6997 日本ケミコン

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日本ケミコン 6997 東証P

NIPPON CHEMI-CON CORPORATION|アルミ電解コンデンサを中核とする電子部品メーカー。AIサーバー、車載、産業機器、ICT、新エネルギー向けに大容量・高信頼性のコンデンサを展開する。
※2026年6月17日時点の情報

事業内容

2026年6月17日本日の株価(終値ベース)の時価総額は約1,294億円。終値5,240円に、2026年3月期末の発行済株式数24,698,450株を掛けた概算である。
日本ケミコンは1931年8月創業、本社は東京都品川区大崎5丁目6番4号、代表者は今野健一氏、決算期末は3月31日。東京証券取引所プライム市場に上場し、アルミ電解コンデンサ及び各種コンデンサ、精密パーツ、エレクトロニクス機器などを製造・販売する。
2026年3月期は、売上高136,821百万円、営業利益3,369百万円、経常利益2,094百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,367百万円。AIサーバー及び周辺機器の需要拡大、ICT・産機関連でのアルミ電解コンデンサ需要増が増収を支えた一方、原材料高などにより営業利益は減益となった。

コンデンサ事業(報告セグメント)

2026年3月期のコンデンサ事業は、売上高131,823百万円、セグメント利益3,225百万円。ICT・産機関連におけるアルミ電解コンデンサの需要増加により増収となったが、原材料の高騰などによりセグメント利益は前期比で減益となった。

会社全体の売上高136,821百万円に対し、コンデンサ事業の売上高は大半を占める。したがって、日本ケミコンの業績を見るうえでは、アルミ電解コンデンサの需要、販売価格、材料価格、生産効率が最も重要な確認点になる。

主力製品は、チップ形、リード形、基板自立形、ネジ端子形のアルミ電解コンデンサである。導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、積層セラミックコンデンサ、バリスタ、インダクタなども展開している。

アルミ電解コンデンサは、電気を蓄える、電流を整える、ノイズを吸収するなどの役割を担う電子部品である。日本ケミコンは、家電、情報通信機器、自動車、産業機器など幅広い用途に供給している。

特に車載、AIサーバー、産業機器では高信頼性、長寿命、大容量、小形化への要求が強い。製品単価や利益率を押し上げる高付加価値品を伸ばせるかが、収益改善の中心テーマになる。

アルミ電解コンデンサ・導電性製品

2026年3月期の製品別売上高では、アルミ電解が120,025百万円、構成比87.7%。このうち導電性製品は23,174百万円、構成比16.9%となった。データセンター需要、AIサーバー用途、ハイブリッドコンデンサの拡販が注目される領域である。

アルミ電解コンデンサは、他のコンデンサと比べて大きな電気を蓄えやすく、小形から大形まで作り分けられる。日本ケミコンは、アルミニウム電極箔の表面積を拡大するエッチング技術、化成処理、材料開発、生産技術を組み合わせ、用途に応じた性能を作り込む。

この材料技術は同社のコア技術であり、電極箔の生産能力や材料からの一貫した開発体制が競争力の源泉になる。高容量化、低ESR化、長寿命化、高リプル電流対応などの性能改善は、サーバー電源、車載電源、インバータ、スイッチング電源などで重要になる。

2026年3月期には、AIサーバーを始めとするサーバー用電源向けとして、静電容量を向上させた基板自立形アルミ電解コンデンサ「KHRシリーズ」を開発した。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでも、AIサーバーや自動車への搭載を想定した新製品を投入している。

一方で、アルミ、電解液、樹脂、電力費などのコスト上昇は採算を圧迫しやすい。高付加価値品の比率拡大とVA活動によるコストダウンを同時に進める必要がある。

AIサーバー・ICT市場向け

2026年3月期の市場別売上高では、ICT市場が481億円。AIサーバー用途の大形アルミ電解コンデンサの量産、ハイブリッドコンデンサなどを中心に市場は堅調に推移した。

生成AIの普及により、データセンター内ではGPUやCPUを動かすための電源回路、サーバー電源、UPS、変圧・整流関連設備などの重要性が高まっている。AIサーバーは大電流・低電圧で動作するため、電源の安定化やノイズ抑制に使われる受動部品への要求も高くなる。

日本ケミコンは、AIサーバー市場を第11次中期経営計画における成長市場の一つに位置づけている。半導体メーカーへのリファレンス活動、IT企業へのデザインイン活動、電源メーカー・OEMメーカーへの拡販を強化する方針である。

AIサーバー市場は技術的な参入障壁が高い一方、採用が決まると量産需要につながりやすい。高性能・高品質なアルミ電解コンデンサを継続投入できれば、同社の売上成長と利益率改善に寄与しやすい。

ただし、AIサーバー需要は大手クラウド企業や半導体メーカーの投資計画、電源設計の変化、サーバー世代交代のタイミングに左右される。短期的には在庫調整や顧客の設計変更にも注意が必要である。

車載・産業機器・新エネルギー市場向け

2026年3月期の市場別売上高は、車載市場401億円、産業機器市場282億円、新エネルギー市場51億円。車載電装化、データセンター関連投資、産業機器の回復が中長期の需要要因になる。

車載市場では、ADAS、自動運転、電動化、オンボードチャージャー、インバータ、電子制御ユニットなどで高信頼性コンデンサが求められる。自動車用途では耐熱性、長寿命、品質保証体制が重要であり、採用までの評価期間も長い。

産業機器市場では、汎用インバータ、サーボアンプ、スイッチング電源、工作機械、FA機器などが用途となる。設備投資の波を受けやすい市場だが、データセンター関連投資や省エネ投資が下支えになる可能性がある。

新エネルギー市場では、再生可能エネルギー、蓄電、パワーコンディショナなどが関連する。大電力を扱う機器では、大容量・高耐圧のコンデンサが必要になる。

これらの市場は成長余地がある一方、価格競争も存在する。第11次中期経営計画では、成長市場に高性能・高品質品を投入し、マス市場では最適地生産と最適地材料調達でコスト構造改革を進める方針である。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 140,316 161,881
+15.4%
150,740
△6.9%
122,684
△18.6%
136,821
+11.5%
160,000
+16.9%
営業損益 8,798 12,939
+47.1%
9,422
△27.2%
3,740
△60.3%
3,369
△9.9%
8,000
+137.4%
経常損益 8,038 10,994
+36.8%
7,913
△28.0%
1,568
△80.2%
2,094
+33.5%
6,000
+186.4%
当期純損益 △12,124 2,273
黒字転換
△21,291
赤字転落
37
黒字転換
2,367
+2,330百万円
4,000
+68.9%
EPS(一株利益) △503.38円 94.37円 △883.98円 1.54円 98.28円 166.08円
PER(期末日株価ベース) 22.3倍 586.5倍 14.4倍 31.6倍
6/17終値
PBR(期末日株価ベース) 1.02倍 1.00倍 0.65倍 0.38倍 0.54倍
BPS 1,856.53円 2,104.11円 2,225.84円 2,352.76円 2,621.31円
純資産 44,715 50,678 53,610 56,667 63,135
営業CF 5,105 △4,862 △12,959 △493 7,622
投資CF △5,208 △6,834 △4,817 △9,754 △5,288
財務CF △218 12,049 35,421 △11,931 △6,232
現金及び現金同等物 24,754 26,135 45,295 23,864 21,286
単位は百万円。EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。
EPS・BPSは2026年3月期末の自己株式控除後普通株式数24,085,280株で再計算。PER・PBRは各決算期末終値、2027年3月期会社予想PERは2026年6月17日終値5,240円を用いて算出。2027年3月期会社予想のPBR・BPS・キャッシュフローは、予想純資産または予想キャッシュフローが未公表のため空欄。継続企業の前提に関する注記は該当事項なし。A種・B種種類株式の配当、A種種類株式の取得及び消却予定があり、会社公表のEPS・BPSとは一致しない場合があります。

中期経営計画

第11次中期経営計画

日本ケミコンは、2026年度から2028年度までの3年間を対象とする第11次中期経営計画を策定している。基本方針は「アルミ電解コンデンサ事業の競争力強化を主軸とした事業基盤の再構築」である。

2028年度の計数目標は、売上高1,650億円以上、営業利益140億円以上、営業利益率8.0%以上、ROE13.0%以上、ROIC7.0%以上、EBITDA210億円以上、アルミ電解世界市場シェア16%以上、自己資本比率40%以上、D/Eレシオ1.0以下である。

事業戦略では、市場を成長市場とマス市場に分ける。成長市場では、AIサーバー市場と車載市場を重視し、高性能・高品質なアルミ電解コンデンサを重点製品としてデザインイン活動を進める。AIサーバー市場では、半導体メーカーへのリファレンス活動、IT企業へのデザインイン活動、電源メーカー・OEMメーカーへの拡販を強化する。

マス市場では、最適地生産、最適地材料調達、物流・在庫マネジメントの高度化を通じてコスト構造改革を進める。価格競争が厳しい市場で提案力と市場シェアを回復できるかが、営業利益率8%以上を達成するための重要なテーマになる。

財務戦略では、成長市場への重点投資を続けながら、有利子負債の圧縮、資本効率の向上、自己資本比率の改善を進める方針である。普通株式への配当復活も掲げており、収益改善と財務健全化の両立が中計評価の焦点になる。
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競合他社

① TDK(6762)

時価総額は約7兆4,683億円。2026年3月期の売上高は2兆5,048億円、営業利益は2,724億円。ICT、産業機器、車載市場向けの需要を取り込み、高付加価値な電子部品の構成比も高い。

TDKは電子部品の総合大手であり、積層セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサなどを展開する。欧州子会社EPCOSブランドを含むコンデンサ事業を持ち、車載用の大型電源回路、産業用インバータ、情報通信機器向け電源で日本ケミコンと競合する。

日本ケミコンはアルミ電解コンデンサ専業色が強い一方、TDKは磁気応用製品、センサ、電源、受動部品を横断的に提案できる点が強い。顧客の部品調達で総合提案力が重視される場合、TDKの規模と製品幅は強い競争圧力になる。

② 太陽誘電(6976)

時価総額は約2兆6,291億円。2026年3月期の売上高は3,553億円、営業利益は241億円。スマートフォン向けの復調、自動車、情報インフラ、産業機器向けの出荷拡大により増収増益となった。

太陽誘電は積層セラミックコンデンサが主力であり、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ領域でも競合する。過去にアルミ電解大手のエルナーを取り込んだ経緯があり、車載ECU、スマートフォン、生成AIサーバー用電源回路などで比較対象になりやすい。

日本ケミコンの強みは大容量アルミ電解コンデンサと材料技術である一方、太陽誘電はMLCCを中心に小型・高性能部品の量産力を持つ。電源回路の設計が変化し、MLCCや導電性高分子品の採用比率が上がる場合には、太陽誘電との競争が強まる。

③ ニチコン(6996)

時価総額は約3,328億円。2026年3月期の売上高は1,697億円、営業利益は64億円。コンデンサ事業の構造改革や生産性改善により営業利益は回復している。

ニチコンは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサを展開する。自動車、白物家電、IT・サーバー、再生可能エネルギーなど、日本ケミコンと重なる用途が多い。

国内のアルミ電解コンデンサ市場では、ニチコンは最も直接的な競合である。オンボードチャージャー、インバータ、インバータエアコン、生成AI向けデータセンター用電源などで、価格、納期、品質、設計採用を巡る競争が起こりやすい。

強みと将来性

材料技術、アルミ電解コンデンサの量産基盤、AIサーバー市場への展開

日本ケミコンの最大の強みは、アルミ電解コンデンサを中核に、材料開発から製品開発、生産技術までを連携させる技術基盤である。アルミニウム電極箔のエッチングや化成処理により、限られた体積で大きな静電容量を実現する技術は、同社のコア技術といえる。

会社紹介では、同社が生産する製品のおよそ90%がコンデンサであり、その90%以上をアルミ電解コンデンサが占めると説明されている。製品の集中はリスクでもあるが、専門性が高い領域で規模とノウハウを蓄積してきたことは強みになる。

2026年3月期は、AIサーバー用途の大形アルミ電解コンデンサやハイブリッドコンデンサが伸び、ICT市場向け売上高が481億円まで拡大した。AIサーバーは大電流化、高出力化、電源効率向上の要求が強く、大容量・高信頼性のコンデンサが必要になりやすい。

第11次中期経営計画では、AIサーバー市場を成長市場と位置づけ、半導体メーカー、IT企業、電源メーカー、OEMメーカーへのアプローチを明確にしている。採用実績が増えれば、サーバー世代ごとの需要継続や横展開につながる可能性がある。

車載市場でも、SDV化、ADAS、電動化により電子制御ユニットやオンボードチャージャーの需要が増える。車載向け部品は高い品質保証が必要だが、一度採用されると長期供給につながりやすい。

中期計画の売上高1,650億円、営業利益140億円という目標は、2026年3月期実績の売上高1,368億円、営業利益34億円から大きな改善を前提としている。AIサーバー、車載、産機の回復と、マス市場のコスト構造改革が同時に進めば、営業利益率の改善余地は大きい。

弱みとリスク要因

アルミ電解コンデンサ依存、材料価格、価格競争、資本構成の変化

弱みは、事業がコンデンサ、とくにアルミ電解コンデンサに大きく依存していることである。2026年3月期のコンデンサ事業売上高は131,823百万円であり、連結売上高の大半を占める。需要悪化や価格下落が起きると、全社業績への影響が大きい。

2026年3月期は売上高が前期比11.5%増となった一方、営業利益は前期比9.9%減となった。原材料の高騰、製品ミックスの変化、売価変動、生産増に伴う固定費増加などが利益を圧迫した。売上が増えても、材料費や電力費を吸収できなければ利益率は改善しにくい。

マス市場では価格競争が厳しい。第10次中期経営計画では、国際情勢を発端とする市況変化と価格競争の激化により、マス市場シェア悪化の影響があった。第11次中計では市場シェア奪還を掲げているが、競合メーカーとの価格競争が続く場合、採算改善には時間がかかる。

AIサーバー市場は成長市場だが、需要が特定の大手顧客や投資サイクルに偏りやすい。データセンター投資の減速、GPU世代交代、電源設計の変更、在庫調整が起きると、短期の受注と稼働率に影響する可能性がある。

車載市場は高信頼性品の需要が見込める一方、EV補助金政策や自動車販売の変化、顧客在庫、モデルチェンジ、認定プロセスの長期化に左右される。産業機器市場も設備投資サイクルの影響を受けやすい。

財務面では、2024年3月期に大きな当期純損失を計上した後、2025年3月期と2026年3月期は黒字に戻った。営業キャッシュフローも2026年3月期に黒字化したが、投資CFと財務CFは支出が続いており、成長投資と有利子負債圧縮を両立する必要がある。

また、種類株式の配当、A種種類株式の取得及び消却予定など、資本構成の変化にも注意が必要である。普通株式配当の復活は前向きな材料だが、優先株式の取り扱い、資金調達、自己資本比率、D/Eレシオの改善状況は継続的に確認したい。

株価面では、2026年6月17日終値5,240円を会社予想EPS166.08円で見たPERは約31.6倍となる。中期計画の収益改善期待を織り込む水準では、AIサーバー需要の鈍化、材料高、計画未達に対する株価感応度が高まりやすい。

出典

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