6962 大真空

大真空 <6962> 企業紹介 | ストップ高安研究所

大真空 6962 東証プライム

水晶振動子で世界首位級シェア ─ 人工水晶からの一貫生産・独自フォトリソ技術Arkhシリーズ

※2026年5月25日時点の情報

事業内容 ─ 水晶デバイス専業大手のグローバルニッチトップ

大真空は1959年創業、兵庫県加古川市に本社を置く水晶デバイス専業メーカーです。原料となる人工水晶の育成からデバイスの製造・販売までを一貫して手掛ける垂直統合モデルが最大の特色で、高品質製品の安定供給を可能にしています。水晶振動子の商品シェアは世界首位級、海外売上高比率は8割超でグローバルに事業展開。連結子会社13社で構成され、スマートフォンや自動車などあらゆる電子機器に不可欠な精密クロック信号を生成する水晶デバイスを供給しています。

主要事業セグメント

水晶振動子事業(主力)

同社の中核製品で世界首位級の商品シェアを保有。一般水晶振動子、音叉型水晶振動子のラインナップを展開。スマートフォン、車載エレクトロニクス、通信機器、IoT機器などの基準周波数源として広く採用される。髪の毛の断面より小さい微細加工技術が競争力の源泉。

水晶発振器・差動出力発振器

高精度水晶発振器、クロック用水晶発振器、多機能デバイス発振器、時刻同期発振器をラインナップ。スマートフォン向け差動出力発振器はノイズ耐性に優れ、エッジAI普及局面で需要拡大が見込まれる。光トランシーバー向け高周波差動発振器はAIサーバー・データ通信に必須で、早期切替が期待される領域。

Arkhシリーズ(独自フォトリソ技術)

半導体製造工程のフォトリソグラフィー技術を水晶デバイス加工に応用した独自技術で、髪の毛の断面より小さい精密加工を実現。世界最小クラスの水晶振動子の量産化に成功している。次世代「Arkh.2G」構想を顧客へアナウンス中で、車載・通信分野での成長の核として位置付けられている。

水晶応用製品・MEMS発振器

水晶ユニット、TCXO(温度補償水晶発振器)、OCXO(恒温槽付水晶発振器)など高精度応用品を展開。次世代のMEMS(微小電気機械システム)発振器、モールドタイプ発振器も含む製品ラインナップ拡充を推進。Arkh.2Gテクノロジーで他社が先行するMEMS市場との競争に挑む方針。

事業セグメント別売上構成(前期)

事業セグメントは産業・民生・車載・通信の4部門に分かれており、売上高構成比率は車載36%、通信27%、民生26〜28%、産業10%と適度な事業分散がなされている。トランプ関税の影響は車載分野について現段階では間接的な影響に収まっている。

直近5年の業績サマリー

2026年3月期は売上高395億5,100万円(前期比+2.4%)、営業利益11億3,300万円(同+23.8%)、経常利益7億3,400万円(同+78.2%)、当期純利益4億2,000万円(同+47.4%)と増収・増益で着地。車載分野の堅調な推移と産業分野の回復、高付加価値製品の拡大とコスト低減が利益率改善に貢献しました。2027年3月期は売上高400億円、営業利益10億円と慎重な見通しを示している一方、第二次中期経営計画の最終年度では売上高530億円、営業利益55億円の高い目標を掲げています。

項目(連結・百万円) 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2026年3月期
会社予想
売上高 41,306 38,430
△7.0%
39,343
+2.4%
38,620
△1.8%
39,551
+2.4%
40,000
営業損益 5,194 4,210
△18.9%
2,135
△49.3%
915
△57.1%
1,133
+23.8%
1,000
経常損益 6,547 5,106
△22.0%
3,192
△37.5%
412
△87.1%
734
+78.2%
500
当期純損益 3,848 3,208
△16.6%
1,876
△41.5%
285
△84.8%
420
+47.4%
300
EPS(一株利益) 119.21円 99.41円 58.12円 8.87円 13.21円 9.44円
決算発表時株価
(参考)
1,118円 690円 833円 513円 802円
実績PER 9.38倍 6.94倍 14.33倍 57.84倍 60.71倍
予想PER 84.96倍
PBR 1.09倍 0.62倍 0.69倍 0.44倍 0.65倍
PSR 0.87倍 0.58倍 0.68倍 0.43倍 0.64倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

業績のポイント

2026年3月期は営業利益+23.8%、経常利益+78.2%と利益面で回復基調。2024年3月期営業利益49.3%減、2025年3月期同57.1%減と2期連続で大幅減益となった状況からの反転。会社解散価値の半値水準であるPBR約0.65倍と低い水準にあり、バリュー株としても注目を集めやすい位置付け。第二次中期経営計画の最終年度(2027年3月期)に売上高530億円・営業利益55億円・ROE8%以上を目標として掲げている。

第二次中期経営計画

同社は2024年3月期から2027年3月期までの3年間を対象とする「第二次中期経営計画」を策定。最終年度の2027年3月期に売上高530億円、過去最高益となる営業利益55億円、ROE8%以上の目標を掲げ、独自技術Arkhを核に車載・通信分野での成長を目指しています。

2027年3月期数値目標(最終年度)

  • 売上高:530億円
  • 営業利益:55億円(過去最高益)
  • ROE(自己資本利益率):8%以上

基本方針

独自技術「Arkh構想」を軸に、技術革新と生産性向上を推進。単位面積当たり・1人当たりのアウトプットの最大化により、営業利益の最大化を図る。原料である人工水晶の育成からデバイスの製造・販売までを一貫して手掛ける垂直統合モデルにより、サプライチェーン混乱への耐性を高めながら、グローバル市場で成長を目指す。

事業戦略

  • 独自技術Arkhを核に車載・通信分野での成長を加速
  • 2027年3月期に車載向け高周波発振器、車載WiFi向け発振器がメイン成長領域
  • 光トランシーバー関係の高周波差動発振器はAIサーバー・データ通信向けに早期切替期待
  • 「Arkh.2G」テクノロジーでMEMS発振器市場で他社先行領域に挑む

市場見通し

  • 5G/6G通信の普及、自動車の電装化といったメガトレンドを背景に、水晶デバイス市場は中長期的に拡大
  • 高機能アプリケーション向けに、小型・薄型・コスト優位性のあるArkhシリーズが成長を牽引
  • 事業セグメント分散(車載36%、通信27%、民生26%、産業10%)で安定性を確保

強みと注目点

① 水晶振動子で世界首位級シェア

水晶デバイス専業大手として水晶振動子の商品シェアは世界首位級。グローバルニッチトップの一角を占め、海外売上高比率は8割超。長年蓄積した微細加工技術ノウハウは一朝一夕では追いつけない競争優位性。

② 人工水晶からの垂直統合モデル

原料となる人工水晶の育成からデバイスの製造・販売までを一貫して手掛ける垂直統合モデルが競争力の源泉。高品質な製品の安定供給を可能にし、近年のサプライチェーン混乱に対する高い耐性を発揮している。

③ エッジAI普及で差動出力発振器の追い風

スマートフォン向け水晶発振器では、人工知能(AI)をクラウドではなく端末側で処理するエッジAI普及局面で、ノイズ耐性に優れる同社の差動出力発振器へのニーズが高まっている。光トランシーバー関係の高周波差動発振器はAIサーバー・データ通信に必須で、早期切替が期待される領域。

④ フォトリソ技術で世界最小クラスの水晶振動子(Arkhシリーズ)

半導体製造工程のフォトリソグラフィー技術を水晶デバイス加工に応用したArkhシリーズで、髪の毛の断面より小さいレベルの精密加工を実現。世界最小クラスの水晶振動子の量産化に成功。「Arkh.2G」構想を軸に技術革新と生産性向上を推進中。

⑤ バリュー指標の割安感

PBR約0.65倍と会社解散価値を大きく下回る水準に株価が放置されており、バリュー株としての見直し余地が大きい。時価総額200億円台の小型株でグローバルニッチトップという独自ポジションがあり、機関投資家・個人投資家双方から再評価されやすい。

弱み・リスク要因

有価証券報告書、決算説明会資料および中期経営計画から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。

① 業績回復途上で利益水準が低い

2024年3月期営業利益49.3%減、2025年3月期同57.1%減と2期連続で大幅減益を計上した経緯がある。2026年3月期は23.8%増益と回復したが、利益水準(営業利益11億円)はピーク時(2022年3月期51億円)の約2割にとどまる。中期経営計画最終年度(2027年3月期)の営業利益55億円目標達成の確度が市場の注目点。

② 高PER水準

2027年3月期会社予想ベースの予想PERは84.96倍と高水準。利益水準の低さもあり、PERだけ見れば割高感が強い。会社予想を上回る業績改善が継続しないと、株価下押し圧力が発生しやすい。

③ 海外売上比率の高さによる市況・為替リスク

海外売上比率8割超のため、グローバル景気減速・中国市場低迷・為替変動が業績に大きく影響する。特に中国向けスマートフォン市況の悪化が、過去の業績悪化の主因となった経緯がある。

④ MEMS発振器との競合

水晶デバイスは長期的にMEMS発振器との競合圧力に晒される。同社はArkh.2GテクノロジーでMEMS市場に挑む方針だが、MEMS発振器分野では他社が先行しており、競争激化の可能性がある。

⑤ Arkhシリーズ採用ペースの不透明感

2027年に登場する顧客製品では、Arkhシリーズより従来製品のほうが採用が多い印象であると同社が認識している。Arkh.2G構想は顧客へアナウンス中だが、車載向けについては2027年までに顧客から「使ってみよう」と言ってもらえる段階に至らず、「評価の数年後に使う」という時間軸で進むことを同社自身が想定。本格的な収益寄与までに時間を要する見込み。

主な出典:
  • 株式会社大真空「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月14日開示)
  • 株式会社大真空「2026年3月期 第2四半期決算説明会書き起こし」
  • 株式会社大真空「中期経営計画」(第二次中期経営計画 2024年3月期〜2027年3月期)
  • 株式会社大真空 公式IRサイト・有価証券報告書

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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