157A グリーンモンスター

グリーンモンスター 157A 東証G

Green Monster Inc.|「株たす」「FXなび」「トウシカ」などの体験型投資学習アプリを運営。投資スクール、FP相談、職域金融教育、ブロックチェーン・インフラストラクチャーへ事業領域を拡張する。
※2026年7月16日時点の情報

事業内容

2026年7月16日時点で参照する時価総額は約28.7億円。前営業日の2026年7月15日終値865円と発行済株式総数3,314,900株を用いた概算となる。2026年6月30日の終値884円を用いた場合の時価総額は約29.3億円。

グリーンモンスターは2013年7月設立。本社は東京都渋谷区神南一丁目4番9号、代表取締役は小川亮氏、決算期は6月、東京証券取引所グロース市場に上場する。初心者が実際の資金を失うことなく株式、FX、積立投資を疑似体験できるスマートフォンアプリを提供し、証券会社やFX会社への口座開設支援、広告、OEM提供などから収益を得る。

2026年6月期第3四半期累計は売上高1,450百万円、EBITDAマイナス70百万円、営業損失113百万円、経常損失110百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失125百万円。「株たす」は2026年1月から3月に四半期売上高の過去最高を更新した一方、組織基盤の強化、投資スクール事業の取得、ブロックチェーン事業への先行投資が利益を圧迫した。2026年6月期の通期業績予想は、合理的な算定が困難として非開示に変更されている。

体験型投資学習事業

会社全体の売上高は2021年6月期1,548百万円、2022年6月期1,397百万円、2023年6月期1,711百万円、2024年6月期1,957百万円、2025年6月期2,006百万円と推移した。2024年6月期まで報告セグメントは実質的に投資学習支援事業の単一セグメントであり、アプリ事業が連結売上の中心を占める。2025年6月期は増収を維持したが、営業利益率は6.2%へ低下した。
主要事業を含む全社業績推移(単位:百万円)
0 550 1,100 1,650 2,200 売上 1,548 利益 329 2021年6月期 利益率 21.3% 売上 1,397 利益 51 2022年6月期 利益率 3.7% 売上 1,711 利益 164 2023年6月期 利益率 9.6% 売上 1,957 利益 231 2024年6月期 利益率 11.8% 売上 2,006 利益 123 2025年6月期 利益率 6.2% 売上高 営業利益
2021年6月期と2022年6月期は上場前の提出会社単体数値。2023年6月期以降は連結数値。2021年6月期と2022年6月期の営業利益欄は、開示された経常利益を事業収益性の参考値としてグラフ化している。
体験型投資学習事業では、株式投資、FX、積立投資をゲームに近い操作感で疑似体験できるスマートフォンアプリを提供する。主力アプリは「株たす」「FXなび」「トウシカ」である。

「株たす」は実際の株価データを利用した株式投資のデモトレードに対応する。利用者は仮想資金を使い、株価変動、売買損益、保有銘柄の値動きを体験できる。実際の資金を投入する前に注文やポートフォリオ管理を学べる点が特徴となる。

株価チャートの見方、企業分析、投資用語などの学習コンテンツも提供する。AIを用いたチャート分析機能も搭載し、初心者が値動きの特徴やテクニカル指標を理解する入口として利用される。

「FXなび」は外国為替証拠金取引を対象とする。為替レートを使ったデモトレード、レバレッジ、スプレッド、ロスカットなどの仕組みを、実際の損失を負わずに学べる。

「トウシカ」はNISA、iDeCo、積立投資、資産形成のシミュレーションを提供する。毎月の積立額、運用期間、想定利回りなどを入力し、将来資産の変化を視覚化する。

各アプリは原則無料で提供し、証券会社やFX会社への口座開設、金融サービスへの送客、アプリ内広告、金融機関向けOEMなどから収益を得る。利用者数そのものより、投資デビュー支援数と1件当たり成果報酬単価が業績を左右する。

金融機関向けには、全国銀行協会向けの「まねらん」や、野村ホールディングス向けの「つみたて投資学習アプリ Powered by トウシカ」などを提供してきた。自社ブランドだけでなく、金融機関の金融教育コンテンツとして組み込める点がBtoB領域の特徴である。

2025年6月期は、新NISA開始後の投資需要が想定より早く一巡し、株式関連アプリのユーザー数と投資デビュー支援数の増加に苦戦した。主力の「FXなび」は回復したものの、株式関連アプリの減速を補うには至らなかった。

2026年6月期第3四半期では「株たす」のキャンペーンが寄与し、2026年1月から3月の四半期売上高が過去最高となった。一方、「FXなび」は口座開設数の量を追うのではなく、送客品質を重視する運営を続けた。

プロトレーダーが確認すべき指標は、アプリダウンロード数だけではない。月間利用者数、継続率、投資デビュー支援数、口座開設転換率、成果報酬単価、広告宣伝費、顧客獲得単価を組み合わせて判断する必要がある。

資産形成支援事業

FPコンサルティング、職域金融教育、投資スクールを組み合わせ、無料アプリ利用者との接点を相談・教育・有料サービスへ広げる。2026年6月期第3四半期はFPコンサルティング等が増収となった一方、投資スクール事業取得に伴う人員・広告・のれん償却などが利益を圧迫した。
資産形成支援事業は、ファイナンシャルプランニング、投資スクール、動画講座、セミナー、職域金融教育などを提供する。体験型アプリが投資開始前の入り口であるのに対し、資産形成支援は利用者の家計、目標、リスク許容度に応じた具体的な行動を支援する。

FPコンサルティングでは、家計収支、保険、住宅、教育、老後資金、資産運用などを対象に相談サービスを提供する。アプリの匿名・セルフ型学習だけでは解決しにくい個別課題を、相談員との面談で補完する。

職域金融教育では、企業の従業員向けに資産形成、NISA、iDeCo、家計管理などの教育を提供する。福利厚生や人的資本経営、金融ウェルビーイングの施策として法人へ導入する。

職域向け金融教育支援アプリ「maneC」は、従業員が金融知識を学び、資産形成を始めるためのコンテンツと機能を提供する。法人契約を増やせれば、個人向け成果報酬より継続性の高い収益を構築できる。

投資スクール事業では、動画講座、オンライン授業、セミナー、コミュニティなどを通じて、株式や資産運用を体系的に学ぶ機会を提供する。無料アプリから有料講座へ移行する顧客導線を構築できるかが収益拡大の焦点となる。

2025年6月期には株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを連結対象とし、2026年6月期には株式会社Financial Free Collegeを連結範囲へ加えた。M&Aにより売上機会は増える一方、取得費用、のれん償却、人件費、広告宣伝費も増加する。

収益性を判断するには、スクールの申込者数だけでなく、受講単価、成約率、返金率、広告獲得費、講師報酬、継続率を確認する必要がある。

FP相談についても、相談件数、顧問契約数、1顧客当たり売上、相談から金融行動への転換率が重要となる。送客先や取扱商品の偏り、説明義務、個人情報管理、金融規制への対応も必要である。

アプリ、スクール、FP相談を連結できれば、利用者の「学ぶ」「試す」「相談する」「実際に始める」という一連の行動をグループ内で支援できる。無料アプリの大量集客を、有料教育や継続相談へ転換できるかが中長期の収益構造を決める。

金融機関向けOEM・マーケティング支援

金融機関のブランドで投資学習アプリを提供し、金融教育、口座開設、顧客接点のデジタル化を支援する。自社アプリの開発資産を再利用できる一方、金融機関が教育機能や口座開設導線を自社アプリへ内製化することは競争リスクとなる。
金融機関向けOEMでは、グリーンモンスターが蓄積したアプリ開発、投資シミュレーション、教育コンテンツ、利用データ分析の機能を、銀行や証券会社のブランドに合わせて提供する。

金融機関は取引機能だけでなく、投資未経験者を育成し、金融商品への理解を高める教育機能を必要としている。グリーンモンスターは実取引の前段階にある疑似体験を担当する。

OEMは自社アプリと異なり、開発費、保守費、利用料などを契約条件に組み込める。成果報酬だけに依存しない収益源となる可能性がある。

一方、案件ごとにセキュリティ、デザイン、審査、データ連携、法令対応が異なり、個別開発の負担が増える可能性がある。金融機関向けサービスでは、障害、誤表示、情報漏えいが取引先の信用問題へ直結する。

金融機関が口座、取引、家計管理、投資学習、AI相談を単一アプリ内で提供する場合、外部の送客アプリを利用する必要性は低下する。Finatextホールディングスなどが金融機関向けクラウド基盤とアプリを提供しており、技術面の競争は強い。

同社が競争力を保つには、投資初心者が継続利用するゲーム設計、学習コンテンツ、デモ取引、金融機関への高い送客転換率を示す必要がある。

ブロックチェーン・インフラストラクチャー事業

2026年1月に中長期的な成長戦略の一環として新設を公表。バリデータノードを中心とするブロックチェーン基盤への参入を計画するが、2026年6月期第3四半期までの段階では先行投資が連結利益を圧迫しており、独立した売上・利益目標は開示されていない。
ブロックチェーン・インフラストラクチャー事業では、ブロックチェーンネットワークの維持と取引検証を担うバリデータノードの運営を中心とする計画を公表している。

バリデータは、プルーフ・オブ・ステーク型のネットワークで暗号資産などをステーキングし、取引の検証やブロック生成に参加する。正常に運営すれば報酬を得られる一方、ネットワーク障害や不正動作ではスラッシングによる損失が発生する場合がある。

金融教育アプリとの直接的な収益連携は、現時点で具体的に開示されていない。既存事業の顧客基盤を利用して暗号資産関連サービスを提供するとは限らず、独立したインフラ事業として評価する必要がある。

ノード運営にはサーバー、クラウド、ネットワーク監視、秘密鍵管理、サイバーセキュリティ、技術者の確保が必要となる。対象ネットワークの選定、ステーキング資産、報酬率、運営費、為替・暗号資産価格が収益を左右する。

ブロックチェーン関連の法規制、会計処理、税務、暗号資産の保管、海外事業者との契約もリスク要因となる。

2026年6月期第3四半期では、ブロックチェーン事業への投資が営業赤字の一因として説明されている。売上高、バリデータ数、ステーキング総額、稼働率、報酬収入、運営原価が開示されるまでは、将来利益への貢献度を定量評価できない。

投資判断では、事業開始の発表だけでなく、対象チェーン、契約形態、必要資金、収益化時期、損失上限、会計処理、既存金融教育事業との関係を確認する必要がある。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期
会社予想
売上高
(百万円)
1,548 1,397-151 / -9.7% 1,711+314 / +22.5% 1,957+246 / +14.4% 2,006+49 / +2.5%
営業損益
(百万円)
164 231+67 / +40.2% 123-108 / -46.5%
経常損益
(百万円)
329 51-278 / -84.5% 169+118 / +232.0% 231+62 / +36.2% 125-106 / -45.5%
当期純利益
(百万円)
225 39-186 / -82.8% 122+83 / +213.8% 156+34 / +28.5% 32-124 / -79.1%
EPS
(円)
67.80 11.69-56.11 / -82.8% 36.68+24.99 / +213.8% 47.06+10.38 / +28.3% 9.65-37.41 / -79.5%
PER
(倍)
22.4 52.7
PBR
(倍)
2.38 1.18
BPS
(円)
144.65 156.34+11.69 / +8.1% 192.99+36.65 / +23.4% 444.06+251.07 / +130.1% 431.39-12.67 / -2.9%
純資産
(百万円)
479 518+39 / +8.1% 640+122 / +23.5% 1,472+832 / +130.0% 1,430-42 / -2.9%
営業CF
(百万円)
-16 255+271 / 黒字転換 168-87 / -34.1% -6-174 / 赤字転落
投資CF
(百万円)
-54 3+57 -74-77 -215-141
財務CF
(百万円)
-27 -27+0 658+685 -82-740
現金及び現金同等物
(百万円)
506 737+231 / +45.7% 1,490+753 / +102.2% 1,185-305 / -20.5%
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中期経営計画

専用の中期経営計画は未公表・事業領域拡張を優先

複数年度の売上高、営業利益、キャッシュ・フローなどの数値目標をまとめた正式な中期経営計画は確認できない。2026年6月期の当初会社予想は売上高2,617百万円、EBITDA152百万円、営業利益102百万円、経常利益102百万円、親会社株主に帰属する当期純利益60百万円だったが、第3四半期時点で通期予想を非開示へ変更した。

現在の基本方針は、体験型投資学習アプリの収益回復、資産形成支援事業の拡大、アプリからスクール・FP相談への顧客導線構築、金融機関向けOEMの拡大、ブロックチェーン・インフラストラクチャー事業への参入である。

体験型投資学習事業では、「株たす」「FXなび」「トウシカ」の機能改善、コンテンツ追加、キャンペーン運用を継続する。単純なダウンロード数ではなく、口座開設へ至る投資デビュー支援数、成果報酬単価、広告投資効率の改善を目指す。

資産形成支援事業では、投資スクールの集客・販売体制を強化し、FPコンサルティングでは商品開発と法人営業を進める。無料アプリ利用者を有料講座や相談サービスへつなぎ、1人当たりの生涯売上を高める方針となる。

ブロックチェーン・インフラストラクチャー事業については、2026年1月に中長期的な成長戦略の一環として立ち上げを公表した。バリデータノードを中心に事業化する計画だが、売上目標、利益目標、投資額、収益化時期は開示されていない。

第3四半期までの営業赤字を踏まえると、売上拡大だけでなく、広告宣伝費、人件費、M&A関連費用、のれん償却、新規事業費用を吸収できる利益率の回復が必要となる。通期実績と次期予想が公表されるまでは、定量的な中期成長率の判断は困難である。
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競合他社

① マネーフォワード(3994)
2026年7月15日終値は4,964円、発行済株式数55,701,814株を用いた時価総額は約2,765.0億円。グリーンモンスターの約96倍の時価総額を持つ。

2026年11月期第2四半期累計は売上高28,992百万円、営業損失209百万円、親会社株主に帰属する中間純利益553百万円。SaaS ARRは47,669百万円となった。通期予想は売上高60,500百万円から62,300百万円、営業損益は500百万円の赤字から1,500百万円の黒字を見込む。

個人向け家計簿・資産管理アプリ「マネーフォワード ME」は、銀行、証券、カード、電子マネー、年金などの情報を集約し、実際の家計と金融資産を可視化する。金融教育イベント「お金のEXPO」なども展開する。

グリーンモンスターが実資金を使う前の投資疑似体験に強いのに対し、マネーフォワードは実際の家計・資産データを継続的に管理する日常接点に強い。

資産形成初心者の利用時間、金融教育コンテンツ、金融機関の広告予算、職域金融教育で競合する。ブランド、利用者基盤、継続課金、金融データ連携ではマネーフォワードが大幅に上回る。グリーンモンスターは、株式・FXに特化したデモ取引とゲーム性で差別化する。
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② Finatextホールディングス(4419)
2026年7月15日終値は1,679円、発行済株式数51,898,340株を用いた時価総額は約871.4億円。

2026年3月期は売上高11,052百万円、EBITDA2,270百万円、営業利益1,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,513百万円。2027年3月期会社予想は売上高15,500百万円、EBITDA3,875百万円、営業利益3,338百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,322百万円。

金融機関向けにスマートフォンアプリ、証券・保険・クレジットのクラウド基幹システム、データ分析、生成AI、AIエージェントを提供する。金融インフラのパートナー数は50社に達している。

グリーンモンスターとは、金融機関向けアプリ開発、初心者向け金融体験、口座開設導線、AIによる利用者支援で競合する。

Finatextは金融取引や契約処理を担う基幹インフラを構築するのに対し、グリーンモンスターは学習と疑似体験を提供し、金融機関へ送客する。金融機関が教育から口座開設、取引までを自社アプリ内で完結させる場合、グリーンモンスターの外部送客モデルを代替する可能性がある。
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③ ZUU(4387)
直近約定日の2026年7月14日終値は485円、発行済株式数4,749,860株を用いた時価総額は約23.0億円。グリーンモンスターと時価総額が近く、収益モデルの重複度が高い競合となる。

2026年3月期は売上高2,622百万円、営業損失345百万円、経常損失67百万円、親会社株主に帰属する当期純損失398百万円。2027年3月期会社予想は売上高2,949百万円、営業利益53百万円、EBITDA173百万円、経常利益440百万円、親会社株主に帰属する当期純利益10百万円。

金融情報メディア「ZUU online」「NET MONEY」、金融機関向けDX、デジタルマーケティング、ウェルスマネジメント、保険代理、金融商品仲介を展開する。

両社は、金融コンテンツで利用者を集め、証券、FX、保険などの金融機関へ送客し、成果報酬を得る点で競合する。ZUUは検索流入、比較記事、富裕層・経営者向けサービスに強く、グリーンモンスターはアプリ、疑似体験、初心者・若年層の行動喚起に強い。

広告単価、送客単価、検索・SNS広告の顧客獲得費、金融機関のデジタルマーケティング予算を奪い合う。グリーンモンスターにとって、事業規模と収益構造を比較しやすい直接競合である。
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強みと将来性

実資金を失わずに投資を体験できるアプリと、相談・教育への拡張性
グリーンモンスターの中心的な強みは、投資を始める前の心理的障壁を、疑似体験によって下げられる点にある。金融記事や動画は知識を伝えるが、実際の株価データを使って売買、損益、ポートフォリオ管理を体験する機能は、利用者の行動を口座開設へ近づけやすい。

「株たす」「FXなび」「トウシカ」は、株式、FX、積立投資という異なる金融行動をカバーする。利用者は一つの金融商品だけでなく、資産形成全体の選択肢を段階的に学べる。

初心者や若年層に対して、難しい金融用語をゲームに近い画面と操作で理解させる設計は、金融記事中心のメディアとの差別化要因となる。

実取引を行わない学習環境は、損失リスクを負わせずに利用できる。証券会社やFX会社にとっては、サービスの仕組みを理解した利用者を獲得できるため、単純な広告クリックより送客品質を高められる可能性がある。

全国銀行協会や野村ホールディングス向けのOEM実績は、自社アプリで構築した機能を金融機関向けに展開できることを示す。金融機関の審査やセキュリティ要件に対応した実績は、新規営業での信用材料となる。

アプリ、投資スクール、FP相談、職域金融教育を組み合わせる事業構成も強みとなる。無料アプリだけでは成果報酬の発生時点が口座開設に限定されるが、有料講座、法人契約、継続相談へ利用者を移行できれば、顧客当たり売上を高められる。

職域金融教育は、企業が従業員の金融ウェルビーイングを支援する需要を取り込める。個人向け広告に比べて法人契約は継続性を持つ可能性があり、広告市況への依存を下げる手段となる。

2026年1月から3月に「株たす」が四半期売上高の過去最高を更新したことは、株式関連アプリに回復余地があることを示す。キャンペーン終了後も利用者と口座開設が維持されるかが次の確認点となる。

金融教育の必要性は、NISAや資産形成制度の普及だけでなく、投資詐欺や不適切な勧誘への対策からも高まる可能性がある。同社は「投資詐欺体験チャット」など、損失を回避するための体験型教育にも展開できる。

AIチャート分析や学習支援をアプリに組み込めば、利用者の経験や関心に応じてコンテンツを個別化できる。利用者が理解できていない分野を示し、次に学ぶ内容や疑似取引を提案することで継続率を高める余地がある。

ブロックチェーン・インフラストラクチャー事業は不確実性が高いものの、バリデータ運営で継続収益を構築できれば、広告・成果報酬中心の既存事業と異なる収益源となる。

将来性を判断するには、アプリダウンロード数ではなく、継続利用者数、投資デビュー支援数、成果報酬単価、スクール受講者数、職域導入企業数、FP顧問契約数を確認する必要がある。これらが増加し、営業利益と営業キャッシュ・フローが黒字へ戻れば、事業領域拡張の成果が確認できる。

弱みとリスク要因

成果報酬・広告依存と、新規事業への先行投資による赤字拡大
最大の弱みは、体験型投資学習アプリの収益が、証券会社やFX会社への口座開設成果報酬と広告に強く依存する点である。アプリの利用者が増えても、実際の口座開設へ転換しなければ売上につながらない。

金融機関が広告予算を削減した場合、1件当たり成果報酬単価が下落する。証券・FX市場の競争環境、広告規制、口座開設キャンペーンの方針が同社の収益へ直接影響する。

2022年6月期にはAppleの広告規制の影響でアプリ利用者の獲得費が増加し、経常利益が2021年6月期329百万円から51百万円へ急減した。外部プラットフォームの規約変更が業績に与える影響は実績として表れている。

App Store、Google Play、検索エンジン、SNS広告の仕様や審査基準が変わると、広告配信、アプリ公開、利用者獲得に影響する。金融関連広告は一般的なアプリより規制と審査が厳しい。

新NISA開始による追い風は永続的ではない。2025年6月期は投資需要の増加が想定より早く一巡し、株式関連アプリのユーザー数と投資デビュー支援数が伸び悩んだ。制度変更時の需要を通常成長率として評価すると、翌期の反動を過小評価する可能性がある。

無料アプリは利用者を集めやすい一方、継続的な課金収入を得にくい。口座開設を完了した利用者がアプリを利用しなくなる場合、同じ利用者から繰り返し収益を得ることが難しい。

投資スクールやFP相談への移行は収益機会となるが、無料アプリ利用者が有料サービスへ移行する保証はない。広告費と営業人員を増やしても、受講者や顧問契約が増えなければ固定費だけが残る。

2026年6月期第3四半期累計は売上高が3.0%増加した一方、営業損失113百万円となった。売上成長よりも組織強化、M&A、新規事業投資の増加が大きく、営業レバレッジが逆方向に働いている。

自己資本比率は2025年6月期末の78.5%から2026年6月期第3四半期末に62.9%へ低下した。財務安全性は維持されているが、純資産は1,430百万円から1,290百万円へ減少している。赤字が継続すれば、手元資金と自己資本が減少する。

M&Aでは、取得企業の売上が増えても、のれん償却、取得関連費用、人件費、広告費が利益を圧迫する可能性がある。投資スクールは講師や営業担当者への依存が強く、キーパーソンの退職もリスクとなる。

金融教育とFP相談では、説明内容の正確性、広告表示、個人情報、利益相反への管理が必要となる。誤解を招く表示や不適切な勧誘が発生すれば、返金、行政対応、取引先との契約解除、信用低下につながる。

AIチャート分析は利便性を高める一方、分析結果を投資助言と誤認されるリスクがある。誤った表示や過度に断定的な表現が利用者の損失につながれば、ブランドや法務面の問題となる。

生成AIにより金融記事、学習教材、簡易的な投資解説を低コストで作成できるようになると、従来のコンテンツだけでは差別化が難しくなる。疑似取引、利用データ、金融機関との連携など、模倣しにくい機能を維持する必要がある。

ブロックチェーン事業は、既存の投資学習事業と必要な技術、人材、規制対応が異なる。収益化前にサーバー、技術者、ステーキング資産、セキュリティへ投資するため、計画が遅れれば赤字が拡大する。

バリデータ運営では、暗号資産価格、報酬率、ネットワーク参加者数、規制、秘密鍵管理、スラッシング、サイバー攻撃のリスクを負う。事業規模と損失上限が開示されるまでは、期待収益だけで評価できない。

時価総額は約29億円と小さく、株式の流動性も大型株より限定される。決算、新規事業、M&A、需給変化により株価が大きく変動する可能性がある。

2026年6月期の通期業績予想が非開示であるため、予想PERによる評価ができない。2026年6月30日終値884円は、2025年6月期の最新株式数再計算EPS9.65円に対して約91.6倍となる。足元の赤字と将来の事業拡大期待の差が大きく、次回の通期実績と次期予想で評価が大幅に変わる可能性がある。

出典

本ページは、決算短信、公式IR資料、公式サービスページ等に基づく情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。業績予想、事業計画、株価、時価総額、PER、PBRは将来変動する可能性があります。投資判断は最新の開示資料を確認のうえ、自己責任で行ってください。

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