9941 太洋物産

太洋物産 9941東証S

TAIYO BUSSAN KAISHA, LTD.|食肉・農産品・中国関連商材を扱う専門貿易商社。牛肉、鶏肉、豚肉、タイ産加工食品、農産品、中国向け生活関連商品などを展開する。
※2026年7月2日時点の情報

事業内容

2026年7月2日の時価総額は約35億円。2026年7月2日終値1,431円、発行済株式数2,427,848株を前提に算出した。

太洋物産株式会社は、1941年4月12日設立、1936年10月創業の専門貿易商社である。証券コードは9941、東京証券取引所スタンダード市場上場、本社は東京都新宿区市谷砂土原町三丁目5番地、代表取締役社長は松島伸介。決算期は9月。事業セグメントは、2025年9月期から食料部、農産部、中国開拓部、生活産業部の4区分となっている。

2026年9月期第1四半期は、売上高4,873百万円、営業利益82百万円、経常利益61百万円、四半期純利益50百万円。売上高は前年同期比17.2%減となったが、加工食品や利益率の高い商材の販売により営業利益は前年同期比58.3%増となった。2026年9月期通期会社予想は、売上高25,052百万円、営業利益290百万円、経常利益228百万円、当期純利益182百万円である。

食料部

食料部は、2021年9月期の売上高9,690百万円、セグメント利益288百万円から、2025年9月期は売上高8,810百万円、セグメント利益221百万円となった。2023年9月期と2024年9月期は輸入鶏肉の縮小で売上高が落ち込んだが、2025年9月期は加工食品、国産鶏肉、利益率の高い商材へのシフトで売上高が回復した。
食料部 セグメント業績推移(単位:百万円)
食料部(百万円) 0 2806 5611 8417 11222 9690 2882021 10020 2832022 7832 1282023 7219 1962024 8810 2212025 売上高 事業利益
食料部は、牛肉、鶏肉、タイ産加工食品を中心に扱う太洋物産の中核部門である。牛肉は外食産業向けの販売を主軸としており、同社は牛肉輸入のパイオニアとして、海外産地との調達ネットワークと国内顧客への供給機能を持つ。鶏肉は、タイ、ブラジル、米国などの海外産地に加え、国産鶏肉も取り扱う。タイ産加工食品では、唐揚げ、ナゲット、焼鳥など、加工度の高い商材を外食・食品メーカー向けに提案する。

2022年9月期は、比較的安価な食肉として輸入鶏肉の需要が高まり、取扱数量と売上高が当初予想を上回った。2023年9月期以降は、営業利益率と資金効率の向上を目的に輸入鶏肉の縮小を進め、加工品、新規商材、国産鶏肉、利益率の高い取引先へシフトしている。

2025年9月期は、従来の収益中心だった鶏肉輸入から、外食産業向け加工食品の販売へシフトしたことで売上高を増加させた。国産鶏肉では新規取引先の開拓を進め、タイ産加工食品でも海外の生産・輸送体制の強化により利益率の高い商材の販売が成約した。2026年9月期第1四半期も、牛肉・鶏肉の原料販売は原料価格や輸送コスト上昇で厳しい一方、加工食品では付加価値のついた新規アイテム、利益率の高い商材、外食産業の海外出店向け販売が増加している。

投資判断では、単純な輸入食肉の数量拡大ではなく、利益率の高い加工食品・国産鶏肉・外食向け高付加価値商材がどれだけ粗利を押し上げるかを確認する必要がある。

農産部・中国開拓部

2024年9月期までの営業開拓部は、農産品、中国生活関連商品、化学品を含むセグメントだった。2025年9月期から農産部と中国開拓部に分離され、2025年9月期の合算売上高は8,769百万円、合算セグメント利益は172百万円。2024年9月期の旧営業開拓部売上高10,543百万円から縮小した。
農産・中国関連 セグメント業績推移(単位:百万円)
農産・中国関連(百万円) 0 2952 5905 8857 11809 5562 1062021 8453 1202022 9442 1262023 10544 2062024 8769 1722025 売上高 事業利益
農産部は、食品用大豆、醸造用脱脂大豆、そば、緑豆、ブラックマッペ、雑穀、落花生などを扱う。食品メーカー、加工業者、外食関連企業に対し、海外産地からの調達、輸入、国内供給を行う。農産品は価格変動、為替、輸送費、産地国の輸出規制の影響を受けやすく、単価上昇と取扱数量のバランスが収益性を左右する。

2022年9月期は、農産品で産地確保や緑豆等の取引増加があり、旧営業開拓部の売上高は8,453百万円まで拡大した。2023年9月期は、中国向け自動車販売やネット事業者向け商材の販売が順調に推移し、売上高を9,442百万円まで伸ばした。2024年9月期は、そばの新規契約取引や中国向け輸出取引・三国間取引が増加し、旧営業開拓部の売上高は10,543百万円、セグメント利益は205百万円となった。

2025年9月期からは、農産部と中国開拓部が分離された。農産部は、緑豆等は増加したが、そばの新規契約取引が進まず、円安や輸送コスト増加も利益を圧迫した。中国開拓部は、中国向けの輸出取引・三国間取引について販売体制変更に伴い受注が一時的に減少した。2026年9月期第1四半期でも、農産品、中国関連ともに売上高・取扱数量が減少している。

中国開拓部は、化粧品、酒類、サプリメント、車両、化学品、建築材など、食品以外の中国向け商材も扱う。中国での美容や健康への需要は続く一方、販売体制変更、規制、為替、越境取引の商流変更によって売上が変動しやすい。農産部と中国開拓部は、太洋物産が単なる食肉輸入商社から、食品原料・中国向け商材の専門商社へ広がるうえで重要な領域である。

生活産業部

生活産業部は、豚肉と化学品を中心とするセグメントである。2021年9月期の売上高1,171百万円、セグメント利益8百万円から、2025年9月期は売上高2,083百万円、セグメント利益26百万円となった。2024年9月期は豚肉市況悪化で落ち込んだが、2025年9月期は新規商材の成約により回復した。
生活産業部 セグメント業績推移(単位:百万円)
生活産業部(百万円) 0 770 1540 2310 3080 1171 82021 2572 302022 2750 582023 1489 192024 2083 262025 売上高 事業利益
生活産業部は、豚肉と化学品を中心に扱う。豚肉では、ブラジル、カナダ、メキシコなどの海外産地から調達し、国内の食品メーカー、加工業者、外食関連顧客に販売する。輸入豚肉は、現地価格、為替、海上運賃、国内在庫、外食需要の影響を受けやすい。

2022年9月期は欧州産豚肉の販売強化により、生活産業部の売上高は2,571百万円まで拡大した。2023年9月期も新規商材の提案による成約で売上高2,749百万円、セグメント利益57百万円となった。2024年9月期は国内市場の在庫過剰感、現地価格の高騰、円安、中東問題による航路迂回や入船遅れの影響を受け、売上高は1,489百万円へ落ち込んだ。

2025年9月期は、新規商材の提案による成約が進み、売上高2,083百万円、セグメント利益26百万円へ回復した。一方で、2026年9月期第1四半期では、供給過多による在庫過剰感、価格と輸送コストの上昇、需要減少により、売上高・取扱数量ともに減少している。化学品も価格競争や為替相場の影響で原材料確保が難しい状況が続いている。

生活産業部は、豚肉市況と輸送コストの影響を強く受けるため、利益率の高い商材への切り替え、新規商材開拓、産地分散、在庫管理が収益安定化の焦点になる。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期 2026年9月期
会社予想
売上高16,42321,045+4,622百万円 / +28.1%20,023マイナス1,022百万円 / マイナス4.9%18,758マイナス1,265百万円 / マイナス6.3%19,662+904百万円 / +4.8%25,052+5,390百万円 / +27.4%
営業損益224235+11百万円 / +4.9%167マイナス68百万円 / マイナス28.9%266+99百万円 / +59.3%247マイナス19百万円 / マイナス7.1%290+43百万円 / +17.2%
経常損益171173+2百万円 / +1.2%131マイナス42百万円 / マイナス24.3%202+71百万円 / +54.2%173マイナス29百万円 / マイナス14.4%228+55百万円 / +31.2%
当期純利益113133+20百万円 / +17.7%116マイナス17百万円 / マイナス12.8%162+46百万円 / +39.7%148マイナス14百万円 / マイナス8.6%182+34百万円 / +22.6%
EPS46.54円54.78円47.78円66.73円60.96円74.96円
PER27.1倍16.6倍19.3倍13.6倍12.9倍19.1倍
PBR29.7倍3.9倍3.2倍2.8倍1.9倍
BPS42.42円232.30円283.38円330.33円409.00円
純資産103564+461百万円 / +447.6%688+124百万円 / +22.0%802+114百万円 / +16.6%993+191百万円 / +23.8%
営業CF648マイナス1,677マイナス2,325百万円 / 赤字転落602+2,279百万円 / 黒字転換51マイナス551百万円 / マイナス91.5%マイナス560マイナス611百万円 / 赤字転落
投資CF6マイナス5マイナス11百万円 / 赤字転落マイナス71マイナス66百万円 / 支出増マイナス20+51百万円 / 支出減マイナス5+15百万円 / 支出減
財務CFマイナス243121+364百万円 / 黒字転換マイナス180マイナス301百万円 / 赤字転落マイナス356マイナス176百万円 / 支出増484+840百万円 / 黒字転換
現金及び現金同等物1,881320マイナス1,561百万円 / マイナス83.0%673+353百万円 / +110.3%346マイナス327百万円 / マイナス48.6%265マイナス81百万円 / マイナス23.4%
単位は、売上高・利益・純資産・キャッシュフローが百万円、EPS・BPSが円、PER・PBRが倍。2021年9月期から2026年9月期会社予想まで非連結。EPS・BPS・PER・PBRは、2026年7月2日時点の発行済株式数2,427,848株を用いて再計算。過去5期のPER・PBRはユーザー提供の各期末終値、2026年9月期会社予想のPERは2026年7月2日終値1,431円を使用。

中期経営計画

中期経営計画の有無と業績予想

2026年7月2日時点で、同社IRページに独立した中期経営計画資料は確認できない。したがって、投資判断では、毎期の決算短信に記載される業績予想、部門別の商材シフト、2026年9月期第1四半期決算短信で示された事業方針を中期的な代替材料として確認する必要がある。

2026年9月期通期会社予想は、売上高25,052百万円、営業利益290百万円、経常利益228百万円、当期純利益182百万円である。2025年9月期実績に対して、売上高は27.4%増、営業利益は17.2%増、経常利益は31.2%増、当期純利益は22.6%増を見込む。

事業戦略上の中心は、食料部における加工食品・高付加価値商材の拡大である。2026年9月期第1四半期では、原料販売は価格上昇と輸送コスト上昇で利益確保が難しい一方、加工食品では付加価値のついた新規アイテム、利益率の高い商材、外食産業の海外出店向け販売が増加している。

2026年1月には、タイ王国における日本のラーメンブランドの海外展開と高品質な日本食品の輸出・海外展開を目的として設立した株式会社TBK GLOBAL TABLEについて、現地店舗展開を目的とした製品開発を進めていると開示している。既存の輸入商社機能に加え、加工食品・外食・海外展開を組み合わせた商流構築が実現するかが、中期的な収益拡大の焦点になる。
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競合他社

1. スターゼン(8043)
株価は約1,224円、時価総額は約717億円。スターゼンは食肉卸最大手級の企業で、生産飼育、食肉処理、加工、食肉販売を手掛ける。太洋物産の食料部が扱う牛肉、豚肉、鶏肉、食肉加工品、食品メーカー向け原料供給、外食・小売向け食材供給で直接競合する。

2026年3月期の売上高は4,482億円、経常利益は110億円規模であり、太洋物産と比べると販売網、加工機能、顧客基盤、仕入規模で大きく上回る。太洋物産は、スターゼンのような総合食肉卸に対し、専門商社としての機動力、海外調達、ニッチ商材の開拓、加工食品の個別提案で差別化する必要がある。
2. ラクト・ジャパン(3139)
株価は約3,305円、時価総額は約332億円。ラクト・ジャパンは、乳原料・チーズを主力とする食品専門商社だが、豚肉、生ハム、サラミなどの食肉・食肉加工品も世界各国から輸入する。太洋物産とは、豚肉、牛肉、鶏肉、食肉加工品、食品メーカー向け原料供給、海外サプライヤーからの安定調達で競合する。

2025年11月期は売上高1,828億16百万円、経常利益57億96百万円、親会社株主に帰属する当期純利益43億17百万円。ラクト・ジャパンは乳原料・チーズの専門性を起点に、食肉食材やライフサイエンス原料へ展開している。太洋物産は食肉・農産品・中国関連に軸足を置くため、食品原料専門商社としての調達力、品質管理、為替・相場対応力で比較される。
3. 神栄(3004)
株価は約2,224円、時価総額は約93億円。神栄は、冷凍食品輸入、物資、電子関連を展開する商社である。太洋物産とは、冷凍食品原料、冷凍野菜、冷凍水産品、水産加工品、中国・アジアからの食品調達、業務用食品・加工食品の供給で競合する。

2026年3月期は売上高432億67百万円、経常利益17億25百万円。食品関連が業績をけん引しており、冷凍野菜、冷凍調理品、冷凍水産品などで海外調達ネットワークを活用する。食肉そのものではスターゼンやラクト・ジャパンほど競合度は高くないが、加工食品、冷凍食品、中国・アジア調達では太洋物産の食料部・農産部・中国開拓部と競合する。

強みと将来性

専門性と機動力を生かした商材転換力
太洋物産の強みは、特定分野・アイテムのスペシャリストが、商品の仕入から販売まで一貫して担当する業務体制にある。公式サイトでは、専門性と機動力を武器に、顧客ニーズ、技術力、開発力をビジネスへ結びつける体制を掲げている。大手総合商社や大規模食品卸に比べると規模は小さいが、その分、商材変更、産地変更、販売先変更への対応速度が競争力になりやすい。

直近の業績では、売上高は2021年9月期16,423百万円から2025年9月期19,662百万円へ拡大した。営業利益は2021年9月期224百万円、2024年9月期266百万円、2025年9月期247百万円と黒字を維持している。2020年9月期には純資産がマイナスだったが、2025年9月期の純資産は993百万円、自己資本比率は11.6%まで改善している。

食料部では、輸入鶏肉の数量拡大から、加工食品、国産鶏肉、外食向け高付加価値商材へ軸足を移している。2025年9月期は食料部の売上高が前期比22.0%増、セグメント利益が前期比12.7%増となった。輸入食肉の相場変動を直接受ける原料販売よりも、加工食品や新規アイテムの提案に寄せることができれば、利益率の改善余地がある。

中国開拓部は、中国向けの化粧品、酒類、サプリメント、生活関連商品、車両、化学品、建築材など、食品以外にも扱いを広げられる。販売体制変更による一時的な受注減はあるが、中国市場の美容・健康需要を取り込めれば、食品輸入だけではない成長軸になる。

2026年9月期第1四半期では、売上高は減少したものの営業利益は前年同期比58.3%増となった。これは、取扱数量よりも利益率を重視した商材構成が一定程度機能していることを示す。今後は、加工食品、外食産業の海外出店向け販売、TBK GLOBAL TABLEによるタイでの日本食品・ラーメンブランド展開が、既存の輸入商社機能とどの程度結び付くかが将来性の焦点になる。

弱みとリスク要因

低い自己資本比率と、輸入商材特有の外部環境リスク
太洋物産のリスクは、輸入商材に依存する事業構造にある。食肉、農産品、中国関連商材、豚肉、化学品はいずれも、為替、海上運賃、原産地価格、輸入規制、国際情勢、在庫水準、国内外食需要の影響を受ける。円安が進む局面では仕入コストが上昇し、販売価格への転嫁が遅れると粗利率が低下する。

2025年9月期の自己資本比率は11.6%であり、2026年9月期第1四半期でも12.4%にとどまる。2020年9月期の債務超過からは改善しているが、食品専門商社として在庫と売上債権を抱える事業構造を考えると、資金繰り、借入金、営業キャッシュフローには注意が必要である。2025年9月期の営業キャッシュフローはマイナス560百万円であり、売上債権や在庫の増減が資金面に与える影響は大きい。

農産部と中国開拓部は、2025年9月期に売上高と利益が減少した。農産部では、円安・輸送コスト高、新規契約取引の遅れが売上高・取扱数量に響いた。中国開拓部では、販売体制の変更に伴い、中国向け輸出取引・三国間取引の受注が一時的に減少した。2026年9月期第1四半期でも、農産品、中国関連は減収であり、回復には新規契約と販売体制の安定化が必要になる。

生活産業部も、輸入豚肉の供給過多、国内在庫過剰感、価格上昇、輸送コスト上昇、需要減少の影響を受けやすい。2026年9月期第1四半期は、生活産業部の売上高が前年同期比77.7%減となっており、短期的な変動が大きい。

株価面では、2025年9月に株主優待制度の廃止を発表したことで急落する局面があった。小型株で流動性も限定的なため、需給要因、優待制度、第三者割当新株予約権、株式交換などの資本政策関連ニュースによって株価が大きく変動する可能性がある。

出典

本ページは公開情報およびユーザー提供の期末株価情報をもとに作成した銘柄分析であり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は公式IR資料、適時開示、有価証券報告書、決算短信を確認のうえ、自己責任で行ってください。

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