期に売上高2,697百万円まで拡大したが、2024年6月期に大型赤字を計上し、2025年6月期は事業見直しにより売上規模が急縮小した。
EX事業(百万円) -2308 -893 521 1935 3350 002021 12892192022 26971732023 886-16552024 4-2262025 売上高 事業利益
EX事業は、クリエイティブやデジタル・テクノロジーを活用し、次世代アーティストやクリエイターと連携しながら新しいエンタメの形を創出する事業である。リアル空間とデジタル空間をシームレスに行き来できる環境を前提に、ファンとの新しいコミュニケーションや関係構築を支援するプラットフォーム構築を目指す。

2022年6月期には7ORDER関連のツアー、グッズ販売、ファンクラブ会員獲得などが収益に寄与した。2023年6月期はライブ、KROSS、エンターテインメント関連施策により、セグメント売上が2,697百万円まで拡大した。一方、2024年6月期はEX事業でセグメント損失1,654百万円を計上し、全社業績悪化の主要因となった。2025年6月期は全面的な見直しと投資判断の厳格化により、売上高3百万円まで縮小している。

2026年6月期第3四半期累計では、EX事業の売上高は915千円、セグメント損失は7,415千円である。新たな事業戦略として、国内TikTokエコシステムに向けた自社チャンネル構築、ライバー育成、活動支援体制を掲げる。中期経営計画では、EX事業に3億円の先行投資を行い、FY30に売上高800百万円、事業利益618百万円を目指す。投資判断上は、過去の大型損失を踏まえ、再拡大局面でも費用統制と撤退基準が実行されるかが重要になる。

系統用蓄電池・再生可能エネルギー関連事業

蓄電池事業は2026年7月時点で運用開始前後の新規事業。2026年7月1日に鳥取県境港市の系統用蓄電池設備で建設工事と系統連系が完了し、2026年7月4日に運用開始予定。会社は2027年6月期の売上寄与を約280百万円と見込む。
蓄電池事業計画(百万円) -110 128 366 603 841 00FY26 721540FY27 731556FY28 21669FY29 250102FY30 売上高 事業利益
系統用蓄電池事業は、広告・クリエイティブを主体としてきたBirdmanにとって、収益構造を大きく変える新規事業である。2026年7月2日公表資料では、鳥取県境港市所在の系統用蓄電池設備について、2026年7月1日に全ての建設工事と電力会社との系統連系が完了し、2026年7月4日に運用を開始するとされている。設備はAC容量1,999.9kW、DC容量8,128kWhで、HUAWEI社のバッテリー2,032kWhを4基、パワーコンディショナー100kWを24台使用する。

運用方法は、当初約3カ月間のピークシフト型運用を経て、需給調整市場における一次調整力市場へ移行する計画である。ピークシフト型運用では、昼間の再生可能エネルギー余剰電力を蓄電し、夕方以降の需要ピーク時に放電・売電する。一次調整力市場では、電力の周波数の乱れを瞬時に抑えるための調整力を提供する。蓄電池は瞬時の出力調整に優れるため、会社は一次調整力市場との相性が良いと説明している。

中期経営計画では、蓄電池事業を安定的なストック収益源と位置付け、FY27に2物件目を取得する計画を掲げている。2026年7月2日公表資料では、当期にあたる2027年6月期の売上寄与を約280百万円と見込む。既存のMS・EX事業が受注変動と投資損失の影響を受けやすい一方で、蓄電池事業は設備稼働と市場単価が収益の中心となる。したがって、稼働率、調整力市場での約定単価、運用委託費、設備保守費、リファイナンス条件を継続監視する必要がある。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期
会社予想
売上高1,7573,367
+1,610百万円 / +91.6%
4,484
+1,117百万円 / +33.2%
2,085
△2,399百万円 / △53.5%
319
△1,766百万円 / △84.7%
369
+50百万円 / +15.7%
営業損益△239231
+470百万円 / 黒字転換
56
△175百万円 / △75.8%
△1,840
△1,896百万円 / 赤字転落
△561
+1,279百万円 / 赤字縮小
△474
+87百万円 / 赤字縮小
経常損益△208229
+437百万円 / 黒字転換
42
△187百万円 / △81.7%
△2,021
△2,063百万円 / 赤字転落
△684
+1,337百万円 / 赤字縮小
△903
△219百万円 / 赤字拡大
当期純利益△49187
+236百万円 / 黒字転換
△7
△194百万円 / 赤字転落
△3,028
△3,021百万円 / 赤字拡大
△715
+2,313百万円 / 赤字縮小
△841
△126百万円 / 赤字拡大
EPS△1.45円5.55円△0.21円△89.80円△21.20円△24.94円
PER209.3倍
PBR76.3倍74.4倍83.7倍41.3倍
BPS9.85円15.60円15.18円△42.88円7.56円
純資産332526
+194百万円 / +58.4%
512
△14百万円 / △2.7%
△1,446
△1,958百万円 / 赤字転落
255
+1,701百万円 / 黒字転換
営業CF△12370
+193百万円 / 黒字転換
△157
△227百万円 / 赤字転落
△2,122
△1,965百万円 / 赤字拡大
△296
+1,826百万円 / 赤字縮小
投資CF△60△36
+24百万円 / 赤字縮小
35
+71百万円 / 黒字転換
51
+16百万円 / +45.7%
18
△33百万円 / △64.7%
財務CF79176
+97百万円 / +122.8%
612
+436百万円 / +247.7%
990
+378百万円 / +61.8%
1,889
+899百万円 / +90.8%
現金及び現金同等物495705
+210百万円 / +42.4%
1,196
+491百万円 / +69.6%
115
△1,081百万円 / △90.4%
1,728
+1,613百万円 / +1402.6%
単位は、売上高・利益・純資産・キャッシュフローが百万円、EPS・BPSが円、PER・PBRが倍。2021年6月期と2022年6月期は非連結、2023年6月期以降は連結。EPS・BPS・PER・PBRは、2026年6月期第3四半期末の発行済株式数33,720,200株を用いて再計算。PERはEPSがプラスの期のみ表示し、PBRはBPSがプラスの期のみ表示。期末株価はユーザー提供の各6月期末終値を使用。

中期経営計画

中期経営計画(FY26からFY30)

Birdmanは、MS・EX・蓄電池・M&Aの4事業で構成する5カ年計画を掲げている。FY30の連結売上高は2,942百万円、連結営業利益は898百万円、連結経常利益は806百万円を目標とする。FY26は先行投資フェーズで、連結売上高339百万円、連結営業損失507百万円、連結経常損失667百万円を計画値としていたが、2026年5月15日の業績予想修正後は、2026年6月期通期予想を売上高369百万円、営業損失474百万円、経常損失903百万円、親会社株主に帰属する当期純損失841百万円としている。

MS事業では、広告クリエイティブとライブコマース機能の掛け合わせにより、FY30に売上高1,106百万円、事業利益330百万円を目指す。EX事業では、ライバー育成からライブコマースへの垂直立ち上げを掲げ、3億円の先行投資によりFY30に売上高800百万円、事業利益618百万円を計画する。蓄電池事業では、2MW・8MWhの設備を起点に安定的なストック収益を狙い、FY27に2物件目取得を計画する。M&Aではマーベリック社譲受を通じ、D2C・EC支援、BPO、物流・フルフィルメントを取り込む方針である。

計画の評価ポイントは、MS事業の受注回復、EX事業の投資回収、蓄電池設備の稼働率、M&A実行条件、資金調達の確度である。広告・クリエイティブ単独の再建ではなく、フロー型収益とストック型収益を組み合わせる構造転換の成否が焦点になる。
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競合他社

1. 電通グループ(4324)
株価は約3,105円、時価総額は約8,253億円。広告代理店・マーケティング会社として国内最大級で、BirdmanのMS事業が扱うブランド戦略、広告クリエイティブ、PR、イベント、デジタル施策の広範囲で競合する。電通グループは、広告・マーケティングに加え、DX、BX、PR、スポーツ・エンタメ、AI・データ活用までを統合的に提供できる。

2026年12月期第1四半期は、収益3,571億29百万円、売上総利益2,950億64百万円、調整後営業利益378億12百万円、営業利益649億58百万円。Birdmanにとって、特に大企業向けの統合マーケティング案件、大型キャンペーン、データ活用型の広告施策では、電通グループの総合力が強い競争圧力となる。
2. サイバーエージェント(4751)
株価は約1,428円、時価総額は約7,241億円。インターネット広告、メディア&IP、ゲームを中核とし、Birdmanとはデジタル広告、SNS広告、動画広告、データ活用、DX支援、エンタメ・IP活用で競合する。Birdmanが中期経営計画で掲げるTikTok、ライブコマース、ライバー育成、自社チャンネル構築との比較では、サイバーエージェントの広告運用力、メディア資産、IP展開力が競争軸になる。

2026年9月期中間期は、売上高4,785億84百万円、営業利益524億59百万円、経常利益539億20百万円、親会社株主帰属中間純利益273億36百万円。若年層向けキャンペーン、SNS・動画広告、ABEMAやIPを活用したブランド施策では、BirdmanのEX・MS双方に対する強い比較対象となる。
3. 博報堂DYホールディングス(2433)
株価は約1,143円、時価総額は約4,159億円。博報堂、大広、読売広告社、Hakuhodo DY ONEなどを抱える広告・マーケティング大手で、Birdmanとはブランド戦略、広告クリエイティブ、デジタルマーケティング、PR、データ活用、マーケティングDXで競合する。生活者インサイトを起点にしたクリエイティブ提案、ブランド設計、デジタル施策の統合力が強みである。

2026年3月期は、収益8,610億3百万円、営業利益446億75百万円、経常利益460億61百万円、親会社株主帰属当期純利益167億75百万円。2027年3月期は、収益9,100億円、営業利益467億円、経常利益470億円、親会社株主帰属当期純利益260億円を見込む。BirdmanのMS事業と最も近い顧客課題を扱う大手競合であり、Birdmanは尖った企画力、スピード、小回り、ライブコマース領域で差別化する必要がある。

強みと将来性

クリエイティブ起点の統合提案力と、蓄電池による収益構造転換
Birdmanの強みは、広告会社、PR会社、コンサルティング会社の縦割りで進みがちな領域を、クリエイティブ、ビジネスソリューション、テクノロジーを組み合わせてワンストップで提供しようとする点にある。MS事業は、単なる広告制作や媒体運用ではなく、ブランド価値、認知、購買意欲向上を一体で扱う。企業の顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズを引き出す提案を重視しているため、商品やサービスの立ち上げ局面、ブランド再構築局面では差別化余地がある。

中期経営計画で示されたライブコマース領域への拡張は、既存の広告クリエイティブを販売接点に近づける取り組みである。広告キャンペーンで認知を取り、ライブコマースで購買接点を作り、BPOやEC支援で運用を継続する形になれば、フロー型の制作収入から継続的な運用収入へ広げられる可能性がある。MoldBreaking社とのアライアンスやM&A計画は、この方向性を補強する材料となる。

系統用蓄電池事業は、これまでの広告・エンタメ中心の業績変動を平準化する可能性を持つ。鳥取県境港市の設備が運用開始に入り、ピークシフト型運用から一次調整力市場への移行が進めば、売電収入や調整力収入が収益基盤になる。会社は2027年6月期の売上寄与を約280百万円と見込んでおり、2025年6月期売上高319百万円と比較してもインパクトは大きい。MS事業の受注回復、EX事業の小型化・再設計、蓄電池事業の稼働が同時に進めば、2024年6月期から2025年6月期にかけて悪化した収益体質の改善余地が生じる。

弱みとリスク要因

過去の大型赤字、資金調達依存、新規事業実行リスク
Birdmanの最大の弱みは、過去数期で業績変動が極めて大きい点である。2023年6月期に売上高4,484百万円まで拡大した後、2024年6月期は売上高2,085百万円、営業損失1,840百万円、親会社株主に帰属する当期純損失3,028百万円となった。2025年6月期は売上高319百万円まで縮小し、営業損失561百万円、当期純損失715百万円を計上した。特にEX事業では、2024年6月期にセグメント損失1,654百万円を計上しており、エンタメ領域での先行投資、アーティスト・イベント案件、IP関連投資のリスク管理が課題として残る。

2026年6月期第3四半期累計でも、売上高243百万円に対して営業損失386百万円、経常損失769百万円、四半期純損失707百万円を計上している。会社は継続して重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する損失、営業キャッシュフローのマイナスを計上している。業績予想も2026年5月15日に下方修正され、経常損失と最終損失の見通しが拡大した。黒字化計画の前提となる資金調達、アライアンス、M&A、蓄電池運用が遅れる場合、計画と実績の乖離が拡大するリスクがある。

蓄電池事業にも固有リスクがある。設備は完工・系統連系が完了したが、当初の運用開始予定から約3カ月遅延している。会社はキュービクルの納品遅延を理由としているが、設備調達、保守、電力市場制度、需給調整市場の単価、参入業者増加による売電単価下落、リファイナンス条件などは今後も収益に影響する。広告・クリエイティブ会社が電力市場事業に進出するため、運用ノウハウの内製・外部委託体制、リスク管理、資金繰りの透明性を確認する必要がある。

出典

本ページは公開情報をもとに作成した銘柄分析であり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は公式IR資料、適時開示、有価証券報告書、決算短信を確認のうえ、自己責任で行ってください。

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