海帆 3133東証G
事業内容
株式会社海帆は2003年5月14日設立、本社は愛知県名古屋市中村区名駅4丁目15-15名古屋綜合市場ビル。代表者は守田直貴、3月決算、東証グロース上場。事業内容は、居酒屋を中心とした飲食店舗の企画開発及び運営、再生可能エネルギー資源を利用した発電所の開発・発電・売電、医療機関の開設・運営に関するコンサルティング。
2026年3月期は売上高3,152百万円、営業損失1,438百万円、経常損失1,591百万円、親会社株主に帰属する当期純損失5,135百万円。飲食事業は増収傾向を維持した一方、再生可能エネルギー事業とメディカル事業の先行費用、ネパール共和国の水力発電事業を含む見直し、のれん及び固定資産に係る減損損失が業績を大きく押し下げた。
飲食事業
飲食事業は海帆の中核セグメントであり、2026年3月期の売上構成比は約78.1%。
公式サービスページでは「新時代(FC加盟)」や「昭和食堂」などの居酒屋業態を中心に、「えびすや」「BABY FACE PLANET’S」「治郎丸」「葵屋」「しんぱち食堂」「関西とんかつまほろば」など複数ブランドを展開している。
主力ブランドの方向性は、大衆居酒屋、焼鳥・鶏皮串、寿司・海鮮居酒屋、定食、肉業態、ファミリーレストラン型の多業態展開である。
「新時代」はFC加盟形態で展開され、パリモチ鶏皮串「伝串」など、低価格で回転率を取りやすい酒場需要を取り込む業態として位置づけられる。
「昭和食堂」は旧来型の大衆居酒屋需要を対象とし、宴会、会社員、地域飲食需要に対応する。
「えびすや」は鮮魚、寿司、海鮮系メニューを扱う居酒屋業態であり、「葵屋」は寿司居酒屋・海鮮酒場の需要と重なる。
「しんぱち食堂」は定食・焼魚需要を取り込む業態で、夜間居酒屋だけでなく食事需要にも接点を持つ。
業態数が多い点は、特定ブランドへの過度な依存を避ける一方、店舗管理、仕入れ、人材、ブランド別採算の見極めが複雑になりやすい。
2026年3月期の決算短信では、グループの飲食店舗について「新時代」20店舗、海帆運営27店舗、子会社SSS運営15店舗などの記載があり、FC店舗を含む運営体制となっている。
同期の飲食事業は売上2,460百万円、セグメント損失14百万円。売上規模は前年から小幅に増加したが、利益面では損失に転じた。
2024年3月期と2025年3月期に飲食セグメントが黒字で推移していたことを考えると、飲食単体の採算が再び安定化するかが全社損益の基礎となる。
低価格居酒屋は集客力が高い反面、食材、人件費、家賃、水道光熱費、販促費の上昇を価格へ転嫁しにくい。
海帆の場合、飲食事業の店舗網は東海圏・関西圏の既存ブランドを中心に構成されるため、出店余地よりも既存店の客数、客単価、営業時間、人員配置、ブランド入替の巧拙が短期業績に反映されやすい。
投資目線では、飲食セグメントの売上増加率だけでなく、セグメント利益率、赤字店舗の閉鎖・業態転換、FCと直営の採算差、食材・人件費上昇への対応が確認ポイントとなる。
再生可能エネルギー事業
再生可能エネルギー事業は、脱炭素・低炭素社会への対応を背景に、太陽光発電設備、営農型太陽光発電、発電所開発・売電を扱う事業。
公式サイトでは、再生可能エネルギー資源を利用した発電所の開発、発電、売電を事業内容として掲げている。
営農型太陽光発電では、発電設備の下部などで農作物を栽培し、収穫物を自社飲食店舗の食材として活用する構想も示されている。
飲食事業とのシナジーは、農産物供給、企業イメージ、地域連携、エネルギーコスト対応の文脈で説明しやすい。
一方で、2026年3月期の決算短信では、太陽光発電設備の購入・売却に加え、ネパール共和国における水力発電事業を含めた事業見直しに関する記載がある。
同期の再生可能エネルギー事業は売上194百万円、セグメント損失186百万円。売上は拡大したが、セグメント損失も拡大した。
事業計画及び成長可能性資料では、2026年3月期に太陽光発電設備の仕入資金調達に苦戦し、完成設備が計画の半分程度にとどまった旨が示されている。
これは、事業のボトルネックが需要だけでなく、設備取得資金、施工・完成タイミング、在庫回転、売却先、金利負担、評価損リスクにもあることを示す。
再生可能エネルギー事業は、飲食事業よりも案件単位の収益変動が大きい。
固定価格買取制度、設備価格、系統連系、天候、金利、発電量、案件在庫の評価など、外部要因が損益に反映されやすい。
海帆の株価材料としては、飲食事業より再エネ関連の開示が短期的な注目材料になりやすい一方、現時点では安定収益源として確認する段階ではない。
2026年3月期に大きな減損損失が発生した点から、投資判断では「売上計上」よりも「資金回収」「採算」「追加減損の有無」「資金調達条件」を重視する必要がある。
再生可能エネルギー事業が全社評価を押し上げるには、単発売上ではなく、案件パイプライン、利益率、キャッシュ回収、借入依存度の低下が確認されることが前提となる。
メディカル事業
メディカル事業は、2025年3月期から連結子会社化したKaihan Medicalを中心に、医療機関の開設・運営に関するコンサルティングを扱う事業。
公式会社概要では、医療機関の開設・運営に関するコンサルティングが事業内容として明記されている。
2025年3月期の決算短信では、株式会社BOBS、株式会社Kaihan Medicalが連結範囲に加わり、その後BOBSはKaihan Medicalを存続会社とする吸収合併により消滅した旨が記載されている。
2026年3月期の決算短信では、メディカル事業について、医療機関に対する広告、SNS、予約管理、経営管理などの支援に関する説明がある。
売上面では2025年3月期280百万円から2026年3月期498百万円へ伸びた。
しかし、2026年3月期はセグメント損失212百万円となり、前年の利益107百万円から大きく悪化した。
メディカル事業は飲食事業と顧客基盤が異なり、医療機関向けの業務支援、広告・予約導線、運営管理のノウハウが必要となる。
飲食の店舗運営ノウハウと、医療機関向け運営支援は、同じ「店舗型サービス」ではあるが、規制、顧客単価、集客導線、広告表現、コンプライアンスの前提が異なる。
このため、メディカル事業は新たな収益柱となる可能性を持つ一方、グループ管理、事業買収後の統合、のれん評価、固定費負担がリスクとなる。
2026年3月期には、のれんに係る減損損失が連結業績に大きく影響した。
投資目線では、メディカル事業の売上増加よりも、黒字回復、契約継続率、広告費と人件費のコントロール、減損後の資産規模、短期借入への依存度を確認する必要がある。
2026年6月30日の資金借入開示では、Kaihan Medicalが125百万円を年利15%、借入期間3か月で借り入れる内容が示されており、同事業の資金繰りと金利負担は短期的な確認ポイントとなる。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) |
776 | 2,087+1,311百万円+168.9% | 2,442+355百万円+17.0% | 2,791+349百万円+14.3% | 3,152+361百万円+12.9% | 未定 |
| 営業損益 (百万円) |
△703 | △601+102百万円赤字縮小 | △587+14百万円赤字縮小 | △462+125百万円赤字縮小 | △1,438△976百万円赤字拡大 | 未定 |
| 経常損益 (百万円) |
△348 | △633△285百万円赤字拡大 | △568+65百万円赤字縮小 | △504+64百万円赤字縮小 | △1,591△1,087百万円赤字拡大 | 未定 |
| 当期純利益 (百万円) |
△453 | △1,135△682百万円赤字拡大 | △712+423百万円赤字縮小 | △737△25百万円赤字拡大 | △5,135△4,398百万円赤字拡大 | 未定 |
| EPS (円) |
△7.26最新株式数で再計算 | △18.18△10.93円悪化 | △11.41+6.78円改善 | △11.81△0.40円悪化 | △82.27△70.46円悪化 | 未定 |
| PER (倍) |
赤字 | 赤字 | 赤字 | 赤字 | 赤字 | 未定 |
| PBR (倍) |
38.6 | 99.1 | 65.6 | 36.8 | 54.0 | 未定 |
| BPS (円) |
6.22最新株式数で再計算 | 4.09△2.13円△34.2% | 14.26+10.17円+248.9% | 22.53+8.27円+58.0% | 3.93△18.60円△82.5% | 未定 |
| 純資産 (百万円) |
449 | 290△159百万円△35.4% | 890+600百万円+206.9% | 1,482+592百万円+66.5% | 493△989百万円△66.7% | 未定 |
| 営業CF (百万円) |
△179 | △578△399百万円悪化 | △632△54百万円悪化 | △293+339百万円改善 | △1,104△811百万円悪化 | 未定 |
| 投資CF (百万円) |
41 | △1,293△1,334百万円悪化 | △759+534百万円改善 | △395+364百万円改善 | △1,305△910百万円悪化 | 未定 |
| 財務CF (百万円) |
1,599 | 625△974百万円△60.9% | 1,708+1,083百万円+173.3% | 321△1,387百万円△81.2% | 2,408+2,087百万円+650.2% | 未定 |
| 現金及び現金同等物 (百万円) |
1,506 | 260△1,246百万円△82.7% | 577+317百万円+121.9% | 209△368百万円△63.8% | 208△1百万円△0.5% | 未定 |
中期経営計画
事業計画及び成長可能性資料に基づく方針
2026年6月30日公表の「事業計画及び成長可能性に関する事項」では、客観的な経営指標として売上高成長率と経常利益率が示されている。
基本方針は、売上を最大に伸ばし、経費を最小に抑え、経常利益率を高めること。
2027年3月期の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の具体的な会社予想は未定。
決算短信では、連結子会社ののれんに係る減損損失、ネパール共和国における水力発電事業を含む各事業の見直しにより、業績予想の合理的な算定が困難とされている。
事業戦略面では、飲食事業の既存店収益改善、再生可能エネルギー事業の案件化と資金回収、メディカル事業の採算改善が中心課題となる。
2026年6月30日の資金借入開示では、短期借入金の返済を目的に、海帆が78百万円、Kaihan Medicalが125百万円を借り入れる内容が示されており、短期の資金繰り管理も重要な確認項目となる。
競合他社
2026年7月3日15:30時点の時価総額は約395.69億円、株価は約927円。
2026年3月期の連結業績は売上高93,268百万円、営業利益4,837百万円、経常利益6,435百万円。
「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」「焼肉の和民」「かみむら牧場」「すしの和」などを展開し、国内外食事業の回復が業績を牽引している。
海帆との競合軸は、駅前・繁華街の大衆居酒屋、焼鳥・鶏料理、宴会需要、会社員・若年層向けの低価格酒場需要。
とくに「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」は、海帆の「新時代」「昭和食堂」と利用シーンが重なりやすい。
2026年7月3日15:30時点の時価総額は約329.72億円、株価は約2,837円。
2026年7月期第3四半期累計の連結業績は売上高38,318百万円、営業利益2,367百万円。
主力ブランドは「鳥貴族」で、焼鳥居酒屋、均一価格、FC展開、海外展開を軸に成長してきた企業。
海帆との競合軸は、焼鳥・鶏皮串、低価格居酒屋、若年層・会社員需要、駅前立地、酒場の回転率。
海帆の「新時代」は鶏皮串「伝串」を前面に出す業態であり、焼鳥・鶏料理を入口とする集客ではエターナルホスピタリティグループとの比較対象になりやすい。
2026年7月3日15:30時点の時価総額は約324.30億円、株価は約3,130円。
2026年3月期の連結業績は売上高25,914百万円、営業利益2,995百万円。
「や台ずし」「ニパチ」「ひとくち餃子の頂」「これや」など、寿司居酒屋、低価格居酒屋、串カツ、海鮮居酒屋を展開する。
海帆との競合軸は、寿司・海鮮酒場、大衆居酒屋、低価格メニュー、地方都市・繁華街の飲酒需要。
海帆の「葵屋」「昭和食堂」「えびすや」と、ヨシックスの「や台ずし」「ニパチ」は、価格帯、利用時間帯、宴会・二次会需要で競合しやすい。
強みと将来性
海帆の強みは、飲食事業で複数ブランドを持ち、単一業態だけに依存しない店舗ポートフォリオを形成している点。
「新時代」「昭和食堂」「えびすや」「葵屋」「しんぱち食堂」などは、居酒屋、海鮮、寿司、定食、肉業態など利用シーンが分散している。
低価格酒場や大衆居酒屋は、景気後退局面でも一定の外食需要を取り込みやすい。
飲食事業が黒字化していた2024年3月期と2025年3月期の実績は、既存店運営と業態管理が機能すれば、全社の基礎収益を支える可能性を示している。
再生可能エネルギー事業は、既存の飲食事業とは異なる成長材料を持つ。
太陽光発電、営農型太陽光、発電所開発・売電は、外食株だけでは評価されにくいテーマ性を持ち、資金調達や案件化が進む局面では株価材料になりやすい。
メディカル事業も、医療機関向け広告、SNS、予約管理、経営管理など、飲食とは異なるサービス領域に接点を広げる事業。
事業の将来性は、飲食事業の収益安定、再エネ事業の案件採算、メディカル事業の黒字回復が同時に進むかに左右される。
時価総額が競合大手に比べて小さいため、各事業の改善が確認された場合の業績インパクトは相対的に大きく見えやすい。
ただし、現時点では赤字幅と財務負担が重く、成長ストーリーは実績による確認が必要な段階。
株価評価の焦点は、テーマ性そのものではなく、減損後の損益正常化、営業キャッシュ・フローの改善、短期借入依存の低下、既存飲食店の黒字基調維持に移る。
弱みとリスク要因
最大の弱みは、直近5期すべてで当期純損失を計上していること。
2026年3月期は売上高が増加したにもかかわらず、営業損失1,438百万円、経常損失1,591百万円、親会社株主に帰属する当期純損失5,135百万円と損失が急拡大した。
同期末の純資産は493百万円、自己資本は245百万円まで低下し、自己資本比率は4.9%。
営業キャッシュ・フローは2022年3月期から2026年3月期まで継続してマイナスであり、2026年3月期は△1,104百万円。
投資キャッシュ・フローも大きくマイナスで、財務キャッシュ・フローによる資金調達が資金繰りを支える構図になっている。
2026年6月30日の資金借入では、海帆が78百万円を年利3%、Kaihan Medicalが125百万円を年利15%で短期借入しており、金利負担と返済期限は短期リスクとして残る。
再生可能エネルギー事業は、案件の仕入資金、完成時期、売却時期、発電量、制度変更、天候、金利の影響を受けやすい。
メディカル事業は買収後の統合、のれん評価、広告・予約管理サービスの採算、医療関連の規制対応がリスクとなる。
飲食事業も、食材価格、人件費、水道光熱費、採用難、店舗賃料、インバウンド・宴会需要の変動に影響される。
低価格居酒屋は価格競争力が集客力になる一方、コスト上昇局面では利益率が圧迫されやすい。
2027年3月期の業績予想が未定であることは、投資家にとって収益見通しを置きにくい要因。
短期の株価変動は開示材料に反応しやすいが、中期的な企業価値は、営業損益の改善、キャッシュ・フローの黒字化、追加減損の有無、借入返済の進捗で判断される。
出典
- 株式会社海帆 公式サイト
- 株式会社海帆 事業紹介
- 株式会社海帆 IR情報
- 株式会社海帆 2026年3月期 決算短信
- 株式会社海帆 2026年3月期 有価証券報告書
- 株式会社海帆 事業計画及び成長可能性に関する事項
- 株式会社海帆 資金の借入に関するお知らせ
- ワタミ株式会社 IRライブラリ
- エターナルホスピタリティグループ IRライブラリ
- ヨシックスホールディングス IRライブラリ

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