ダイトーケミックス 4366 東証スタンダード
感光性材料最大手のスペシャリティ・ファインケミカルメーカー ─ 半導体・液晶向け感光性材料、写真材料、医薬中間体、産業廃棄物処理を展開、創業1938年
2026年5月27日(本日)の値動きと材料
終値 530円(+80円・+17.78%)張り付きストップ高本日は寄り付きから買い気配で始まり、ストップ高水準530円に張り付く展開となった。株探の「動意株・27日(前引け)」記事でも筆頭で取り上げられ、「ダイトーケミ、室町ケミカル、DyDo」の動意株として注目された。AI・半導体材料関連株への物色拡大の流れに乗った動きと評価されている。
背景としては、①2026年5月11日発表の2026年3月期決算と中期経営計画の更新(売上高194.76億円・前期比+4.5%、経常利益8.94億円・+9.1%の増収増益)、②半導体材料の需要拡大と写真材料の好調による業績好転、③感光性材料最大手としてのAI・半導体投資拡大の恩恵期待、④PBR0.89倍の割安水準への再評価が買いを集めた。同日に「中期経営計画の更新」も公表しており、今後の成長戦略への期待も上乗せとなった模様。
事業内容 ─ 染料起源の有機合成技術を活かしたファインケミカル
ダイトーケミックス株式会社は1938年に大東化学工業所として創立、顔料「群青」の製造販売から始まった創業88年の老舗化学メーカー。代表取締役は永松真一氏。大阪市鶴見区に本社、東京・大阪・静岡に拠点を持つ。資本金29億100万円、業種は化学、東証スタンダード上場。当社グループは当社、連結子会社2社、持分法適用の関連会社1社により構成。事業セグメントは「化成品事業」(各種化成品の製造・販売)と「環境関連事業」(産業廃棄物の処理等)の2区分。1947年にナフトール染料を上市してナフトールメーカーの基盤を確立し、染料製造で培った有機合成技術を磨き上げ、時代の進展とともに電子材料、イメージング材料、医薬中間体などの領域へ事業を拡大してきた。「一歩先をゆく、スペシャリティ・ファインケミカルメーカー」を企業ビジョンとして、半導体・液晶向け感光性材料を中心とした受託製造を主力事業として展開している。主要顧客は三木産業、住友化学、富士フイルム、東京応化工業等の大手企業。地域別では日本のほか、韓国・シンガポール・その他アジア・米国にも展開。従業員数266名、平均年齢44.5歳。
主要事業セグメント
化成品事業(主力・売上構成比大半)
各種化成品の製造・販売を主な事業として展開。電子材料、イメージング材料、医薬中間体、ヘルスケア材料、その他化成品などの受託製造を主とした事業活動を行う。半導体集積回路や液晶ディスプレイのフォトレジストに使用される感光性材料を幅広く提供しており、感光性材料分野では最大手のポジションを確立。エポキシ樹脂・熱硬化樹脂架橋剤やポリカーボネート樹脂原料などの高機能樹脂原料、有機合成試薬、酸化防止剤、写真の現像液、毛織物の媒染剤、染料の成分となる原料類なども幅広く提供している。
半導体・液晶向け感光性材料(化成品事業の中核)
半導体集積回路や液晶ディスプレイなどのフォトレジスト(光感性樹脂)に使用される感光性材料を幅広く提供。半導体製造プロセスに不可欠な材料分野でのリーディングポジションを持ち、半導体材料需要拡大の恩恵を受ける事業構造。2026年3月期は半導体材料の需要拡大が業績寄与し、増収増益の主因となった。主要顧客の東京応化工業や富士フイルム等のフォトレジスト製造大手向け原料供給で安定的な事業基盤を構築している。
写真材料・イメージング材料
染料製造で培った有機合成技術を活かし、写真の現像液、感光剤等のイメージング材料分野で長年の実績を持つ。2026年3月期は写真材料の好調も業績寄与要因となった。富士フイルム等の写真感光材料メーカー向けの原料供給を通じて、市場縮小傾向にあるアナログ写真分野でも安定的なシェアを維持している。
医薬中間体・ヘルスケア材料
医薬中間体は同社が中核事業と位置付ける成長領域の一つ。製薬企業向けに医薬原薬の中間体や原料を受託製造する事業を展開している。住友化学等を主要顧客として、医薬品開発のサプライチェーンに組み込まれた事業基盤を持つ。受託製造を主とする事業特性上、顧客と秘密保持契約を締結し、ニーズに応じた開発・製造を進める。
環境関連事業(産業廃棄物処理)
子会社による産業廃棄物の処理等を行う事業。化学品のリサイクルも実施。化成品事業と環境関連事業の両輪で事業を展開する独自の事業モデル。2026年3月期は環境関連事業も増収となり、両セグメントが業績拡大に貢献。化学品メーカーとして自社・他社の廃棄物処理ニーズに応える事業基盤を構築している。
直近5年の業績サマリー
2026年3月期は売上高194.76億円(前期比+4.5%)、営業利益8.72億円(同+2.8%)、経常利益8.94億円(同+9.2%)、当期純利益7.91億円(同-3.5%)と増収増益。半導体材料の需要拡大や写真材料の好調が寄与し、化成品事業・環境関連事業ともに増収となった。2027年3月期会社予想は売上高195.00億円・営業利益8.30億円・経常利益8.70億円・当期純利益7.70億円とほぼ前期実績水準。直近5年で売上高は2022年3月期161.34億円→2026年3月期194.76億円と20.7%増の安定成長を継続。2024年3月期は経常損益・当期純損益で大幅赤字(-732、-1,005百万円)を計上したものの、2025年3月期に黒字転換し、2026年3月期も増益を維持した。PBR0.89倍と1倍を下回り、PSR0.75倍と業績規模に対する市場評価は依然として控えめ。中期経営計画(2024年4月~2027年3月)の1年目(2024年度)は計画比で売上高+0.8%、経常利益+229百万円増と進捗良好。さらに2026年5月11日に「中期経営計画の更新に関するお知らせ」を公表しており、半導体材料の需要拡大トレンドを背景とした再評価余地が注目される銘柄。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 16,134 | 16,377 +1.5% |
15,811 △3.5% |
18,644 +17.9% |
19,476 +4.5% |
19,500 |
| 営業損益 | 1,763 | 1,283 △27.2% |
776 △39.5% |
848 +9.3% |
872 +2.8% |
830 |
| 経常損益 | 1,751 | 1,291 △26.3% |
△732 赤字転落 |
819 黒字転換 |
894 +9.2% |
870 |
| 当期純損益 | 1,583 | 922 △41.8% |
△1,005 赤字転落 |
820 黒字転換 |
791 △3.5% |
770 |
| EPS(一株利益) | 147.50円 | 85.96円 | △93.70円 | 76.41円 | 24.57円 | 23.91円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
250円 | 206円 | 212円 | 220円 | 454円 | ― |
| 実績PER | 1.69倍 | 2.40倍 | -2.26倍 | 2.88倍 | 18.48倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 18.99倍 |
| PBR | 0.19倍 | 0.15倍 | 0.16倍 | 0.16倍 | 0.89倍 | ― |
| PSR | 0.17倍 | 0.14倍 | 0.14倍 | 0.13倍 | 0.75倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年3月期は売上高194.76億円(+4.5%)、営業利益8.72億円(+2.8%)、経常利益8.94億円(+9.2%)と増収増益。半導体材料の需要拡大・写真材料の好調が業績寄与の主因。2026年5月11日には2026年3月期決算短信と中期経営計画の更新を公表。2027年3月期会社予想は売上高195.00億円・営業利益8.30億円・経常利益8.70億円とほぼ前期実績水準(横ばい)と保守的な見通し。中期経営計画(2024年4月~2027年3月)の1年目(2024年度)は計画比で売上高+0.8%、経常利益+229百万円増と進捗良好。PBR0.89倍と1倍を割り込み、PSR0.75倍と業績規模に対する市場評価は依然として控えめ。実績PERは18.48倍と過去5年で初の20倍近辺に到達。直近12四半期は業績が改善傾向で、収益性の回復が進み自己資本比率も高水準で安定。本日(2026年5月27日)の張り付きストップ高は、半導体材料関連株の物色拡大と業績回復トレンドへの再評価を反映した動きと見られる。
中期経営計画(2024年4月~2027年3月)
同社は2024年4月~2027年3月の3年間を対象とする中期経営計画を策定。2026年5月11日に「中期経営計画の更新に関するお知らせ」を公表し、計画内容のアップデートを実施。1年目の2024年度(2025年3月期)は計画比で売上高+1.44億円増(+0.8%)、経常利益+2.29億円増の8.19億円となり、化成品事業におけるイメージング材料や環境関連事業の需要の増加により進捗良好。2026年3月期も増収増益を継続し、計画達成に向けた事業基盤強化が進んでいる。スペシャリティ・ファインケミカルメーカーとしての技術力と設備群を活かし、半導体・液晶・医薬中間体等の高機能材料分野での競争力強化を進めている。
中期経営計画の進捗状況
- 計画期間:2024年4月~2027年3月(3年計画)
- 計画更新:2026年5月11日に「中期経営計画の更新に関するお知らせ」を公表
- 1年目(2024年度/2025年3月期)実績:売上高186.44億円(計画比+1.44億円増・+0.8%)、経常利益8.19億円(計画比+2.29億円増)
- 2年目(2025年度/2026年3月期)実績:売上高194.76億円(+4.5%)、経常利益8.94億円(+9.2%)と進捗継続
事業戦略
- 染料製造で培った有機合成技術を活かしたスペシャリティ・ファインケミカル戦略
- 半導体・液晶向け感光性材料の供給拡大
- イメージング材料の需要対応
- 医薬中間体・ヘルスケア材料分野での受託製造拡大
- 環境関連事業(産業廃棄物処理)の継続的拡大
- 研究開発投資の継続(2026年3月期:研究開発11.31億円)
2027年3月期業績予想(保守的水準)
- 売上高:195.00億円(前期比+0.1%・ほぼ横ばい)
- 営業利益:8.30億円(前期比-4.8%)
- 経常利益:8.70億円(前期比-2.7%)
- 当期純利益:7.70億円(前期比-2.7%)
- EPS:23.91円
- 予想PER:18.99倍
投資・研究開発
- 設備投資:6.57億円(2026年3月期実績)
- 研究開発費:11.31億円(2026年3月期実績)
- 株主優待制度を導入(2025年11月27日発表)
強みと注目点
① 感光性材料最大手としてのリーディングポジション
半導体集積回路や液晶ディスプレイなどのフォトレジストに使用される感光性材料分野で最大手のポジション。半導体製造プロセスに不可欠な材料分野での確固たるシェアを持ち、半導体材料需要拡大の恩恵を直接的に受けられる事業構造。主要顧客の東京応化工業や富士フイルム等のフォトレジスト製造大手向け原料供給で安定的な収益基盤を構築している。
② 創業88年の有機合成技術の蓄積
1938年に大東化学工業所として創立した創業88年の老舗化学メーカー。1947年のナフトール染料上市以来、染料製造で培った有機合成の「巧みな技術」を磨き上げ、時代の進展とともに電子材料、イメージング材料、医薬中間体などの新領域へ事業を拡大してきた。長年蓄積された技術・ノウハウ・設備群は、新規参入企業に対する強い参入障壁を形成。研究員が直接顧客と対話する受託製造モデルが競争優位の源泉。
③ 2026年3月期は半導体材料需要拡大で増収増益
2026年3月期は売上高194.76億円(+4.5%)、営業利益8.72億円(+2.8%)、経常利益8.94億円(+9.2%)と増収増益を達成。半導体材料の需要拡大や写真材料の好調が業績寄与の主因。AI需要拡大に伴う半導体業界の構造的成長局面の恩恵を、感光性材料分野での確固たるポジションを通じて取り込んでいる。中期経営計画(2024年4月~2027年3月)の進捗も順調で、2026年5月11日に計画の更新も公表。
④ PBR0.89倍・PSR0.75倍と割安水準
2026年3月期決算発表時点でPBR0.89倍と1倍を割り込み、PSR0.75倍と業績規模に対する市場評価は依然として控えめ。過去5年は0.13~0.19倍と極めて低水準で推移していたPSRも0.75倍と上昇傾向にあり、市場の再評価が始まりつつある状況。実績PERは18.48倍と過去最高水準だが、半導体材料関連株のテーマ性を考慮すると業績拡大期待を一定織り込んだ評価水準と見ることもできる。
⑤ 主要顧客に大手化学メーカー・電子材料メーカー
主要顧客は三木産業、住友化学、富士フイルム、東京応化工業等の大手企業。これらの大手顧客との長年にわたる取引関係が、安定的な売上基盤を形成している。地域別では日本のほか、韓国・シンガポール・その他アジア・米国にも展開し、グローバル展開も進んでいる。受託製造を主とする事業特性上、顧客との秘密保持契約に基づく深いパートナーシップが競争優位を支える構造。2025年11月には株主優待制度を導入し、株主還元の充実も図っている。
弱み・リスク要因
有価証券報告書・決算短信および公開情報から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① 2024年3月期は経常損失・当期純損失で大幅赤字計上
2024年3月期は経常損益△732百万円、当期純損益△1,005百万円と大幅な赤字を計上。営業利益は776百万円と黒字を維持したものの、特別損失等の計上により最終損益が大きく悪化。2025年3月期に黒字転換したものの、業績の安定性については継続的な観察が必要な状況。半導体・電子材料市況の変動による業績振れ幅の大きさが構造的なリスク。
② 2027年3月期は前期と同水準の据え置き予想
2027年3月期会社予想は売上高195.00億円(+0.1%)・営業利益8.30億円(-4.8%)・経常利益8.70億円(-2.7%)・当期純利益7.70億円(-2.7%)とほぼ前期実績水準の据え置き予想。EPSも24.57円→23.91円と微減見通し。保守的な計画姿勢が示されており、業績拡大の継続性に対する慎重な見方を反映している。
③ 半導体・液晶市況への業績連動性
主力の感光性材料は半導体製造装置業界・液晶ディスプレイ業界の設備投資サイクルに大きく連動。営業利益は2022年3月期17.63億円→2024年3月期7.76億円と2年間で56%減と業績変動幅が大きい。半導体投資サイクルの転換期にはダウンサイドリスクが集中する構造で、市況依存度の高さが課題。
④ ROE・ROAが目安水準を下回る収益性
ROE・ROAは一般的に望ましいとされる目安水準には届かない水準で、収益性は安定するも大幅な改善には至っていない状況。純利益率は前年同期比で概ね持ち直しているものの、絶対水準としての収益性改善は道半ば。営業利益率は2022年3月期10.9%→2026年3月期4.5%と低下傾向が続いており、収益性の構造的回復が課題。
⑤ 写真材料事業の長期的縮小トレンド
写真材料・イメージング材料分野は、デジタル化進展に伴うアナログ写真市場の長期的縮小トレンドにさらされている。富士フイルム等の写真感光材料メーカー向け原料供給は安定的な事業基盤を提供するものの、市場規模の構造的縮小は中長期的な事業ポートフォリオ再構築の課題となる。
⑥ 急騰局面後の反動安リスク
本日(2026年5月27日)のストップ高張り付きは、AI・半導体材料関連株への物色拡大と業績好転を背景とした短期資金の流入による側面が大きい。急騰局面後の反動安リスクが構造的に存在し、テーマ物色の一服や材料出尽くしによる利食い売りが集中する可能性がある。東証スタンダード上場の中小規模銘柄として、機関投資家のカバレッジは限定的で、需給要因による株価変動を受けやすい構造。
- ダイトーケミックス株式会社 公式サイト
- ダイトーケミックス株式会社 ニュースリリース
- ダイトーケミックス株式会社 IRライブラリ
- ダイトーケミックス株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月11日発表)
- ダイトーケミックス株式会社「中期経営計画の更新に関するお知らせ」(2026年5月11日)
- ダイトーケミックス株式会社「2026年3月期 IR資料(決算説明資料)」(2026年5月11日発表)
- ダイトーケミックス株式会社「有価証券報告書」
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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