4691 ワシントンホテル

ワシントンホテル 4691 東証S

WASHINGTON HOTEL CORPORATION|ワシントンホテルプラザとワシントンR&Bホテルの2ブランドを全国展開し、宿泊、飲食・宴会、公式予約サービスを運営。

※2026年6月22日時点の情報

事業内容

2026年6月22日の時価総額は約369億円。終値は3,035円で、前営業日比501円高となった。

1961年5月11日設立、1964年4月創業。本社は愛知県名古屋市千種区内山、資本金は1億円、代表取締役社長は長谷川太氏、決算期は3月。東京証券取引所スタンダード市場と名古屋証券取引所メイン市場に上場し、ワシントンホテルプラザとワシントンR&Bホテルの2ブランドで全国43ホテルを運営している。

2026年3月期は売上高241億92百万円、営業利益38億18百万円、経常利益32億76百万円、当期純利益30億27百万円。前期比では売上高13.3%増、営業利益70.4%増となった。リニューアル済みホテルの収益改善、大阪・関西万博、インバウンド、国内レジャー需要、客室単価の上昇が寄与した。2027年3月期は売上高259億円、営業利益41億円を計画する。

ホテル事業全体 – 全国43ホテル・2ブランド運営

ホテル事業は単一の報告セグメント。売上高は2022年3月期の85億47百万円から2026年3月期の241億92百万円へ約2.8倍に拡大した。営業損益は32億43百万円の赤字から38億18百万円の黒字へ転換し、コロナ禍後の需要回復に加えて、客室単価と商品価値の改善が利益成長を押し上げた。

ホテル事業売上高の推移(単位:億円)

2022年3月期から2026年3月期までのホテル事業売上高推移 85.5 22/3 175.3 23/3 182.9 24/3 213.5 25/3 241.9 26/3

主力事業は、主要都市、地方中核都市、駅前、繁華街周辺でのホテル運営である。国内出張者、個人旅行者、訪日外国人、スポーツ・イベント参加者、法人契約企業などを顧客とする。

ワシントンホテルプラザとワシントンR&Bホテルは、価格帯、客室機能、飲食・宴会設備の有無が異なる。2ブランドを持つことで、地域の需要構成と物件特性に合わせて運営形態を選択できる。

店舗網は北海道から九州まで分散している。東京、大阪、名古屋、京都、博多などの大都市だけでなく、高崎、岐阜、鳥取、米子、島根浜田、徳島、久留米などの地方都市にも拠点を持つ。

ホテルの収益は、販売可能な客室数、客室稼働率、平均客室販売単価で決まる。同社は客室を一律価格で販売するのではなく、曜日、季節、イベント、予約状況、競合価格に応じて販売単価を調整するレベニューマネジメントを強化している。

2026年3月期の客室稼働率は71.7%で、前期比2.6ポイント上昇した。ADRは8,649円と10.8%上昇し、RevPARは6,200円と15.0%増加した。

稼働率の上昇幅よりもADRの上昇幅が大きく、客室を安価に埋めるのではなく、改装による商品力向上と需要に合わせた価格設定で収益性を高めたことが確認できる。

2026年3月期は大阪・関西万博が近畿地区の需要を押し上げたほか、名古屋駅前、岡山、博多も好調に推移した。地域別に需要要因が異なるため、全国分散型の店舗網が全社売上高を支えた。

一方、ビジネス出張需要はWeb会議の普及などにより、コロナ前の水準まで完全には戻っていない。今後の成長には、従来の一人利用を中心とした出張需要だけでなく、レジャー、インバウンド、複数名利用を取り込む必要がある。

同社は全館リニューアル、コネクティングルームの設置、ツイン・ダブルルームの拡充、寝具と浴室設備の刷新を進めている。既存ホテルの保有客室数を変えずに客室単価と利用人数を引き上げることが、短中期の利益成長策となる。

ワシントンホテルプラザ – 都市型ホテル・飲食・宴会

ワシントンホテルプラザは全国18施設を展開する都市型ホテルブランド。宿泊機能を中心としながら、一部施設に直営レストラン、宴会場、会議機能を備え、宿泊以外の需要も取り込む。

1969年に第1号店を開業した同社の基幹ブランドである。清潔、安全、利便性、接客、立地を基本価値とし、出張と観光の双方に対応する。

店舗は札幌、高崎、甲府、名古屋栄、岐阜、飛騨高山、奈良、新大阪、岡山、鳥取、米子、島根浜田、下関駅西、徳島、博多中洲、久留米、熊本、鹿児島に展開する。

大都市だけでなく地方中核都市へ拠点を持つことが特徴である。全国チェーンの運営ノウハウを利用しつつ、各地域の法人需要、観光需要、宴会需要に合わせた運営が可能となる。

一部ホテルはレストランや宴会場を備える。宿泊者向け朝食だけでなく、法人宴会、会議、観光バス団体の昼食、地域客の飲食利用などを取り込める。

飲食・宴会部門では季節食材、地域料理、宿泊者向けメニュー、インターネット予約を活用する。客室需要が弱い時間帯にも飲食設備から売上を得られる一方、厨房、人員、食材在庫などの運営負担を伴う。

名古屋栄、熊本などでは全館改装を実施し、客室内装、浴室、寝具、朝食、複数名利用客室を刷新した。中期経営計画では、改装済みホテルのRevPARが未改装ホテルを大幅に上回った実績を示している。

新大阪ワシントンホテルプラザでは、利用者が「エアウィーヴ」と「西川・AiR」のマットレスを選択できる仕組みを全室に導入した。単純な設備更新ではなく、睡眠品質を選択可能にすることで差別化を図っている。

ワシントンホテルプラザは建物規模や付帯設備が施設ごとに異なるため、改装費と運営効率も均一ではない。各ホテルの需要、建物年齢、客室構成、投資回収期間を基に優先順位を決める必要がある。

中長期では、既存ホテルの改装に加え、運営受託、建物賃借、M&Aなど出店手法を多様化し、都市型ホテルの拠点を増やす方針である。

ワシントンR&Bホテル – 宿泊特化型ビジネスホテル

ワシントンR&Bホテルは全国25施設を展開する宿泊特化型ブランド。RoomとBreakfastを基本に、セルフサービスと機能を絞った運営により、清潔で利用しやすい客室と朝食をリーズナブルに提供する。

1998年に東日本橋で第1号店を開業した。従来は「R&Bホテル」の名称だったが、2025年4月に「ワシントンR&Bホテル」へ変更し、ワシントンブランドとしての認知統合を進めた。

自動精算機、備品の絞り込み、標準化した客室、焼きたてパンを中心とする朝食などにより、フルサービス型ホテルより運営工程を簡素化している。

主要顧客は国内出張者と一人旅の利用者である。駅や繁華街へのアクセス、料金、清潔さ、ベッド、浴室、朝食、Wi-Fiなど、宿泊に必要な基本機能が選択基準となる。

ビジネス需要の回復が限定的なため、現在はツインルーム、ダブルルーム、コネクティングルームを増設し、家族、友人、訪日外国人など複数名利用へ対象を広げている。

全館リニューアルでは「睡眠・入浴・朝食」を重点項目とする。客室の使い勝手、寝具、シャワーヘッド、浴室設備、内装、朝食会場を一体で改善し、宿泊特化型でも価格以外の選択理由を作る。

名古屋栄東、新横浜駅前、札幌北3西2などで全館リニューアルを進めた。改装期間中は販売可能客室が減少するが、再開後は客室単価とRevPARの上昇を狙う。

宿泊特化型ホテル市場では、コンフォートホテル、東横INN、アパホテル、スーパーホテル、ドーミーインなど多数のチェーンと競合する。

客室と朝食だけではサービス差が小さくなりやすいため、寝具の選択、浴室設備、立地、公式予約特典、会員ポイント、接客品質を組み合わせる必要がある。

施設運営を標準化しやすい点は拠点拡大に適している。新規出店時にブランド仕様と業務手順を横展開できれば、客室数を増やしながら運営効率を維持できる。

ワシントンネット・販売促進・飲食事業

公式予約サイト兼会員プログラム「ワシントンネット」の会員数は、2026年3月末に61万7千人へ増加。高いポイント還元率と公式サイト価格を活用し、宿泊予約サイトへの販売手数料を抑えながらリピーターを確保する。

ワシントンネットは、2025年4月に「宿泊ネット」から名称を変更した。ワシントンホテルプラザとワシントンR&Bホテルを横断して利用できる予約・会員基盤である。

公式サイト経由の宿泊予約では、宿泊料金の7%をポイント還元する。価格面とポイント面の優位性を提示し、OTAから自社予約への移行を促す。

直接予約比率が高まれば、予約手数料の削減、顧客データの蓄積、再来訪への販促、キャンセル対応の効率化につながる。

中期経営計画では、ワシントンネットのリピート率を約57%とし、主要OTAの約30%を上回るデータを示している。会員数を2031年3月期までに120万人へ増やす目標を掲げる。

2026年2月には、ワシントンホテルの商標を共同保有する藤田観光と業務提携契約を締結した。2026年4月から両社の会員プログラムを相互利用可能とし、販売網と顧客基盤を広げている。

藤田観光は新宿、東京ベイ有明、横浜桜木町などでワシントンホテルを運営する。別会社でありながら同じ名称を使用してきた両社が、ブランド価値向上と利用者の利便性を目的に協業する形となった。

国内外の旅行代理店、法人企業、自治体主催商談会、海外旅行博覧会への営業も行う。公式サイトだけでは接触しにくい海外団体、法人契約、地域イベント需要を販売チャネルへ加える。

飲食事業ではホテル内の朝食、レストラン、宴会のほか、ゴルフ場クラブハウス内レストランを運営する。ホテル宿泊以外の顧客接点を持つ一方、原材料、人件費、食品ロスの管理が必要となる。

顧客データ、客室在庫、価格設定、地域イベント、販促を連動させることが利益率向上の鍵となる。単なる予約サイトではなく、会員基盤を利用した販売管理システムとしての役割が大きい。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 8,547 17,532 +8,985 / +105.1% 18,294 +762 / +4.3% 21,347 +3,053 / +16.7% 24,192 +2,845 / +13.3% 25,900 +1,708 / +7.1%
営業損益 -3,243 2,989 +6,232 / 黒字転換 1,490 -1,499 / -50.2% 2,240 +750 / +50.3% 3,818 +1,578 / +70.4% 4,100 +282 / +7.4%
経常損益 -3,108 2,815 +5,923 / 黒字転換 937 -1,878 / -66.7% 1,755 +818 / +87.3% 3,276 +1,521 / +86.7% 3,400 +124 / +3.8%
当期純利益 -3,261 3,215 +6,476 / 黒字転換 835 -2,380 / -74.0% 2,015 +1,180 / +141.3% 3,027 +1,012 / +50.2% 2,300 -727 / -24.0%
EPS -270.50円 266.63円 黒字転換 69.30円 -197.33 / -74.0% 167.13円 +97.83 / +141.2% 252.12円 +84.99 / +50.9% 191.75円 -60.37 / -23.9%
PER 期末株価651円・赤字 3.32倍 期末株価886円 12.14倍 期末株価841円 7.20倍 期末株価1,204円 5.27倍 期末株価1,329円 15.83倍 2026年6月22日終値3,035円
PBR 2.33倍 1.62倍 1.35倍 1.53倍 1.31倍
BPS 279.02円 547.98円 +268.96 / +96.4% 625.30円 +77.32 / +14.1% 785.54円 +160.24 / +25.6% 1,015.82円 +230.28 / +29.3%
純資産 3,364 6,607 +3,243 / +96.4% 7,539 +932 / +14.1% 9,446 +1,907 / +25.3% 12,184 +2,738 / +29.0%
営業CF -2,669 5,034 +7,703 / 黒字転換 2,042 -2,992 / -59.4% 3,418 +1,376 / +67.4% 4,573 +1,155 / +33.8%
投資CF -306 -767 -461 / -150.7% -1,074 -307 / -40.0% -1,550 -476 / -44.3% -1,592 -42 / -2.7%
財務CF 5,023 -143 -5,166 / 支出転換 -3,500 -3,357 / -2,347.6% -2,368 +1,132 / +32.3% -2,521 -153 / -6.5%
現金及び現金同等物 4,876 8,999 +4,123 / +84.6% 6,467 -2,532 / -28.1% 5,966 -501 / -7.7% 6,426 +460 / +7.7%
単位は百万円。EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。
2022年3月期から2026年3月期は非連結業績。対象期間中の発行済株式総数は12,170,000株で、株式分割は実施されていない。自己株式数は変動している。PER・PBRは各期末株価と決算短信記載のEPS・BPSから算定した。2025年3月期のキャッシュ・フローは、2026年3月期決算短信の比較情報を使用している。
2027年3月期予想のBPS、純資産、キャッシュ・フローは会社予想がないため空欄。2026年3月期決算短信に継続企業の前提に関する重要な注記はない。

中期経営計画

中期経営計画2031 – 改装・ブランド連携・拠点拡大で売上高400億円へ

2026年2月に、2027年3月期から2031年3月期までの5年間を対象とする「中期経営計画2031」を公表した。長期ビジョンは、新たな価値提供への挑戦と、従来の枠にとらわれない拠点拡大による成長である。

2031年3月期 売上高 400億円
2031年3月期 営業利益 87億円
営業利益率 21%
ROIC 10%以上

2029年3月期の中間目標は売上高317億円、営業利益64億円。2031年3月期にはEBITDA115億円、ROE20%以上、保有客室数11,000室を目指す。

第1の重点施策は、既存ホテルの全館リニューアル加速である。5年間で16ホテルの改装を計画し、「睡眠・入浴・朝食」を中心に客室レイアウト、寝具、浴室、朝食、複数名利用客室を刷新する。

前中期計画では、比較対象となる改装済みホテルのRevPARがコロナ前の5,214円から6,759円へ約30%増加した。未改装ホテルの増加率は約3%で、改装が単価と収益性の改善につながった実績を次の計画へ横展開する。

第2の重点施策は、「ワシントン」ブランドの強化と顧客基盤拡大である。藤田観光との会員相互利用、共同販促、販売網拡大を進め、ワシントンネット会員数を2026年3月期の約60万人から2031年3月期に120万人へ増やす。

第3の重点施策は拠点拡大である。建物賃借、運営受託、M&A、海外出店など複数の手法を検討し、保有客室数を約9,500室から11,000室へ16%増加させる計画となっている。

国内出張需要の回復が限定的であることを前提に、レジャーとインバウンドを取り込む。ツイン、ダブル、コネクティングルームを増設し、1室当たりの利用人数と販売単価を引き上げる。

財務面では、営業キャッシュ・フローを改装と拠点拡大へ配分しながら、財務健全性を維持する。2031年3月期のROIC10%以上とROE20%以上を掲げ、出店数だけでなく投資効率を管理する。

人的資本では、業界トップクラスの給与水準を目標とする。改装と出店を増やしても、フロント、清掃、調理、ホテル管理の人員を確保できなければ運営品質を維持できないため、処遇と生産性を同時に高める方針である。

2027年3月期は売上高259億円、営業利益41億円、経常利益34億円、当期純利益23億円を計画する。営業利益は増益を見込む一方、当期純利益は前期の固定資産売却益等の反動により24.0%減となる見通しである。

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競合他社

① 共立メンテナンス(9616)

2026年6月22日終値は2,885円、時価総額は約2,504億円。比較3社では最大規模で、都市型ホテル、国内旅行、インバウンド、出張需要、ホテル物件取得、人材採用で競合する。

共立メンテナンスは、都市型ビジネスホテル「ドーミーイン」、和風ホテル「御宿 野乃」、リゾートホテル「共立リゾート」を展開する。

ワシントンホテルと最も重なるのはドーミーインである。駅前や中心市街地へ出店し、出張者、個人旅行者、訪日外国人を対象とする。

ドーミーインは天然温泉・大浴場、サウナ、夜鳴きそば、地域料理を取り入れた朝食など、宿泊以外の体験価値を付加している。

ワシントンR&Bホテルが宿泊機能を絞って価格と運営効率を重視するのに対し、ドーミーインは付帯サービスによって高い客室単価を獲得するモデルである。

ワシントンホテルが寝具、浴室、朝食を強化するほど、ドーミーインとの付加価値競争は強くなる。単純な価格だけでなく、宿泊体験に対して顧客が支払う金額が競争軸となる。

2026年3月期は売上高2,752億47百万円、営業利益248億45百万円。ホテルに加えて学生寮・社員寮、シニア向け住宅などを持ち、ホテル市況以外の収益源も備える。

事業規模、出店余力、ブランド認知、大浴場を含む商品力では共立メンテナンスが上回る。ワシントンホテルは、地方都市を含む既存網、宿泊特化型の効率、改装投資の回収力で対抗する必要がある。

② 藤田観光(9722)

2026年6月22日終値は1,840円、時価総額は約1,123億円。ワシントンホテルの商標を共同保有する競合企業であり、2026年から販売・会員面では提携関係にもある。

藤田観光は、WHG事業で新宿ワシントンホテル、東京ベイ有明ワシントンホテル、横浜桜木町ワシントンホテル、ホテルグレイスリー、ホテルタビノスを展開する。

両社に資本関係はないが、「ワシントンホテル」の名称を使用するため、検索結果、旅行予約サイト、訪日外国人のブランド認識で混同が生じやすい。

藤田観光は首都圏と大都市の大型施設、団体客、宴会、レストラン、リゾートを含む総合運営に強い。

ワシントンホテル株式会社は地方中核都市の店舗網と、宿泊特化型のワシントンR&Bホテルを持つ。両社はブランド名が共通でも、地域構成と施設規模に違いがある。

2025年12月期は売上高820億4百万円、営業利益137億95百万円、経常利益137億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益92億92百万円。WHG事業の客室単価上昇が業績を支えた。

2026年12月期第1四半期は売上高194億24百万円、営業利益25億86百万円。宿泊需要は堅調だったが、処遇改善と設備投資関連費用により営業減益となった。

2026年4月に会員制度の相互利用を開始したことで、競合でありながら販売チャネルを補完する関係へ変化した。提携による送客増加と、自社予約の取り分を分けて確認する必要がある。

③ グリーンズ(6547)

2026年6月22日終値は2,092円、時価総額は約290億円。企業規模と宿泊特化型ホテルの構成が近く、最も直接的な比較対象となる。

グリーンズは、コンフォートホテル、コンフォートホテルERA、コンフォートイン、コンフォートスイーツなどのチョイスブランドと、ホテルエコノ、ホテルグリーンパークなどの自社ブランドを展開する。

ワシントンR&Bホテルとコンフォートホテルは、駅前・地方都市、国内出張者、個人旅行者、無料または低価格の朝食、法人契約などで顧客層が重なる。

両社とも客室稼働率だけでなくADRとRevPARを管理し、需要日に価格を上げるレベニューマネジメントを重視している。

グリーンズは100店舗を超えるホテルと1万6,000室を超える客室を持ち、店舗・客室数ではワシントンホテルを上回る。

2026年6月期第3四半期累計は売上高408億60百万円、営業利益61億36百万円、経常利益61億1百万円。客室単価、新規ホテル、インバウンドが増益へ寄与した。

2026年6月期の通期予想は、売上高538億円、営業利益67億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円へ上方修正した。

出店規模、全国認知、海外ホテルチェーンとのブランド契約ではグリーンズが優位性を持つ。ワシントンホテルは、長年の運営実績、地方都市の既存立地、2ブランド、藤田観光との連携で差別化する。

強みと将来性

既存ホテルの価値を高め、客室単価と直接予約を伸ばす収益改善モデル

最大の強みは、全国43ホテルの既存店舗網を保有し、新規出店だけに依存せず、改装によって売上高と利益率を高められる点にある。

新規ホテルの建設には土地取得、建築費、開業準備、人員採用が必要となる。既存ホテルの全館改装は、すでに認知された立地、顧客、従業員、予約チャネルを活用しながら商品価値を高められる。

中期経営計画で示された比較では、改装済みホテルのRevPARはコロナ前から約30%増加し、未改装ホテルの約3%増を大きく上回った。改装が見た目の刷新だけでなく、収益改善へ結び付いた実績がある。

改装の重点を「睡眠・入浴・朝食」に絞っていることも特徴である。宿泊者が利用時間の多くを費やす機能へ投資し、高額な共用設備を一律に追加するより、客室単価へ反映しやすい。

エアウィーヴと西川・AiRから寝具を選択できる「選べるマットレス」は、一般的なビジネスホテルでは少ない施策である。睡眠品質を明確な商品として提示できる。

コネクティングルーム、ツイン、ダブルを増やすことで、従来の一人利用中心の客室を、家族、友人、インバウンドなど複数名利用へ転換できる。1室当たりの販売単価を上げながら、新たな需要を獲得できる。

ワシントンホテルプラザとワシントンR&Bホテルの2ブランドを持つため、宴会・飲食を伴う都市型ホテルと、宿泊特化型ホテルの双方へ対応できる。

地方中核都市を含む分散型店舗網は、特定都市の需要変動を緩和する。2026年3月期は大阪・関西万博だけでなく、名古屋駅前、岡山、博多など複数地区が業績へ寄与した。

公式予約サイト「ワシントンネット」は、約61万7千人の会員基盤を持つ。会員へ直接販促できるため、OTAの検索順位だけに依存せず、再利用を促進できる。

公式予約のポイント還元率は7%で、会員のリピート率も主要OTAを上回る。直接予約比率が上がれば、予約手数料を削減しながら顧客情報を蓄積できる。

藤田観光との提携は、長年分かれていたワシントンブランドの販売網を接続する施策である。両社会員が相互利用することで、地方都市と首都圏のホテルを横断した送客が可能となる。

2026年3月期は営業利益率15.8%、営業キャッシュ・フロー45億73百万円となった。改装投資と借入金返済を進めながら、現金及び現金同等物64億26百万円を確保している。

純資産は2022年3月期の33億64百万円から2026年3月期の121億84百万円へ増加し、自己資本比率は10.4%から35.5%へ改善した。コロナ禍で低下した財務体質は回復している。

年間配当は2024年3月期の10円から、2025年3月期20円、2026年3月期40円、2027年3月期予想45円へ増加している。利益成長が株主還元へ反映され始めている。

中期経営計画2031では、改装16ホテル、会員120万人、保有客室11,000室、売上高400億円、営業利益87億円を掲げる。改装効果を維持しながら拠点数を増やせれば、既存店成長と店舗数成長を同時に実現できる。

将来性を判断する際は、改装済みホテルのRevPAR、直接予約比率、会員数、外国人宿泊比率、新規出店の客室数、投資額に対する利益増加を確認する必要がある。

弱みとリスク要因

ホテル需要の変動、改装・拡大投資、人手不足と上昇した株価評価

ホテル業は客室を翌日に持ち越して販売できない。災害、感染症、景気後退、交通障害、イベント中止などで宿泊需要が減少すると、その日の販売機会は失われる。

コロナ禍では売上高が急減し、2022年3月期に営業損失32億43百万円、当期純損失32億61百万円を計上した。需要減少時の利益変動が大きいことは過去実績に表れている。

ホテル運営には人件費、賃料、減価償却費、保守費、光熱費などの固定的な負担がある。稼働率が下がっても費用の多くは短期間で減らせない。

2026年3月期は大阪・関西万博による近畿地区の需要増加が含まれる。万博終了後も同水準の客室単価と稼働率を維持できるかを確認する必要がある。

国内出張需要はWeb会議の普及などでコロナ前を下回る。従来型ビジネスホテルの中心顧客である法人出張者が構造的に減少すれば、平日需要の回復が鈍くなる。

インバウンド需要は為替、航空便、外交関係、各国の景気、渡航規制に左右される。2025年11月以降は中国政府の渡航自粛要請による中国人宿泊客減少の影響が続いている。

改装中は販売可能客室が減少する。工事期間が延びた場合、改装費の増加と宿泊売上の減少が同時に発生する。

5年間で16ホテルを改装する計画は、投資額だけでなく工事業者、設備、資材、休館日程の管理を必要とする。複数施設の工事が重なると、利益とキャッシュ・フローが一時的に圧迫される。

新規出店、M&A、海外出店は売上高の拡大につながる一方、需要予測を誤ると投資回収が長期化する。建築費、人件費、土地・賃料が上昇する環境では、出店数だけでなく1店舗当たりの投資効率が重要となる。

2031年3月期の売上高400億円は2026年3月期実績から約65%増、営業利益87億円は約2.3倍となる。既存店改装だけでなく、客室数拡大と高い利益率の維持が同時に必要な目標である。

ホテル業界ではフロント、客室清掃、調理、設備管理の人手不足が続く。給与水準を引き上げれば採用力は改善するが、客室単価へ転嫁できなければ利益率を圧迫する。

朝食、レストラン、宴会では食材価格、物流費、光熱費の上昇が原価へ影響する。販売価格の改定が需要減少を招く可能性もあり、価格転嫁には限界がある。

宿泊特化型ホテル市場では大手チェーンとの競争が激しい。競合は大浴場、無料朝食、アプリ、会員制度、長期滞在設備などを強化しており、改装効果が時間とともに薄れる可能性がある。

OTAへの依存度が高い場合、掲載順位、広告費、販売手数料、評価点の変化が予約数へ影響する。ワシントンネットの会員拡大が計画を下回ると、直接予約による収益改善も遅れる。

藤田観光との提携は販売機会を広げる一方、同じ「ワシントンホテル」名称を利用する別会社であることによるブランド混同は残る。予約先、株主優待、運営会社の違いを顧客へ明確に示す必要がある。

2026年6月22日終値3,035円は、2027年3月期予想EPS191.75円に対して予想PER15.83倍、2026年3月期BPS1,015.82円に対してPBR約2.99倍となる。

2026年3月期末株価1,329円から6月22日終値3,035円まで約128%上昇している。中期計画と業績成長への期待が急速に株価へ反映されており、RevPAR、出店計画、利益率が想定を下回る場合は評価調整が大きくなる可能性がある。

2027年3月期の当期純利益は前期比24.0%減を予想する。営業利益は増加計画であるため、本業の収益力と固定資産売却益などの一過性損益を分けて判断する必要がある。

出典

本ページは、企業が公表した決算短信、決算説明資料、中期経営計画、公式サイト等を基に作成した情報提供資料です。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。株価、時価総額、PER、PBR等は基準日時点の数値であり、その後変動します。将来に関する記載は企業が公表した計画や方針に基づくもので、実現を保証するものではありません。投資判断は最新の開示資料を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

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