日本調理機 2961 東証S
NITCHO CORPORATION|学校給食センターを中心に、病院・福祉施設、社員食堂、ホテル、食品工場などへ業務用厨房機器と厨房システムを提供する総合厨房メーカー。企画、設計、製造、施工、保守修理までを一貫して担う。
※2026年6月24日時点の情報
事業内容
2026年6月24日の時価総額は約63.8億円。同日の終値は5,620円で、前日比700円高のストップ高となった。2026年6月23日に、2026年7月31日を基準日として普通株式1株を4株へ分割する方針を開示したことが株価材料となった。時価総額は情報基準日時点の発行済株式総数1,135,572株で算出している。
1947年7月設立。本社は東京都大田区東六郷、資本金は799百万円、代表取締役社長は齋藤有史氏、決算期は9月。2021年11月9日に上場し、東京証券取引所スタンダード市場に所属する。栃木工場と大分工場を生産拠点とし、国内各地域に支店・営業所とカスタマーエンジニアを配置する。厨房機器の製造販売だけでなく、厨房施設の企画、動線設計、施工、機器据付、保守修理までをワンストップで提供する。
2026年9月期中間期は売上高96億65百万円、営業利益5億2百万円、経常利益5億10百万円、中間純利益3億31百万円。学校給食分野の一括受注案件が増え、売上高は前年同期比5.2%増、営業利益は同0.5%増となった。一方、前年同期に一時的な営業外収益があった反動で、経常利益は同5.4%減、中間純利益は同9.7%減となった。通期会社予想は売上高191億円、営業利益8億20百万円、経常利益8億30百万円、当期純利益5億円で据え置かれている。
業務用厨房機器事業 – 全社業績と事業構造
全社売上高推移(単位:百万円)
法定開示上の事業区分は単一セグメントであり、製品カテゴリー別や顧客分野別の売上高・利益は開示されていない。そのため、以下の各カードは開示セグメントではなく、製品機能と顧客用途に沿った事業の細分化である。
収益の中心は、学校給食センターや学校の自校式給食施設をはじめとする集団給食設備である。機器単体の販売だけでなく、施設全体の厨房レイアウト、作業動線、衛生区画、処理能力、エネルギー供給方式を組み合わせた案件を受注する。
2022年9月期は大型案件の減少や資材価格上昇の影響を受け、売上高154億67百万円、営業利益3億43百万円まで落ち込んだ。2023年9月期は受注回復と価格対応が進み、売上高176億42百万円、営業利益5億41百万円へ回復した。
2024年9月期は大型ホテルや食品工場など学校給食以外の集団給食分野の受注増加に加え、資材価格高騰への対応で利益率が改善した。売上高184億43百万円、営業利益10億58百万円となり、直近5期で最高の営業利益を計上した。
2025年9月期は学校給食分野で大型案件が少ない年度を想定し、入替需要、備品更新、学校給食以外の集団給食案件の獲得に注力した。売上高181億18百万円、営業利益8億44百万円と前期比では減収減益だったが、期初会社予想を上回った。
2026年9月期中間期は学校給食分野の一括受注案件が増加し、増収を確保した。通期では増収を見込む一方、営業利益、経常利益、当期純利益は減益予想であり、案件構成とコスト吸収力が利益水準を左右する。
学校給食・大型集団給食 – 企画設計から施工まで
日本調理機は1962年に都内初の給食センターを手掛け、その経験を全国の学校給食センター受注へ展開してきた。学校給食施設の整備が進んだ時期から、洗浄機、消毒保管機、回転釜、炊飯設備などを納入し、施設設計と機器運用のノウハウを蓄積している。
企画段階では、提供食数、献立、食材搬入、検収、下処理、加熱、配缶、配送、回収、洗浄、保管までの工程を踏まえて厨房システムを構成する。使用者の立場に立った提案を掲げ、調理実例を用いたセミナーも行う。
提案段階では独自のCADシステム「NitchoCAD」を用い、機器選定と厨房空間のレイアウトを作成する。施設ごとの建物条件、配管、排気、電力、ガス、蒸気、清潔区域と汚染区域の分離などを考慮し、機器単体ではなく厨房全体を設計する。
施工では厨房設備士資格の取得と社内教育を進め、安全を重視した据付・工事を行う。会社概要では管工事業の建設業許可、厨房施設に関する設計・施工・監理を営業種目として掲げており、製造会社でありながら工事機能を持つ。
公式事例には、1日560食の学校から1日15,000食の大型給食センターまで幅広い処理能力の施設が掲載されている。アレルギー食対応、二次加工食、HACCP対応、見学エリア、オール電化、連続炊飯、連続揚物など、施設ごとの条件に合わせた構成が確認できる。
学校給食では一度の新設・改修案件が大きい一方、自治体の計画や工期によって受注と売上計上の時期が変動する。新設だけでなく、既存設備の入替、備品更新、能力増強、衛生基準への対応を継続需要として取り込む営業が重要になる。
2025年9月期には大型案件が少ない環境下でも、入替需要と備品更新を喚起し、学校給食分野で期初予想を上回る受注を獲得した。案件の大型化だけに依存せず、更新需要を積み上げることが業績安定化の課題となる。
洗浄・消毒保管 – 衛生管理と省エネの主力領域
洗浄カテゴリーでは、食器洗浄機、フライトタイプ洗浄機、システム洗浄機、カゴごと洗浄機などを扱う。学校給食や大型施設では、短時間に大量の食器、トレイ、食缶、コンテナーを処理する必要があり、処理能力と洗浄品質の両立が求められる。
洗浄工程は水、洗剤、電力、蒸気、ガスを継続的に消費するため、施設運営費への影響が大きい。高効率機器による使用水量と熱エネルギーの削減は、導入時の機器価格だけでなく、運用期間全体のコストを比較する際の重要項目になる。
2024年12月には、業務用高効率フライトタイプ食器洗浄機が省エネ性能を評価され、省エネルギーセンター会長賞を受賞した。資材価格の上昇局面でも、省エネ効果を定量的に示せれば、顧客に対して更新投資の経済合理性を提案しやすい。
消毒保管カテゴリーでは、食器・食缶・コンテナーを加熱消毒して保管する機器を展開する。トラックイン式、棚昇降式、天吊り式、冷却機能付きなど、厨房の床面積や搬送方法に応じた構成を持つ。
学校給食では洗浄後の再汚染防止、乾燥、保管、翌日の取り出し作業までが一連の工程となる。洗浄機と消毒保管機を別々に売るだけでなく、食器やコンテナーの搬送動線を含めた一体設計が受注競争上の差別化要素になる。
人手不足が進む施設では、食器の投入、搬送、洗浄、積み替え、保管に必要な作業人数と身体負担を減らす自動化が重要となる。日本調理機は省人・省力化に対応する研究開発を継続しており、洗浄工程はその効果を出しやすい領域である。
一方で、洗浄機と消毒保管機はマルゼン、中西製作所、ホシザキなども製品を展開する競争市場である。処理能力、衛生性、省エネ、保守性、設置寸法、価格、納期、全国保守体制を総合して受注が決まる。
加熱・炊飯・連続調理 – 大量調理の中核設備
加熱カテゴリーでは、ガス、蒸気、電気に対応する回転釜、スチームコンベクションオーブン、焼物機、揚物機などを扱う。大量調理では、加熱能力だけでなく、温度の均一性、焦げ付き防止、排熱、清掃性、作業者の安全性が重要になる。
回転釜は汁物、煮物、炒め物など幅広い献立に使用され、学校給食施設の基本設備となる。低輻射型や省スペース連結型など、厨房内の暑熱負担、設置面積、調理量に応じた機器構成が事例で確認できる。
スチームコンベクションオーブンは、蒸す、焼く、煮るなど複数の調理をプログラム化できる。温度と湿度を管理しやすく、調理品質の標準化や作業工程の省力化につながるため、学校、病院、福祉施設、ホテル、セントラルキッチンで用途が広い。
炊飯カテゴリーでは、立体炊飯機、連続炊飯機、関連搬送設備を組み合わせる。大型給食センターでは、洗米、浸漬、計量、炊飯、蒸らし、ほぐし、配缶までの流れを止めずに処理する能力が求められる。
連続揚物機や連続焼物機は、同じ条件で大量の食材を処理し、調理時間と仕上がりを標準化する設備である。手作業中心の工程を連続化することで、作業人数、油や熱への接触、調理ムラを減らす余地がある。
病院や福祉施設では、食数だけでなく、食形態、提供時間、温度管理、衛生管理が複雑になる。学校給食で培った大量調理の設備設計を、病院給食や高齢者施設向けに転用できる点は事業領域拡大につながる。
加熱機器はエネルギー価格と厨房環境への影響が大きい。高効率化、低輻射化、断熱、排熱低減、洗浄の容易さを改善できれば、顧客の光熱費削減と労働環境改善を同時に訴求できる。
非学校市場・保守サービス・IoT – 継続接点の拡張
顧客分野は学校給食だけでなく、社員・学生食堂、病院・老健施設、セントラルキッチン、カフェテリア、ラウンジ、バー、ホテル、食品工場などへ広がる。厨房の処理能力、営業時間、献立、衛生管理、配膳方法は分野ごとに異なる。
2024年9月期は大型ホテルと食品工場の受注が増加し、学校給食以外の分野が増収に寄与した。2025年9月期も大型ホテル、病院・福祉施設で期初予想を上回る受注を獲得しており、民間・医療福祉市場の開拓は業績平準化に直結する。
アフターサービスでは、研修を受けたカスタマーエンジニアを全国に配置し、「製品とサービスはワンパッケージ」とする方針を掲げる。厨房設備は停止すると食事提供へ直結するため、故障時の対応速度、部品供給、予防保全が顧客の選定要因となる。
本社と九州支店にテストキッチンを設け、購入前の調理体験、講習会、見学会、購入後の調理方法や手入れ方法の見直しに利用している。機器の仕様説明だけでなく、実際の調理と運用を通じて顧客との接点を持てる。
2019年には、厨房機器の稼働状況をクラウドへ蓄積し、遠隔監視と保守管理につなげるIoTサービス「キッチンコネクト」を提供開始した。故障後の修理だけでなく、稼働データを用いた保守へ移行するための基盤となる。
IoT化が進めば、稼働時間、温度、エラー、消耗部品などの情報を保守計画へ反映できる。顧客側は停止リスクを下げやすく、日本調理機側は継続的な保守契約、更新提案、製品改良に利用できる可能性がある。
ただし、IoTサービスの売上高、契約数、収益性は開示されていない。成長性を判断する際は、将来の開示で導入施設数や保守収入への寄与が確認できるかが重要になる。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 | 2026年9月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17,061 | 15,467 前期比 -1,594 / -9.3% | 17,642 前期比 +2,175 / +14.1% | 18,443 前期比 +801 / +4.5% | 18,118 前期比 -325 / -1.8% | 19,100 前期比 +982 / +5.4% |
| 営業損益 | 664 | 343 前期比 -321 / -48.3% | 541 前期比 +198 / +57.7% | 1,058 前期比 +517 / +95.6% | 844 前期比 -214 / -20.2% | 820 前期比 -24 / -2.8% |
| 経常損益 | 689 | 340 前期比 -349 / -50.7% | 563 前期比 +223 / +65.6% | 1,069 前期比 +506 / +89.9% | 908 前期比 -161 / -15.1% | 830 前期比 -78 / -8.6% |
| 当期純利益 | 436 | 205 前期比 -231 / -53.0% | 332 前期比 +127 / +62.0% | 700 前期比 +368 / +110.8% | 601 前期比 -99 / -14.1% | 500 前期比 -101 / -16.8% |
| EPS | 384.70円 | 181.35円 前期比 -203.35円 / -52.9% | 292.60円 前期比 +111.25円 / +61.3% | 616.63円 前期比 +324.03円 / +110.7% | 529.37円 前期比 -87.27円 / -14.2% | 440.31円 前期比 -89.06円 / -16.8% |
| PER | – 上場前のため期末株価なし | 13.92倍 期末株価 2,525円基準 | 10.05倍 期末株価 2,941円基準 | 5.81倍 期末株価 3,580円基準 | 7.83倍 期末株価 4,145円基準 | 12.76倍 情報基準日株価 5,620円基準 |
| PBR | – 上場前のため期末株価なし | 0.45倍 期末株価 2,525円基準 | 0.51倍 期末株価 2,941円基準 | 0.58倍 期末株価 3,580円基準 | 0.63倍 期末株価 4,145円基準 | – 予想BPSの開示なし |
| BPS | 5,138.07円 | 5,572.00円 前期比 +433.93円 / +8.4% | 5,744.37円 前期比 +172.37円 / +3.1% | 6,196.55円 前期比 +452.18円 / +7.9% | 6,581.93円 前期比 +385.38円 / +6.2% | – |
| 純資産 | 5,834 | 6,327 前期比 +493 / +8.5% | 6,523 前期比 +196 / +3.1% | 7,036 前期比 +513 / +7.9% | 7,474 前期比 +438 / +6.2% | – |
| 営業CF | 1,034 | -361 前期比 -1,395 / -134.9% | 1,951 前期比 +2,312 / +640.4% | 429 前期比 -1,522 / -78.0% | -859 前期比 -1,288 / -300.2% | – |
| 投資CF | -34 | -81 前期比 -47 / -138.2% | -260 前期比 -179 / -221.0% | -136 前期比 +124 / +47.7% | -10 前期比 +126 / +92.6% | – |
| 財務CF | -207 | 167 前期比 +374 / +180.7% | -241 前期比 -408 / -244.3% | -237 前期比 +4 / +1.7% | -222 前期比 +15 / +6.3% | – |
| 現金及び現金同等物 | 3,349 | 3,073 前期比 -276 / -8.2% | 4,522 前期比 +1,449 / +47.2% | 4,577 前期比 +55 / +1.2% | 3,485 前期比 -1,092 / -23.9% | – |
EPS・BPS・PER・PBRは、情報基準日時点の発行済株式総数1,135,572株で全期間を再計算した。自己株式は控除していない。2021年9月期は上場前で期末株価がないため、PER・PBRを空欄とした。2026年9月期のPERは2026年6月24日終値5,620円と会社予想純利益で算出し、予想BPSが開示されていないためPBRは空欄とした。
2026年8月1日を効力発生日として1株を4株へ分割する予定であり、分割後の1株当たり数値と株価は分割前の4分の1相当になる。キャッシュ・フローがプラスとマイナスをまたぐ年度の増減率は、前期値の絶対額を分母として計算している。
中期経営計画
独立した数値付き中期経営計画は未公表 – 年次予想と経営基本方針を基準に確認
2026年6月24日時点で、達成年度を定めた独立の中期経営計画資料は確認できない。現時点では、2026年9月期の通期会社予想、会社概要に記載された経営基本方針、決算短信に記載された成長施策を業績評価の基準とする。
経営基本方針は「社会的貢献」「製品力強化」「販売力強化」の3項目である。安心・安全な製品とサービスによって食を支える施設へ貢献し、人と環境にやさしい新製品・新システムの開発でブランド力を高め、全国の営業体制と提案品質を通じて主要市場を深耕する。
事業戦略では、学校給食の新設・一括受注に加え、既存設備の入替需要と備品更新を積み上げる。学校案件が少ない年度には、大型ホテル、病院・福祉施設、食品工場、事業所給食など学校給食以外の集団給食分野を開拓し、案件構成を分散する。
製品戦略では、資材価格上昇への価格・原価対応を継続しながら、省エネ、省人、省力化に寄与する機器の研究開発を進める。高効率食器洗浄機の受賞実績を更新提案へつなげ、厨房の人手不足、光熱費、暑熱環境、衛生管理という顧客課題へ対応する。
サービス戦略では、全国のカスタマーエンジニア、テストキッチン、IoT保守「キッチンコネクト」を活用し、納入後の保守、運用改善、更新提案まで顧客接点を継続する。製品販売に保守サービスを組み合わせることで、単発案件だけに依存しない関係を構築する。
2026年6月23日に決議した1対4の株式分割は、投資単位を引き下げ、投資家層の拡大と流動性向上を図る施策である。株式分割自体は事業利益を増加させるものではないため、企業価値の評価では受注、利益率、営業キャッシュ・フローの改善を別途確認する必要がある。
IR情報へ競合他社
① ホシザキ(6465)
2026年6月24日終値は5,223円、時価総額は約7,568億円。東京証券取引所プライム市場上場。
2026年12月期第1四半期の連結業績は、売上高1,355億52百万円、営業利益170億27百万円、経常利益173億24百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益112億10百万円。前年同期比で売上高14.7%増、営業利益10.9%増となった。
2026年12月期通期は売上高5,200億円、営業利益556億円を予想する。日本調理機と比較して事業規模が大きく、国内外の販売網、研究開発、製造拠点、サービス網を持つ。
業務用食器洗浄機、スチームコンベクションオーブン、業務用冷蔵庫・冷凍庫、製氷機、急速冷却機器などで競合する。病院・福祉施設、社員食堂、セントラルキッチン、食品工場、ホテル、外食市場では、厨房全体の機器構成と保守サービスを巡って競争する。
ホシザキは冷凍冷蔵・製氷を含む幅広い製品群と大規模なサービス網が強みである。日本調理機は学校給食や大型集団給食での個別設計、回転釜、洗浄・消毒保管設備、施工対応を組み合わせ、用途特化型の提案力で差別化する必要がある。
② マルゼン(5982)
2026年6月24日終値は3,790円、時価総額は約750億円。東京証券取引所スタンダード市場上場。
2026年2月期の連結業績は、売上高667億82百万円、営業利益66億36百万円、経常利益73億41百万円、親会社株主に帰属する当期純利益52億16百万円。前期比で売上高3.9%増、営業利益8.9%増、当期純利益12.3%増となった。
2027年2月期は売上高670億円、営業利益67億円、親会社株主に帰属する当期純利益53億円を予想する。売上高営業利益率は約10%で、日本調理機より高い収益性を確保している。
食器洗浄機、食器消毒保管庫、回転釜、スチームコンベクションオーブン、立体炊飯器、フライヤー、配膳機器など、日本調理機と主要製品が広く重なる。厨房の企画、設計、施工、アフターサービスまで一括対応し、学校給食センター、病院、社員食堂、ホテル、外食、中食施設で直接競合する。
マルゼンは標準製品の幅、外食を含む顧客基盤、量産と販売規模が強みである。日本調理機は学校給食の施設別カスタマイズ、衛生動線、アレルギー対応、大型連続調理設備、全国保守を含めた案件設計で対抗する。
③ 中西製作所(5941)
2026年6月24日終値は2,506円、時価総額は約158億円。東京証券取引所スタンダード市場上場。
2026年3月期の業績は、売上高410億8百万円、営業利益30億49百万円、経常利益31億69百万円、当期純利益22億10百万円。前期比で売上高2.7%増、営業利益15.9%増、当期純利益22.3%増となった。
2027年3月期は売上高412億円、営業利益24億円、当期純利益20億円を予想し、増収減益を見込む。2026年3月期の売上高のうち学校給食向けは199億31百万円で、業務用厨房機器製造販売事業の約48.7%を占める。
学校給食用食器洗浄システム、食器・食缶洗浄機、消毒保管機、連続炊飯システム、回転釜、加熱調理機器、厨房設計・施工・保守で競合する。顧客分野と製品構成が日本調理機に近く、自治体の給食センター新設・改修案件で最も直接的な競争相手となる。
中西製作所も安全・安心、自動化、省力化、施設別提案を重視する。日本調理機は1962年から蓄積した給食センター実績、二つの自社工場、NitchoCAD、洗浄・消毒・加熱・炊飯を含む総合提案、全国保守サービスの組み合わせで受注競争力を維持する必要がある。
強みと将来性
学校給食の蓄積、製造・施工・保守の一体運営、省エネ・省人化需要
第一の強みは、学校給食センターで長期間蓄積した施設設計と大量調理のノウハウである。1962年に都内初の給食センターを手掛けて以降、全国の施設へ展開し、公式事例では1日560食から15,000食まで幅広い処理能力に対応している。
学校給食施設では、単に機器を並べるだけでは運用できない。検収、下処理、加熱、配缶、配送、回収、洗浄、消毒保管の動線、アレルギー食、HACCP、見学エリア、清潔区域と汚染区域の分離を施設ごとに設計する必要がある。過去案件の運用知識は、新規参入企業が短期間で再現しにくい。
第二の強みは、企画、開発、提案、生産、施工、アフターサービスを社内機能としてつなげている点である。NitchoCADによるレイアウト提案、栃木・大分の自社工場、工事機能、全国の営業・サービス拠点を組み合わせ、顧客が複数業者を調整する負担を減らせる。
自社工場を持つことは、標準品の供給だけでなく、施設の寸法や動線に応じた仕様変更、特注機器、据付時の調整へ対応する基盤になる。施工と保守を理解した製造側が設計へ戻ることで、清掃性、修理性、安全性を製品改良へ反映しやすい。
第三の強みは、洗浄、消毒保管、加熱、炊飯、連続調理を横断する製品群である。施設全体を一括提案できれば、機器間の能力不足や動線の不整合を減らし、顧客の導入目的に合わせたシステム受注につなげられる。
第四の強みは、納入後の全国保守体制である。集団給食施設では厨房機器の停止が食事提供へ直結する。全国のカスタマーエンジニア、部品供給、点検、修理、運用講習を組み合わせることで、価格以外の継続価値を提示できる。
「キッチンコネクト」による遠隔監視は、保守を故障対応型から予防保全型へ移行させる可能性がある。稼働データを蓄積できれば、故障兆候の把握、更新時期の提案、部品在庫の最適化、製品改善に利用できる。
将来性の中心は、人手不足とエネルギーコスト上昇に対する省人・省力・省エネ設備である。大量調理施設では、洗浄、搬送、炊飯、揚物、消毒保管の自動化余地が大きく、作業人数と身体負担を減らす投資需要が見込まれる。
高効率フライトタイプ食器洗浄機の省エネ大賞受賞は、研究開発の成果を顧客へ説明する材料になる。初期価格だけでなく、水道、洗剤、電力、ガス、蒸気、空調負荷を含む運用コストで比較できれば、更新需要の喚起につながる。
学校給食以外では、病院・福祉施設、ホテル、食品工場、社員食堂、セントラルキッチンが成長余地となる。2024年9月期と2025年9月期に非学校分野の受注が業績を支えた実績があり、顧客構成を広げれば学校大型案件の年度変動を緩和できる。
財務面では、2026年9月期中間期の純資産は76億54百万円、自己資本比率は60.6%である。借入依存度を抑えた財務構成は、研究開発、サービス網維持、設備更新を継続する余力につながる。
2026年8月予定の1対4株式分割により、理論上の最低投資金額は分割前の4分の1となる。投資家層と売買流動性が拡大すれば、小型株特有の売買の薄さが緩和される可能性がある。ただし、分割は事業価値を直接増加させないため、受注と利益の成長が前提となる。
弱みとリスク要因
単一セグメント、大型案件と季節性、キャッシュ・フロー変動、競合規模
最大の弱みは、業務用厨房機器の製造・販売・保守修理に事業が集中している点である。法定開示上は単一セグメントであり、厨房設備投資が弱含む局面で、異なる業種の収益源が損失を補う構造ではない。
学校給食は中核市場である一方、自治体の新設・改修計画、大型案件の有無、工期、納入時期によって年度業績が変動する。2024年9月期は大型ホテルや食品工場も含めて高収益となったが、2025年9月期は学校給食の大型案件が少なく、減収減益となった。
売上高には季節性がある。会社は第1・第3四半期より第2・第4四半期の売上高が多くなる傾向を開示している。四半期単独の数値を通期へ単純に年率換算すると、実態を誤認するおそれがある。
利益率は案件構成によって変動する。2024年9月期の営業利益率は5.7%だったが、2025年9月期は4.7%、2026年9月期会社予想は4.3%となる。2026年9月期は増収予想にもかかわらず、営業利益、経常利益、当期純利益は減益予想である。
ステンレス、部品、エネルギー、物流、外注工事、人件費の上昇は製造原価と施工費を押し上げる。価格改定や設計変更が追いつかなければ、受注残があっても採算が低下する。2024年と2025年は資材価格高騰への対応が利益率改善に寄与したが、継続的な転嫁が必要となる。
営業キャッシュ・フローの変動も大きい。2023年9月期は19億51百万円の収入だったが、2024年9月期は4億29百万円の収入、2025年9月期は8億59百万円の支出となった。2025年9月期の支出は、仕入債務の減少など運転資金変動の影響が大きい。
2026年9月期中間期の現金及び現金同等物は25億65百万円で、2025年9月期末の34億85百万円から9億19百万円減少した。自己資本比率は高いが、仕入支払、在庫、売掛金、配当などの資金移動を継続確認する必要がある。
全国の営業所、工場、物流センター、カスタマーエンジニアを維持する固定費負担がある。案件数が減少しても、施工資格者、保守要員、部品供給、教育体制を急速に縮小しにくく、売上減少時には利益率が低下しやすい。
技術者とサービス人員の確保もリスクとなる。厨房設備の施工と保守は現場対応が必要であり、人手不足が深刻化すると、工期、修理対応、外注費、残業負担に影響する可能性がある。
競合規模の差は大きい。ホシザキは時価総額、売上高、研究開発、海外展開、サービス網で大幅に上回り、マルゼンは幅広い標準製品と高い収益性を持つ。中西製作所は学校給食向け売上が大きく、日本調理機と直接競合する。
価格競争が強まると、学校給食案件で必要な個別設計、特注製造、施工、保守のコストを十分に回収できないおそれがある。受注高だけでなく、粗利益率、営業利益率、工事進捗、追加原価の有無を見る必要がある。
中期経営計画に達成年度別の数値目標がないため、数年単位の売上成長率、利益率、設備投資、株主還元の評価軸が限定される。毎期の会社予想と実績差、非学校分野の拡大、研究開発成果を継続的に確認する必要がある。
2026年6月24日は株式分割発表を受けてストップ高となった。流動性向上への期待が先行する局面では、業績や企業価値の変化以上に株価が動く可能性がある。分割後の需給、出来高、受注・利益の実績が伴わない場合の反動に注意が必要となる。
出典
- 日本調理機 公式サイト
- 日本調理機 会社概要・事業拠点
- 日本調理機 歴史
- 日本調理機 サービス
- 日本調理機 製品
- 日本調理機 導入事例
- 日本調理機 IR情報
- 日本調理機 決算短信
- 日本調理機 株式分割および配当予想修正に関する適時開示
- ホシザキ IR情報
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- 中西製作所 決算短信
本ページは公開情報を基に作成した企業分析であり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。業績予想、株価、時価総額、指標は変動する可能性があります。投資判断は最新の決算短信、有価証券報告書、適時開示を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

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