自動運転事業
直近業績サマリー
| 業績項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 | 2026年9月期 Q3累計 | 2026年9月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,871 | 6,410 +2,539 / +65.6% | 5,178 前年同期 +30.0% | 8,484 前期比 +32.4% |
| 営業損益 | △7,229 | △10,506 △3,277 / 損失45.3%拡大 | △6,826 前年同期 損失5.3%改善 | △11,239 前期比 損失7.0%拡大 |
| 経常損益 | △4,834 | △5,504 △670 / 損失13.9%拡大 | △4,087 前年同期 損失14.4%拡大 | △6,593 前期比 損失19.8%拡大 |
| 当期純利益 | △4,834 | △4,799 +35 / 損失0.7%改善 | △4,174 前年同期 損失17.0%拡大 | △6,736 前期比 損失40.4%拡大 |
| EPS | △113.35円 | △108.29円 +5.06 / 損失4.5%改善 | △92.37円 前年同期比較なし | △138.03円 前期比 損失27.5%拡大 |
| 一株配当金 | 0.00円 | 0.00円 ±0.00 / 0.0% | 0.00円 前年同期比 0.0% | 0.00円 前期比 0.0% |
| 純資産 | 18,007 | 13,170 △4,837 / △26.9% | 10,037 前期末比 △23.8% | — — |
| 営業CF | △4,573 | △7,282 △2,709 / △59.2% | — Q3短信では未作成 | — — |
| 投資CF | △855 | △991 △136 / △15.9% | — Q3短信では未作成 | — — |
| 財務CF | 8,922 | 767 △8,155 / △91.4% | — Q3短信では未作成 | — — |
| フリーCF | △5,428 | △8,273 △2,845 / △52.4% | — Q3短信では未作成 | — — |
1.会社予想と実績
上場前の通期会社予想は公開比較データが限定的なため、2026年9月期の最新会社予想と第3四半期累計実績を比較。進捗率は単純計算です。
2.達成・未達理由
上場前のため、一般投資家向けに比較可能な期首会社予想を確認できず、達成・未達の判定対象外としました。実績は売上高6,410百万円、営業損失10,506百万円です。
会社は第4四半期に計上予定の案件について、受注・進捗状況を個別に精査したうえで通期予想を据え置いています。売上高達成には第4四半期に3,306百万円が必要です。自動運転EVバス「Minibus」の納品、実証案件・開発案件の進捗が計画通りに売上計上されることが主な条件です。
損失面では、第3四半期までに営業損失6,826百万円、経常損失4,087百万円を計上。通期予想までの追加損失余地は営業損失4,413百万円、経常損失2,506百万円です。研究開発費の規律ある執行、補助金収入、持分法投資損失の変動が着地を左右します。
3.事業セグメントの自信度
Mobility Service(モビリティサービス)
自信度:強気。実装地域の広がりに加え、KDDIとの大規模商用導入構想と受注地域の積み上がりが根拠。
2025年9月期において当社の実証実験・実装地域数は50地域でした。
社会実装の地域数が明確に拡大し、事業の量的拡大を確認できる表現です。
第3四半期までの実証実験・実装地域数の実績は44地域となっており、さらに2026年7月時点で58地域からの受注を獲得しております。
Q3時点の実装実績に加え、受注地域を先行開示しており、Q4以降への自信が強いと判断します。
Development Service(デベロップメントサービス)
自信度:強気。顧客数13件を維持しながら、トヨタ、いすゞ、コマツ、ヤマハ発動機など量産を見据えたOEM案件が拡大。
9件であった顧客数は、2026年9月期中間会計期間末においては、13件まで伸長しております。
顧客数の増加を主要KPIとして明示しており、案件パイプラインの拡大に自信が見られます。
2026年6月末時点で開発プロジェクト顧客数は13件となっております。
顧客数を維持しつつ各案件の商用化・量産化支援を進めており、収益化フェーズへの移行を意識した表現です。
Solution Service(ソリューションサービス)
自信度:中立〜強気。既存のライセンス・委託案件に加え、量産向けハードウェアとAI開発基盤へ提供領域を拡張。
ソフトウェアライセンスの売上の拡大や、新規のコンサルティングサービスの受託が進んでおります。
案件獲得は進む一方、政府委託事業など案件構成の影響を受けやすく、他2サービスより慎重に評価します。
自動運転レベル4に最適化した量産向け車載カメラ「MPシリーズ」の提供を開始しました。
ソフトウェア中心から量産向けハードウェアまで商材を広げており、エコシステム拡大への自信が強まっています。
4.最新予想信頼度
第3四半期の単純進捗率だけを見ると売上高61.0%で低く見えますが、会社は売上計上が第2・第4四半期に集中する事業特性を明示しており、第4四半期案件の受注・進捗を精査した上で予想を据え置いています。
達成できるとみる理由
- 会社がQ4案件を個別精査したうえで通期予想を据え置いている。
- Mobility Serviceでは2026年7月時点で58地域から受注を獲得し、Minibus納品の加速を見込む。
- Development Serviceでは主要OEMとの量産化案件が継続し、Q3売上も前年同期比で拡大。
- 研究開発費は前年同期比1.8%減で、売上総利益は31.6%増。コスト規律と粗利成長が両立している。
達成できない可能性がある理由
- Q4に3,306百万円の売上計上が必要で、2025年9月期Q4売上2,426百万円を約36%上回る必要がある。
- 車両納品・検収、開発マイルストーンの遅延が発生すると売上の期ずれ影響が大きい。
- 補助金収入の減少や持分法投資損失の増加は経常損失を悪化させる可能性がある。
- 研究開発投資は依然大きく、短期的な損益は案件構成と補助金収入に左右されやすい。
株式会社ティアフォー
最新中期成長戦略を分析
自動運転車両「1,800台超」への量産拡大と、約800台を目安とする黒字化へのロードマップ
01会社が掲げる目標業績・KPI
車両運用台数(累計) 1,800台超 2025年9月期実績114台から大幅拡大を計画
黒字化の目安 約800台 累計車両運用台数。黒字化する年度自体は明示されていない
売上高予想 84.84億円 前期比+32.4%。第3四半期発表時点でも据え置き
| 指標 | 2025年9月期実績 | 2026年9月期3Q累計 | 2026年9月期会社予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 64.10億円 | 51.78億円 | 84.84億円(前期比+32.4%) |
| 売上総利益 | 16.50億円 | 20.03億円 | 29.14億円 |
| 売上総利益率 | 約25.7% | 約38.7% | 約34% |
| 営業損益 | ▲105.06億円 | ▲68.26億円 | ▲112.39億円 |
| 経常損益 | ▲55.04億円 | ▲40.87億円 | ▲65.93億円 |
| 親会社株主帰属純損益 | ▲47.99億円 | ▲41.74億円 | ▲67.36億円 |
※ 金額は会社開示の百万円単位を億円換算。2026年9月期通期予想は第3四半期決算発表時点で変更なし。
- 分析 車両運用台数は2025年9月期の114台から2030年9月期1,800台超へ。 5年間で約15.8倍、年平均成長率に換算すると約73.6%以上が必要となります。
- 分析 経常利益黒字化の目安である約800台も、2025年9月期実績114台の 約7倍に相当します。
- 会社開示 黒字化時期を「○年9月期」と固定せず、車両運用台数を基準としている点が特徴です。
02目標達成へのロードマップ
IPOによる調達資金をAI・自動運転専用半導体などの研究開発、 車両量産に向けたサプライチェーン構築、人材・組織拡大へ投下。 2026年9月期から2028年9月期を中心に量産フェーズへの基盤を構築します。
既に実績と市場シェアを持つバス・シャトル、特殊用途車両では 「ファーストムーバー」戦略を採用。自治体、交通事業者、OEMとの連携を通じ、 社会実装と量産案件を積み上げます。
OEM向けシステム開発などの一時的な開発売上だけではなく、 自動運転キット・車両販売、ソフトウェアライセンス、アフターサービスなど、 車両運用台数に連動する量産・リカーリング収益を拡大します。
車両台数増加による売上・売上総利益の拡大と、 研究開発の効率化・規律ある投資を組み合わせ、 累計運用台数約800台を経常利益黒字化の目安としています。
バス・特殊用途車両で構築した技術・運用実績を横展開し、 トラック、タクシー、乗用車などにも対象領域を拡大。 AutowareとOEM・パートナーの資産を活用して投資効率を高めながら、 累計1,800台超を狙います。
上場調達資金:計204.47億円の投入計画
AI・自動運転専用半導体の設計開発など
調達・供給網、原価低減、海外営業など
エンジニア、SCM、グローバル・管理人材など
| 資金投入時期 | 予定額 | 位置付け |
|---|---|---|
| 2026年9月期 | 18.00億円 | 研究開発・量産準備・組織拡大を開始 |
| 2027年9月期 | 96.00億円 | 量産移行に向けた投資が本格化 |
| 2028年9月期 | 90.47億円 | 研究開発・供給体制・事業拡張を継続 |
| 合計 | 204.47億円 | 量産・社会実装フェーズへの移行資金 |
03達成を支える具体的な事業展開
| 領域 | 主な取り組み | 中期目標への意味 |
|---|---|---|
| バス・シャトル | いすゞ「ERGA」などOEMとのレベル4自動運転開発・量産化 | 運用台数を増加させる中核カテゴリー |
| 街中モビリティ | トヨタ「e-Palette」などで商用化・量産化を推進 | 量産型Mobility Serviceの拡張 |
| 通信・運行 | KDDIとの戦略的連携。累計1,000台規模を見据えた協業 | 2030年1,800台超に対する大規模な需要・運用基盤候補 |
| 特殊用途車両 | 空港、建機、防衛用途などで社会実装を拡大 | 一般乗用車より先に自動運転を導入しやすい市場を獲得 |
| AI・計算基盤 | NVIDIA、Astemoなどとの開発連携を強化 | 開発期間短縮・性能向上・開発効率化 |
| 海外 | 米国・英国などで自動運転車両の検証を推進 | 国内で蓄積したAutoware技術・運用モデルの横展開 |
※ 「累計1,000台」はKDDIとの協業に関する取り組みの方向性であり、 1,000台すべてが確定受注済みという意味ではありません。
042026年9月期の進捗を分析
- 第3四半期累計売上高は51.78億円。 通期84.84億円に対する進捗率は61.0%です。
- 分析 通期予想達成には第4四半期で33.06億円の売上が必要です。 これは年間売上高の約39%に相当します。
- 会社資料では2026年9月期の第4四半期売上構成も39%を想定。 過去年度も第4四半期の売上構成比は概ね38~49%と高く、 季節性だけを見れば異常に高い前提ではありません。
- 一方、自治体案件の車両納入、採択済みプロジェクト、 OEM開発案件などが第4四半期に集中するため、 納入・検収・案件進捗の遅延が通期数字へ直結します。
- 分析 売上総利益は通期29.14億円に対し3Q累計20.03億円。 残り必要額は約9.11億円で、必要売上33.06億円に対する単純な必要粗利率は 約27.6%です。売上そのものの達成がより大きな焦点と考えられます。
05目標達成リスク
2025年9月期114台から2030年9月期1,800台超には約15.8倍の拡大が必要です。 会社自身も、OEMとのパートナーシップ継続や、 現在まだ実装に至っていない提携の実装進展などを前提としており、 実績が目標から大きく乖離する可能性を記載しています。
自動運転は技術・制度・市場形成が発展途上です。 多額の研究開発投資と長い開発期間を要し、 全ての開発、実証実験、量産化が当初想定どおりに実現する保証はないと会社は開示しています。
自社が製造に関与する自動運転車で重大事故が発生した場合、 信用低下、社会実装の停滞、許認可への影響などを通じて、 事業展開・財政状態・業績に大きな影響を与える可能性があります。 会社は事故リスクを「顕在化可能性:小/影響度:大」としています。
センサー、コンピューター、電子部品などの供給逼迫・価格上昇は、 車両生産や納期、売上総利益率へ影響する可能性があります。 1,800台規模へ移行するほど、安定したサプライチェーン構築と原価低減が重要になります。
AI・自動運転ソフトウェアのエンジニアだけでなく、 量産・サプライチェーン・運行保守を担う人材も必要です。 採用・定着が計画どおり進まない場合、研究開発や量産能力の拡大を制約する可能性があります。
現段階では研究開発関連の補助金収入が経常損益を大きく下支えしています。 補助金は採択額・対象期間・入金時期が会社の想定と異なる可能性があり、 経常利益黒字化までの損益・キャッシュフローを見る際には注意が必要です。
06総合分析
- プラス材料: いすゞ、トヨタ、KDDI、NVIDIA、Astemoなど、 車両・通信・AI分野の大手企業との協業基盤を持ち、 Autowareを軸に幅広いエコシステムを形成しています。
- プラス材料: 2026年9月期は売上高と売上総利益が拡大しており、 3Q累計の売上総利益率も約38.7%まで上昇しています。
- 最大のハードル: 2030年1,800台超には車両台数を年率約74%で増やす必要があり、 実証実験の件数ではなく、OEM量産・納入・継続運用まで 実際に転換できるかが重要です。
- 収益面: 2026年9月期も100億円を超える営業損失を見込む先行投資局面です。 したがって売上成長だけでなく、 研究開発費の効率化と車両1台当たりの採算改善を同時に進める必要があります。
- 注目KPI: 今後は「売上高」だけでなく、 累計車両運用台数、量産OEM案件、売上総利益率、 研究開発費、補助金を除いた損益改善を追うことが、 中期計画の達成度を判断する上で重要です。
- 株式会社ティアフォー「事業計画及び成長可能性に関する事項」2026年7月22日
- 株式会社ティアフォー「2026年9月期 第3四半期決算説明資料」2026年8月14日
- 株式会社ティアフォー「2026年9月期 第3四半期決算短信」2026年8月14日
- 株式会社ティアフォー「2026年9月期の業績予想について(訂正)」2026年6月29日
- 株式会社ティアフォー 有価証券届出書「事業等のリスク」
※ 本稿の「分析」と明記した数値・評価は会社公表値を基にした単純計算・分析です。 本稿は開示資料の整理を目的とするもので、投資勧誘を目的とするものではありません。


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