Will Smart 175A 東証G
Will Smart Co.,Ltd.|車載デバイス、クラウド、予約システム、デジタルサイネージ、AI・交通データ分析を組み合わせ、公共交通、物流、カーシェア、自治体のモビリティDXを支援する。
※2026年7月16日時点の情報
事業内容
2026年7月15日の時価総額は約12.8億円。株価終値595円と、2026年6月1日の第三者割当増資後の発行済株式総数2,156,500株を用いた概算となる。
Will Smartは2012年12月12日設立。本社は東京都江東区富岡二丁目11番6号、代表取締役社長CEOは石井康弘氏、決算期は12月、東京証券取引所グロース市場に上場する。2026年6月1日時点の資本金は865百万円。モビリティ業界の事業者や行政に対し、DXソリューションの企画・提案、自社サービス開発、受託開発、運用保守を提供する。
2026年12月期第1四半期は売上高206百万円、営業損失51百万円、経常損失53百万円、四半期純損失54百万円。第1四半期末の純資産はマイナス51百万円、自己資本比率はマイナス12.3%となった。通期会社予想は売上高1,150百万円、営業利益50百万円、経常利益50百万円、当期純利益40百万円で据え置かれている。第1四半期終了後の2026年6月には、ゼンリンと泉陽興業を割当先とする総額449,971,200円の第三者割当増資を完了した。
Will Smartは2012年12月12日設立。本社は東京都江東区富岡二丁目11番6号、代表取締役社長CEOは石井康弘氏、決算期は12月、東京証券取引所グロース市場に上場する。2026年6月1日時点の資本金は865百万円。モビリティ業界の事業者や行政に対し、DXソリューションの企画・提案、自社サービス開発、受託開発、運用保守を提供する。
2026年12月期第1四半期は売上高206百万円、営業損失51百万円、経常損失53百万円、四半期純損失54百万円。第1四半期末の純資産はマイナス51百万円、自己資本比率はマイナス12.3%となった。通期会社予想は売上高1,150百万円、営業利益50百万円、経常利益50百万円、当期純利益40百万円で据え置かれている。第1四半期終了後の2026年6月には、ゼンリンと泉陽興業を割当先とする総額449,971,200円の第三者割当増資を完了した。
モビリティDX事業・Will-MoBi
売上高は2022年3月期1,103百万円、2023年3月期813百万円、2024年3月期1,085百万円、決算期変更に伴う9か月間の2024年12月期512百万円、2025年12月期805百万円と推移した。営業損益は2024年3月期に36百万円の黒字へ転換した後、2024年12月期は227百万円の損失、2025年12月期は283百万円の損失となった。2024年12月期以降はモビリティセグメントの単一セグメントである。
モビリティDX事業を中心とする全社業績推移(単位:百万円)
2024年12月期は決算期変更に伴う2024年4月1日から12月31日までの9か月決算。2024年3月期まではモビリティとインポートの2セグメント、2024年12月期以降はモビリティの単一セグメント。
事業の基盤はモビリティDXプラットフォーム「Will-MoBi」である。車載デバイス、車両データベース、予約システム、利用者向けアプリ、運行管理、デジタルサイネージ、データ分析などの機能を組み合わせ、顧客ごとの業務へ適用する。
顧客が必要とする機能を既存プラットフォームから選択するパッケージ型と、顧客固有の業務に合わせて開発する受託型の双方に対応する。既存機能を利用できる案件では、フルスクラッチ開発に比べて開発期間、コスト、品質管理の負担を抑えられる。
収益は、大型システム開発、機器販売、初期導入などのショット売上と、保守、運用、クラウド利用、ライセンス、車載器の月額利用などのストック売上に分かれる。大型案件の検収が特定四半期へ集中すると売上高が変動しやすいため、ストック売上の比率が収益安定性を左右する。
2024年3月期のモビリティセグメントは売上高973百万円、セグメント利益277百万円だった。旧インポートセグメントは売上高112百万円、セグメント損失7百万円で、同社は同事業から撤退した。全社費用233百万円を差し引いた営業利益は36百万円となった。
2024年12月期は、EV関連の新規事業投資の停滞と大型案件の受注見送りが影響した。公共ライドシェア向けシステムや大型車両向け車載器の開発を進めた一方、売上高512百万円、営業損失227百万円となった。
2025年12月期は、大阪・関西万博会場の交通ターミナル向け統合管理システム、自治体向け公共ライドシェア、地域交通DXなどの案件を進めた。ストック売上は増加したが、EV関連案件の慎重化、既存大口顧客によるカーシェア事業終了、開発費や人員配置の増加が利益を圧迫した。
受託開発で把握した顧客課題や業務知識を共通機能へ転換し、別の顧客へ再利用できるパッケージへ育成することが中期戦略の中心となる。投資判断では、自社プラットフォーム売上比率、ストック売上高、取引社数、案件粗利益率、受注残、検収予定を確認する必要がある。
モビリティシステム・物流DX「Will-Fleet」
車載デバイス、車両データ基盤、予約システム、利用アプリを一体提供する。2026年4月から日本初のOBDII型デジタルタコグラフ「Will-Fleet」の本格販売を開始し、物流事業者向けの機器販売と月額利用料を新たな成長領域とする。
モビリティシステムサービスは、ガソリン車とEVの双方に対応する車載デバイスを提供し、位置、走行、車両状態などのデータをクラウドへ収集する。取得した車両データを基に、鍵の制御、車両管理、予約管理、利用者認証、貸出・返却処理などを行うIoTゲートウェイを構築する。
カーシェアリング事業者には、利用者向けアプリ、予約、決済、鍵制御、運営管理、車載機器を組み合わせたシステムを提供する。フルパッケージのほか、車載器や管理機能だけを既存システムへ組み込む部分提供にも対応する。
レンタカー分野では、予約から車両の解錠、返却までを無人化し、営業時間外の貸出や省人運営を支援する。マンション、ホテル、事業所などの限定利用者向けコミュニティカーシェアにも利用できる。
EV分野では、車両予約、充電器予約、充電状況、車両データを連携する。車両だけでなく、充電設備や施設側の運用を含めたシステム設計が必要となるため、車載機器とクラウドの双方を扱える点が提供範囲を広げる。
物流DXの中心商品が「Will-Fleet」である。車両のOBDIIポートに接続するデジタル式運行記録計を用い、走行速度、位置、運行状況、車両状態、安全運転情報などを取得・管理する。
2025年12月1日に国土交通省の型式指定を取得し、2026年4月から本格販売を開始した。工事負担を抑えた導入方法と価格競争力を掲げ、中小トラック運送事業者を主要対象とする。
収益モデルは車載器の販売だけではない。導入台数に応じたシステム利用料、通信、運行管理機能、保守などを積み上げ、継続課金収益へつなげる方針である。
販売では都築電気などのパートナーを活用し、全国の物流事業者へ営業範囲を広げる。自社だけで直接販売する場合に比べ、販売網を早期に構築できる一方、販売手数料やパートナー依存も生じる。
中期経営計画では、法定設置義務対象となる車両のうちアナログ式機器を使用する市場を更新対象として示している。導入台数、月額単価、解約率、販売原価、通信費、設置後のサポート負担が採算性を決める。
投資判断では、商談件数ではなく、受注台数、実稼働台数、1台当たり売上、ストック売上、販売パートナー数、導入後の継続率を確認する必要がある。
総合情報配信・公共交通DX「Will-Sign」
デジタルサイネージ基盤「Will-Sign」は、空港、駅、バスターミナル、商業施設などへの導入実績が1,000台を超える。運行情報、施設案内、広告、防災情報などを統合し、クラウドから遠隔配信・監視する。
総合情報配信サービスは、屋外、店頭、公共空間、駅、空港、バスターミナルなどのディスプレイに、施設情報や交通機関の運行情報を配信する。基盤システム「Will-Sign」は、画像、動画、字幕、文書、ウェブコンテンツなどを配信し、表示レイアウトと配信スケジュールを管理する。
交通事業者ごとに異なる運行情報や施設情報を統合し、利用者に同一形式で表示できる。複数事業者が乗り入れる交通拠点では、情報形式や更新方法が異なるため、データ統合機能が重要になる。
音声案内、施設制御、外部データなどとの連携にも対応する。遅延、運休、乗り場変更、災害情報などを表示へ反映し、現場職員による手作業を削減する。
クラウドから複数拠点へ一括配信し、端末の稼働状態を遠隔監視できる。全国に設備が分散する事業者にとって、現地での更新作業と障害確認の負担を抑えられる。
2025年12月期には大阪・関西万博会場の「夢洲第1交通ターミナル」向け統合管理システムを提供した。2026年12月期第1四半期には「バスターミナル東京八重洲」の第2期エリア開業に関連する取り組みが進展した。
公共ライドシェア向けには、利用者アプリ、ドライバーアプリ、管理者機能を備えた専用パッケージを開発する。長崎県平戸市で試験導入を行い、地方の交通空白対策へ適用している。
コミュニティバス分野では、運行計画、予約、利用実績、運行管理をデジタル化するパッケージを開発する。自治体や地域交通事業者の業務が個別化しているため、共通機能とカスタマイズの組み合わせが必要となる。
交通拠点向けシステムは初期開発や機器納品の売上が大きくなる一方、導入後の配信管理、保守、クラウド利用を継続収益へ転換できる。
YE DIGITALのスマートバス停やジョルダンのMaaSなど、利用者向け情報提供を持つ企業との競争がある。Will Smartはサイネージだけでなく、予約、運行側システム、車載機器、データ分析まで横断することで差別化する。
AI・データサイエンス・クラウド化支援
地方自治体や公共交通事業者の利用データを統合・分析・可視化し、路線再編や交通空白対策のEBPMを支援する。オンプレミスの予約・販売システムのクラウド移行や、新規事業向け基幹システム開発も提供する。
AI・データサイエンスサービスは、自治体や交通事業者が保有する運行実績、乗降、予約、販売、車両、位置などのデータを統合する。分析前のデータ加工や集計を自動化し、担当者が分析と施策立案へ時間を配分できるデータ基盤を構築する。
交通利用データを可視化し、利用が少ない時間帯、交通空白、路線の重複、需要と供給のずれなどを把握する。自治体の地域公共交通計画や、証拠に基づく政策立案であるEBPMを支援する。
データ分析は一度限りの調査ではなく、路線変更後の検証、利用促進施策、運賃施策、補助金効果の測定へ継続利用できる。継続的なデータ更新と分析基盤の利用料へつながれば、ストック収益を構築できる。
同社はAIを単独の商品として販売するのではなく、交通・物流の業務データ、IoT機器、クラウド、既存システムと組み合わせて利用する。業界知識を持つ担当者が分析課題を定義できるかが成果を左右する。
クラウド化支援では、販売、予約、顧客管理などのオンプレミスシステムをクラウドへ移行する。新規モビリティ事業の販売系基幹システムも開発する。
カーシェアや高速バスのオンライン予約、ダイナミックプライシング、交通拠点の案内、運送業の安全管理など、モビリティ業務に特化した開発実績を利用する。
一般的なシステム開発会社と異なり、実際の運行、現場対応、利用者案内、保守まで考慮して設計することが求められる。システムが稼働しても現場業務に定着しなければ、顧客のDX効果は生じない。
ゼンリンの地図・調査網と地域公共交通分析、Will Smartのシステム・データ基盤を組み合わせる協業は、自治体営業と地域交通分析の範囲を拡大する。
今後の評価項目は、自治体案件数、データ連携対象、年間利用料、クラウド利用売上、ゼンリン経由の受注件数、分析結果から実際の交通再編へ移行した案件数となる。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2024年12月期 9か月 |
2025年12月期 | 2026年12月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) |
1,103 | 813 -290 / -26.3% | 1,086 +273 / +33.5% | 513 -573 / 9か月決算 | 805 +292 / 期間差あり | 1,150 +345 / +42.8% |
| 営業損益 (百万円) |
-21 | -180 -159 / 赤字拡大 | 36 +216 / 黒字転換 | -228 -264 / 赤字転落 | -283 -55 / 赤字拡大 | 50 +333 / 黒字転換 |
| 経常損益 (百万円) |
-20 | -179 -159 / 赤字拡大 | 35 +214 / 黒字転換 | -223 -258 / 赤字転落 | -260 -37 / 赤字拡大 | 50 +310 / 黒字転換 |
| 当期純利益 (百万円) |
-33 | -287 -254 / 赤字拡大 | 27 +314 / 黒字転換 | -224 -251 / 赤字転落 | -416 -192 / 赤字拡大 | 40 +456 / 黒字転換 |
| EPS (円) |
-15.35 | -133.24 -117.89 | 12.57 +145.81 | -103.85 -116.42 | -192.72 -88.87 | 18.55 +211.27 |
| PER (倍) |
– | – | – | – | – | 32.1 |
| PBR (倍) |
– | – | – | 3.98 | 602.5 | – |
| BPS (円) |
307.42 | 131.97 -175.45 / -57.1% | 144.54 +12.57 / +9.5% | 189.87 +45.33 / +31.4% | 1.47 -188.40 / -99.2% | – |
| 純資産 (百万円) |
663 | 285 -378 / -57.0% | 312 +27 / +9.5% | 410 +98 / +31.4% | 3 -407 / -99.3% | – |
| 営業CF (百万円) |
-170 | 135 +305 / 黒字転換 | 6 -129 / -95.6% | -182 -188 / 赤字転落 | -122 +60 / 赤字縮小 | – |
| 投資CF (百万円) |
-66 | -80 -14 | -102 -22 | -15 +87 | -61 -46 | – |
| 財務CF (百万円) |
145 | -127 -272 | 179 +306 | 158 -21 | 180 +22 | – |
| 現金及び現金同等物 (百万円) |
136 | 64 -72 / -52.9% | 147 +83 / +129.7% | 108 -39 / -26.5% | 105 -3 / -2.8% | – |
中期経営計画
中期経営計画2030 Beyond 100
Will Smartは2026年3月25日、「中期経営計画2030 Beyond 100」を公表した。2030年に向けて「地方部におけるモビリティ社会の実現」を掲げ、地域交通DXと物流DXを中心に、自社プラットフォーム型の収益構造へ転換する。2025年12月期実績の売上高約8億円、営業損失約2.8億円に対し、2030年12月期の目標は売上高30億円、営業利益3.5億円、営業利益率12%、時価総額100億円以上。売上高の年平均成長率は30%を想定する。数値計画はM&Aによる上積みを含まないオーガニック成長の目標である。
売上成長のKPIは取引社数で、2025年度の約100社から2030年度に300社以上へ増やす。収益性のKPIは自社プラットフォーム売上比率で、約30%から70%以上へ引き上げる。
2026年から2027年を基盤強化期とし、OBDII型デジタコを物流市場へ本格投入する。自社プラットフォーム売上比率を約30%から約45%へ引き上げ、営業利益率4%から5%台を目指す。
2028年は構造転換の中間地点とし、営業利益率6%、自社プラットフォーム売上比率50%超を目標とする。2029年から2030年はストック型収益を中心とする高収益モデルを確立し、営業利益率12%、自社プラットフォーム売上比率70%を目指す。
連続的な成長戦略では、デジタコ、カーシェアリング、公共ライドシェア、コミュニティバス、Will-Signなどのパッケージを拡充する。ゼンリン、NTTドコモ、ケー・シー・エス、都築電気などの販売・開発パートナーを活用し、全国の企業と自治体へ販売範囲を広げる。
非連続的な成長では、モビリティステーションの設計などデジタルだけでは解決できない機能、地域金融機関や観光事業者との連携、商品群や開発能力を取得するM&Aを検討する。
キャピタルアロケーションでは、営業キャッシュ・フロー、有利子負債、エクイティを、自社プラットフォームのソフトウェア、人材、販売チャネル、M&Aへ優先配分する。株主還元は成長投資と財務状況を勘案して検討する方針である。
計画達成の中心は、受託開発の売上を増やすことではなく、受託案件で得た知見を再利用可能な商品へ転換し、ライセンス、月額利用、保守などのストック収益を拡大することにある。
中期経営計画2030 Beyond 100へ
競合他社
① YE DIGITAL(2354)
2026年7月15日終値は825円、発行済株式数18,519,100株を用いた時価総額は約152.8億円。Will Smartの約11.9倍の時価総額を持つ。2027年2月期第1四半期は売上高4,788百万円、営業利益331百万円、経常利益313百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益163百万円。前年同期比では売上高2.7%減、営業利益4.9%増、経常利益11.2%減、親会社帰属純利益25.1%減となった。
2027年2月期会社予想は売上高22,000百万円、営業利益2,200百万円、経常利益2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,600百万円。
公共交通分野では、電子ペーパーや液晶表示器を用いるスマートバス停「MMsmart BusStop」を提供する。時刻表、接近情報、遅延・運休、自治体のお知らせをクラウドから遠隔更新する。
バス接近情報サービス「BusOne」は、GTFSやリアルタイム交通データを統合し、複数事業者の運行情報をスマートバス停やスマートフォンへ表示する。
Will Smartの「Will-Sign」、交通ターミナル向け統合表示、自治体向け交通データ連携と直接競合する。YE DIGITALは大規模なシステム開発、保守網、スマートシティ、物流センターDXまで提供できる点で規模が大きい。
Will Smartは、サイネージだけでなく車載機器、予約システム、公共ライドシェア、データ分析を一体提供し、中小規模の自治体や地域交通事業者へ柔軟に対応する必要がある。
② スマートドライブ(5137)
2026年7月15日終値は232円、発行済株式数37,959,480株を用いた時価総額は約88.1億円。2026年9月期中間期は売上高1,584百万円、営業利益139百万円、経常利益143百万円、親会社株主に帰属する中間純利益191百万円。前年同期比では売上高10.7%増、営業利益10.7%減、経常利益2.3%減、親会社帰属純利益109.7%増となった。
2026年9月期会社予想は売上高4,583百万円、営業利益743百万円、経常利益725百万円、親会社株主に帰属する当期純利益890百万円。
主力の「SmartDrive Fleet」は、車両の位置、走行履歴、安全運転、稼働状況、日報、コストなどをクラウドで一元管理する。社用車、営業車、物流車両を対象とする継続課金型SaaSである。
Will Smartの「Will-Fleet」とは、車載デバイス、走行データ、運行管理、安全管理、日報、物流事業者向け販売で直接競合する。
スマートドライブは、多様な車両からデータを収集するモビリティデータプラットフォームと、車両管理SaaSの継続課金基盤を持つ。M&Aにより自動車販売・整備事業者との顧客接点も拡大している。
Will Smartは、OBDII型デジタコの型式指定、公共交通システム、サイネージ、自治体向けデータ分析を組み合わせることで差別化する必要がある。競争上の確認項目は、導入台数、月額料金、機器設置の容易性、解約率、販売網、法令対応機能となる。
③ ジョルダン(3710)
2026年7月15日終値は581円、発行済株式数5,255,000株を用いた時価総額は約30.5億円。2026年9月期中間期は売上高1,651百万円、営業利益87百万円、経常利益342百万円、親会社株主に帰属する中間純利益259百万円。前年同期比では売上高11.4%増、営業利益94.1%増、経常利益61.3%増、親会社帰属純利益56.7%増となった。
2026年9月期会社予想は売上高2,950百万円、営業利益80百万円、経常利益220百万円、親会社株主に帰属する当期純利益150百万円。
「乗換案内」を中心に、鉄道、バス、航空などの経路検索、運行情報、法人向け交通データAPI、モバイルチケット、MaaSを提供する。
自治体や交通事業者向けには、地域交通、観光周遊、交通空白対策、デジタルチケットなどのプロジェクトを展開する。
Will Smartとは、地域MaaS、公共ライドシェア、コミュニティバス、交通情報配信、交通データ連携、自治体向け交通DXで競合する。
ジョルダンは利用者向けアプリ、経路検索、チケット販売、交通データAPIに強い。Will Smartは交通事業者側の車載機器、運行管理、サイネージ、予約、データ分析に強みを持つ。
自治体案件では競合する一方、ジョルダンの利用者接点とWill Smartの運行側システムが補完関係になる可能性もある。競争の焦点は、自治体予算、交通事業者との契約、MaaSアプリ、予約・決済、GTFS連携、観光周遊施策となる。
強みと将来性
車載機器からクラウド、現場運用までを横断するモビリティ特化型DX
Will Smartの強みは、公式に掲げる「顧客理解力」「技術力」「プラットフォーム化したサービス群」の3点に集約される。顧客理解力では、交通事業者、物流事業者、自治体などと直接対話し、業界特有の業務フロー、現場制約、法制度、利用者対応を把握する。一般的なシステム要件だけでなく、運行、貸出、点呼、安全管理、案内、保守まで設計へ反映できる。
技術面では、車載ハードウェア、IoT通信、クラウド、予約アプリ、運行管理、デジタルサイネージ、AI・データ分析を一社で横断する。ハードウェアとソフトウェアの間で責任範囲が分断されにくく、障害原因やデータ連携を一体で管理できる。
Will-MoBiでは、受託開発で構築した機能をモジュール化し、別案件へ再利用する。顧客はフルパッケージだけでなく、必要な機能を既存システムへ追加できる。
戦略的な受託開発は、短期的な売上を得るだけでなく、新しい顧客課題、技術知識、業務データを獲得する役割を持つ。その知見を共通商品へ転換できれば、開発コストを複数顧客で回収し、利益率を改善できる。
Will-Signは1,000台を超える導入実績を持つ。交通拠点や公共空間での稼働実績は、障害対応、遠隔監視、コンテンツ管理など、長期運用を受注する際の信用材料となる。
OBDII型デジタコは、物流DXにおける新しい成長機会である。型式指定を取得した機器、運行管理クラウド、月額課金を組み合わせることで、従来の受託開発とは異なる台数積み上げ型の収益を構築できる。
地域公共交通では、車両、予約、運行、利用者案内、データ分析を一つの事業者が扱える。単一機能だけを提供する競合に対し、自治体の交通計画から実際の運行システムまで提案範囲を広げられる。
ゼンリンとの協業では、全国の調査網、地図、地域交通分析と、Will Smartのシステム開発を組み合わせる。2026年6月の資本提携により、両社の関係は従来の業務協業より強固になった。
泉陽興業との資本業務提携では、観光施設、遊園施設、移動サービスなどの分野で新しいモビリティ事業を開発する余地がある。
NTTドコモ、都築電気、ケー・シー・エスなどとの連携は、自社の営業人数だけに依存せず、全国の交通・物流事業者へ販売する経路となる。
地方部では交通事業者の人手不足、運転手不足、路線維持、利用者減少が同時に発生している。国が交通空白対策を進める中、運行データの可視化、予約型交通、公共ライドシェア、コミュニティバスのデジタル化需要が案件機会となる。
物流分野でも、労働時間規制と物流関連法への対応から、運行データ、労務、安全、車両稼働の管理需要が高まる。Will-Fleetが中小事業者へ普及すれば、公共交通とは異なる大きな顧客層を獲得できる。
中期計画では、自社プラットフォーム売上比率を約30%から70%へ引き上げる。取引社数と車載器台数を増やし、保守、クラウド、ライセンス、通信などを積み上げられれば、売上高の季節変動を抑えられる。
2030年目標の評価では、売上高30億円だけでなく、取引社数300社、自社プラットフォーム比率70%、ストック売上高、営業利益率12%が同時に進展しているかを確認する必要がある。
弱みとリスク要因
債務超過、大型案件依存、増資希薄化と黒字転換計画の実行リスク
最大のリスクは、2025年12月期までの赤字により自己資本が大幅に減少し、2026年12月期第1四半期末に債務超過となった点である。2025年12月期は営業損失283百万円、当期純損失415百万円を計上し、期末純資産は3百万円、自己資本比率は0.7%まで低下した。会社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在すると認識していた。
2026年12月期第1四半期は営業損失51百万円、四半期純損失54百万円となり、純資産はマイナス51百万円、自己資本比率はマイナス12.3%となった。
2026年6月の第三者割当増資では449,971,200円を調達したが、増資後の財政状態は次回以降の決算で確認する必要がある。資本注入後も営業赤字が続けば、再び自己資本と手元資金が減少する。
第三者割当では669,600株を新規発行した。発行済株式総数は2025年12月期末の1,471,400株から2,156,500株へ約46.6%増加しており、既存株主の1株当たり利益と議決権比率に希薄化が生じた。
割当後、ゼンリンは大株主としての影響力を強める。協業の加速は成長機会となる一方、事業戦略、取引条件、役員構成、資本政策で特定株主との関係が重要になる。
2026年12月期会社予想は営業利益50百万円の黒字転換を見込むが、第1四半期は営業損失51百万円である。通期達成には第2四半期以降の大型案件、Will-Fleet販売、公共交通案件、コスト削減が計画どおり進む必要がある。
売上高は大型受託案件と機器納品の検収時期で変動する。契約を獲得していても、仕様変更、顧客都合、許認可、実証実験、機器調達によって検収が翌期へずれる可能性がある。
2024年12月期には見込んでいた大型案件の受注見送りが業績へ影響した。2025年12月期には既存大口顧客によるカーシェアサービス終了とEV関連投資の慎重化がショット売上を減少させた。
顧客数と売上規模が小さいため、一つの大口案件や顧客の投資判断が全社業績へ与える影響が大きい。顧客構成、上位顧客比率、受注残の分散を確認する必要がある。
ストック売上は増加しているが、中期計画の起点となる自社プラットフォーム売上比率は約30%である。現時点では受託開発と初期導入への依存が残り、目標とする高収益モデルは完成していない。
Will-Fleetは販売開始直後で、受注台数、稼働台数、月額単価、解約率、保守費用の実績が限定される。型式指定の取得だけでは、計画した販売台数と利益率を保証しない。
車載機器は半導体、通信モジュール、物流、為替、製造委託先の影響を受ける。機器価格や調達期間が悪化した場合、販売価格へ転嫁できなければ粗利益率が低下する。
デジタコではスマートドライブや既存運行管理企業、公共交通サイネージではYE DIGITAL、MaaSではジョルダンなど、Will Smartより規模、販売網、財務基盤が大きい企業と競合する。
自治体向け案件は国の政策や補助金が需要を支える一方、予算年度、入札、実証実験、議会承認に左右される。実証事業が終了しても、本格運用へ移行しない場合がある。
地域交通の案件は個別要件が多く、過度なカスタマイズは開発工数と保守負担を増やす。受注を優先して低採算案件を増やすと、売上が伸びても利益率が改善しない。
中期計画では2030年までに売上高を約3.7倍、取引社数を3倍以上、自社プラットフォーム比率を70%へ高める。人材採用、販売網、製品開発、内部管理体制が成長速度に追い付かなければ、品質低下や費用超過が発生する。
時価総額は約12.8億円と小さく、株式の流動性は大型株より限定される。大型受注、資本政策、決算、業績予想の変更によって株価が大きく変動する可能性がある。
2026年7月15日終値595円は、最新発行済株式総数で再計算した2026年12月期会社予想EPS18.55円に対してPER約32.1倍となる。黒字転換を達成できない場合、利益予想と評価倍率の双方が修正されるリスクがある。
出典
- Will Smart 公式サイト
- Will Smart 会社概要
- Will Smart ソリューション
- Will Smartの強み
- Will Smart サービス
- モビリティシステムサービス
- 総合情報配信サービス・Will-Sign
- AI・データサイエンスサービス
- クラウド化支援サービス
- Will Smart IR情報
- Will Smart 財務ハイライト
- Will Smart 決算短信
- 中期ビジョン2030策定のお知らせ
- 中期ビジョン2030説明資料
- 中期経営計画2030 Beyond 100
- 2026年12月期 第1四半期決算短信
- 第三者割当による新株式発行の払込完了に関するお知らせ
- 新規上場申請のための有価証券報告書
- YE DIGITAL IR情報
- スマートドライブ 決算資料
- ジョルダン IR情報
本ページは、決算短信、適時開示、公式IR資料、公式サービスページ等に基づく情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。業績予想、中期経営計画、株価、時価総額、PER、PBRは将来変動する可能性があります。投資判断は最新の開示資料を確認のうえ、自己責任で行ってください。

コメント