2997 ストレージ王

ストレージ王 2997 東証G

Storageoh Co., Ltd.|トランクルームの企画、開発、運営、管理を手がけるセルフストレージ企業。2026年7月8日にエリアリンクによる公開買付けが公表された。
※2026年7月9日時点の情報

事業内容

2026年7月9日の時価総額は約20億円。株価終値は1,099円、発行済株式数は1,854,000株。

ストレージ王は2008年5月設立、本社は千葉県市川市市川南1丁目9番23号。代表者は代表取締役社長執行役員の荒川滋郎氏、決算期は1月、上場市場は東京証券取引所グロース市場。主な事業は、トランクルームに関する企画、開発、運営、管理、プロパティマネジメント、不動産売買及び賃貸仲介、コンテナや物置の販売である。

2026年1月期は売上高3,999百万円、営業利益191百万円、経常利益172百万円、当期純利益117百万円。2027年1月期第1四半期は売上高546百万円、営業損失111百万円、経常損失120百万円、四半期純損失85百万円となったが、通期会社予想は売上高4,668百万円、営業利益217百万円、経常利益191百万円、当期純利益134百万円を据え置いている。

トランクルーム運営管理

トランクルーム運営管理は、売上高が2023年1月期の647百万円から2026年1月期の1,096百万円へ拡大。セグメント利益は2023年1月期から2025年1月期まで赤字だったが、2026年1月期は19百万円の黒字へ転換した。
トランクルーム運営管理 セグメント業績推移(単位:百万円)
1237874510147-216 20232024202520266477498891096-31-76-5319 売上高セグメント利益
トランクルーム運営管理は、利用者から月額利用料を受け取るストック型の性格を持つ事業である。自社で企画、開発したトランクルームを運営するだけでなく、開発分譲後の施設について運営管理を受託することで、開発分譲と運営管理が連動する構造になっている。

この事業の投資判断上の焦点は、売上規模の拡大だけではなく、稼働率、募集費、現地管理コスト、広告費、修繕費、保守費用、施設数の増加に伴う固定費吸収である。2023年1月期から2025年1月期までは赤字が続いたが、2026年1月期に黒字化したことで、運営施設の積み上げが利益に反映され始めた。

一方で、新規施設は開業直後の稼働率が低くなりやすく、募集広告や立ち上げ費用が先行する。既存施設の稼働率が安定しても、新規出店のペースが速い局面では、全体利益率は短期的に圧迫される。

2027年1月期は、通期計画では売上拡大と利益成長を前提としているが、第1四半期は赤字でのスタートとなった。セルフストレージ事業は期中の物件売却や稼働率改善のタイミングで利益が大きく変動するため、四半期ごとの進捗確認が重要になる。

トランクルーム開発分譲

トランクルーム開発分譲は、売上高が2025年1月期に3,314百万円まで拡大した後、2026年1月期は2,532百万円へ減少。セグメント利益は357百万円、401百万円、448百万円、438百万円と高い水準を維持している。
トランクルーム開発分譲 セグメント業績推移(単位:百万円)
371226841657630-398 20232024202520262419243033142532357401448438 売上高セグメント利益
トランクルーム開発分譲は、土地や建物を取得または活用し、トランクルーム施設として企画、開発したうえで、不動産投資家などへ販売する事業である。ストレージ王の売上の大半を占める主力セグメントであり、全社利益の源泉でもある。

この事業は、通常の月額利用料収入とは異なり、物件の販売時点で売上と利益が大きく計上される。したがって、年度末までに売却案件が成立するかどうか、販売物件の規模、開発原価、投資家需要、金融環境が業績を左右する。

2025年1月期は売上高3,314百万円まで伸び、2026年1月期は2,532百万円へ減少したが、セグメント利益は438百万円と高水準を維持した。売上が減少しても利益が大きく崩れていない点は、販売物件の採算が保たれていることを示す。

一方で、開発分譲は在庫、不動産取得資金、借入金、工事進捗、買主の投資判断に左右される。営業キャッシュ・フローが3期連続でマイナスとなっている背景には、販売用不動産や開発案件の積み上げがある。

投資判断では、売上高よりも販売予定物件の引き渡し時期、棚卸資産の増減、借入金の増加、利益率、開発分譲後に運営管理契約を獲得できるかを確認する必要がある。

その他不動産取引

その他不動産取引は、2024年1月期に売上高146百万円、2025年1月期に60百万円、2026年1月期に372百万円を計上。セグメント利益は26百万円、17百万円、25百万円で、案件発生時に業績へ寄与する補完的な区分である。
その他不動産取引 セグメント業績推移(単位:百万円)
41630118671-45 20232024202520260146603720261725 売上高セグメント利益
その他不動産取引は、トランクルーム以外の不動産売買、賃貸仲介、関連不動産取引などを含む区分である。主力の開発分譲や運営管理とは異なり、継続的な施設運営収入よりも案件ごとの売買や仲介による収益性が強い。

2026年1月期は売上高372百万円となり、2025年1月期の60百万円から大きく増加した。ただし、セグメント利益は25百万円で、全社利益に対する寄与度は開発分譲ほど大きくない。

この区分は、保有不動産の売却や一時的な不動産取引が発生した期に売上が跳ねやすい。したがって、成長性を見る際には、単年度の増減を主力事業の成長と混同しないことが重要である。

投資判断上は、その他不動産取引を本業補完の収益機会として見るべきであり、継続的な企業価値の評価では、開発分譲の採算と運営管理の黒字定着が中心になる。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期 2027年1月期
会社予想
売上高
(百万円)
3,069 3,065-4 / -0.1% 3,325+260 / +8.5% 4,262+937 / +28.2% 3,999-263 / -6.2% 4,668+669 / +16.7%
営業損益
(百万円)
153 153+0 / +0.0% 151-2 / -1.3% 171+20 / +13.2% 191+20 / +11.7% 217+26 / +13.6%
経常損益
(百万円)
158 148-10 / -6.3% 157+9 / +6.1% 170+13 / +8.3% 172+2 / +1.2% 191+19 / +11.0%
当期純利益
(百万円)
123 102-21 / -17.1% 109+7 / +6.9% 75-34 / -31.2% 117+42 / +56.0% 134+17 / +14.5%
EPS
(円)
66.81 55.51-11.30 / -16.9% 59.25+3.74 / +6.7% 40.66-18.59 / -31.4% 63.17+22.51 / +55.4% 72.28+9.11 / +14.4%
PER
(倍)
9.9 9.7 22.9 15.4 15.2
PBR
(倍)
1.1 1.0 1.5 1.5
BPS
(円)
350.39 495.39+145.00 / +41.4% 556.86+61.47 / +12.4% 603.87+47.01 / +8.4% 668.38+64.51 / +10.7%
純資産
(百万円)
649 918+269 / +41.4% 1,032+114 / +12.4% 1,119+87 / +8.4% 1,239+120 / +10.7%
営業CF
(百万円)
30 268+238 -459-727 -632-173 -387+245
投資CF
(百万円)
-83 -102-19 -216-114 -151+65 -142+9
財務CF
(百万円)
79 275+196 790+515 364-426 906+542
現金及び現金同等物
(百万円)
389 831+442 / +113.6% 946+115 / +13.8% 525-421 / -44.5% 902+377 / +71.8%

中期経営計画

中期経営計画(2027年1月期から2029年1月期)と公開買付け公表後の論点

ストレージ王は、2027年1月期から2029年1月期を対象とする中期経営計画を公表している。2027年1月期の会社計画は売上高4,668百万円、営業利益217百万円、経常利益191百万円、当期純利益134百万円。2029年1月期には売上高5,202百万円、営業利益314百万円、EBITDA566百万円を目指す計画である。

事業戦略の中心は、トランクルーム開発分譲による利益獲得と、運営管理による継続収益の積み上げである。開発分譲は短期利益の主力であり、運営管理は施設数、稼働率、管理受託の拡大により収益の安定化を担う。営業キャッシュ・フローがマイナスで推移しているため、成長投資と資金繰りのバランスが計画達成の重要な前提となる。

2026年7月8日には、エリアリンクがストレージ王株式等に対する公開買付け開始を公表した。公開買付価格は1株1,340円、買付期間は2026年7月9日から2026年8月21日までとされている。公開買付けが成立した場合、ストレージ王株式は上場廃止となる見込みであり、通常の中期成長シナリオに加えて、公開買付けの成否、応募状況、上場廃止後の流動性喪失が株価評価の中心論点になる。

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競合他社

① エリアリンク(8914)
時価総額は約448.27億円、株価は866円。エリアリンクは「ハローストレージ」ブランドを中心に、レンタル収納スペースの運営、管理、開発、土地活用、運営受託を展開している。ストレージ王とは、トランクルームの利用者獲得、物件開発、土地オーナー向け提案、投資家向けストレージ施設販売の各領域で直接競合する。

2026年12月期第1四半期は、売上高71.44億円、営業利益15.71億円、経常利益14.15億円、四半期純利益10.06億円。ストレージ事業は売上高60.79億円、営業利益16.83億円、総室数129,143室、ハローストレージ稼働率79.56%、既存稼働率87.03%となっている。既存物件の稼働率を維持しながら、新規出店、運営受託、広告効率化、賃料見直しで収益性を支える構造である。

2026年7月にはストレージ王への公開買付けを開始しており、競合企業であると同時に、ストレージ王の親会社化を目指す買付者となった。公開買付け成立後は、ハローストレージの規模、運営ノウハウ、集客力と、ストレージ王の開発分譲、運営管理ノウハウが同一グループ内で統合される可能性がある。
② 稲葉製作所(3421)
時価総額は約299.76億円、株価は1,761円。稲葉製作所は物置、オフィス家具、ガレージなどを展開するメーカーであり、グループの収納関連サービスを通じて、屋外収納、物置型収納、土地活用の領域でストレージ王と競合する。直接の事業形態はメーカー色が強いが、収納スペース需要を取り込む点では、トランクルーム事業者にとって無視できない競合である。

2026年7月期第3四半期は、売上高314.51億円、営業利益16.65億円、経常利益19.86億円、四半期純利益13.97億円。鋼製物置セグメントは売上高206.20億円、セグメント利益16.24億円、オフィス家具セグメントは売上高108.31億円、セグメント利益6.93億円となっている。

ストレージ王との競合点は、収納ニーズそのものの取り込みである。個人や法人が保管スペースを必要とする場合、月額利用型のトランクルームを選ぶか、物置やガレージを設置するか、土地活用型の収納施設を導入するかという選択になる。稲葉製作所は製品供給力とブランド認知度を持つため、設備面からセルフストレージ市場の周辺需要を押さえる存在である。
③ パルマ(3461)
時価総額は約38.50億円、株価は567円。パルマはセルフストレージ事業者向けのBPO、IT、保証、集客支援、施設開発支援を展開している。ストレージ王が自社でトランクルームを企画、開発、運営、販売するのに対し、パルマは業界インフラや業務支援に近いポジションを持つ。

2026年9月期第2四半期は、売上高10.7億円、営業利益0.58億円、経常利益0.99億円、四半期純利益0.63億円。BPOサービスは売上高7.65億円、営業利益2.64億円、ターンキーソリューションサービスは売上高3.05億円、営業損失1.10億円となっている。

競合点は、トランクルーム事業者向けの運営支援、IT化、保証、施設開発、集客導線である。ストレージ王が自社施設と開発分譲を通じて事業拡大を図る一方、パルマはセルフストレージ業界全体の業務受託やシステム支援で収益を得る。ストレージ王が管理受託や外部連携を強化する場合、パルマのBPO、IT、保証サービスと競合する領域が広がる。

強みと将来性

開発分譲と運営管理を組み合わせたセルフストレージ特化モデル
ストレージ王の強みは、トランクルーム施設を単に運営するだけでなく、企画、開発、販売、運営管理まで一体で扱う点にある。開発分譲で収益を獲得し、販売後も運営管理を受託できれば、売却益と管理収入を同時に狙える。

開発分譲は年度ごとの売上変動が大きいが、セグメント利益は2023年1月期以降、300百万円台後半から400百万円台で推移している。2026年1月期は売上高が減少したにもかかわらず、セグメント利益は438百万円を維持した。物件販売の採算を保てている点は、同社の重要な収益基盤である。

もう一つの注目点は、運営管理の黒字転換である。運営管理は2023年1月期から2025年1月期まで赤字だったが、2026年1月期は19百万円の黒字となった。施設数が増え、稼働率が上がり、広告費や管理費を吸収できる局面に入れば、開発分譲に依存しすぎない収益構造へ近づく。

中期経営計画では、2029年1月期に売上高5,202百万円、営業利益314百万円、EBITDA566百万円を目標としている。開発分譲の販売案件を確保しながら、運営管理のストック収益を積み上げることができれば、利益の安定性は高まりやすい。

エリアリンクによる公開買付けが成立した場合、国内最大級の「ハローストレージ」運営基盤との連携が生まれる可能性がある。集客、運営、物件開発、管理受託、投資家向け販売の各機能が統合されれば、単独上場企業としての成長シナリオとは異なる形で、事業基盤が強化される余地がある。

弱みとリスク要因

開発分譲の案件依存、営業CFの赤字、公開買付け後の流動性リスク
ストレージ王の最大の弱みは、主力の開発分譲が案件の販売時期に強く左右されることである。トランクルーム開発分譲は高利益の主力事業だが、販売物件の引き渡しが期末にずれる、買主の投資判断が遅れる、開発原価が上昇する、金融環境が悪化する場合、年度業績が大きく振れる。

キャッシュ・フロー面では、2024年1月期の営業CFが-459百万円、2025年1月期が-632百万円、2026年1月期が-387百万円と3期連続でマイナスである。開発案件や販売用不動産の積み上げは将来売上の源泉になる一方、資金繰りと借入依存を高める。2026年1月期の財務CFは906百万円のプラスであり、成長投資を外部資金で支えている構造が見える。

財務安全性にも注意が必要である。自己資本比率は2023年1月期の50.5%から2026年1月期には26.3%へ低下し、2027年1月期第1四半期は23.1%となった。開発分譲型の成長は資産と負債が膨らみやすく、売却が遅れた場合には資金効率が悪化しやすい。

2027年1月期第1四半期は、売上高546百万円、営業損失111百万円、経常損失120百万円、四半期純損失85百万円となった。会社は通期業績予想を据え置いているが、期中後半の販売案件と利益計上に対する依存度が高い。四半期決算だけで通期を判断しにくい一方、売却遅延が発生した場合の下振れリスクは大きい。

2026年7月に開始された公開買付けも重要なリスク要因である。公開買付価格は1,340円であり、株価は買付価格に近づきやすくなる一方、成立後は上場廃止が見込まれる。市場での流動性、少数株主の出口、公開買付け不成立時の株価反動、買付期間中の需給変化は、通常の業績評価とは別に確認が必要である。

出典

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