IGS 4265 東証G
Institution for a Global Society Inc.|AIと独自アルゴリズムを用いた人材評価・教育評価サービスを展開し、GROW360+、Ai GROW、First GROW、Signals、インドGCC設立支援などを提供する。
※2026年6月29日時点の情報
事業内容
2026年6月29日の時価総額は約20.5億円。
Institution for a Global Society株式会社は2010年5月設立。本社は東京都渋谷区恵比寿南1-11-2 4F、代表者は代表取締役会長CEOの福原正大、代表取締役社長COOの中里忍、決算期は3月31日。東京証券取引所グロース市場に上場し、人が持つ気質、コンピテンシー、スキル、予測力を測定・可視化し、人的資本と教育効果のデータ活用を支援する。
2026年3月期は売上高659百万円、営業損失227百万円、経常損失186百万円、親会社株主に帰属する当期純損失281百万円。前期比では売上高が9.3%増加し、営業損失は2025年3月期の303百万円から227百万円へ縮小した。2027年3月期は売上高850百万円、営業利益10百万円、経常利益9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7百万円を見込む。
AI人材評価・教育評価事業:全社売上高の推移
IGSは、非認知能力、気質、コンピテンシー、スキル、予測力などを測定し、個人単位の能力データを組織単位へ集約する事業を展開する。
同社のサービスは、人事・採用・育成向けのHR領域、学校・自治体・教育機関向けの教育領域、企業の意思決定やグローバル人材確保を支援するグローバルPF領域にまたがる。
決算開示上はサービス別の売上・利益の長期推移を細かく開示していないため、投資判断では全社売上高、営業損益、現金残高、2027年3月期黒字転換予想の達成確度を中心に確認する必要がある。
GROW360+:企業向け人的資本・人材評価サービス
GROW360+は、従業員の気質、スキル、コンピテンシーを測定し、人材要件の策定、育成ベンチマーク、行動変容支援、人的資本開示向けデータ作成まで支援する企業向けサービスである。
特長は、多面観察でありながら、評価者の甘辛や忖度などのバイアスを独自アルゴリズムで補正する点にある。サービスページでは、360社・約100万件の能力データを蓄積していると記載されている。
採用時の適性検査だけでなく、入社後の配置、育成、昇格、管理職候補者の見極め、人的資本経営のデータ基盤として使えることが売りである。人的資本開示、ジョブ型人事、リスキリング、AI時代のスキル定義といったテーマが追い風になる。
一方で、企業向け人材評価・タレントマネジメント領域は競合が多い。SPIのような採用適性検査、タレントパレットのようなタレントマネジメントシステム、人的資本開示支援サービスと比較されるため、測定精度、導入実績、運用定着、データ活用支援の差別化が重要になる。
Ai GROW:教育機関向け非認知能力評価ツール
Ai GROWは、小学校から高校・大学まで、学習者一人ひとりの強みと成長を可視化する教育機関向け非認知能力測定ツールである。
4領域・25のコンピテンシーを360度評価と独自アルゴリズムによる評価補正で数値化し、探究型学習、キャリア教育、学校教育目標の達成状況評価に活用する。サービスページでは、8,700万件を超える評価データ、国内外630校への有償導入、文部科学省SSH指定校65校を含むと記載されている。
教育現場では、学力テストだけでは測りにくい探究力、協働性、課題設定力、創造力、主体性などをどう評価するかが課題になっている。Ai GROWは、非認知能力をデータ化し、学校単位の教育効果検証に使える点で、探究学習や高大接続改革と親和性が高い。
ただし、学校・自治体向けサービスは予算年度、導入審査、現場負荷、教員研修、データ活用体制に左右される。導入校数や評価データ蓄積が強みである一方、売上化までのリードタイムが長くなりやすい。
First GROW・Signals・インドGCC支援:新サービス群
First GROWは、幼児向けアセスメントサービスで、子どもの気質を8タイプに分析し、一人ひとりに合った関わりや成長支援へつなげる。保護者アンケートを通じて、保育・保護者支援、幼保小接続、小1プロブレム対策に活用するサービスとして位置付けられている。
Signalsは、企業向け予測市場プラットフォームである。組織内に分散した現場の見立てを集約し、従来の会議やアンケートでは拾いにくい知見を意思決定へ活かす。サービスページでは2026年3月にベータ版提供開始とされている。
インドGCC設立支援は、日本企業がインドでGlobal Capability Centerを立ち上げる際に、目的設計、組織設計、人材要件定義、人材評価の仕組みづくりまで伴走するサービスである。Quess Corp、Indo-Pacific Advisoryとの連携により、採用・労務・運営まで含めた体制を提供する。
これらの新サービスは、既存のGROW360+、Ai GROWで蓄積した評価技術を、幼児教育、組織意思決定、グローバル先端人材確保へ拡張する取り組みである。短期的には売上規模が限られる可能性があるが、2027年3月期の黒字転換後に、次の成長テーマとして評価されやすい。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) |
720 | 668 △52 / △7.2% |
916 +248 / +37.1% |
602 △314 / △34.3% |
659 +57 / +9.3% |
850 +191 / +29.0% |
| 営業損益 (百万円) |
39 | △80 △119 / 赤字転落 |
△21 +59 / 赤字縮小 |
△303 △282 / 赤字拡大 |
△227 +76 / 赤字縮小 |
10 +237 / 黒字転換 |
| 経常損益 (百万円) |
21 | △80 △101 / 赤字転落 |
△21 +59 / 赤字縮小 |
△295 △274 / 赤字拡大 |
△186 +109 / 赤字縮小 |
9 +195 / 黒字転換 |
| 当期純利益 (百万円) |
44 | △125 △169 / 赤字転落 |
△21 +104 / 赤字縮小 |
△336 △315 / 赤字拡大 |
△281 +55 / 赤字縮小 |
7 +288 / 黒字転換 |
| EPS (円) |
9.23 | △26.23 △35.46 / 赤字転落 |
△4.41 +21.82 / 赤字縮小 |
△70.50 △66.09 / 赤字拡大 |
△58.96 +11.54 / 赤字縮小 |
1.56 +60.52 / 黒字転換 |
| PER (倍) |
120.48 | - | - | - | - | 275.64 |
| PBR (倍) |
4.64 | 2.29 | 1.95 | 2.01 | 3.89 | 4.29 |
| BPS (円) |
239.41 | 216.55 △22.86 / △9.5% |
212.77 △3.78 / △1.7% |
147.72 △65.05 / △30.6% |
100.30 △47.42 / △32.1% |
- |
| 純資産 (百万円) |
1,141 | 1,032 △109 / △9.6% |
1,014 △18 / △1.7% |
704 △310 / △30.6% |
478 △226 / △32.1% |
- |
| 営業CF (百万円) |
115 | △60 △175 / 悪化 |
△258 △198 / 悪化 |
△225 +33 / 改善 |
26 +251 / 黒字転換 |
- |
| 投資CF (百万円) |
8 | △8 △16 / 悪化 |
△26 △18 / 支出増 |
△83 △57 / 支出増 |
△38 +45 / 支出減 |
- |
| 財務CF (百万円) |
638 | 16 △622 / △97.5% |
2 △14 / △87.5% |
△1 △3 / マイナス転落 |
184 +185 / プラス転換 |
- |
| 現金及び現金同等物 (百万円) |
966 | 912 △54 / △5.6% |
631 △281 / △30.8% |
321 △310 / △49.1% |
493 +172 / +53.6% |
- |
中期経営計画
現行中期経営計画は未確認、2027年3月期黒字転換予想と新サービス展開を確認
2026年6月29日時点で、公式IRサイト上に期間・売上高・営業利益・ROEなどを体系的に定めた独立した中期経営計画資料は確認できない。このため、2027年3月期会社予想、事業計画及び成長可能性に関する事項、サービスページで確認できる新サービス群を中期的な経営方針として読む必要がある。
| 2027年3月期 通期会社予想 | 金額 | 前期比・内容 |
|---|---|---|
| 売上高 | 850百万円 | +29.0% |
| 営業利益 | 10百万円 | 黒字転換 |
| 経常利益 | 9百万円 | 黒字転換 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7百万円 | 黒字転換 |
| 1株当たり当期純利益 | 1.56円 | 会社予想 |
基本方針は、GROW360+とAi GROWの評価データ基盤を軸に、人的資本経営、教育評価、組織意思決定、グローバル先端人材確保へ事業領域を広げることにある。
HR領域では、GROW360+により従業員の気質・能力を測定し、人的資本開示、人材要件定義、育成、配置、行動変容支援へ展開する。教育領域では、Ai GROWにより学校・自治体・大学向けに非認知能力評価と教育効果の定量化を提供する。
新規領域では、First GROW、Signals、インドGCC設立支援が成長オプションになる。特にインドGCC設立支援は、AI・DX推進に必要な高度人材を日本企業が確保するためのサービスであり、既存の評価技術をグローバル人材の採用・組織設計へ広げる位置付けである。
2027年3月期は、売上高850百万円、営業利益10百万円と黒字転換を見込む。ただし、過去5期の営業損益は2022年3月期を除き赤字が続いており、収益回復の持続性、営業キャッシュ・フローの安定化、現金残高の確保が重要な確認点になる。
IR資料へ競合他社
株価は約10,790円、時価総額は約16兆6,319億円。HRテクノロジー、人材派遣、マッチング領域を持つ巨大企業であり、IGSとは採用・人材評価・人材データ活用の領域で比較対象になる。
2026年3月期は売上収益3兆6,973億円、営業利益6,305億円。HRテクノロジー事業、人材派遣事業、マーケティング・マッチング・テクノロジー事業がいずれも増収となり、営業利益は前年同期比28.5%増となった。
競合製品は、リクルートマネジメントソリューションズの適性検査SPI3である。SPI3は能力検査と性格検査で構成され、採用時の応募者理解、配属先決定、入社後の相互理解、育成支援に使われる。IGSのGROW360+も、採用候補者や従業員のコンピテンシー・気質を測定し、採用・昇進・育成へ使うため、人材評価と採用選考支援で競合する。
株価は約2,609円、時価総額は約1,103億円。タレントマネジメントシステム「タレントパレット」を展開し、人材データ分析、科学的人事、人的資本経営の領域で存在感を持つ。
2026年9月期第2四半期は売上高93.41億円、営業利益36.92億円。前年同期比で売上高14.2%増、営業利益32.2%増となり、HRソリューション事業が成長を牽引している。
タレントパレットは、人材データを一元化・分析し、育成、最適配置、離職防止、採用強化などを支援する。IGSのGROW360+が提供する気質・コンピテンシー測定、人的資本開示向けデータ活用と重なり、採用検査単体よりも入社後の配置・育成・評価を含めたHRデータ活用領域で競合性が高い。
株価は約168円、時価総額は約17.3億円。教育測定、テスト運営、AI自動採点、テストセンターなどを展開し、教育評価・能力測定の領域でIGSと比較される企業である。
2026年9月期第2四半期は売上高28.93億円、営業利益1.54億円。前年同期比では売上高2.0%減、営業利益10.0%減となったが、テストセンター事業とAI関連サービスを持つ。
競合領域は、教育測定、学力・能力評価、CBT、AI採点、教育機関向け評価・分析サービスである。IGSのAi GROWは、生徒・学生の資質・能力や教育活動の効果を定量化する教育機関向け評価ツールであり、EduLabの教育測定・テスト分析・AI採点・CBT関連サービスと競合する。
強みと将来性
IGSの強みは、人の能力や気質を測る技術を、教育機関向けと企業向けの両方へ展開している点にある。
GROW360+とAi GROWは、360度評価と独自アルゴリズムによるバイアス補正を中核にしている。人を評価する際には、評価者の経験、関係性、甘辛、忖度、無意識の偏りが入り込みやすい。IGSはその課題に対して、複数視点の評価とアルゴリズム補正を組み合わせ、より公平で信頼性の高いデータを提供することを打ち出している。
教育領域では、8,700万件を超える評価データ、630校への有償導入実績がある。人的資本領域では、360社・約100万件の能力データを蓄積している。教育データと企業人材データを持つ点は、採用検査専業やタレントマネジメント専業とは異なる。
将来性は、人的資本経営、AI時代のスキル再定義、探究学習、非認知能力評価、グローバル人材確保という複数のテーマに接続していることにある。単なる検査サービスではなく、評価データを使って育成、配置、教育効果検証、組織意思決定へ広げられる可能性がある。
2027年3月期会社予想では、売上高850百万円、営業利益10百万円、当期純利益7百万円と黒字転換を見込む。過去数期の赤字が続いた後の黒字転換予想であるため、達成できれば事業の固定費吸収力と収益モデルの改善を市場が評価しやすい。
また、First GROW、Signals、インドGCC設立支援など、新しいサービスが複数立ち上がっている。特にインドGCC設立支援は、AI・DX人材の確保を目的とする日本企業に対して、組織設計と人材評価の仕組みを提供するため、GROW360+の評価技術を海外人材採用・組織構築に応用する展開といえる。
弱みとリスク要因
最大のリスクは、収益基盤がまだ安定していないことである。2023年3月期、2024年3月期、2025年3月期、2026年3月期は営業赤字であり、2027年3月期の営業利益10百万円予想は黒字転換ではあるが、利益水準は小さい。
売上高は2024年3月期916百万円から2025年3月期602百万円へ減少し、2026年3月期は659百万円にとどまった。2027年3月期の売上高850百万円予想を達成するには、既存サービスの更新・拡販だけでなく、新サービスの売上寄与が必要になる。
財務面では、2026年3月期末の現金及び現金同等物は493百万円、純資産は478百万円。2025年3月期末の現金及び現金同等物321百万円からは増加したが、赤字が続く場合には手元資金と資金調達の確認が重要になる。
教育機関向けサービスは、学校や自治体の予算、導入審査、教員研修、年度単位の運用に左右される。企業向けサービスも、人事制度、評価制度、人的資本開示の方針に組み込まれるまで時間がかかる。導入リードタイムが長い場合、売上の期ずれや営業活動費の先行が起こりやすい。
競争環境も厳しい。採用検査ではSPI3のような既存サービスが強く、人的資本経営ではタレントパレットのような人材データプラットフォームが存在する。教育測定ではEduLabのようなテスト・AI採点企業と比較される。IGSは測定技術とデータ補正を強みとする一方、販売力、導入支援、価格、ブランド認知で大手と競争する必要がある。
株価面では、上場後初の決算期末だった2022年3月末終値1,112円から、2025年3月末終値297円まで下落し、2026年3月末終値は390円だった。2026年6月29日終値430円を基準にした会社予想PERは高水準となり、2027年3月期の黒字転換が遅れた場合、株価評価の変動が大きくなりやすい。
出典
- Institution for a Global Society株式会社 公式サイト
- Institution for a Global Society株式会社 会社概要
- Institution for a Global Society株式会社 サービス
- Institution for a Global Society株式会社 IR情報
- Institution for a Global Society株式会社 決算短信
- Institution for a Global Society株式会社 決算説明資料
- Institution for a Global Society株式会社 IR資料
- リクルートマネジメントソリューションズ SPI3
- プラスアルファ・コンサルティング タレントパレット
- EduLab 事業内容

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