6629 テクノホライゾン

テクノホライゾン 6629 東証S

TECHNO HORIZON CO., LTD.|書画カメラ・電子黒板などの映像&ITと、FA機器・検査装置を含むロボティクスを展開。教育ICT、企業・自治体DX、FAロボット、ビジョンシステムを重点市場とする。

※2026年6月22日時点の情報

事業内容

2026年6月22日の時価総額は約240億円。終値は1,141円で、前営業日比150円高のストップ高となった。2026年3月期末株価402円と比べると183.8%上昇している。

2010年4月1日設立。本社は愛知県名古屋市南区千竈通二丁目13番地1、資本金は25億円、代表取締役社長兼CEOは野村拡伸氏、決算期は3月。東証スタンダード市場に上場し、映像&IT事業とロボティクス事業を連結事業の柱としている。

2026年3月期は売上高51,380百万円、営業利益2,332百万円、経常利益2,886百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,462百万円。売上高は前期比1.5%増、営業利益は524.2%増となった。2027年3月期は売上高55,000百万円、営業利益3,000百万円、経常利益2,750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,700百万円を見込む。

映像&IT事業 – 教育ICT・映像機器・海外ITサービス

外部顧客向け売上高は2022年3月期の273億22百万円から2026年3月期の377億68百万円へ37.8%増加。2026年3月期は連結売上高の73.5%を占め、セグメント利益は18億68百万円まで拡大した。2024年4月の組織変更で車載機器、医療機器などがロボティクス事業へ移管されているため、5年間の単純比較には区分変更の影響を含む。

映像&IT事業の外部顧客向け売上高推移(単位:億円)

映像&IT事業の外部顧客向け売上高推移 273.2 22/3 347.2 23/3 307.0 24/3 358.3 25/3 377.7 26/3

映像&IT事業は、光学技術、画像処理技術、IT機器、クラウドサービスを組み合わせ、教育、企業、自治体、セキュリティ、オフィスなどへ製品とソリューションを提供する。主要製品は書画カメラ、電子黒板、セキュリティカメラ、映像配信・画像処理ソフトウェアである。

教育市場ではELMOブランドの書画カメラと電子黒板が中核となる。書画カメラは教材、実物、実験器具、児童・生徒の成果物を拡大表示する機器で、電子黒板や大型ディスプレイと組み合わせて授業中の提示、書き込み、共有を行う。

国内ではGIGAスクール構想第2期に伴う既存機器の更新需要が2026年3月期の収益基盤を支えた。端末更新だけでなく、教室内の提示装置、授業支援ソフト、校務支援、遠隔授業、保守サポートまで提案範囲を広げられるかが、更新需要を継続収益へつなげる条件となる。

グループには学校向け校務システムを扱うウェルダンシステムや、教育コンテンツを提供するCYBER DREAMがある。ハードウェア単体の販売に加え、授業・校務の運用に近いソフトウェアやサービスへ接点を持つことが、価格競争を避けるうえで重要となる。

海外ではPacific Tech Pte. Ltd.がシンガポール、マレーシアを中心にサイバーセキュリティ製品の販売、導入、保守、技術支援を行う。2026年3月期は同社の売上高伸長とサポート体制が映像&IT事業の増収増益に大きく寄与した。

ESCO Pte. Ltd.はASEAN地域で企業オフィス向けAVシステムの設計、販売、設置を行う。会議室、映像共有、音響、遠隔会議をまとめて構築する案件型事業であり、顧客企業の設備投資時期によって四半期ごとの売上計上が変動しやすい。

セグメント損益は2023年3月期に赤字となった後、価格転嫁、生産性改善、経費削減、海外子会社の拡大によって回復した。2025年3月期の9億67百万円から2026年3月期は18億68百万円へ増加し、全社利益の中心となった。

今後の確認点は、GIGAスクール第2期需要の受注残と納入時期、電子黒板・書画カメラのセット販売、校務・教育ソフトの付帯率、Pacific Techの継続成長、ESCOの大型案件回復である。教育機器更新が一巡した後も、保守、ソフトウェア、セキュリティ、AV運用へ収益を移せるかが利益の持続性を左右する。

ロボティクス事業 – FA制御・自動化装置・X線検査

外部顧客向け売上高は2022年3月期の71億99百万円から2026年3月期の136億11百万円へ89.1%増加。2025年3月期は5億99百万円のセグメント損失となったが、2026年3月期は4億61百万円の利益へ黒字転換した。2024年4月の区分変更による事業移管を含むため、売上高の増加すべてが既存事業の成長を示すものではない。

ロボティクス事業の外部顧客向け売上高推移(単位:億円)

ロボティクス事業の外部顧客向け売上高推移 72.0 22/3 90.4 23/3 179.3 24/3 148.0 25/3 136.1 26/3

ロボティクス事業は、ロボット工学と制御技術を使い、自動化、省力化、省人化、最適化を実現する機器とシステムを設計・製造・販売する。FA制御機器、モーションコントローラー、自動はんだ装置、製造ライン向け装置、画像検査、X線検査などが対象となる。

グループのアポロ精工は自動はんだ装置やレーザー関連製品を扱い、工場の組立工程を自動化する。タイテック系の制御技術、カメラ・画像処理技術、周辺装置を組み合わせることで、単体の制御機器だけでなく顧客仕様の設備として提供できる。

2025年3月期は、中国の景気後退に伴う設備投資意欲の低下、採算性の高い半導体向けX線検査装置の開発遅延、中島銅工の連結化、一部製品の不具合対応費用が重なり、セグメント損失となった。売上高の減少だけでなく、製品構成と品質費用が利益を大きく振らせる構造が表れた。

2026年3月期は国内で高付加価値製品への構成転換と開発案件が寄与し、第4四半期に損益が改善した。中国子会社では販売体制の最適化と経営効率の改善を進め、売上高が前期比8.0%減少する中でも黒字へ戻した。

成長案件として、ニデックアドバンステクノロジーとAIサーバー・データセンター向け多層プリント基板のバックドリル加工を検査する自動X線検査装置を共同開発している。高速な全数検査と高精度撮像の両立を狙う製品であり、量産ラインへの採用が進めば高付加価値装置の売上拡大につながる。

ただし、このX線検査装置は2026年6月22日時点で開発協業の段階にある。販売台数、納入時期、利益率は公表されておらず、受注や量産採用が確認されるまでは業績寄与を確定的に扱えない。

中国市場はFA設備投資の停滞が続き、現地子会社の収益が低調である。構造改革の効果、高付加価値製品への移行、固定費削減、在庫と売掛金の回収状況を継続して確認する必要がある。

ロボティクス事業の評価軸は、売上高よりもセグメント利益率の安定である。X線検査、画像認識、精密制御を組み合わせた案件の比率が上がり、低採算案件や品質費用が抑えられれば、2026年3月期の黒字転換が持続的な改善へ変わる。

重点4市場とグループ戦略 – 映像・IT・制御を横断

連結売上高は2022年3月期の345億21百万円から2026年3月期の513億80百万円へ48.8%増加。M&Aと海外子会社の寄与で規模を拡大した一方、営業利益は黒字、赤字、再黒字化を繰り返しており、売上成長を安定利益へ変換できるかが投資判断の中心となる。

連結売上高推移(単位:億円)

連結売上高推移 345.2 22/3 437.7 23/3 486.2 24/3 506.2 25/3 513.8 26/3

2026年3月期から重点市場を「教育ICT」「企業・自治体DX」「FAロボット」「ビジョンシステム」の4領域としている。従来の製品別管理ではなく、顧客課題を起点に映像、IT、制御、検査、ソフトウェアを組み合わせる方向を明確にした。

教育ICTでは書画カメラ、電子黒板、校務支援、遠隔授業を組み合わせる。企業・自治体DXではAVシステム、ネットワーク、サイバーセキュリティ、業務支援を扱う。FAロボットでは制御機器、自動はんだ、検査装置を提供し、ビジョンシステムでは人の目で捉えにくい情報を映像技術とAIで可視化する。

この4市場は別々の製品群ではなく、共通するカメラ、光学、画像処理、通信、制御技術を再利用できる。教育向け映像技術を企業会議や遠隔支援へ、産業用カメラを検査装置へ、画像処理をFA制御へ展開できることが事業ポートフォリオ上の特徴である。

成長手段としてM&Aを継続してきた。海外のPacific TechとESCO、国内の教育ソフト、FA装置、ITサービス企業をグループへ加え、製品、顧客、地域を拡張している。買収後の販売網共有と共同提案が進めば、単独企業では取りにくい案件へ接近できる。

一方、買収企業が増えるほど、管理制度、原価管理、営業情報、品質保証、人材配置の統合が難しくなる。過去にはのれんの減損や取得事業に関連する特別損失が発生しており、M&A件数よりも既存子会社の利益率と投下資本回収を確認する必要がある。

2026年3月期の営業キャッシュ・フローは40億12百万円、現金及び現金同等物は45億94百万円へ増加した。利益改善がキャッシュ創出へつながった点は前向きだが、年度ごとの運転資金と借入金の変動が大きいため、単年度だけでなく複数期で確認する必要がある。

2027年3月期は売上高550億円、営業利益30億円を計画する。既存事業の強化と買収企業とのシナジーを増収増益要因とする一方、経常利益と純利益は前期の為替差益や特別要因の反動を織り込み減益予想となっている。

四半期で見るべき指標は、映像&ITの教育・海外事業別動向、ロボティクスのセグメント利益率、販管費、のれん償却、為替差損益、営業キャッシュ・フローである。売上高だけでは、案件構成や区分変更による実態変化を見誤る可能性がある。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 34,521 43,765 +9,244 / +26.8% 48,623 +4,858 / +11.1% 50,624 +2,001 / +4.1% 51,380 +756 / +1.5% 55,000 +3,620 / +7.0%
営業損益 749 △530 △1,279 / 赤字転落 1,036 +1,566 / 黒字転換 373 △663 / △64.0% 2,332 +1,959 / +524.2% 3,000 +668 / +28.6%
経常損益 955 △405 △1,360 / 赤字転落 1,709 +2,114 / 黒字転換 369 △1,340 / △78.4% 2,886 +2,517 / +681.1% 2,750 △136 / △4.7%
当期純利益 431 △1,553 △1,984 / 赤字転落 1,001 +2,554 / 黒字転換 △616 △1,617 / 赤字転落 2,462 +3,078 / 黒字転換 1,700 △762 / △31.0%
EPS 20.46円 △73.73円 △94.19円 / 赤字転落 47.52円 +121.25円 / 黒字転換 △29.25円 △76.77円 / 赤字転落 116.89円 +146.14円 / 黒字転換 80.71円 △36.18円 / △31.0%
PER 57.6倍 期末株価1,179円 赤字・期末株価735円 9.1倍 期末株価434円 赤字・期末株価520円 3.4倍 期末株価402円 14.1倍 6月22日終値1,141円
PBR 2.55倍 1.78倍 0.93倍 1.08倍 0.69倍
BPS 462.18円 413.56円 △48.62円 / △10.5% 465.88円 +52.32円 / +12.7% 479.41円 +13.53円 / +2.9% 582.86円 +103.45円 / +21.6%
純資産 9,735 8,711 △1,024 / △10.5% 9,813 +1,102 / +12.7% 10,098 +285 / +2.9% 12,277 +2,179 / +21.6%
営業CF 1,029 1,271 増減 +242 1,368 増減 +97 850 増減 △518 4,012 増減 +3,162
投資CF △4,585 △864 増減 +3,721 △835 増減 +29 △955 増減 △120 131 増減 +1,086
財務CF △789 △1,524 増減 △735 △1,505 増減 +19 142 増減 +1,647 △3,176 増減 △3,318
現金及び現金同等物 4,145 3,683 △462 / △11.1% 3,191 △492 / △13.4% 3,438 +247 / +7.7% 4,594 +1,156 / +33.6%
単位は百万円。EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。
直近5期の期末発行済株式総数は21,063,240株で変更はない。EPS、BPS、PER、PBRは比較条件をそろえるため、この発行済株式総数で再計算した。自己株式7,586,242株を控除していないため、会社開示の1株当たり指標とは異なる。
PER・PBRに用いた期末株価は、2022年3月期1,179円、2023年3月期735円、2024年3月期434円、2025年3月期520円、2026年3月期402円。2027年3月期予想PERは2026年6月22日終値1,141円を使用した。
2027年3月期のBPS、PBR、純資産、キャッシュ・フローは会社予想がないため空欄。2026年3月期決算短信では継続企業の前提に関する重要な注記は記載されていない。

中期経営計画

現行の独立した数値目標型計画は非公表 – 2027年3月期予想と重点4市場を確認

2026年6月22日時点のIR資料室では、計画期間を定めた現行の独立した数値目標型中期経営計画は確認できない。中期的な方向性は、2027年3月期の連結業績予想、重点市場、M&A後のグループ統合、製品開発方針から確認する必要がある。

2027年3月期 売上高 55,000百万円
2027年3月期 営業利益 3,000百万円
2027年3月期 経常利益 2,750百万円
2027年3月期 当期純利益 1,700百万円

2027年3月期は売上高を前期比7.0%増、営業利益を28.6%増とする一方、経常利益は4.7%減、親会社株主に帰属する当期純利益は31.0%減を見込む。営業段階では増益を計画するが、2026年3月期に計上した営業外収益や特別利益の反動を含め、最終利益は減益計画である。

基本方針は、教育ICT、企業・自治体DX、FAロボット、ビジョンシステムの4市場で、映像、光学、画像処理、制御、ITサービスを組み合わせることにある。教育ICTではGIGAスクール構想第2期の端末・教室設備更新を取り込み、企業・自治体DXではAVシステム、ネットワーク、サイバーセキュリティ、運用支援の提案範囲を広げる。

FAロボットでは、コントローラー、モーター制御、自動化装置、検査装置の採算改善を継続する。ビジョンシステムでは、カメラ、光学、画像処理、AIを使った検査・認識用途を拡大し、単体機器から工程ソリューションへ提供範囲を広げる方針である。

ニデックアドバンステクノロジーとは、AIサーバーやデータセンター向け多層プリント基板のバックドリル加工を対象とする自動X線検査装置を共同開発する。2026年6月22日時点では開発協業の段階であり、販売台数、売上高、利益率などの数値目標は開示されていない。

M&Aで加わった海外ITサービス、サイバーセキュリティ、映像システム、FA関連会社について、販売網、顧客基盤、技術、人材を相互活用できるかが中期成長の中心課題となる。2027年3月期の年間配当予想は33円である。

IR情報へ

競合他社

① 安川電機(6506)

2026年6月22日終値は7,655円、時価総額は約2兆415億円。比較3社では最大で、テクノホライゾンのロボティクス事業と、産業用ロボット、サーボ、モーション制御、工場自動化の領域で競合する。

安川電機は産業用ロボット「MOTOMAN」、AIロボット「MOTOMAN NEXT」、協働ロボット、ACサーボ、インバーター、ロボットコントローラー、半導体ウエハ搬送ロボットを展開する。ロボット本体、駆動機器、制御装置、ソフトウェアを自社で組み合わせ、生産ライン全体を提案できる。

テクノホライゾンとは、電子部品の組立・搬送、食品・医薬品・物流の省人化、モーター制御、ロボットコントローラー、画像認識を使う自動化設備で競合する。安川電機は量産規模、研究開発、販売網、保守網で優位に立つ一方、テクノホライゾンはカメラ、センサー、顧客仕様の制御装置を組み合わせる個別案件で差別化を図る構図となる。

2026年2月期は売上収益542,122百万円、営業利益47,307百万円、税引前利益49,563百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益35,240百万円。売上収益は前期比0.8%増、営業利益は5.7%減となった。2027年2月期は売上収益580,000百万円、営業利益60,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益47,000百万円を計画する。

② リコー(7752)

2026年6月22日終値は1,461.5円、時価総額は約8,327億円。電子黒板、映像共有、会議室AV、教育ICT、企業向けITサービスで、テクノホライゾンの映像&IT事業と競合する。

リコーはインタラクティブホワイトボード、プロジェクター、会議室向け映像共有、Web会議、業務用カメラ、360度カメラ、ネットワーク構築、IT運用支援を展開する。複合機の顧客基盤と全国の販売・保守網を使い、機器、ネットワーク、クラウド、運用を一括提案できる。

学校では大型電子黒板、児童・生徒端末からの無線投影、画面共有、オンライン授業などがELMOブランドの電子黒板、書画カメラ、授業支援機器と重なる。企業・自治体では会議室AV、ネットワーク、セキュリティ、業務DXまで含む案件で競合する。

2026年3月期は売上高2,608,314百万円、営業利益90,713百万円、税引前利益92,273百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益55,669百万円。売上高は前期比3.2%増、営業利益は42.1%増となり、オフィスサービス、ITサービス、事業構造改革が収益改善に寄与した。

テクノホライゾンは企業規模と保守網では劣るが、書画カメラの製品蓄積、教室内での操作性、カメラと電子黒板の連携、映像・光学技術を自社製品へ反映できる点が対抗軸となる。

③ 内田洋行(8057)

2026年6月22日終値は1,945円、時価総額は約1,013億円。GIGAスクール、学校ネットワーク、授業支援、自治体DXなど、教育ICTの販売・システム構築領域で競合する。

内田洋行は1人1台端末の導入、教育ポータル「L-Gate」、校務支援、学校ネットワーク、電子黒板、ICT支援員、ヘルプデスク、教室空間設計を提供する。教育委員会との取引実績を基礎に、端末、クラウド、ネットワーク、運用保守まで大型案件を一括受注できる点が強い。

テクノホライゾンとは、GIGAスクール第2期の更新、電子黒板、大型ディスプレイ、授業支援、学校向け映像配信、ネットワーク整備で競合する。内田洋行がシステムインテグレーションと運用支援に強いのに対し、テクノホライゾンはELMOブランドの書画カメラ、カメラ、電子黒板を自社製品として持つ。

2026年7月期第3四半期累計は売上高314,373百万円、営業利益15,924百万円。前年同期比で売上高は34.2%増、営業利益は35.0%増となり、GIGAスクール端末更新、学校ネットワーク整備、自治体システム標準化が業績をけん引した。

テクノホライゾンにとっては、機器販売だけでなく、導入設計、保守、クラウド、ICT支援を含む案件単価と継続収益を拡大できるかが競争力を左右する。

強みと将来性

映像・光学・画像処理と制御・ITサービスを同一グループで組み合わせる技術構成

最大の特徴は、書画カメラ、電子黒板、業務用カメラで蓄積した映像・光学技術と、FAコントローラー、モーター制御、自動化装置、検査装置の制御技術を同一グループ内に持つ点である。

教育ICTでは、ELMOブランドの書画カメラを起点に、電子黒板、インタラクティブディスプレイ、授業支援、映像配信へ提案範囲を広げられる。教員が教材や実物を即時に共有する教室内の利用場面を製品設計へ反映してきたことは、単なる大型ディスプレイ販売とは異なる強みとなる。

GIGAスクール構想第2期では、1人1台端末の更新だけでなく、表示機器、ネットワーク、教室設備、授業支援、運用の更新需要が生じる。テクノホライゾンは自社の映像機器に他社製品とサービスを組み合わせられるため、機器単体から教室・学校単位の案件へ受注範囲を広げる余地がある。

海外では、映像・AVシステムを扱うESCO、ITサービスやサイバーセキュリティを扱うPacific Techなど、買収会社の顧客基盤とサービス機能を持つ。ハードウェア販売後のネットワーク、保守、運用支援へ収益機会を広げられれば、更新サイクルに依存する売切り型収益を補完できる。

ロボティクスでは、顧客仕様のコントローラー、サーボ・モーター制御、搬送・組立装置、検査装置を扱う。標準ロボットの量産規模では大手に及ばないが、カメラ、センサー、光学、画像処理と制御を組み合わせる専用工程では、グループ内技術を横断して設計できる。

ビジョンシステムは両事業を接続する成長領域となる。カメラで対象物を撮像し、画像処理やAIで判定し、制御機器やロボットへ結果を返す構成は、外観検査、位置決め、搬送、医療・産業用途などへ展開できる。

ニデックアドバンステクノロジーとの自動X線検査装置は、AIサーバーやデータセンター向け多層プリント基板の高密度化を背景とする開発案件である。バックドリル加工後の検査を自動化できれば、従来の可視光カメラだけでは確認しにくい基板内部の品質保証へ技術領域を広げられる。

ただし、この装置は2026年6月22日時点で共同開発段階にある。将来性を評価する際は、量産採用、顧客認定、販売開始時期、装置単価、保守収益が開示されるかを確認する必要がある。

2026年3月期は映像&IT事業のセグメント利益が1,868百万円へ増加し、ロボティクス事業も前期の599百万円の損失から461百万円の利益へ転換した。全社営業利益は2,332百万円、営業キャッシュ・フローは4,012百万円まで改善しており、収益改善が現金創出に波及した。

2027年3月期は営業利益3,000百万円を計画する。教育ICTの更新需要を確実に取り込みながら、ロボティクスの黒字を継続し、海外ITサービスとサイバーセキュリティを伸ばせるかが、利益の持続性を判断する焦点となる。

重点4市場は個別に独立しているのではなく、教育・自治体で映像とIT、工場でカメラと制御、企業でAVとネットワークを組み合わせる構造を持つ。買収会社間の顧客紹介、共同提案、製品共通化が進めば、グループ規模を上回る案件形成につながる可能性がある。

投資判断では、四半期ごとのセグメント利益、GIGAスクール案件の受注残、ロボティクスの粗利率、海外子会社の成長率、X線検査装置の商用化進捗を追うことで、成長が一過性の需要か継続的な収益基盤かを見分けやすい。

弱みとリスク要因

教育更新需要、開発案件、M&A統合に左右される利益変動と競合規模の差

営業利益は2022年3月期749百万円、2023年3月期は530百万円の損失、2024年3月期1,036百万円、2025年3月期373百万円、2026年3月期2,332百万円と大きく変動している。売上高が拡大しても、製品構成、価格転嫁、開発費、不採算案件、子会社の採算で利益率が変わりやすい。

教育ICTはGIGAスクールなど政策・予算による大型更新の恩恵を受ける一方、導入時期が集中すると反動減が発生しやすい。自治体の予算執行、入札、納期、学校の整備方針がずれた場合、四半期ごとの売上計上も変動する。

電子黒板や大型ディスプレイは国内外の大手メーカー、教育ICT事業者、低価格製品との競争が強い。テクノホライゾンが書画カメラや使いやすさだけで価格差を維持できなければ、売上拡大と利益率改善を同時に達成しにくい。

ロボティクス事業は2025年3月期に599百万円のセグメント損失を計上した。中国市場の需要低迷、X線検査装置の開発遅延、買収会社の連結影響、製品不具合への対応など、受注量だけでは把握しにくい個別要因が採算を悪化させる。

2026年3月期は461百万円の利益へ転換したが、安川電機など大手と比べると研究開発費、量産能力、販売網、保守網の規模は小さい。標準品の価格競争や大規模生産ラインの一括案件では、製品群と資本力の差が受注条件に表れやすい。

新製品開発では、顧客認定、性能達成、量産移行、部品調達、品質保証が遅れると、開発費の追加、納期延期、評価損、補償費用が発生する。特に自動X線検査装置は成長材料である一方、開発協業の発表だけでは売上貢献を確定できない。

M&Aは製品・地域・顧客を増やすが、子会社数の増加は管理、人材配置、内部統制、会計、システム統合を複雑にする。期待した受注シナジーが得られない場合、のれんや無形資産の減損、事業整理、追加コストが利益を圧迫する。

セグメント区分の変更も長期比較を難しくする。車載用機器、医療機器、子会社などの所属変更により、過年度の映像&ITとロボティクスの数字は完全な同一基準ではない。全社売上高と営業利益に加え、組替え後の比較情報を確認する必要がある。

海外事業は成長余地がある一方、為替、関税、物流、現地人件費、政治・規制、取引先の設備投資に影響される。為替差損益や一時的な営業外収益は経常利益を押し上げたり押し下げたりするため、本業の営業利益と分けて評価する必要がある。

2027年3月期は営業増益を計画する一方、経常利益と最終利益は減益予想である。営業利益の拡大だけでなく、営業外損益、特別損益、税負担を含む利益の質を確認する必要がある。

2026年3月期末の自己資本比率は31.2%、現金及び現金同等物は4,594百万円である。営業キャッシュ・フローは改善したが、M&A、開発投資、運転資金、借入返済を同時に進める局面では、大手競合より財務余力が限られる。

2026年6月22日の終値1,141円は2026年3月期末株価402円の約2.84倍で、同日はストップ高となった。材料の事業化速度や業績寄与が市場期待に届かない場合、短期的な値幅が大きくなる可能性がある。

継続的に確認すべき項目は、教育ICTの受注と納期、ロボティクスのセグメント利益、開発案件の量産移行、買収子会社の営業利益とキャッシュ創出、棚卸資産・売上債権、為替差損益である。

出典

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