7746 岡本硝子

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岡本硝子 7746 東証S

OKAMOTO GLASS CO., LTD.|特殊ガラスと薄膜蒸着技術を基盤に、プロジェクター用反射鏡・フライアイレンズ、ガラス偏光子、放熱基板、ガラスフリット、海洋・医療向けガラス製品を展開する素材・部材メーカー。
※2026年6月16日時点の情報

事業内容

2026年6月16日終値ベースの時価総額は約261億円。
岡本硝子は1928年設立、千葉県柏市に本社を置く特殊ガラス・薄膜製品メーカーです。代表者は代表取締役会長兼CEOの岡本毅氏で、決算期は3月、上場市場は東証スタンダードです。2026年3月期の連結売上高は4,731百万円でした。
直近の2026年3月期は、プロジェクター需要の低迷と偏光子の発注急減があり、営業損失78百万円、経常損失82百万円、親会社株主に帰属する当期純損失149百万円となりました。一方で、2027年3月期会社予想は売上高5,547百万円、営業利益192百万円、経常利益123百万円、親会社株主に帰属する当期純利益75百万円です。

光学事業

2026年3月期の売上高は2,060百万円、セグメント利益は211百万円。
主な製品はプロジェクター用反射鏡、フライアイレンズ、デジタルシネマ用映写機の反射鏡です。
同社資料では、プロジェクター用反射鏡で世界シェア約99.6%、プロジェクター用フライアイレンズで世界シェア約73.5%を掲げています。
反射鏡は赤外線を透過し可視光を反射するコールドミラーとして、プロジェクターや歯科照明用途などに使われています。
フライアイレンズはプロジェクター内部の照明光学系に用いられるガラスレンズで、同社の精密成型技術が生きる領域です。
2026年3月期は、プロジェクター需要が世界的に低迷し、ビジネス用途の縮小傾向が続きました。
プロジェクター用反射鏡の販売数量は前期比で減少し、フライアイレンズの販売数量も減少しました。
ただし、売上高は反射鏡、フライアイレンズとも前期比で増加しています。
フライアイレンズ生産用ガラス溶融炉を更新し、2025年4月より稼働開始したことで減価償却費が増加し、セグメント利益は減少しました。
同社の中期経営計画では、既存のプロジェクター市場に加え、照明市場、車載市場向けの製品拡充も掲げています。

照明事業

2026年3月期の売上高は438百万円、セグメント利益は5百万円。
主な製品は自動車用ヘッドライト・フォグライト用カバーガラス、一般照明用ガラス製品です。
ガラス成型品の製品群には、車載ヘッドランプカバーガラス、航空機シグナルガラス、道路灯カバーガラスなどがあります。
自動車や航空機向けのカバーガラスは、強度や耐久性など厳しい品質基準が求められる用途です。
2026年3月期は、自動車ヘッドライト・フォグライト用カバーガラスの売上高が減少し、照明事業全体では減収となりました。
一方、不採算製品の撤収などにより、前期のセグメント損失から黒字化しています。
既存の照明市場向けには、精密成型技術を応用した微細フライアイレンズや新導光体デバイスの投入も中期経営計画で示されています。

機能性薄膜・ガラス事業

2026年3月期の売上高は1,338百万円、セグメント利益は2百万円。
主な製品はガラス偏光子、ガラス容器への加飾蒸着、高耐久性銀ミラー「Hi-Silver」、フリット、放熱基板などです。
薄膜蒸着では、真空蒸着法を用いて光学薄膜、機能性薄膜、加飾コーティングを提供しています。
紫外から赤外までの光学フィルタ、ミラー、反射防止膜、赤外線カットフィルタ、加飾蒸着など、多様な波長・基材・形状に対応します。
ガラス偏光子は、光通信用の光アイソレータに関係する部品として、データセンター投資の活発化と関係が深い製品です。
2026年3月期は、ファラデー回転子の需給逼迫を背景に偏光子の発注が急減し、機能性薄膜・ガラス事業の利益を押し下げました。
一方で、ガラス容器への加飾蒸着の売上高は増加しました。
放熱基板では、株式会社U-MAPが開発した繊維状AlNフィラー「Thermalnite」と岡本硝子のシート化技術を組み合わせた、高強度AlN基板を展開しています。
2026年3月期には、窒化アルミニウム放熱基板について発光デバイス向けの量産認定を受けた一方、その他用途で顧客の量産認定が遅れ、販売が想定を下回ったため製造設備の減損損失を計上しました。

その他

2026年3月期の売上高は894百万円、セグメント利益は222百万円。
主な内容は、デンタルミラーなどの医療向けガラス製品、洗濯機用ドアガラス、海洋・特機関連製品などです。
同社資料では、歯科用デンタルミラーで世界シェア約7割を掲げています。
海洋関連では、海洋探査機「江戸っ子1号」や耐圧ガラス球などを展開しています。
2026年3月期は、江戸っ子1号などの海洋・特機の売上高が増加し、その他セグメントは増収増益となりました。
中期経営計画では、レアアース採掘向けの超高圧耐圧ガラス球など、海洋事業向け製品の拡充も掲げています。
ハイテク製品に集中するだけでなく、深海・医療などニッチな用途で長年培ったガラス技術を活かす点が特徴です。

直近5年業績サマリー

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 5,069 4,886
△183 / △3.6%
4,583
△303 / △6.2%
4,686
+103 / +2.2%
4,731
+45 / +1.0%
5,547
+816 / +17.2%
営業損益 225 133
△92 / △40.9%
61
△72 / △54.1%
126
+65 / +106.6%
△78
△204 / 赤字転落
192
+270 / 黒字転換
経常損益 159 146
△13 / △8.2%
146
+0 / +0.0%
84
△62 / △42.5%
△82
△166 / 赤字転落
123
+205 / 黒字転換
親会社株主帰属当期純損益 △87 214
+301 / 黒字転換
101
△113 / △52.8%
89
△12 / △11.9%
△149
△238 / 赤字転落
75
+224 / 黒字転換
EPS(一株利益) △2.99円 7.36円 3.47円 3.06円 △5.12円 2.58円
PER(期末日株価ベース) ― 18.6倍 39.5倍 56.5倍 ― ―
PBR(期末日株価ベース) 3.01倍 2.60倍 2.35倍 2.79倍 12.38倍 ―
BPS 44.21円 52.70円 58.20円 61.98円 90.44円 ―
純資産 1,286 1,533 1,693 1,803 2,631 ―
営業CF 373 423 337 370 335 ―
投資CF △713 △256 △473 △846 △251 ―
財務CF △339 △288 220 617 241 ―
現金及び現金同等物 1,657 1,531 1,665 1,802 2,158 ―
単位は百万円。EPS、PER、PBR、BPSは2026年3月期末の自己株式控除後株式数29,091,602株を基準に再計算。PERおよびPBRは各決算期末の大引け終値で算出し、2027年3月期会社予想列は期末株価未定のため空欄。
2026年3月期は第10回新株予約権の行使完了により発行済株式数が増加。継続企業の前提に関する注記は該当事項なし。

中期経営計画

中期経営計画 GROWTH 28

岡本硝子は、2027年3月期から2029年3月期までの3カ年を対象とする中期経営計画「GROWTH 28」を策定しています。
2029年3月期の連結財務目標は、売上高100億円、営業利益率10.0%以上です。
基本方針は、事業ポートフォリオ転換の加速化です。AIデータセンター市場の急拡大に伴い、急速に高まる製品需要へ対応するため、放熱基板とガラス偏光子の生産能力拡大投資を主軸に置いています。
放熱基板は、AI半導体の発熱やパワー半導体の絶縁放熱に対応する戦略製品です。中期経営計画では、新潟県柏崎市の新潟工場で放熱基板の生産能力を拡大し、2027年3月期後半にPh-2の量産稼働を計画しています。
ガラス偏光子は、光通信用光アイソレータに関係する部品として、データセンター向け光通信需要の拡大を取り込む計画です。千葉県柏市の本社工場で生産能力を拡大し、2027年3月期後半にPh-2の量産稼働を計画しています。
既存事業では、プロジェクター市場に加え、照明市場、車載市場向けの微細フライアイレンズや新導光体デバイスの展開、海洋事業向けの超高圧耐圧ガラス球の拡充を進める方針です。
中期経営計画資料へ

強みと将来性

① グローバルニッチトップ製品と3つのコア技術

岡本硝子の強みは、硝材開発技術、精密成型技術、薄膜蒸着技術を組み合わせられる点です。
中期経営計画資料では、プロジェクター用反射鏡、プロジェクター用フライアイレンズ、歯科用デンタルミラーを世界シェアNo.1製品として示しています。
単にガラスを成型するだけでなく、材料開発、精密形状の成型、表面への機能付与まで一貫して対応できるため、顧客の用途に合わせたカスタム開発がしやすい企業です。
高温でのガラス成型や立体物への薄膜蒸着など、量産設備と職人的なノウハウの両方が必要な領域で事業を築いています。
大量生産品で価格競争をする企業というより、特定用途に深く入り込むニッチ素材・部材メーカーとしての色が強い点が特徴です。

② AIデータセンター向け素材への転換余地

中期経営計画「GROWTH 28」では、AIデータセンター向け素材メーカーへの転換を目指しています。
戦略製品は放熱基板とガラス偏光子です。
放熱基板は、AI半導体やパワー半導体で問題となる熱をヒートシンクや冷却系へ逃がすための部材として位置付けられています。
ガラス偏光子は、光通信で用いられる光アイソレータに関係し、データセンター内の高速・省電力通信需要と結び付きます。
同社は、2029年3月期の売上高100億円、営業利益率10%以上を目標に掲げ、3カ年で総額31億円の設備投資を計画しています。
既存のプロジェクター関連製品だけではなく、AIデータセンター、半導体、光通信といった成長領域へ事業ポートフォリオを移す余地がある点は将来性として注目されます。

③ 海洋・医療など独自用途への展開力

同社は、ハイテク製品だけでなく、海洋探査機「江戸っ子1号」、耐圧ガラス球、デンタルミラーなど、特殊環境・特殊用途の製品も持っています。
2026年3月期は、その他セグメントで海洋・特機の売上高が増加し、増収増益となりました。
中期経営計画でも、レアアース採掘向けの超高圧耐圧ガラス球など、海洋事業向け製品の拡充が掲げられています。
深海、医療、車載、光通信、半導体など、用途の幅が広いことは、特定市場の需要変動を補う可能性があります。
特殊ガラスの材料選定や成型、蒸着、分析評価までを社内で持つことにより、顧客の課題に合わせて製品を作り込める点も強みです。

弱みとリスク要因

① プロジェクター需要低迷による既存主力の収益圧迫

2026年3月期は、プロジェクター需要が世界的に低迷し、ビジネス用途の縮小傾向が続きました。
光学事業では、プロジェクター用反射鏡とフライアイレンズの販売数量が減少しています。
売上高は増加したものの、フライアイレンズ生産用ガラス溶融炉の更新に伴う減価償却費の増加により、セグメント利益は減少しました。
中期経営計画で成長領域への転換を掲げている一方、既存主力であるプロジェクター関連の需要低迷が続く場合、成長投資の成果が出るまで収益の谷が長引くリスクがあります。

② 放熱基板・ガラス偏光子の立ち上がりリスク

放熱基板とガラス偏光子は中期経営計画の中心ですが、量産認定、顧客評価、生産能力増強、需要のタイミングがずれるリスクがあります。
2026年3月期には、窒化アルミニウム放熱基板について発光デバイス向けの量産認定を受けた一方、その他用途では顧客での量産認定に遅れが生じ、販売が想定を下回りました。
この結果、当該製造設備について減損損失31百万円を計上しています。
ガラス偏光子についても、データセンター投資の活発化が追い風である一方、2026年3月期はファラデー回転子の需給逼迫により同社への偏光子発注が急減しました。
最終需要が強くても、顧客側の部材制約や認定遅延があると、同社の売上計上時期が後ずれする点には注意が必要です。

③ 投資負担と株式希薄化への注意

2026年3月期は営業損失、経常損失、最終損失となっており、収益力はまだ安定していません。
同期には第10回新株予約権の行使完了により、発行済株式数が2025年3月期末の23,305,543株から2026年3月期末の29,121,543株へ増加しました。
中期経営計画では、3カ年で総額31億円の設備投資を計画しており、放熱基板とガラス偏光子の増産に資金を投じる方針です。
成長投資が売上・利益に結び付けば評価余地はありますが、投資回収が遅れる場合、減価償却費、追加資金調達、株式希薄化、財務負担が株主価値を圧迫する可能性があります。
2026年3月期末株価ベースのPBRは再計算ベースで高水準となっており、成長計画に対する期待が先行する局面では、業績進捗の遅れが株価変動につながりやすい点もリスクです。
出典
本ページは公開情報をもとに作成した分析メモであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点のものであり、将来の業績や株価を保証するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

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