| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29,365 | 35,748 +6,383 / +21.7% | 35,220 △528 / △1.5% | 33,641 △1,579 / △4.5% | 35,751 +2,110 / +6.3% | 37,000 +1,249 / +3.5% |
| 営業損益 | 3,768 | 5,391 +1,623 / +43.1% | 2,422 △2,969 / △55.1% | 2,282 △140 / △5.8% | 3,479 +1,197 / +52.5% | 3,000 △479 / △13.8% |
| 経常損益 | 6,000 | 5,969 △31 / △0.5% | 2,942 △3,027 / △50.7% | 632 △2,310 / △78.5% | 3,255 +2,623 / +415.0% | 2,000 △1,255 / △38.6% |
| 当期純利益 | 1,849 | 4,020 +2,171 / +117.4% | 1,140 △2,880 / △71.6% | 792 △348 / △30.5% | 2,514 +1,722 / +217.4% | 1,500 △1,014 / △40.3% |
| EPS | 76.15円 | 165.40円 +89.25 / +117.2% | 46.87円 △118.53 / △71.7% | 32.64円 △14.23 / △30.4% | 103.85円 +71.21 / +218.2% | 62.12円 △41.73 / △40.2% |
| 一株配当金 | 23.00円 | 34.00円 +11.00 / +47.8% | 26.00円 △8.00 / △23.5% | 26.00円 ±0.00 / +0.0% | 28.00円 +2.00 / +7.7% | 30.00円 +2.00 / +7.1% |
| 純資産 | 31,816 | 36,151 +4,335 / +13.6% | 36,316 +165 / +0.5% | 38,483 +2,167 / +6.0% | 39,021 +538 / +1.4% | ー |
| 営業CF | 3,231 | 3,893 +662 / +20.5% | 5,310 +1,417 / +36.4% | 3,498 △1,812 / △34.1% | 5,157 +1,659 / +47.4% | ー |
| 投資CF | △4,219 | △4,423 △204 / +4.8% | △3,447 +976 / △22.1% | △551 +2,896 / △84.0% | △1,482 △931 / +169.0% | ー |
| 財務CF | △8 | 2,454 +2,462 / △30775.0% | △2,444 △4,898 / △199.6% | △3,525 △1,081 / +44.2% | △986 +2,539 / △72.0% | ー |
| フリーCF | △988 | △530 +458 / △46.4% | 1,863 +2,393 / △451.5% | 2,947 +1,084 / +58.2% | 3,675 +728 / +24.7% | ー |
1.会社予想と実績
2022年3月期から2026年3月期は各期首に公表された通期会社予想と通期実績を比較し、2027年3月期は最新会社予想を掲載しています。
| 指標 | 2022年3月期 予想 | 実績 | 達成率 | 2023年3月期 予想 | 実績 | 達成率 | 2024年3月期 予想 | 実績 | 達成率 | 2025年3月期 予想 | 実績 | 達成率 | 2026年3月期 予想 | 実績 | 達成率 | 2027年3月期 予想 | 実績 | 達成率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29,200 | 29,365 | 100.6% | 34,500 | 35,748 | 103.6% | 40,000 | 35,220 | 88.0% | 38,000 | 33,641 | 88.5% | 34,000 | 35,751 | 105.2% | 37,000 | — | 最新予想 |
| 営業利益 | 3,000 | 3,768 | 125.6% | 4,800 | 5,391 | 112.3% | 3,000 | 2,422 | 80.7% | 3,000 | 2,282 | 76.1% | 1,000 | 3,479 | 347.9% | 3,000 | — | 最新予想 |
| 経常利益 | 3,100 | 6,000 | 193.5% | 4,800 | 5,969 | 124.4% | 2,700 | 2,942 | 109.0% | 2,200 | 632 | 28.7% | 200 | 3,255 | 1627.5% | 2,000 | — | 最新予想 |
| 親会社株主帰属純利益 | 2,100 | 1,849 | 88.0% | 3,900 | 4,020 | 103.1% | 1,750 | 1,140 | 65.1% | 1,200 | 792 | 66.0% | 150 | 2,514 | 1676.0% | 1,500 | — | 最新予想 |
| EPS | 86.49 | 76.15 | 88.0% | 160.58 | 165.40 | 103.0% | 72.00 | 46.87 | 65.1% | 49.29 | 32.64 | 66.2% | 6.19 | 103.85 | 1677.7% | 62.12 | — | 最新予想 |
達成率=実績÷期首会社予想×100。2027年3月期は実績未確定のため達成率は表示していません。
2.達成・未達理由
販売数量の増加と原材料高に伴う販売単価上昇で売上を確保し、生産効率化で営業利益が上振れ。ベトナム子会社の為替差益で経常利益は大幅超過しました。一方、ベトナムの鉱物事業会社への投資に関する特別損失が響き、純利益とEPSは期首予想を下回りました。
販売数量は減少したものの、原材料価格上昇に伴う販売価格改定と円安が増収を押し上げました。前期に積み増した低コスト在庫の販売効果と為替影響で営業利益が上振れし、外貨建資産の為替差益も経常利益を押し上げました。
通信デバイス・家電需要の低迷、二次電池需要の鈍化、一部顧客の生産調整、原料安に伴う販売価格低下で売上が未達。前期の低コスト在庫販売効果の剥落も営業利益を圧迫しました。円安による為替差益で経常利益は期首予想を上回った一方、ベトナム旧工場の減損損失や税金見積差で純利益は未達でした。
日系自動車メーカーの生産調整や中国メーカーのシェア拡大で自動車触媒が減収し、エネルギー分野も電動化鈍化・顧客在庫調整の影響を受けました。ベトナム子会社のフル生産体制構築費用が営業利益を圧迫し、期末の円高と決算期差による為替差損で経常利益が大幅未達。補助金収入が純利益を下支えしました。
販売数量の増加に加え、高額在庫による利益圧迫の解消とベトナム子会社の本格稼働に伴う費用負担減少で営業利益が期首想定を大きく上回りました。外貨建資産・負債に起因する為替差損益も寄与し、経常利益以下は極めて保守的だった期首予想を大幅に超過しました。
Q1は販売数量増加と販管費の一部減少で営業利益が大幅増。経常利益以下は円安による為替差損益の影響が大きく、会社は今後の為替反転で下押しされる可能性を明示しています。通期予想は据え置きで、Q1の数値は季節性等を調整しない単純進捗率として評価する必要があります。
3.事業セグメントの自信度
会社の報告セグメントは単一セグメントです。ここでは決算短信の用途別・分野別開示を、現行の「半導体・エレクトロニクス」「エネルギー」「ヘルスケア」「自動車排ガス浄化触媒」「基盤分野」に対応づけて推移を確認しています。
半導体・エレクトロニクス
圧電素子やMLCCなどの電子部品用途で売上高を伸ばしました。
車載・電子部品の需要回復を取り込み。
通信デバイス市場の低迷を反映し、販売数量が前期を下回りました。
巣ごもり需要一巡と中国通信市場低迷。
半導体用途は、新しい用途への採用が進み、増収となりました。
半導体は伸長した一方、エレクトロニクス需要は低迷。
上半期の好況がそれを上回り前年同期比で増収となりました。
半導体の上期好調が支えたがEV鈍化影響あり。
装置関連が堅調に推移しました。
電子部品は伸びたがSiC研磨材が減収。
コンデンサ関連材料の堅調な需要が継続し、売上高は前年同期比42.3%の増収となりました。
電子部品が強い一方、半導体製造装置関連は弱含み。
電子部品が強い一方、半導体製造装置関連は弱含み。
エネルギー
二次電池材料は、電動車市場の成長に伴う需要増に加え、新規採用が計画通りに進捗しました。
電池と燃料電池の成長を取り込み。
燃料電池材料は、北米市場が需要増をけん引し、販売数量は前期を上回りました。
北米燃料電池と二次電池が伸長。
SOFC及びSOEC用途は、海外の需要増加を取り込むことができず、販売数量が前期を下回りました。
EV鈍化と燃料電池需要取り込み不足。
主要顧客の在庫調整により需要を取り込めず前年同期比で減収となりました。
電池・SOFCとも想定以下。
AI市場の成長を背景に、データセンターにおいて高効率かつ安定的な電力供給が可能な電源としての評価が高まっております。
SOFCがAIデータセンター需要で加速。
SOFC用途では、AI需要を背景にデータセンター向け電力源としての需要が好調を維持しました。
Q1売上82%増で最も強い分野。
Q1売上82%増で最も強い分野。
ヘルスケア
歯科材料並びに産業用構造部材は、コロナ禍以前の水準を上回りました。
歯科材料の需要回復が鮮明。
歯科材料は、コロナ禍以前を上回る水準で推移しました。
市場拡大と経済正常化が追い風。
生体材料並びに抗菌剤・環境の用途で販売数量が前期を上回り、大幅増収となりました。
生体材料・抗菌剤が拡大。
下半期の販売に減速感が見られたものの、マーケットの拡大や欧州、東アジア地域での需要増を受け、前年同期比で増収となりました。
増収継続だが下期に減速感。
一部顧客での在庫消化が完了し、需要の回復が見られた影響により、前期比9.1%の増収となりました。
需要回復を確認。
生体材料用途は、原料価格の上昇に伴う販売単価の上昇により、売上高は前年同期比28.4%の増収となりました。
価格転嫁を含め高進捗。
価格転嫁を含め高進捗。
自動車排ガス浄化触媒
販売数量を伸ばし、コロナ禍以前の水準を上回りました。
回復したが下期は部品不足で鈍化。
欧米の自動車販売低迷と、中国の減税政策に伴う電動化シフトの影響により、販売数量が前期を下回りました。
数量減を価格改定で補う局面。
一部顧客での顕著な生産調整の影響により、通期での販売数量は前期比微増となりました。
数量は維持したが価格低下で減収。
日系自動車メーカーの生産調整や中国自動車メーカーのシェア拡大の影響を受け、当社製品の販売が減少しました。
主要市場で競争・生産調整の逆風。
ハイブリッド車需要が堅調に推移したことに加え、特定国からの材料供給に依存しない地政学リスク回避の動きもあり、販売数量は前期比7.7%の増加となりました。
HEVと供給網分散が追い風。
顧客における在庫積み増しの動きも見られたことから、販売数量は前年同期比12.0%の増加となりました。
規制強化・在庫積み増し・価格で増収。
規制強化・在庫積み増し・価格で増収。
基盤分野
ブレーキ材は、自動車販売台数の回復に加え、原料市場価格高騰の影響を受けて、増収となりました。
ブレーキは回復、耐火物は弱含み。
耐火物材料は、サプライチェーン内の在庫調整が行われた結果、販売数量は前期を下回りました。
耐火物・ブレーキとも数量面で弱い。
構造部材並びにブレーキ用途は、堅調に推移しました。
構造部材・ブレーキが支え、耐火物は低調。
機械部品関連の需要が堅調に推移し前年同期比で増収となりました。
工業用触媒と構造部材が増収。
地政学リスクとのバランスを見直す動きを受けて一部で需要の回復が見られました。
ブレーキ増収、耐火物は中国勢の影響残る。
構造部材用途は、北米向け需要が堅調に推移しました。
構造部材・ブレーキとも増収。
構造部材・ブレーキとも増収。
4.最新予想信頼度
最新予想は売上高37,000百万円、営業利益3,000百万円、経常利益2,000百万円、親会社株主帰属純利益1,500百万円、EPS62.12円。第1四半期実績は売上・営業利益とも計画に対して順調で、会社は下押し要素と押し上げ要素を総合的に勘案して通期予想を据え置いています。
進捗率はQ1実績÷通期会社予想の単純計算で、季節性、販売タイミング、価格改定、為替差損益などを調整していません。
達成できると判断する理由
- Q1売上高は10,113百万円で単純進捗27.3%、営業利益は1,152百万円で38.4%と、通期計画に対して先行しています。
- 自動車排ガス浄化触媒はQ1売上6,569百万円、通期分野予想23,700百万円に対し27.7%。ハイブリッド車需要、在庫積み増し、価格・為替影響が追い風です。
- エネルギー分野はQ1売上が前年同期比82.0%増。SOFCはAIデータセンター向け電源需要が好調で、二次電池もサプライチェーン分散需要を取り込んでいます。
- 基盤分野は28.5%、ヘルスケアは28.4%の単純進捗で、複数分野が通期計画に対して前倒しで推移しています。
- 会社自身も、価格転嫁、地政学リスクを背景とした案件開拓、想定より円安の為替が業績の押し上げ要素になると説明しています。
達成できないと判断する理由
- 経常利益70.3%、純利益63.5%という高いQ1進捗は、外貨建資産・負債に起因する為替差損益の影響が大きく、会社は為替が期初想定へ戻れば下押しが生じる可能性を明示しています。
- 中国のレアアース関連輸出管理強化で一部原料の調達に不透明感があり、生産・販売への波及が下振れ要因です。
- 半導体用途は一部顧客で製造装置関連需要が弱含み、半導体・エレクトロニクス分野のQ1進捗は24.5%にとどまります。
- エネルギー分野は前年同期比で大幅増収ながら、通期分野予想2,350百万円に対するQ1進捗は20.8%。通期達成にはQ2以降の増勢継続が必要です。
- 自動車触媒のQ1増収には顧客の在庫積み増しや原料価格上昇も含まれるため、需要の恒常的な伸びだけで説明できない部分があります。
収益計上時期を見る際の注意点
第一稀元素化学工業は大型工事の検収偏重型ではなく、素材販売の数量・価格・在庫・顧客生産動向に業績が左右されます。したがってQ1の売上・営業利益進捗は一定の参考になりますが、経常利益以下は為替差損益で四半期ごとの振れが大きくなります。会社も今後の為替変動で経常利益が下押しされる可能性を説明しており、Q1の利益進捗を単純に4倍して通期を推定するのは適切ではありません。
総合判断
現時点では、売上高と営業利益は会社予想を達成する可能性が高く、経常利益・純利益も達成圏内と判断します。Q1の数量増加と複数分野の進捗は強い一方、経常利益以下は円安による為替差益の寄与が大きいため、為替反転・原料調達制約・自動車顧客の在庫調整が重なれば上振れ余地は縮小します。
第一稀元素化学工業 ─ 中期経営計画「DK-One Next」分析
第一稀元素化学工業は、2023年3月期から2032年3月期までの10年間を対象とする 中期経営計画「DK-One Next」を推進中です。 2026年5月の最新版では、2027年3月期~2029年3月期を「中期」、 2030年3月期~2032年3月期を「後期」と位置付け、 特に2029年3月期の利益・資本効率目標を引き上げました。
① 企業が掲げる目標業績数字
| 経営指標 | 2026/3期 実績 | 2029/3期 中期目標 | 2032/3期 後期目標 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 358億円 | 410億円 | 500億円以上 |
| 営業利益 | 35億円 |
40億円 旧目標:30億円 |
75億円以上 |
| EBITDA | 68億円 |
75億円 旧目標:70億円 |
105億円以上 |
| ROIC | 4.7% |
5% 旧目標:4% |
9%以上 |
| ROE | 6.6% |
6% 旧目標:5% |
11%以上 |
| DOE | 1.9% | 1.8%以上 | 1.8%以上 |
| 配当性向 | 27.0% | 30% | 30% |
② 目標達成へのロードマップ・達成計画
ベトナム事業の立ち上げや研究開発を優先。 戦略分野は一部で立ち上がりが遅れ、当初目標は未達となりました。
成長分野への投資とベトナム事業の収益改善を進め、 2029年3月期に営業利益40億円を目指します。
戦略分野を自動車触媒に並ぶ規模へ育成し、 営業利益75億円以上、ROIC9%以上を目指します。
中期3年間の4つの重点施策
二次電池、半導体・エレクトロニクスを中心に既存技術の用途を拡大。 新規事業、外部連携、M&Aも活用して新たな成長領域へ進出します。
安定稼働、生産性向上、原価低減、価格転嫁を推進。 2029年3月期には2026年3月期比で 5~10億円の利益貢献を見込みます。
自動車排ガス浄化触媒で創出したキャッシュを戦略分野へ再配分。 用途別ROICとハードルレートを用いて投資判断を厳格化します。
資本コスト経営を全社へ浸透。 KGI・KPIスコアボードで進捗を可視化し、 必要に応じて施策や指標を修正します。
事業ポートフォリオ転換
- 自動車排ガス浄化触媒を「成長原資」とし、 半導体・二次電池・新規事業へ資金を再配分。
- 二次電池は従来のNCM依存から脱却し、 LFP・負極材まで対象領域を拡大。
- 半導体分野はウェハ研磨材を軸に、 サプライチェーン上下流への材料提案を拡大。
- 自動車触媒は規制強化・高機能用途へシフトし、 市場縮小下でも高付加価値化で収益性を維持・改善。
- 2032年3月期には、 戦略分野全体の売上規模を自動車触媒分野と同程度 にする構想です。
キャッシュ・アロケーション
状況に応じて外部調達も活用し、 成長投資・設備投資・株主還元へ振り向けます。
設備投資 225億円
└ 戦略分野増産投資 75億円
└ 研究開発投資 80億円
└ 基盤投資 70億円
戦略枠 65億円(M&A等を含む)
株主還元 65億円
投資については需要の立ち上がりを確認しながら段階的に実行し、 2029年3月期までに投資テーマを具体化して順次実行フェーズへ移行する方針です。 自己資本比率40~60%を財務規律の目安としています。
直近の進捗 ─ 2027年3月期 第1四半期
| 指標 | 1Q実績 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 101.13億円 | 370億円 | 27.3% |
| 営業利益 | 11.52億円 | 30億円 | 38.4% |
| 経常利益 | 14.05億円 | 20億円 | 70.3% |
| 親会社株主帰属純利益 | 9.53億円 | 15億円 | 63.5% |
営業面は中計スタートとして好調
売上高は前年同期比24.9%増、営業利益は119.4%増。 営業利益率も前年同期6.5%から11.4%へ改善しました。 会社は通期予想を据え置いています。
一方、経常利益の高い進捗率には、 ベトナム子会社関連の外貨建資産・負債による 為替差益の影響も含まれるため、 営業利益の進捗と分けて見る必要があります。
2026年8月25日、重要レアメタル「ハフニウム」の国内製造技術確立を発表。 AI・データセンター向け半導体や航空宇宙用途を想定し、 2026年内にサンプル提供、2028年に国内量産化を目指します。
これは中計の「半導体分野の拡大」「新規事業創出」 「地政学リスクを踏まえたサプライチェーン強化」に直接つながる施策と評価できます。
③ 会社が開示している主な達成リスク
半導体・エネルギー・ヘルスケアで用途開発、 量産案件立ち上げ、顧客基盤拡大が計画どおり進まなければ、 ポートフォリオ転換が遅れる可能性があります。
前期はNCM系材料の成長を想定していましたが、 LFPの台頭を十分に織り込めず計画未達となりました。 今後はLFP・負極材へ対象を広げます。
設備保全や現地人材育成が計画どおり進まない場合、 生産効率低下、追加費用、供給への影響が生じる可能性があります。
一部原料は供給国・供給者が限定されます。 特にイットリウムや中重希土類は中国への偏在や輸出規制の影響を受け、 供給制約につながる可能性があります。
ベトナム事業関連の外貨建資産・負債があり、 ドル円・ドル/ベトナムドンの変動で為替差損益が発生。 金利上昇時には金融費用増加の可能性があります。
貿易摩擦、輸出入規制、米中対立等により、 原材料調達・物流・販売・ベトナム事業の運営に 影響が及ぶ可能性があります。
分析 ─ 中計達成を見るポイント
- 2029年目標の質が改善。 売上高410億円を据え置きながら営業利益目標を30億円から40億円へ引き上げており、 従来より「量」ではなく「利益率改善」を重視した計画になっています。
- 2029年までの最大の利益ドライバーはベトナム。 会社は2026年3月期比で5~10億円の利益貢献を見込んでおり、 中期営業利益40億円達成の重要な構成要素です。
- 2032年目標達成には事業構造そのものの転換が必要。 2026年3月期の営業利益35億円から75億円以上へ倍増させるため、 自動車触媒だけではなく、半導体・二次電池・新規事業の収益化が不可欠です。
- 1Qの営業利益進捗38.4%は良好。 ただし経常利益70.3%という数字は為替差益を含むため、 中計の本質的な進捗確認では営業利益率・戦略分野売上・ベトナム採算を重視すべきです。
- ハフニウムは中計に対する新たな上振れ候補。 2028年量産化を目指しており、計画どおり進めば 2029年3月期の戦略分野拡大に寄与する可能性があります。 ただし現時点では具体的な売上・利益目標は開示されていません。
・第一稀元素化学工業「中期経営計画『DK-One Next』~前期の振り返りと中期の取組み~」2026年5月
・第一稀元素化学工業「2027年3月期 第1四半期決算短信」2026年8月7日
・第一稀元素化学工業「2026年3月期 有価証券報告書」
・第一稀元素化学工業「重要レアメタル『ハフニウム』の国内製造技術確立のお知らせ」2026年8月25日
※本内容は公開情報に基づく整理・分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。


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