4885 室町ケミカル

室町ケミカル(4885)企業分析|医薬品原薬・PFAS除去イオン交換樹脂 | ストップ高安研究所

室町ケミカル 4885 東証スタンダード

医薬品原薬・化学品(イオン交換樹脂)・健康食品の3事業 ─ PFAS除去対策で注目、福岡県大牟田市本社

※2026年5月27日時点の情報

2026年5月27日(本日)の値動きと材料

終値 1,112円(+150円・+15.59%)張り付きストップ高

本日は寄り付きから買い気配で始まり、ストップ高水準1,112円に張り付く展開となった。買い材料として「高純度イオン交換樹脂のニッチプレーヤーとしてAI・半導体相場に合流」と評価されており、AI・半導体材料関連の物色拡大の流れに乗った動きとなった。

背景としては、①2026年4月施行の改正水道法省令によるPFAS(有機フッ素化合物)水質基準格上げに伴うイオン交換樹脂需要の本格化期待、②2026年4月14日に発表された2026年5月期通期業績予想の29%上方修正(最高益予想・1円増配)、③半導体製造プロセス向け高純度イオン交換樹脂のニッチトップとしての評価、が同社株への買いを集めた。前日5/26までに既に大幅高で推移していたが、本日も買い継続でS高張り付きに到達。

事業内容 ─ 医薬・化学・健康食品の問題解決型企業

室町ケミカル株式会社は1917年に福岡県で目薬の製造販売を開始したのが始まりで、2014年に現在の社名(室町ケミカル)に変更。福岡県大牟田市に本社を置き、医薬品事業、化学品事業、健康食品事業の3つの事業を展開している。商社機能とメーカー機能を併せ持ち、豊富な化学技術をベースに顧客要望に応じて最適なソリューションを提供しながら事業を拡大している。2025年5月期の事業別売上構成比は医薬品事業が約50.3%と最も高く、次いで化学品事業が約33.5%、健康食品事業が約16.2%。営業利益率では医薬品事業が10%台で安定推移する一方、化学品事業と健康食品事業はほぼ水面下で推移していたが、化学品事業は2025年5月期に黒字化を達成した。製造拠点は本社工場(福岡県大牟田市)とつくば工場(茨城県下妻市)。2026年5月期は健康食品事業からの撤退決定により減収減益見通しだったが、2026年4月14日に通期業績予想を29%上方修正・最高益予想を発表。2026年4月施行のPFAS(有機フッ素化合物)水道水基準格上げに伴うイオン交換樹脂の需要拡大が中長期的な成長ドライバーとして注目される。

主要事業セグメント

医薬品事業(売上構成比50.3%・主力)

主に医療用医薬品の有効成分である原薬に関わる様々なサービス(輸入・製造・加工・分析)を提供。2025年5月期の売上構成比は原薬の輸入販売で55%、医薬品合成・精製などで37%、その他で8%。輸入は欧州や中国メーカーから15品目前後を仕入れ、抗てんかん薬や抗ヘルペスウイルス薬の原薬が主力商品。本社工場では原薬合成や異物除去・精製などの加工に対応し、現在15品目前後を製造販売。主要製品は腎不全に伴う高カリウム血症改善薬用原薬で、自社製造品売上の5~6割を占める。販売先は国内の製薬企業または商社で、主に後発医薬品向けに販売。

化学品事業(売上構成比33.5%・成長領域)

液体の分離精製工程で用いられるイオン交換樹脂及び分離膜の仕入・加工販売、水処理装置の設計・製造・施工、受託加工ビジネスやその他産業用資材の仕入販売を行う。2025年5月期の売上構成比はイオン交換樹脂・分離膜で56%、水処理装置で0.5%、受託加工ビジネスで27%、その他17%。世界中のメーカーから仕入れた製品に顧客ニーズに応じた二次加工を施して販売し、単なる仕入販売にとどまらない技術力とノウハウが強み。半導体業界(材料・製造装置メーカー等)向けが多く、特殊用途市場で事業展開。2025年5月期に営業損益が初の黒字化を達成。

健康食品事業(売上構成比16.2%・撤退決定)

美容や健康をテーマとしたスティックゼリータイプなどの健康食品の企画・製造を行い、通信販売会社や食品メーカーなどから受託して製造するOEMまたはODMが売上の8割程度を占めていた。しかし、収益性の観点から2025年6月に事業撤退を決定。製造を2026年3月、販売を同年4月に終了し、同年5月末をもって事業撤退を完了予定。撤退理由は他事業の急速な拡大、OEM品構成上のコスト改善困難、開発・営業コスト増、価格競争による利益確保困難等。撤退により空いたスペースを医薬品・化学品事業に活用予定。

PFAS除去対策事業(化学品事業内・新規成長ドライバー)

2026年4月施行の改正水道法省令により、PFAS(有機フッ素化合物)が「暫定目標」から「水質基準」に格上げされ、水道事業者には水質検査・改善義務が課されることになった。同社は自社ブランド「Muromac B-718WMT」とランクセス製「Lewatit DW108TP」のPFAS除去用イオン交換樹脂を揃え、活性炭比5~10倍の吸着容量を持ち、長鎖から短鎖まで幅広いPFASに対応可能。すでに商社・装置メーカーなど多数の企業とアライアンスを組み、共同で営業活動・試験評価を進めている。2026年5月期は数千万円規模の売上だが、本格化は2027年5月期以降と見込まれる。

半導体プロセス向け高純度イオン交換樹脂(化学品事業内)

半導体業界(材料・製造装置メーカー等)向けに高純度イオン交換樹脂を提供。半導体製造プロセスで使用される超純水の精製工程等での用途で、半導体投資拡大の恩恵を受けるニッチプレーヤーとして注目されている。本日(5/27)の株探記事でも「高純度イオン交換樹脂のニッチプレーヤーとしてAI・半導体相場に合流」と評価された。

直近5年の業績サマリー

2025年5月期は売上高66.53億円(前期比+4.5%)、営業利益4.32億円(同+2.6%)、経常利益4.30億円(同+0.5%)と、売上高・経常利益で過去最高を連続更新した。当期純利益は健康食品事業撤退に伴う減損損失(約79百万円)と在庫評価減(約80百万円)の計上により2.41億円(同-27.0%)と減益。2026年5月期は当初健康食品事業撤退の影響と先行投資により減収減益見通しだったが、2026年4月14日に通期業績予想を29%上方修正・最高益予想に修正。2028年5月期目標として売上高72億円・営業利益率5%以上(3.6億円)、長期ビジョン「VISION100」で2031年5月期に売上高100億円・営業利益率10%以上を目指している。PFAS除去対策の本格化(2027年5月期以降)と医薬品事業の新規品投入が中長期的な成長ドライバーとなる。

項目(連結・百万円) 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
会社予想
売上高 4,942 5,681
+15.0%
6,291
+10.7%
6,369
+1.2%
6,653
+4.5%
7,700
営業損益 369 437
+18.4%
369
△15.6%
421
+14.1%
432
+2.6%
700
経常損益 339 423
+24.8%
350
△17.3%
428
+22.3%
430
+0.5%
660
当期純損益 180 456
+153.3%
256
△43.9%
330
+28.9%
241
△27.0%
470
EPS(一株利益) 65.24円 123.79円 67.94円 83.42円 60.42円 117.02円
決算発表時株価
(参考)
1,064円 928円 856円 728円 845円
実績PER 16.31倍 7.50倍 12.60倍 8.73倍 13.99倍
予想PER 7.22倍
PBR 2.92倍 2.06倍 1.76倍 1.27倍 1.38倍
PSR 0.60倍 0.60倍 0.51倍 0.45倍 0.51倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

業績のポイント

2025年5月期は売上高66.53億円・経常利益4.30億円で過去最高を連続更新。在庫評価減等がなければ営業利益は会社計画を1割程度超過していたことになる。2026年4月14日には2026年5月期通期業績予想を29%上方修正・最高益予想を発表、配当も1円増額。第3四半期累計(2026年5月期)の業績は売上高56.51億円(前年同期比+16.8%)、営業利益5.46億円(同+59.1%)と全事業セグメントで増収増益を達成しており、業績拡大が加速。2027年5月期以降は医薬品事業の新規品投入と化学品事業のPFAS除去対策本格化により増収増益トレンドへの転換を見込む。2026年5月期会社予想ベースのEPS117.02円・予想PER7.22倍と割安感があり、累進配当導入・中間配当開始も株主還元強化として注目される。

中期経営計画2028・長期ビジョンVISION100

同社は2026年5月期を初年度とする「中期経営計画2028」(2026年5月期~2028年5月期)を発表。3年間を事業の再構築とさらなる成長に向けた基礎固めの期間と位置付け、健康食品事業からの撤退と医薬品・化学品事業の事業基盤強化、人的資本経営の基礎固め、資本コストを意識した経営の推進に取り組む。長期ビジョン「VISION100」では2031年5月期に売上高100億円以上・営業利益率10%以上・EBITDA12億円以上を目指す(従前より1年前倒し)。

2028年5月期の業績目標(中期経営計画)

  • 売上高:72億円(2025年5月期66.53億円から年率約9%成長)
  • 営業利益:3.6億円(営業利益率5%以上)
  • EBITDA:6.5億円(過去最高更新)

長期ビジョン VISION100(2031年5月期)

  • 売上高:100億円以上
  • 営業利益率:10%以上
  • EBITDA:12億円以上
  • ※従前計画より1年前倒し

5つの基本方針

  • 既存事業の伸長と新市場・新技術へのチャレンジ
  • 売上増に対応した製造体制構築、製造設備の拡充
  • アライアンスの積極活用(製造・販売・研究)
  • 人的資本経営の導入に向けた土台作り
  • 資本コストを意識した効率的な経営

事業別成長戦略

  • 医薬品事業:連続生産システム(フロー合成)の技術構築と工場実用化、新規自社製造原薬・輸入原薬の育成、主力品の海外販売展開。2028年5月期売上高39億円・営業利益1.9億円目標
  • 化学品事業:PFAS除去用イオン交換樹脂の本格展開、海外案件(鉱業・飲料など)の獲得、新規用途開発。2028年5月期売上高32.8億円・営業利益1.7億円目標

資本コスト経営・株主還元

  • PBR1.5倍超を目標水準に設定
  • 自己資本比率35~50%でバランス維持
  • 2026年5月期より累進配当導入(前年実績を下回らない)
  • 中間配当開始(10.0円)・通期25.0円予定
  • M&A準備資金として3億円計画

強みと注目点

① PFAS除去対策の規制強化が中長期成長ドライバー

2026年4月施行の改正水道法省令により、PFAS(有機フッ素化合物)が「暫定目標」から「水質基準」に格上げされ、水道事業者に検査・改善義務が課されることに。同社のイオン交換樹脂は活性炭比5~10倍の吸着容量を持ち、長鎖から短鎖まで幅広いPFASに対応。すでに商社・装置メーカー多数とアライアンス構築済みで、2027年5月期以降本格的な収益貢献が期待される。

② 半導体プロセス向け高純度イオン交換樹脂のニッチトップ

半導体製造プロセスで使用される超純水の精製工程等に使用される高純度イオン交換樹脂を提供。半導体業界(材料・製造装置メーカー等)向け売上が化学品事業の主力を占めており、AI・半導体投資拡大の恩恵を受けるニッチトッププレーヤー。商社機能とメーカー機能を併せ持ち、顧客要望に応じた最適ソリューションを提供できる体制が競争優位の源泉。

③ 2026年5月期は通期業績予想を29%上方修正・最高益予想

2026年4月14日発表で、2026年5月期通期業績予想を29%上方修正・最高益予想に修正、配当も1円増額。第3四半期累計(2026年5月期)の業績は売上高56.51億円(前年同期比+16.8%)、営業利益5.46億円(同+59.1%)と全事業セグメントで増収増益を達成し、業績拡大が加速している。健康食品事業撤退の影響を医薬品・化学品事業の伸長で吸収しつつ、当初計画を大幅に上回るペースで進捗。

④ 化学品事業の黒字転換と継続的成長

2025年5月期に化学品事業が初の黒字化を達成(営業利益57百万円、前期は16百万円損失)。半導体業界向けやPFAS除去対策、火力発電所向け高架橋度イオン交換樹脂など新規領域の開拓が進展。受託加工ビジネスや化学品受託加工も拡大基調で、損益分岐点を超える売上規模に到達。今後は医薬品事業に並ぶ収益柱への成長が期待される。

⑤ 累進配当導入・株主還元強化

2026年5月期より「前年の配当実績を下回らない」累進配当を導入し、中間配当も新たに開始。2026年4月14日発表で配当を1円増額し、株主還元の強化を継続。PBR1.5倍超を目標としており、株主還元・成長期待醸成・IR充実を通じた市場評価向上に取り組んでいる。

弱み・リスク要因

有価証券報告書・決算短信および公開情報から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。

① 利益依存度が医薬品事業に集中

営業利益率では医薬品事業が10%台で安定推移する一方、化学品事業(黒字化したばかり)と健康食品事業(撤退)はほぼ水面下で推移しており、利益ベースでは医薬品事業に依存する状態が続いている。特に主力の高カリウム血症改善薬用原薬(自社製造品売上の5~6割)への依存度が高く、競合品の登場や薬価改定の影響を受けやすい構造。

② 連続生産システム(フロー合成)実用化までのタイムラグ

医薬品事業の中核戦略である「フロー合成」技術の工場ライン稼働は2027年(2027年5月期)からの予定。実際に収益面で効果が顕在化するのは顧客先での品質管理評価に1年程度の期間を要するため、2028~2029年以降となる見通し。それまでの期間は設備投資(135百万円)が先行し、減価償却負担増による営業利益圧迫が継続する。

③ 為替変動リスクと輸入原薬の競争激化

医薬品事業の主軸である輸入原薬は外貨建て取引のため為替変動の影響を受ける(価格調整条項がある販売契約は多いものの、完全なヘッジには限界)。また主力の抗てんかん薬用原薬は競争激化により減収基調にあり、複数の新規品や既存品の伸長で補完しているが、特定主力品の競争激化は継続的なリスク。輸入原薬コスト上昇も顧客との価格交渉余地に限界がある。

④ 中小規模企業として規模の小ささ・東証スタンダード上場

同社は東証スタンダード上場の中小規模銘柄(2025年5月期売上高66.53億円・従業員203名)。機関投資家のカバレッジは限定的で、出来高・株価ボラティリティが大きく、需給要因による株価変動を受けやすい構造。本日(2026年5月27日)のように張り付きストップ高となる局面が発生しやすい。PFAS除去対策の本格化やフロー合成実用化など長期的な成長ドライバーへの依存度が高く、計画遅延時のダウンサイドリスクが集中する。

⑤ 海外案件は中期計画未織り込み・受注不確実性

化学品事業の海外展開(欧米・豪州の鉱業案件、中国の飲料案件、インドネシアの食品関連案件等)について、中期経営計画には海外案件を織り込んでおらず、受注できれば上乗せ要因となる位置付け。逆に言えば、現時点では海外受注の確実性が低く、計画達成は国内市場(PFAS除去対策・半導体業界向け等)の動向次第。複数案件で見積書を提出済みだが、受注決定までの時間軸が長い。

⑥ 急騰局面後の反動安リスク

本日(2026年5月27日)のストップ高張り付きは、PFAS関連・半導体材料関連のテーマ物色とAI・半導体相場の合流を背景とした短期資金の流入による側面が大きい。急騰局面後の反動安リスクが構造的に存在し、テーマ物色の一服や材料出尽くしによる利食い売りが集中する可能性がある。

主な出典:

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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