豊和工業 6203 東証スタンダード
1907年創業の総合機械メーカー ─ 国内唯一の小銃メーカーとして20式5.56mm小銃を防衛省へ納入、工作機械・特装車両・建材も展開
事業内容 ─ 火器・工作機械・特装車両・建材の4事業を展開
豊和工業株式会社(Howa Machinery, Ltd.)は1907年創業、愛知県清須市に本社を置く総合機械メーカー。東証スタンダード・名証に上場。工作機械の製造・販売を主力としつつ、日本で地上防衛火器を製造する主要メーカーのひとつとして、20式5.56mm小銃や120mm迫撃砲などの防衛装備品を防衛省へ納入する国内有力の火器メーカー。長年培った技術を猟銃分野にも活かし、スポーツライフル銃などの民間用製品を米国をはじめ世界の猟銃市場へ輸出する。このほか路面清掃車でトップシェアを持つ特装車両事業、防音サッシなどの建材事業を展開する。2026年3月期は売上高240.64億円(前期比-3.1%)、営業利益11.86億円(同-5.3%)と工作機械関連事業の不振で減収減益となったが、経常利益13.82億円は従来予想8億円を上回って着地。自己資本比率は58.7%に改善した。2026年3月期から2028年3月期を対象とする第6期中期経営計画を新たに策定し、工作機械関連事業の収益構造改革に取り組んでいる。
主要事業セグメント
火器事業(防衛・猟銃)
日本で地上防衛火器を製造する主要メーカーのひとつ。20式5.56mm小銃・120mm迫撃砲RTなどの防衛装備品を防衛省へ納入する国内唯一クラスの小銃メーカー。地政学リスクの顕在化と国防意識の高まりを背景に重要性が増している。民間向けにはスポーツライフル銃などの猟銃を米国等へ輸出。2026年3月期は防衛省向け納入数増加で大幅な増収増益に貢献した。
工作機械関連事業(工作機械・空油圧機器・電子機械)
「Howa」ブランドの工作機械を主力とし、自動車メーカー・電機メーカーなど日本を代表する製造業を支える。マシニングセンタ、トランスファーライン・専用機、パワーチャック、回転シリンダなどを展開。中国向け在庫の評価損計上や中国現地法人の解散・清算など収益構造改革を進めているが、赤字が継続しており、第6期中計の最重点課題となっている。
特装車両事業(路面清掃車)
路面清掃車で国内トップシェアを持つ事業。2026年3月期は路面清掃車の売上台数増加により業績に貢献した。今後はサービス拡充による収益力向上を図る方針。インフラ維持・更新需要を背景とした安定的な需要が見込まれる。
建材事業(防音サッシ)
防音サッシを中心とする建材事業。2026年3月期は防音サッシの売上増に加え、価格転嫁の進展による採算性改善が寄与し黒字化を達成した。単価面と利益率の改善継続が収益面の追い風となっている。
新規事業の創出
第6期中期経営計画では、工作機械関連事業を主体とする体制から事業ポートフォリオを変革し、4つの事業領域がそれぞれ特性を活かしたニッチ分野を探求する体制へ移行。当社の特性を活かせる新規事業の創出に取り組み、将来の事業拡大に向けた基盤構築を進める方針。
直近5年の業績サマリー
2026年3月期は売上高240.64億円(前期比-3.1%)、営業利益11.86億円(同-5.3%)、経常利益13.82億円(同-2.2%)と、火器事業が好調だったものの工作機械関連事業の不振により減収減益となった。ただし経常利益は従来予想8億円を上回って着地。当期純利益は7.41億円(同-1.1%)。直近1-3月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比+89.0%増の4.1億円、売上営業利益率は前年同期2.7%→5.2%に改善した。2024年3月期は工作機械関連の不振で当期純損益8.73億円の赤字を計上したが、2025年3月期に黒字転換。2027年3月期会社予想は、火器事業で20式小銃の納入数増加が見込まれる一方、前期計上の防衛生産基盤強化法に基づく特定取組契約の売上がなくなるため火器収益は減少見込み。会社の期初予想(当期純利益2.4億円)は保守的な水準。PBR0.80倍、PSR0.70倍と低位。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2026年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 19,697 | 19,738 +0.2% |
19,786 +0.2% |
24,827 +25.5% |
24,064 △3.1% |
23,200 |
| 営業損益 | 988 | 452 △54.3% |
388 △14.2% |
1,253 +222.9% |
1,186 △5.3% |
670 |
| 経常損益 | 1,300 | 622 △52.2% |
466 △25.1% |
1,413 +203.2% |
1,382 △2.2% |
800 |
| 当期純損益 | 1,062 | 524 △50.7% |
△873 赤字転落 |
749 黒字転換 |
741 △1.1% |
240 |
| EPS(一株利益) | 86.08円 | 43.56円 | △72.49円 | 62.18円 | 61.41円 | 19.89円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
764円 | 827円 | 830円 | 1,032円 | 1,388円 | ― |
| 実績PER | 8.88倍 | 18.99倍 | -11.45倍 | 16.60倍 | 22.60倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 69.78倍 |
| PBR | 0.54倍 | 0.57倍 | 0.58倍 | 0.66倍 | 0.80倍 | ― |
| PSR | 0.48倍 | 0.50倍 | 0.51倍 | 0.50倍 | 0.70倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
第6期中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)
同社は2026年3月期から2028年3月期を対象とする第6期中期経営計画を新たに策定。「工作機械関連事業の市場規模に適合した収益構造への変革」と「既存事業の生産性向上による収益力の向上」を喫緊の課題と位置付け、工作機械関連事業を主体とする体制から、4つの事業領域がそれぞれの特性を生かしたニッチ分野を探求する体制への変革を図る。
第6期中期経営計画の基本方針
- 工作機械関連事業の市場規模に適合した収益構造への変革
- 既存事業の生産性向上による収益力の向上
- 4つの事業領域がニッチ分野を探求する事業ポートフォリオへの変革
事業戦略
- 火器:設備増強による生産性向上・生産能力拡大、20式小銃等の安定供給
- 工作機械関連:収益構造改革(中国事業の整理等)による黒字化
- 特装車両:路面清掃車のサービス拡充による収益力向上
- 建材:防音サッシの価格転嫁進展による採算性改善
- 当社の特性を活かす新規事業の創出
2026年3月期(中計初年度)の方針
- 火器は20式小銃の納入数増加も、米国関税政策の影響等で火器収益は減少見込み
- 工作機械関連の収益構造改革・特装車両・建材の収益力向上で増収増益を目指す
- ※前回の第5期中計(最終年度2025年3月期目標:売上248億円・営業利益20億円・ROE8.0%)は財務目標未達に終わった
強みと注目点
① 国内唯一クラスの防衛火器メーカーとしての地位
日本で地上防衛火器を製造する主要メーカーのひとつで、20式5.56mm小銃・120mm迫撃砲RTなどが防衛省で採用されている国内有力の小銃メーカー。地政学リスクの顕在化と国防意識の高まり、防衛費増額の流れを背景に、国産防衛装備品メーカーとしての重要性が増しており、火器事業が業績の下支え要因となっている。
② 4事業による分散したポートフォリオ
火器・工作機械関連・特装車両・建材の4事業を展開し、特定事業の景気変動の影響を緩和できる構造。路面清掃車は国内トップシェア、防音サッシも価格転嫁進展で黒字化するなど、工作機械関連以外の各事業が収益に貢献。2026年3月期は工作機械の不振を火器の好調が補い、経常利益は従来予想を上回って着地した。
③ 健全な財務基盤と低いバリュエーション
自己資本比率は2026年3月期に58.7%へ改善し、財務基盤は健全。PBR0.80倍・PSR0.70倍と1倍を下回る低位のバリュエーションで推移しており、資産価値・売上規模に対する市場評価には見直し余地が指摘される。1-3月期の経常利益が前年同期比+89.0%増と改善し、収益構造改革の効果が表れ始めている。
弱み・リスク要因
有価証券報告書・決算短信および公開情報から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① 工作機械関連事業の赤字継続
主力の工作機械関連事業は各種改善の効果で収益性は改善したものの赤字が継続。一部の滞留在庫について棚卸資産評価損を売上原価に計上し、中国向け在庫の評価損計上や中国現地法人の解散・清算を決定するなど、構造改革の途上にある。第6期中計でも「市場規模に適合した収益構造への変革」が最重点課題と位置付けられており、黒字化の実現が課題。
② 火器収益の変動リスクと中計目標未達の実績
2027年3月期は20式小銃の納入数増加が見込まれる一方、前期計上の防衛生産基盤強化法に基づく特定取組契約の売上がなくなるため火器収益は減少見込み。火器事業は防衛省の調達計画に業績が左右される。また前回の第5期中期経営計画(最終年度2025年3月期目標:売上248億円・営業利益20億円)は財務目標未達に終わっており、計画達成力に課題を残す。
③ 原材料調達難・価格高騰と地政学リスク
会社は中東情勢の影響拡大や長期化に伴う原材料調達難・価格高騰などのリスクを業績予想に一定程度織り込んでいる。米国関税政策の影響も火器(猟銃輸出)収益に影響を及ぼす要因。グローバルなサプライチェーン・地政学環境の変化が、原材料コストや海外売上に直接影響を与える構造的リスクを抱えている。
- 豊和工業株式会社 公式サイト
- 豊和工業株式会社 IR情報
- 豊和工業株式会社 トップメッセージ(第6期中期経営計画)
- 豊和工業株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月15日発表)
- 豊和工業株式会社「第6期中期経営計画」
- 豊和工業株式会社「有価証券報告書」
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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