7794 イーディーピー

イーディーピー(7794)企業分析|ダイヤモンド単結晶・種結晶 | ストップ高安研究所

イーディーピー 7794 東証グロース

ダイヤモンド単結晶を気相法で製造する開発型企業 ─ 人工宝石(LGD)用「種結晶」が主力、ダイヤモンド半導体ウエハの実用化を目指す

※2026年5月28日時点の情報

事業内容 ─ 大型ダイヤモンド単結晶の製造・販売・開発

株式会社イーディーピー(EDP)は、ダイヤモンドの単結晶を気相成長(気相法)により人工的に製作し、電子材料などへ工業材料として販売する東証グロース上場の開発型企業。当社及び子会社2社で構成される。板状の単結晶ダイヤモンドを製造できることが大きな特徴で、競合他社に比べ大型の単結晶が製造できる優位性を持つ。製品は人工宝石(ラボグロウンダイヤモンド=LGD)生産の元となる「種結晶」、ダイヤモンドを半導体材料として用いるための基板、高発熱デバイスを冷やすヒートシンク、精密加工切削工具など幅広い分野で利用される。主力は人工宝石用の種結晶で、2026年3月期は売上高の約59%を占めた。LGD宝石市場の急変による種結晶販売の低迷で、2026年3月期は売上高5.16億円(前期比-42.8%)、当期純損益24.15億円の赤字(固定資産の減損損失計上含む)と大幅な赤字を計上。「究極の半導体」といわれるダイヤモンド半導体向けの大型ウエハ商品化に活路を見出し、今期以降を「第2の創業」と位置付けている。

主要事業セグメント・製品分野

種結晶(LGD用・主力/売上構成比約59%)

人工宝石(ラボグロウンダイヤモンド)を製造するための元となる結晶。同社の主要製品で、インドのLGD企業(Surat市等)が主要顧客。15mm角の大型種結晶は同社のみが販売できる独自製品。LGD宝石市場の急変による需要低迷で販売が落ち込み、2026年3月期の業績悪化の主因となった。

ダイヤモンド半導体向け基板・ウエハ

ダイヤモンドを半導体材料として様々なデバイスへ使うための基板。2025年2月に30×30mmの大型単結晶基板の実用化を発表、2025年4月には1インチウエハ(直径25mm)の販売を発表。複数の単結晶を接続した大型モザイクウエハの製造技術を持つ。「究極の半導体」とされるダイヤモンド半導体の実用化に欠かせない大型ウエハの商品化を進めている。

宝石(LGD)販売事業

種結晶の供給にとどまらず、人工宝石(LGD)そのものの販売へ進出。「種結晶から宝石へ」のバリューチェーン拡大を図る。国内宝石販売体制の構築や、欧州の大手宝飾品販売企業との販売取引開始に向けたサンプル提示・交渉を進めている。

ヒートシンク・切削工具等の工業材料

高発熱のデバイスを冷やすための放熱材料(ヒートシンク)、原子レベルの精度が要求される精密加工切削工具など。ダイヤモンドの高い硬度・耐摩耗性・熱伝導性を活かし、切削工具や光学部品の高性能化に貢献する工業材料分野へ展開。

ダイヤモンドデバイス開発・共同研究

2026年3月、株式会社本田技術研究所とダイヤモンドデバイス用材料の共同研究を実施するための意向確認書を締結。2インチモザイクウエハの早期販売開始と量産体制確立を目指す。ダイヤモンド半導体の本格開発の進展を背景に、デバイス向け材料供給での成長を企図している。

直近5年の業績サマリー

2026年3月期は売上高5.16億円(前期比-42.8%)、営業損益13.60億円の赤字、経常損益13.41億円の赤字、当期純損益24.15億円の赤字と大幅な赤字を計上。LGD宝石市場の急変による種結晶販売の低迷に加え、固定資産の減損損失計上が最終損益を押し下げた。第3四半期時点で売上高は前年同期比-61.3%、四半期純損失20.11億円まで拡大していた。2023年3月期に売上27.07億円・当期純利益9.09億円を計上した後、2024年3月期以降は売上が大きく減少し赤字が継続。2026年3月期会社予想(売上5.00億円・営業損益9.25億円の赤字)に対し、実績はさらに下振れた。赤字企業のためPERは算出不能、PBR12.04倍・PSR37.75倍と業績悪化下で株価期待が先行する高い水準。財務体質の改善が急務となっている。

項目(連結・百万円) 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2026年3月期
会社予想
売上高 2,707 757
△72.0%
902
+19.2%
516
△42.8%
500
営業損益 1,280 △213
赤字転落
△976
赤字拡大
△1,360
赤字拡大
△925
経常損益 1,280 △97
赤字転落
△989
赤字拡大
△1,341
赤字拡大
△910
当期純損益 909 △111
赤字転落
△2,306
赤字拡大
△2,415
赤字拡大
△1,980
EPS(一株利益) 72.47円 △8.48円 △171.38円 △164.94円 △136.00円
決算発表時株価
(参考)
2,651円 1,092円 667円 1,330円
実績PER 36.58倍 -128.77倍 -3.89倍 -8.06倍
予想PER -9.78倍
PBR 7.06倍 2.96倍 2.81倍 12.04倍
PSR 12.29倍 18.94倍 9.95倍 37.75倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

中期経営計画 ─ 「第2の創業」

同社は前年度のLGD市場急変の影響により中期計画を公表できない状況が続いたが、今期以降を「第2の創業」と位置付けて新たな目標を掲げ、態勢を整える方針を示している。種結晶から宝石へのバリューチェーン拡大と、ダイヤモンドデバイス向け大型ウエハの実用化を成長の柱に据える。

「第2の創業」の主要な経営テーマ

  • 種結晶から宝石へ、LGDビジネスのバリューチェーン拡大
  • ダイヤモンドデバイス向け大型ウエハの実用化・量産体制確立
  • 収益体質の大幅な向上・黒字化の実現

事業戦略

  • インドにおける種結晶販売体制の整備(SFD India)
  • 国内宝石販売体制の構築・欧州宝飾品販売企業との取引開始
  • 2インチモザイクウエハの早期販売開始と量産体制確立
  • 50mm単結晶(4インチウエハ相当)の継続的な開発
  • 本田技術研究所等とのダイヤモンドデバイス用材料の共同研究

2027年3月期の方針

  • インドでの種結晶販売体制整備と国内宝石販売体制構築で売上増加を見込む
  • 種結晶在庫・ルース(宝石)在庫の販売拡大を重視
  • ダイヤモンドデバイス開発で2インチモザイクウエハの早期販売を目指す

強みと注目点

① 大型ダイヤモンド単結晶の独自製造技術

気相成長による高純度ダイヤモンドの製造技術、種結晶からの分離技術、複数単結晶を接続した大型モザイク単結晶の製造技術を事業化。競合他社に比べ大型の板状単結晶を製造できる優位性を持ち、15mm角の大型種結晶は同社のみが販売。30×30mm大型単結晶基板や1インチウエハの実用化など、技術的な先行性が強み。

② ダイヤモンド半導体(次世代パワー半導体)への期待

ダイヤモンドは「究極の半導体」とされ、高電流素子や高感度磁場センサー等への応用が期待されている。同社は大型ウエハ開発の先鞭を切り、本田技術研究所とのダイヤモンドデバイス用材料の共同研究意向確認書を締結(2026年3月)。ダイヤモンド半導体の本格開発進展を背景に、デバイス材料供給での成長余地が注目される。

③ バリューチェーン拡大による事業構造転換

種結晶の供給にとどまらず、人工宝石(LGD)そのものの販売へ進出し「種結晶から宝石へ」のバリューチェーン拡大を図る。インドの種結晶販売体制整備、国内・欧州での宝石販売体制構築を進めており、工業材料・宝石・半導体材料という複数の応用分野を持つことが、単一市場依存からの脱却に向けた取り組みとなっている。

弱み・リスク要因

有価証券報告書・決算短信および公開情報から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。

① 大幅赤字の継続と財務体質の悪化

2024年3月期に営業赤字へ転落して以降赤字が継続し、2026年3月期は当期純損益24.15億円の赤字(固定資産の減損損失計上含む)と大幅赤字を計上。LGD宝石市場の急変による種結晶販売の低迷が直撃した。財務体質の改善が急務とされ、第17回新株予約権等による資金調達で資本を積み増す状況。黒字化の実現時期が明確でない点が大きな投資リスク。

② LGD市場の需給変動への高い依存

主力の種結晶は人工宝石(LGD)市場の動向に業績が大きく左右される。LGD市場の急変が2024年3月期以降の売上急減・赤字化の主因となっており、宝石市況の変動に対する業績の感応度が極めて高い。需要回復の時期や水準が読みにくく、業績の先行きの不透明感が強い。

③ 高いバリュエーションと輸出規制リスク

赤字企業でありながらPBR12.04倍・PSR37.75倍と、ダイヤモンド半導体への期待を織り込んだ高い株価水準で推移しており、思惑が剥落した際の株価下落リスクが大きい。また2025年5月の輸出貿易管理令改正により、インドへ輸出する種結晶等は経産省本庁の許可が必要となり、許可に2か月以上を要する状況で、納期長期化が営業上の足かせとなっている。

主な出典:
  • 株式会社イーディーピー 公式サイト
  • 株式会社イーディーピー IR情報
  • 株式会社イーディーピー「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月13日発表)
  • 株式会社イーディーピー「2026年3月期 第3四半期決算短信」(2026年2月12日発表)
  • 株式会社イーディーピー「本田技術研究所とのダイヤモンドデバイス用材料の共同研究を実施するための意向確認書締結に関するお知らせ」(2026年3月26日適時開示)
  • 株式会社イーディーピー「2025年3月期 決算説明資料」・「有価証券報告書」

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました