2026年10月20日(火)のストップ高銘柄と理由
本日のポイント
2026年10月20日の終値ストップ高は、Veritas In Silico(130A)、リネットジャパングループ(3556)、シライ電子工業(6658)の3銘柄。いずれも前営業日の10月19日取引終了後に重要な企業発表があり、創薬研究の進捗、資本業務提携と大型資金調達、業績予想上方修正・増配・不採算事業撤退という、それぞれ性質の異なる材料が株価形成の中心となった。
ウェリタスは東レとのPCSK9 mRNA標的の共同創薬研究でヒット化合物取得を達成した。ただしマイルストーン達成に伴う収入はなく、2026年12月期業績予想も据え置く。リネットジャパンはJX金属CS・SGホールディングス・PCS Wirelessとの提携を公表。資源循環と中古IT機器流通の事業基盤を拡大する一方、新株式・新株予約権を伴う資金調達計画には株式希薄化という論点がある。
シライ電子は通期営業利益予想を8.5億円から18億円へ111.8%引き上げ、年間配当予想を20円から28円へ増額した。さらに赤字が続いていたSPET事業からの撤退も発表。もっとも、修正後の営業利益18億円は前期20.3億円を下回り、配当28円も前期35円を下回る。発表材料のインパクトを見る際は、従来予想との比較と前期実績との比較を区別する必要がある。
テーマ別グルーピング
- 創薬・AI(人工知能):130A ウェリタス。東レとの共同研究でPCSK9 mRNAを標的とするヒット化合物の取得を確認。研究成果と当期業績への収益寄与を区別する。
- 都市鉱山・2次電池リサイクル・物流:3556 リネットジャパン。大手3社との資本業務提携により使用済みIT機器・小型家電の全国回収と再資源化、中古IT機器流通の拡大を計画。第三者割当と新株予約権の発行も同時に公表。
- プリント基板(PCB)・業績上方修正・増配:6658 シライ電子。通期利益計画の大幅引き上げと配当修正、不採算SPET事業からの撤退を同時発表。
ストップ高銘柄(3銘柄)
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130A
Veritas In Silico(ウェリタス)
東証G
時価総額 約27億円
創薬
AI(人工知能)
418円(前日比+80円 +23.67%)
Veritas In Silicoは、メッセンジャーRNA(mRNA)の立体構造を標的とする創薬基盤を開発し、製薬企業などとの共同研究を進める創薬企業。RNA構造解析や低分子化合物探索を組み合わせる創薬プラットフォーム「aibVIS」を活用している。
10月19日、東レとの共同創薬研究で、重要な研究上のマイルストーンである「ヒット化合物取得」を達成したと公表した。翌20日は418円でストップ高引けとなり、前日比80円高、騰落率は23.67%だった。
東レとは2021年7月に共同創薬研究契約を締結。研究対象はPCSK9遺伝子のmRNAで、脂質異常症や動脈硬化性心血管疾患の治療に向けた低分子医薬品の創出を目指す。
PCSK9はLDLコレステロールの調節に関わるタンパク質である。同社の研究では、PCSK9タンパク質に直接作用させる従来型のアプローチとは異なり、その設計情報となるmRNAの立体構造を狙う。
研究工程ではRNAの構造情報を基に化合物のスクリーニングと分子設計を進めてきた。今回のヒット化合物取得は、標的に作用する候補化合物を得た段階に当たる。
創薬の研究開発上の進展が確認された一方、臨床試験の成功や製造販売承認が確定したものではない。医薬品としての実用化には、その後の最適化・非臨床・臨床開発など複数の段階が残る。
今回のマイルストーン達成による収入の授受はなく、2026年12月期の業績予想は変更しないと公表している。このため、当期の利益上方修正と今回の研究成果は分けて評価する必要がある。
共同創薬研究の成果に関する権利は東レと共有している。今回の発表で確認できた事実は、共同研究がヒット化合物取得という研究上の節目を通過したことである。
3556
リネットジャパングループ
東証G
時価総額 約132億円
都市鉱山
2次電池リサイクル
物流
900円(前日比+150円 +20.00%)
リネットジャパングループは、使用済みパソコンや小型家電などの回収・リサイクル、リユース関連事業、ソーシャルケア事業などを展開する企業。回収網と中古品流通、再資源化の機能を事業基盤としている。
10月19日、JX金属サーキュラーソリューションズ、SGホールディングス、米国PCS Wirelessとの資本業務提携を発表した。10月20日は終値900円、前日比150円高のストップ高引けで、騰落率は20.00%だった。
JX金属サーキュラーソリューションズは製錬・再資源化の技術と設備、SGホールディングスは全国規模の物流網と静脈物流のノウハウを持つ。リネットジャパンの既存回収基盤を組み合わせ、全国規模の資源循環プラットフォーム構築を目指す。
対象には、使用済みのパソコン、スマートフォン、小型家電、リチウムイオン電池内蔵製品などが含まれる。企業・家庭からの回収を再資源化・素材化につなげる取り組みで、都市鉱山や電池リサイクルに関連する。
PCS Wirelessとの提携では、中古スマートフォンやタブレット、パソコンなどのグローバル調達・流通網を利用し、国内での中古IT機器の取扱い・販売拡大を目指す。リサイクルとリユースを同時に強化する戦略となっている。
資本面では、1株718円で普通株式299万1,200株を第三者割当で発行する計画を公表した。さらにPCS側に対して第26回・第27回新株予約権を発行し、行使が進めば追加資金を調達できる仕組みとする。
会社の成長戦略説明では、新株発行による約21億円に加え、新株予約権の行使を伴う追加調達を含め、最大約60億円規模の資金調達構想を掲げている。ただし新株予約権による資金流入は将来の行使が条件であり、全額確定ではない。
調達資金は回収プラットフォームと中古IT機器事業の設備投資・運転資金に加え、リユース・リサイクル、障がい福祉、データセンター関連領域などの戦略的M&Aに充てる方針を示した。
同時に第25回新株予約権の取得・消却も予定する。一方、新株式発行と第26回・第27回新株予約権の全行使を前提とした最大希薄化率は37.92%とされ、新規株式発行の規模を併せて確認する必要がある。
今回の発表の要点は、物流・再資源化・中古IT機器流通という3領域の大手企業との提携、資金調達計画、M&Aによる事業拡大方針の同時公表にある。
6658
シライ電子工業
東証S
時価総額 約79億円
プリント基板(PCB)
電子材料
522円(前日比+80円 +18.10%)
シライ電子工業は、プリント配線板の設計・製造・販売を手掛ける企業。電子機器の回路形成に用いられるプリント基板を主力とし、関連する検査機・基板技術も展開する。
10月19日、2027年3月期の通期連結業績予想の上方修正、期末配当予想の増額、SPET事業からの撤退を同時に公表した。翌20日は522円でストップ高引けとなり、前日比80円高、騰落率は18.10%だった。
通期売上高予想は290億円から320億円へ引き上げ、修正率は10.3%。営業利益予想は8億5,000万円から18億円へ増額し、従来予想比で111.8%の引き上げとなった。
経常利益予想は8億円から16億円へ倍増、親会社株主に帰属する当期純利益予想は6億円から10億円へ引き上げた。売上高の増額幅に比べて利益予想の上方修正率が大きい。
会社は、原材料・エネルギー価格の上昇や供給制約への対応として、グローバル購買による調達コスト抑制と顧客への販売価格改定を進めてきた。価格改定について一定の理解を得られたことで、当初想定した利益率低下を抑制できる見通しとなった。
期末一括配当予想は1株20円から28円へ8円増額した。従来予想からは増配修正だが、前期実績35円との比較では7円減配となる見通しである。
併せて、高透明・耐熱性フレキシブル基板を扱うSPET事業からの撤退を決定した。販売量が計画を下回り、継続的に赤字を計上していた事業である。
SPET事業は2026年12月末に受注を停止し、2027年3月末に製造終了・撤退完了を予定する。会社は当該撤退による今後の連結業績への影響を軽微としている。
修正後の営業利益予想18億円は前期実績20.3億円を下回る。今回の上方修正は従来計画に対する改善であり、前期比の増益予想への転換とは異なる。
今回の開示では、通期利益見通しの改善、配当の上方修正、不採算事業整理という3つの事実が確認できる。
主な出典
免責事項
本記事は公開情報をもとに作成した情報提供コンテンツであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には価格変動リスク、流動性リスク、信用リスク等があります。投資判断は必ず各社の公式開示、最新の株価情報、決算資料を確認したうえで行ってください。


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