6370 栗田工業
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事業内容と業績
電子市場
半導体・電子部品・ディスプレイの製造工程に必要な超純水などを供給するため、水処理装置の設計・製作・建設からメンテナンス、運転管理までを担う事業です。顧客の工場新設・増強に対応する大規模な設備案件と、既存設備の運転に伴う継続的な保守・水質管理サービスを組み合わせています。顧客サイトに設備を設置し、契約に応じて超純水を継続供給する事業も展開。半導体メーカーの設備投資と工場稼働率が需要の主な変動要因となる一方、サービス契約によって継続収益を積み上げる構造です。北米・東アジアなどで大型案件の受注が進む反面、建設工事のコスト・工程管理と採算性が業績に直結します。
2025/3期は2026/3期短信で非継続事業を除き、組織変更も反映した比較値。2024/3期は当時の開示区分のため、2025/3期との単純比較に注意。
一般水処理市場
電子産業以外の幅広い製造業、電力、化学、食品などの顧客に対し、水処理薬品・水処理装置・メンテナンスを一体で提供する事業です。ボイラ・冷却水・製造用水などの品質維持、水使用量の削減、設備トラブル防止、排水・廃棄物対策などを支援します。薬品の定期使用や機器保全の需要に加え、工場の新設・更新に伴う装置工事の売上も計上します。顧客の節水、温室効果ガス排出削減、資源循環といった課題を解決するCSVビジネスを強化し、付加価値の高い契約を拡大。PFAS処理・除去、膜処理、土壌浄化も扱い、国内外の一般産業・インフラ市場に事業基盤を持っています。
2025/3期は2026/3期短信で組み替えられた比較値。2024/3期は当時の区分のため、セグメント間の移管をまたぐ比較には注意。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期(再表示) | 2026年3月期 | 2027年3月期予想 10/29修正後 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,882.07億円 | 3,446.08億円 +564.01億円 / +19.6% | 3,848.25億円 +402.17億円 / +11.7% | 3,888.14億円 前年対比:組替差あり | 4,028.89億円 +140.75億円 / +3.6% | 4,550億円 +521.11億円 / +12.9% |
| 営業利益 | 357.34億円 | 290.58億円 −66.76億円 / -18.7% | 412.32億円 +121.74億円 / +41.9% | 499.18億円 前年対比:組替差あり | 582.9億円 +83.72億円 / +16.8% | 435億円 −147.9億円 / -25.4% |
| 税引前利益(経常利益相当) | 300.79億円 | 301.51億円 +7.2千万円 / +0.2% | 416.86億円 +115.35億円 / +38.3% | 507.09億円 前年対比:組替差あり | 581.6億円 +74.51億円 / +14.7% | 430億円 −151.6億円 / -26.1% |
| 親会社所有者帰属当期利益 | 184.71億円 | 201.34億円 +16.63億円 / +9.0% | 291.89億円 +90.55億円 / +45.0% | 203.05億円 −88.84億円 / -30.4% | 159.57億円 −43.48億円 / -21.4% | 287億円 +127.43億円 / +79.9% |
| EPS | 164.38円 | 179.14円 +14.76円 / +9.0% | 259.7円 +80.56円 / +45.0% | 180.66円 -79.04円 / -30.4% | 145.34円 -35.32円 / -19.6% | 269.41円 +124.07円 / +85.4% |
| 1株配当金 | 72円 | 78円 +6円 / +8.3% | 84円 +6円 / +7.7% | 92円 +8円 / +9.5% | 112円 +20円 / +21.7% | 134円 +22円 / +19.6% |
| 純資産(親会社所有者帰属持分) | 2,719.14億円 | 2,939.75億円 +220.61億円 / +8.1% | 3,312.61億円 +372.86億円 / +12.7% | 3,360.27億円 +47.66億円 / +1.4% | 3,411.51億円 +51.24億円 / +1.5% | — |
| 営業CF | 287.37億円 | 486.31億円 +198.94億円 / +69.2% | 508.74億円 +22.43億円 / +4.6% | 877.6億円 +368.86億円 / +72.5% | 555.92億円 −321.68億円 / -36.7% | — |
| 投資CF | −399.29億円 | −462.74億円 −63.45億円 / -15.9% | −358.01億円 +104.73億円 / +22.6% | −520.74億円 −162.73億円 / -45.5% | −340.21億円 +180.53億円 / +34.7% | — |
| 財務CF | −79.27億円 | 11.01億円 +90.28億円 / +113.9% | −153.37億円 −164.38億円 / -1493.0% | −254.48億円 −101.11億円 / -65.9% | −233.09億円 +21.39億円 / +8.4% | — |
| フリーCF | −111.92億円 | 23.57億円 +135.49億円 / +121.1% | 150.73億円 +127.16億円 / +539.5% | 356.86億円 +206.13億円 / +136.8% | 215.71億円 −141.15億円 / -39.6% | — |
2025年3月期の売上高・営業利益・税引前利益は2026年3月期短信の比較表示に合わせた継続事業ベースの再表示値。2025年3月期の当初公表値は売上高4,088.88億円、営業利益312.75億円、税引前利益318.21億円。比較基準が異なる箇所には注意。2026年3月期と2025年3月期の親会社帰属利益には非継続事業の損益を含みます。純資産は親会社所有者に帰属する持分、フリーCFは営業CFと投資CFの単純合計。受注残高は掲載対象資料で年末の統一比較可能な数値を確認できず、省略しています。2027年予想は2026年10月29日修正後の開示数値。
1.会社予想と実績
2023~2026年3月期は前年度の本決算で公表された期初の会社予想と本決算実績。2027年3月期は2026年10月29日修正後の通期予想のみ。事後の予想修正を反映しないため、予測精度の定点比較として示します。2026年3月期については非継続事業の組替えにより売上高・営業利益・税引前利益の比較条件が完全には一致しません。
■ シアン:会社予想 ■ マゼンタ:実績 達成率=実績÷予想
売上高
営業利益
税引前利益
親会社所有者帰属当期利益
EPS
2.達成・未達理由
売上高は期初予想を超過した一方、営業利益と最終利益は未達。米国水処理薬品事業でののれん減損や原材料・物流費上昇が営業利益の重荷となりました。事業利益自体は増加しました。
売上高・営業利益・税引前利益・親会社帰属利益が期初予想を上回りました。電子産業向け装置とメンテナンス事業の積み上がり、一般水処理市場の拡大が寄与しました。
売上高は当初予想を上回ったものの、米国Pentagon Technologies Groupの減損164.90億円およびFractaのれん減損25.01億円などにより営業利益・最終利益は期初予想を下回りました。
継続事業の営業利益は582.90億円と当初予想535億円を上回りました。一方、非継続事業となったPentagon Technologies Group関連の減損損失などが純利益を押し下げ、当初予想363億円に対して159.57億円にとどまりました。
北米の半導体関連大型水処理装置工事1件の原価見積増加により、通期営業利益予想を655億円から435億円、親会社帰属利益を507億円から287億円に修正しました。売上高は薬品・装置事業の状況を受けて4,250億円から4,550億円へ引き上げ。予想据置ではありません。
3.事業セグメントの自信度
引用は栗田工業の各年決算短信の原文を短く抜粋。セグメントごとの各年度カード内にのみ掲載。2024/3期は前年度末時点の会社見通しを使っています。
電子市場
積み増した受注残高により売上高が増加する見通しです。
2023年3月期決算での翌期見通し。売上増を予想する一方、サービス構成比の変化による利益率低下を警戒。
水処理装置は、主に欧州向けの大型案件を受注したことにより増加しました。
受注獲得や契約型サービスはプラスだが、当時は米国精密洗浄会社の減損が営業利益を圧迫。
世界的に半導体製造工場の増強投資が活発となったことを背景に、複数の大型案件を獲得
大型案件の獲得とメンテナンス伸長、採算性改善を報告。ただし後の北米工事原価問題が顕在化。
主に一部の案件で追加コストが発生したことにより
Q1の電子市場は売上増でも事業利益が前年より減少。10月29日の大型工事損失の開示で収益管理への警戒が強まった。
一般水処理市場
薬品事業の伸長に加えて、装置およびメンテナンス案件の工事進捗により増収となる見通しです。
2023年3月期の翌期見通し。薬品販売と装置・サービスの増収を見込む。
付加価値の高いCSVビジネスの伸長もあり原価率が改善した
高付加価値化は堅調だが、為替影響を除いた薬品売上の弱さとFracta減損の問題も認められる。
付加価値の高いCSVビジネスの伸長もあり原価率が改善した
水処理薬品・メンテナンス・継続契約型サービスの増収と事業利益20.1%増加が自信を支える。
水処理薬品は、受注高と同様の理由で増加しました。
装置・薬品・契約型サービスが増収、営業利益は前年同期比18.4%増。
2022・2023年3月期は「水処理薬品事業」「水処理装置事業」で集計。2024年3月期以降は「電子市場」「一般水処理市場」に変更され、2026年3月期には米国事業の非継続事業化とセグメント移管による比較数値の組み替えが行われています。旧区分の数値を新セグメントへ推計で振り替えることはしていません。
4.最新予想信頼度
2027年3月期は第1四半期で大幅増益でしたが、2026年10月29日に北米大型案件の追加工事原価が顕在化し、通期利益見通しが大きく下方修正されました。修正後の予想は既知の損失を織り込んでおり、達成余地は残ります。ただし工事原価見積りの再発リスクが大きく、利益予想の確度は売上高予想より低いと判断します。
| 項目 | Q1実績 | 10/29修正後通期予想 | 単純進捗率 | Q2~Q4に必要な金額 | 修正後上期予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 998.99億円 | 4,550億円 | 22.0% | 3,551.01億円 | 2,068億円 |
| 事業利益 | 88.25億円 | 400億円 | 22.1% | 311.75億円 | 62億円 |
| 営業利益 | 142.93億円 | 435億円 | 32.9% | 292.07億円 | 94億円 |
| 税引前利益 | 146.19億円 | 430億円 | 34.0% | 283.81億円 | 111億円 |
| 親会社所有者帰属当期利益 | 143.46億円 | 287億円 | 50.0% | 143.54億円 | 73億円 |
会社の単純進捗率で、季節性・工事進捗・一時収益を補正していません。2027年3月期の事業利益40,000百万円は10月29日の修正後見通し。第2四半期実績は2026年11月5日発表予定であり、この分析時点では未反映です。
達成できると判断する理由
- 売上高の通期予想は4,550億円へ上方修正。2027年3月期Q1の受注高は1,656.91億円で前年同期を大幅に上回り、電子市場の大型案件と一般水処理市場の需要に売上の裏付けがあります。
- 修正後の営業利益予想435億円はQ1実績142.93億円に対し進捗32.9%。Q1以降に必要な営業利益は292.07億円。既知の北米工事損失を予想に織り込んでいる点は一定の下支えです。
- 修正後下期の営業利益必要額は341億円。2026年3月期の下期実績は328.82億円で、前期下期比では約3.7%増。工事原価の再増加がなければ全く届かない水準ではありません。
達成できないと判断する理由
- 北米の電子産業向け水処理装置案件で工事原価見積りの上振れが発生し、通期営業利益予想を655億円から435億円(−220億円)へ引き下げました。大型装置の工事採算管理が最大のリスクです。
- 修正後上期営業利益予想94億円はQ1の142.93億円を下回ります。差額からみる第2四半期単独は−48.93億円の営業赤字想定で、下期への利益依存が高まっています。
- 第1四半期営業利益には米国子会社売却に伴う為替換算差額約50.21億円が含まれます。単純に控除したQ1営業利益は約92.72億円。第1四半期の増益率を通期へ機械的に延長できません。
収益計上時期・追加工事損失の見方
2026年3月期の下期営業利益は約328.82億円(通期582.90億円−上期254.08億円)。2027年3月期は10月29日の修正後上期予想94億円、通期435億円なので、下期だけで341億円の確保が必要です。売上高も上期予想2,068億円に対して下期2,482億円を見込みます。電子市場では大型装置の売上・工事原価が工事進捗に左右されるため、単純な四半期均等配分は適切ではありません。
Q1の親会社帰属利益143.46億円のうち、売却に関連する為替換算差額約50.21億円が営業利益を押し上げています。修正後上期の親会社帰属利益73億円はQ1実績を下回ることから、第2四半期の大幅な損失織り込みを示します。業績の評価ではQ1の見かけの50.0%進捗だけでは不十分です。
最終判断
修正後予想の達成可能性は「中程度」。 受注量と売上見通しは改善している一方、北米大型装置案件の追加工事費用の見積りが既に大幅に変動し、利益の信頼性を落としています。下期営業利益341億円の達成には、別案件へ原価増加が広がらず、メンテナンス・薬品・サービス事業の利益率が維持されることが必要です。売上高の達成可能性は利益より高く、営業利益・純利益の上振れ余地はあるものの、現段階では追加損失による未達リスクを同時に評価します。
修正後会社予想EPSは269.41円。 2026年11月4日のTradingView日足終値5,347円で計算した会社予想達成時のPERは19.85倍(5,347÷269.41)。10月29日以前の上方修正前EPSを利用したPERではありません。
2026年10月28日時点の外部コンセンサスは営業利益予想672.17億円でしたが、10月29日の下方修正前の集計であり、修正後の新しいコンセンサスとしては扱っていません。
栗田工業
中期経営計画「PSV-27」を徹底分析
2028年3月期に売上高4,700億円・事業利益率16%へ。米国大型案件の工事損失による2027年3月期の下方修正を反映し、必要な利益回復幅と成長戦略を数字で検証する。
01|中期経営計画の数値目標
2023年4月に開始した5カ年計画「Pioneering Shared Value 2027(PSV-27)」。会社は2026年10月29日の業績予想下方修正後も、2028年3月期の中期目標を変更しないと明記した。
02|目標達成時の業績上昇余地
比較の基準は2026年3月期通期実績(2026年5月14日開示)。会社がPSV-27進捗表に並べる2028年3月期目標との2年間の比較。売上高・事業利益は非継続事業を除いた継続事業ベースであり、国際会計基準IFRSによる連結決算を前提とする。
| 指標 | 2026/3期 通期実績 | 2028/3期 目標・試算 | 増減額 / 差 | 増減率 / CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,028.89億円 | 4,700億円 | +671.11億円 | +16.7% 年率 +8.0% |
| 事業利益 ※目標は計算値 | 573.43億円 | 752億円 | +178.57億円 | +31.1% 年率 +14.5% |
| 事業利益率 | 14.2% | 16.0% | +1.8pt | 率の差で比較 |
| ROE | 4.7% 調整後 11.7% | 12%以上 | 公表値比 +7.3pt以上 調整後比 +0.3pt以上 | 一過性項目の影響に注意 |
| ROIC | 8.3% 調整後 9.1% | 10%以上 | 公表値比 +1.7pt以上 調整後比 +0.9pt以上 | ROE同様、調整後値を併記 |
算式:増減率=(目標÷実績−1)×100、CAGR=(目標÷実績)^(1/2)−1。事業利益率は概数。ROE・ROICの調整後数値は会社が非継続事業を除外して試算した参考値。2028年3月期の親会社帰属純利益・EPS・営業利益の数値目標は確認できず、これらの増減率を補完していない。
売上高と事業利益の進捗(億円)
03|2026年10月29日の大幅下方修正
米国独自の規格・設計認証や顧客要件への対応で、設計遅延・品質上の課題・追加部材調達・モジュール再製作が生じた。会社は当該1案件による2027年3月期通期の減益影響を236億円と開示。連結事業利益予想は615億円から400億円へ下方修正した。
| 連結・継続事業ベース等 | 旧予想 2026/8/6 | 新予想 2026/10/29 | 修正幅 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,250億円 | 4,550億円 | +300億円(+7.1%) |
| 事業利益 | 615億円 | 400億円 | −215億円(−35.0%) |
| 営業利益 | 655億円 | 435億円 | −220億円(−33.6%) |
| 親会社帰属当期利益 | 507億円 | 287億円 | −220億円(−43.4%) |
| EPS | 475.47円 | 269.41円 | −206.06円 |
売上高・事業利益・営業利益は継続事業ベース、親会社帰属当期利益・EPSは非継続事業を含む。事業利益率の新予想は400億円÷4,550億円=約8.8%(当ページ計算)。
最終年度へ必要な1年間の立ち上がり
2027/3期 会社最新予想
売上高 4,550億円
事業利益 400億円
事業利益率 約8.8%
2028/3期 中計目標
売上高 4,700億円(+3.3%)
事業利益相当額 752億円(+88.0%)
事業利益率 16.0%(+約7.2pt)
読み取り:売上面では2027年3月期予想から3.3%増収で到達する一方、事業利益は1年で88.0%の改善を要する。したがって中期計画の達成可否は、今後の増収だけでなく、北米大型装置案件の損失収束と装置事業の利益率回復に大きく左右される。
04|目標達成までのロードマップ
半導体 × 超純水
米国・欧州・台湾などの半導体投資で装置案件を獲得し、その設備を起点として薬品・メンテナンス等の継続サービスを積み上げる。設計自動化やレディメイド型超純水製造設備「e-WT」等で生産能力を引き上げる。
CSV × 高収益化
節水・脱炭素・資源循環という顧客の課題を解くCSVビジネスを拡大。一般水処理で薬品・装置・診断を組み合わせ、独自の診断・最適化サービス「NEXTANCE」等により顧客単価と継続収益を高める。
PFAS × 新規成長領域
米国でPFAS除去・処理の事業化を推進し、Cyclopureへの出資等で技術基盤を拡充。リチウム資源回収、火災対策、月面水資源なども将来の事業機会として育成する。
2026年度(2027年3月期)
装置案件の施工管理・認証・品質対応の立て直し、サービス拡大と製品構成改善を両立。投資案件の実行力と2028年3月期への利益回復への確度を高める段階。
2027年度(2028年3月期)
売上高4,700億円、事業利益率16%に到達させる最終年度。収益性に加え、ROE・ROIC・CSV関連KPIを引き上げる。達成は現時点で未確定。
財務・資本政策の方向
成長分野への設備・技術投資と、採算の低い領域の組み替えを組み合わせて資本効率を高める。2026年6月30日にはペンタゴン社の売却を完了。会社は配当の継続的な増加と、機動的な自己株式取得も掲げている。
05|非財務目標とCSVビジネスの進捗
| 経営指標 | 2026/3期実績 | 2028/3期目標 | 進捗状況 |
|---|---|---|---|
| CSVビジネス売上高 | 585億円 | 1,000億円 | 残り415億円(約+70.9%) |
| 節水貢献量 | 145百万m³ | 250百万m³ | 残り105百万m³ |
| GHG削減貢献量 | 3,082千t-CO₂ | 3,000千t以上 | 目標水準を上回る |
| 資源化・資源投入削減貢献量の増加割合 | +177%(2022年度比) | +300%(同) | 目標水準まで123pt |
CSV売上高は2026年3月期実績585億円→2028年3月期目標1,000億円。参考増加率は約70.9%、2年間のCAGRは約30.7%。収益性の高いCSVの構成比上昇が事業利益率16%への重要な要素となる。一方、GHG削減貢献量は2026年3月期時点で目標値を超過している。
06|計画達成のリスクと判断軸
① 装置案件の工事原価・施工管理
追加設計・認証・調達・現地施工の原価変動が業績に直接影響する。2026年10月29日に公表された大型案件の引当額が足りるか、追加費用の有無、完工時期が重要。
② 半導体設備投資と収益の変動
電子セグメントの成長機会は、顧客の半導体投資と工期に連動する。受注獲得だけでなく、装置完工後の継続的な薬品・保守収益への転換を確認したい。
③ 必要利益率の急回復
2027年3月期の会社新予想は事業利益率約8.8%。翌期の目標16%には約7.2ptの改善が必要。案件損失の再発防止と通常案件の収益性が主要な確認点。
④ 事業ポートフォリオと資本効率
ペンタゴン社売却により継続・非継続の会計比較に注意が必要。ROE・ROICは一時的な損失や売却益で変動するため、会社の調整後数値と継続事業のキャッシュ創出を併用して確認する。
売上高4,700億円の達成に必要な伸び率は相対的に小さい一方、事業利益率16%の達成は、今回の工事損失を受けて難度が高まった。2028年3月期目標は会社が据え置いているものの、達成の確度を示す新しい数値ガイダンスが十分に得られるまで、目標値と会社予想は区別して評価する必要がある。
次回開示で確認するポイント
- 北米大型案件の追加コスト・損失引当金・完工進捗と採算改善策。
- 電子セグメントの装置受注残と、薬品・メンテナンスなどサービス比率の変化。
- 2028年3月期の目標利益率16%に向けた利益改善額の具体的な内訳。
- CSVビジネスの売上・利益・成長率と、非継続事業を除いたROE・ROIC。
07|一次情報・算定条件
- 栗田工業 公式|中期経営計画「PSV-27」(最新中期目標・事業戦略)
- 栗田工業 有価証券報告書 第90期(2026年6月23日提出、経営目標・会社課題・会計区分)
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日公表、通期実績)
- 2026年3月期 決算説明会資料(スクリプト付)(2026年5月18日、PSV-27進捗・調整後指標)
- 工事損失に伴う業績予想修正のお知らせ(2026年10月29日、最新会社予想・中計目標据置)
- 栗田工業 統合レポート2026(2026年9月公表、CSVビジネス売上高・非財務指標)

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