株式専門用語集|経営・業績編

株式専門用語集|経営・業績編

株式専門用語集|経営・業績編

中級トレーダー以上を想定した、経営・業績・資本政策・新株予約権までを含む109語の用語集です。各用語をクリックすると解説が開きます。

基本業績・利益指標 (1〜20)

企業が商品やサービスの販売によって得た収入の総額です。企業活動の規模や市場での販売力を見る基本指標で、損益計算書の最上段に位置します。売上高が増えていても、原価や販管費がそれ以上に増えれば利益は伸びません。したがって営業利益や利益率と合わせて確認する必要があります。数量増による成長か、値上げによる成長かでも評価は異なります。中長期では売上高の成長率と利益率の変化を組み合わせて見ることが重要です。

本業によって稼いだ利益を示す指標です。売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いて算出されます。企業の主力事業そのものの採算性を見るため、株式市場で最も重視される利益の一つです。営業利益が増えていても、一時的なコスト削減だけによる増益なのか、販売数量や単価上昇による増益なのかで質が異なります。決算では営業利益額だけでなく営業利益率の推移も確認します。

営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益です。受取利息、支払利息、為替差損益などが反映されます。日本企業の決算では営業利益と並んでよく使われます。営業利益が好調でも借入金の利息負担が大きければ経常利益は伸びないことがあります。逆に為替差益などで経常利益だけが増える場合もあるため、本業の実力を見る際は営業利益と分けて確認します。

すべての収益・費用・税金を反映した最終的な利益です。最終利益とも呼ばれ、EPSや配当余力の基礎になります。特別利益や特別損失、税効果会計の影響も受けるため、本業の収益力と一致しない場合があります。例えば資産売却益で純利益が急増しても、その利益は翌期以降継続しない可能性があります。投資判断では営業利益やキャッシュフローと併せて確認することが重要です。

EPSはEarnings Per Shareの略で、当期純利益を発行済株式数などで割った1株当たり利益です。PERの計算にも使われる重要指標です。純利益が増えていても、増資や新株予約権の行使で株式数が増えるとEPSの伸びは抑えられます。逆に自社株買いと消却によって株式数が減ると、利益が横ばいでもEPSは上昇し得ます。株主価値の成長を見る際には純利益よりEPS成長率を重視する場面も多くあります。

売上高に対して営業利益がどの程度残っているかを示す指標です。「営業利益÷売上高×100」で計算します。価格決定力、製品ミックス、生産効率、販管費管理などが反映されます。同じ売上成長率でも営業利益率が改善している企業の方が利益成長の質が高いと評価されやすくなります。ただし適正水準は業種ごとに大きく異なるため、同業他社や自社の過去推移との比較が重要です。

ROEはReturn on Equityの略で、自己資本に対してどれだけ利益を生み出したかを示します。一般に「当期純利益÷自己資本」で計算され、株主資本の効率性を見る代表的な指標です。高ROEは評価されやすい一方、借入を増やして自己資本を小さくすれば見かけ上ROEが上昇することがあります。したがって自己資本比率や有利子負債と合わせて分析する必要があります。継続的に高いROEを維持できるかが重要です。

ROAはReturn on Assetsの略で、企業が保有する総資産を使ってどれだけ利益を生み出したかを見る指標です。ROEよりも負債を含む資産全体の効率を評価しやすい特徴があります。設備や在庫を多く抱える業種では特に有用です。ROAが改善している企業は、資産を効率的に使えるようになっている可能性があります。業種ごとの資産構造が異なるため、同業比較が基本です。

EBITDAは利払い前・税引前・減価償却前利益を意味する指標です。減価償却費などの非資金費用の影響を除くため、設備投資負担や会計処理が異なる企業同士を比較しやすくなります。M&Aや企業価値評価でも頻繁に利用されます。ただし設備の更新に必要な実際の投資負担を無視する指標でもあるため、EBITDAだけでキャッシュ創出力を判断するのは適切ではありません。営業CFやCAPEXと合わせて見ることが重要です。

企業が事業活動で生み出したキャッシュから設備投資などを差し引いた後、自由に使える資金を示します。配当、自社株買い、M&A、借入返済などの原資になります。利益が黒字でも売掛金や在庫が増加するとFCFが悪化することがあります。成長企業では積極的な設備投資によって一時的にFCFがマイナスになる場合もあります。単年度ではなく複数年の推移と資金使途を確認することが重要です。

売上高から売上原価を差し引いた利益で、粗利益とも呼ばれます。商品やサービスそのものの採算性を見る指標です。販管費を差し引く前の段階なので、価格設定や原材料コスト、製品ミックスの変化が反映されやすくなります。粗利益が伸びても販管費が急増すれば営業利益は伸びません。営業利益悪化の原因を分解する際の重要なチェックポイントです。

売上高に対する売上総利益の割合です。「売上総利益÷売上高×100」で計算します。企業の商品力、価格決定力、原価管理、高付加価値化の進捗を確認できます。高利益率製品の比率が上がると売上総利益率が改善しやすくなります。逆に値下げ競争や原材料高では悪化しやすくなります。営業利益率よりも商品・サービス自体の採算性を直接見るのに適しています。

販売活動や企業運営に必要な費用の総称です。人件費、広告宣伝費、物流費、地代家賃、研究開発費の一部などが含まれます。売上が伸びても販管費の伸びがそれ以上なら営業利益は圧迫されます。一方で、新規出店や人材採用など将来成長のための先行投資として増える場合もあります。販管費増加が成長投資なのか、単なるコスト膨張なのかを見極めることが重要です。

通常の事業活動では毎期発生しない一時的な利益です。固定資産売却益、投資有価証券売却益、子会社売却益などが代表例です。当期純利益を大きく押し上げることがありますが、継続性は通常高くありません。そのため営業利益の増加と同列に評価するのは適切ではありません。決算では純利益増加のうち、どれだけが一過性要因かを確認します。

通常の事業活動では毎期発生しない一時的な損失です。減損損失、災害損失、事業撤退費用、固定資産除却損などが含まれます。当期純利益を大きく押し下げますが、翌期に同じ損失が発生するとは限りません。不採算事業整理など将来の収益改善につながる特別損失もあります。損失額だけでなく、発生理由と再発可能性を確認することが重要です。

固定資産や事業の収益性が低下し、帳簿価額を回収できないと判断された場合に資産価値を切り下げる会計処理です。工場、店舗、のれんなどで発生します。減損計上は過去の投資判断が期待どおりの成果を上げていないことを示す場合があります。ただし減損後は減価償却負担が軽くなるなど、翌期以降の利益が改善する場合もあります。投資家は対象資産、原因、再発可能性を確認する必要があります。

企業買収価格が取得した企業の識別可能な純資産の公正価値を上回る部分です。ブランド、技術、顧客基盤、人材など目に見えない超過収益力を反映します。M&Aを積極的に行う企業ではのれん残高が大きくなる傾向があります。買収先の収益が計画を下回ると、のれん減損によって大きな損失が発生する可能性があります。自己資本に対するのれんの大きさや買収後の利益進捗を確認することが重要です。

工場や設備などの固定資産の取得価額を、使用期間にわたって費用配分する会計処理です。設備購入時に支出した現金と、損益計算書に計上される減価償却費のタイミングは一致しません。そのため利益とキャッシュフローの差を生む代表的な項目です。設備投資型企業では減価償却負担が利益率に大きく影響します。EBITDAや営業CFを見る際にも重要な要素です。

本業によってどれだけ現金を生み出したかを示すキャッシュフローです。利益に減価償却などの非資金項目や、売掛金・在庫・買掛金など運転資本の変化を反映して算出されます。営業利益が黒字でも営業CFが継続的にマイナスなら、利益の質に注意が必要です。安定してプラスの営業CFを生み出せる企業は、配当や投資の原資を自力で確保しやすくなります。

設備投資、M&A、有価証券の取得・売却など投資活動による現金の流れです。成長企業では設備投資や買収によってマイナスになることが一般的で、マイナス自体は悪材料ではありません。重要なのは、投資した資金が将来の売上・利益につながっているかです。営業CFと組み合わせることで、稼いだ資金をどの程度成長投資に回しているかを把握できます。

財務・キャッシュフロー・設備 (21〜30)

借入、社債、増資、配当、自社株買いなど財務活動による現金の増減を示します。プラスなら借入や増資による資金調達が多く、マイナスなら返済や株主還元が多い可能性があります。ただし単純なプラス・マイナスだけで良し悪しは判断できません。営業CFや投資CFと合わせ、企業がどのように資金を調達し配分しているかを見ることが重要です。

総資産に占める自己資本の割合を示す財務健全性指標です。一般に高いほど借入依存度が低く、財務耐久力が高いと考えられます。ただし適正水準は銀行、商社、製造業など業種によって大きく異なります。自己資本比率が低い企業は金利上昇や業績悪化時の資金繰りリスクが高まりやすくなります。ROEと合わせて見ることで資本効率と安全性のバランスを確認できます。

利息の支払いを伴う借入金や社債などの負債です。有利子負債が大きい企業は金利上昇時に利息負担が増えやすくなります。ただし設備投資やM&Aで借入を活用すること自体は必ずしも悪いことではありません。重要なのは営業利益やキャッシュフローに対して返済負担が過大でないかです。ネット有利子負債やEBITDAとの倍率もよく確認されます。

現金・預金などの手元流動性から有利子負債を差し引いた概念です。プラスなら実質的に現金超過の状態で、財務余力が大きいと考えられます。ネットキャッシュ企業はM&A、自社株買い、増配、設備投資を行う余地が大きい場合があります。一方で過剰な現金保有は資本効率の低下要因にもなります。ネットキャッシュの大きさと資本政策をセットで評価することが重要です。

工場、機械、店舗、ITシステムなど将来にわたって使用する資産への投資です。CAPEXはCapital Expenditureの略です。成長企業では生産能力増強のために設備投資が増えることがあります。一方で需要を過大評価すると過剰設備となり、減価償却費や減損リスクが増加します。投資額だけでなく、投資目的、稼働開始時期、期待収益を確認する必要があります。

企業が将来実施する予定の設備投資額や投資対象を示す計画です。中期経営計画や決算説明資料で開示されることがあります。設備投資計画の増額は需要見通しへの自信を示す場合がありますが、資金負担の増加も意味します。半導体や素材など設備依存度の高い業種では、設備投資計画が関連企業の受注見通しにも影響します。計画と実績の乖離も重要な分析材料です。

すでに受注済みだが、まだ売上計上されていない契約金額の残高です。建設、造船、プラント、産業機械などで将来売上の可視性を判断する重要指標です。受注残高が増えていれば将来の売上基盤が厚くなっている可能性があります。ただし低採算案件が多ければ利益にはつながらないため、採算性や納期も確認する必要があります。

一定期間中に新たに獲得した注文金額です。受注残高が将来売上の蓄積を示すのに対し、受注高は直近の需要の勢いを示します。工作機械や半導体製造装置では受注高が売上に先行することが多く、景気の先行指標として注目されます。前年同期比や前月比の変化から業績転換点を探ることができます。

受注残高を一定期間の売上高で割り、何年分または何か月分の売上を確保しているかを見る考え方です。大型案件型企業では将来業績の可視性を比較するのに役立ちます。倍率が高いほど売上の見通しは立てやすくなりますが、採算性やキャンセルリスクまでは示しません。受注内容と利益率を合わせて確認する必要があります。

工場や設備が最大生産能力に対してどの程度稼働しているかを示す指標です。固定費の大きい製造業では稼働率上昇が利益率改善に直結しやすくなります。反対に稼働率が低下すると、1単位当たりの固定費負担が増えて利益が急減する場合があります。半導体、素材、化学など景気敏感業種では業績転換点を読む重要な指標です。

業績予想・決算評価 (31〜44)

企業が公表する将来の売上高や利益などの見通しです。株価は過去実績より将来予想を織り込むため、決算では実績と同じかそれ以上に重要視されます。実績が市場予想を上回っていても、次期ガイダンスが弱ければ株価が下落することがあります。企業ごとに保守的・強気など予想の癖があるため、過去の予想精度も確認します。

証券会社やアナリストなど複数の市場参加者による業績予想を集計した市場予想です。株価は会社計画そのものより、コンセンサスとの差で反応することが多くあります。前年比で大幅増益でもコンセンサス未達なら失望売りにつながる場合があります。決算トレードでは売上、営業利益、EPSなど主要項目の市場予想との乖離を確認することが重要です。

企業が従来公表していた業績予想を引き上げることです。売上増加、利益率改善、為替、原材料価格などが要因になります。一般に好材料ですが、事前に市場がより大きな修正を期待していた場合は株価が下落することもあります。修正幅だけでなく、修正後の数字がコンセンサスを上回るか、修正理由に継続性があるかを確認します。

企業が従来の業績予想を引き下げることです。需要減少、価格下落、コスト増、為替逆風などが原因になります。通常は悪材料ですが、株価が先に十分下落していた場合は悪材料出尽くしで反発することもあります。一時要因か構造的悪化かを区別し、翌期の回復可能性まで分析することが重要です。

市場予想を大きく上回る、または下回る決算を指します。決算の絶対的な良し悪しよりも、事前期待との差が株価反応を左右します。営業利益が大幅増益でも市場予想どおりなら反応が小さいことがあります。逆にわずかな増益でも予想を大幅に超えれば強く買われる場合があります。決算トレードではサプライズの方向と大きさが重要です。

通期会社計画に対して、現在までにどの程度の売上や利益を達成したかを示す割合です。例えば通期営業利益100億円計画に対し上期60億円なら進捗率は60%です。高進捗なら上方修正期待が高まる場合があります。ただし季節性が強い企業では単純比較ができないため、過去数年の同時期進捗率との比較が重要です。

実際の売上や利益が会社計画や市場予想を上回ることです。上振れの背景が販売数量増、単価上昇、利益率改善など継続性のある要因なら高く評価されやすくなります。一方で一時的な為替差益などによる上振れは評価が限定的になることがあります。何が上振れ要因なのかを分解することが重要です。

実際の業績が会社計画や市場予想を下回ることです。原因が一時的な供給制約なのか、競争力低下など構造的な問題なのかで評価は大きく異なります。下振れが続く企業では会社計画への信頼性も低下します。決算では下振れ幅だけでなく、翌四半期以降の回復策や修正計画を確認します。

前年同期または前期比で売上高と利益の両方が増加している状態です。企業成長として分かりやすい形ですが、株価上昇を保証するものではありません。市場は増収増益の幅、利益率、コンセンサスとの比較、将来の継続性を重視します。数量増と単価上昇の両方が伴う増収増益は質が高いと評価されやすくなります。

売上高は増えているものの利益が減少している状態です。原材料高、人件費増、先行投資、値下げ競争などが原因になります。成長投資による一時的な減益なら将来の利益拡大につながる可能性がありますが、粗利率低下による減益なら注意が必要です。売上成長の質と利益率悪化の原因を確認します。

売上高は減少しているものの利益が増加している状態です。不採算事業の縮小、高利益率製品へのシフト、値上げ、コスト削減などで発生します。利益体質改善として評価される場合がありますが、売上減少が長期化すると成長力への懸念が残ります。減収の理由と利益率改善の持続性を分けて分析することが重要です。

売上高と利益の両方が前年同期または前期を下回っている状態です。通常は業績悪化を意味しますが、株価は将来を先取りするため、業績底打ち期待で上昇する場合もあります。需要減少が一時的か構造的か、在庫調整がどこまで進んでいるかなどを確認します。景気敏感株では業績悪化中に株価が先に反転することもあります。

売上高に対する利益の割合が上昇することです。価格改定、高付加価値商品の比率上昇、原価低下、生産効率改善などが主因になります。売上が横ばいでも利益率が改善すれば利益は増加します。継続的な利益率改善は競争力や経営効率の向上を示す重要なシグナルです。

売上高に対する利益の割合が低下することです。原材料高、人件費増、値下げ競争、稼働率低下、低採算商品の増加などが原因になります。売上が伸びていても利益率が悪化すれば利益成長が鈍化することがあります。一時的な悪化なのか、競争力低下による構造的悪化なのかを見極めることが重要です。

収益構造・コスト (45〜50)

販売する商品・サービスの構成変化によって売上総利益率が変動することを指します。高利益率製品の比率が上昇すれば、売上高が大きく伸びなくても利益が増えることがあります。逆に低利益率品の販売比率が高まると、増収でも利益率が悪化します。決算では「製品ミックス改善」「高付加価値品比率上昇」などの説明に注目します。

売上高から変動費を差し引いた利益です。固定費を回収するためにどれだけ利益が残るかを示します。売上が増えたときに追加的にどの程度利益が増えるかを理解するのに有用です。固定費比率の高い企業では損益分岐点を超えた後、限界利益が営業利益の急増につながります。

売上や生産量が変動しても短期的には大きく変わらない費用です。減価償却費、地代家賃、人件費の一部などが代表例です。固定費が高い企業は売上増加時に利益が伸びやすい一方、売上減少時には利益が急減しやすくなります。営業レバレッジを理解するうえで重要な概念です。

売上高や生産量に応じて増減する費用です。原材料費、部品代、販売手数料、運送費などが代表例です。変動費率を引き下げることができれば売上総利益率が改善します。固定費と変動費の構成を理解することで、売上変動が利益に与える影響を分析しやすくなります。

売上高と総費用が一致し、利益がゼロになる売上水準です。この水準を上回れば利益が生じ、下回れば赤字になります。固定費が高い企業ほど損益分岐点は高くなります。稼働率や販売数量の回復によって損益分岐点を超えると、利益が急速に改善することがあります。

売上高の変化に対して営業利益がより大きく変動する性質です。固定費比率が高い企業ほど営業レバレッジが高くなります。売上が10%増えただけで営業利益が30%以上増えるケースもありますが、売上減少時には逆方向にも大きく働きます。半導体、素材、航空など景気敏感業種の利益変動を理解するうえで重要です。

経営計画・成長戦略 (51〜70)

一般に3~5年程度を対象として、企業が経営戦略や数値目標を示す計画です。売上高、営業利益、ROE、ROIC、設備投資、株主還元などが盛り込まれます。重要なのは目標の高さだけでなく、達成手段と実現可能性です。過去の中計達成率を見ることで経営陣の計画精度や実行力を評価できます。

中期経営計画より長い時間軸で、企業が目指す将来像や事業ポートフォリオを示す方針です。10年程度先の市場環境や社会課題を前提に策定されることがあります。具体的な数値より、どの分野へ経営資源を配分するかを見る資料として有用です。大型設備投資やM&Aの戦略的背景を理解するのにも役立ちます。

企業が一定期間内に達成を目指す売上高、利益率、ROE、ROIC、EPSなどの具体的な数値目標です。どの指標を重視するかによって経営陣の優先順位が分かります。目標を掲げるだけでなく、達成に必要な施策や進捗を確認することが重要です。継続的に未達が続く企業では経営計画への信頼性が低下します。

KPIはKey Performance Indicatorの略で、最終目標に向けた進捗を測る重要指標です。SaaSならARRや解約率、小売なら既存店売上高、製造業なら出荷数量や稼働率などが該当します。利益より先に変化するKPIは将来業績の先行指標になります。企業ごとに最も業績連動性の高いKPIを特定することが重要です。

KGIはKey Goal Indicatorの略で、企業が最終的に達成したい成果を数値化したものです。売上高、営業利益、ROEなどが代表例です。KPIが途中経過を測るのに対し、KGIは最終ゴールを示します。投資家はKGIだけでなく、それを達成するためのKPIが順調に改善しているかを確認します。

将来の売上や利益を拡大するために行う投資です。設備投資、研究開発、人材採用、広告、M&A、海外進出などが含まれます。短期的には利益やFCFを圧迫する場合がありますが、投資収益が高ければ企業価値向上につながります。投資額よりも、期待リターンと回収期間を確認することが重要です。

新製品や新技術を生み出すための研究・開発に使う費用です。半導体、医薬品、電子部品、ソフトウェアなど技術革新の速い業界で特に重要です。研究開発費増加は将来成長への投資ですが、成果が出なければ利益圧迫要因になります。売上高研究開発費比率や開発テーマ、製品化実績を確認します。

工場や設備が最大でどれだけ製品を生産できるかを示す能力です。需要増加に対して設備能力が不足すると販売機会を逃す可能性があります。逆に需要以上に能力を増やすと過剰設備となり、稼働率低下や減損リスクにつながります。生産能力増強計画と需要見通しをセットで確認することが重要です。

需要や受注増加に対応するため、生産数量を増やすことです。増産発表は需要の強さを示す材料として評価される場合があります。また設備投資や部材調達の増加を通じて関連企業にも恩恵が波及することがあります。ただし需要予測を誤ると在庫積み上がりにつながるため、増産理由と最終需要を確認します。

生産能力を高めるための設備投資です。新工場、生産ライン増設、製造装置導入などが含まれます。強い需要を背景にした増産投資は将来の売上拡大につながる可能性があります。一方で投資回収前に需要が悪化すると過剰設備化するリスクがあります。稼働開始時期と受注見通しが重要です。

企業自身が公表する売上高、利益、配当などの業績予想です。市場では会社計画とコンセンサス予想の差が重視されます。企業によって保守的に計画を出す会社と強気に出す会社があるため、過去の予想精度を確認する必要があります。為替レートや原材料価格など会社計画の前提条件も重要です。

達成可能性を高めるため、実力より慎重な前提で業績予想を設定することです。保守的な会社は期中に上方修正する傾向がありますが、市場がその癖を理解していれば最初から織り込まれる場合があります。過去数年間の会社計画と実績を比較すると、予想の保守性を判断しやすくなります。

売上や利益が改善・悪化する勢いを示す概念です。単なる増益ではなく、増益率が加速しているか、減速しているかを見ます。利益成長率が10%、30%、50%と加速している場合は強い業績モメンタムと評価できます。グロース株では絶対利益水準以上にモメンタムが株価へ影響することがあります。

四半期ごとの売上や利益の変化から、足元の業績トレンドを測る考え方です。前年同期比だけでなく前四半期比も確認することで、業績の加速・減速を早く把握できます。ただし季節性が強い企業では単純な前四半期比較は不適切です。過去の季節パターンを踏まえて分析します。

前年同期や前期に比べて利益がどれだけ増減したかを示す割合です。営業利益成長率やEPS成長率がよく利用されます。高い利益成長を継続できる企業には高いバリュエーションが許容されやすくなります。ただし特別利益など一過性要因を除いた本業ベースの成長率を見ることが重要です。

売上高が前年同期または前期からどれだけ増減したかを示す割合です。市場シェア拡大や需要成長を把握する基本指標です。成長企業では利益より先に売上成長率が評価される場合があります。数量、単価、M&A、為替など成長要因を分解することで質を判断できます。

M&Aなど外部要因を除き、既存事業の販売拡大や新商品によって実現した自力成長です。買収で売上を大きく伸ばしていても、オーガニック成長が弱ければ本業の成長力は低い可能性があります。企業本来の競争力や市場シェア拡大力を評価するうえで重要です。

企業統合やM&Aによって、単独では得られない相乗効果が生まれることです。売上拡大、共同開発、調達効率化、管理部門統合などが含まれます。M&A発表時には期待値として示されますが、実現しないケースもあります。買収後はシナジーの金額、時期、実績を継続的に確認する必要があります。

M&Aや事業統合によって重複コストを削減する効果です。共同購買、物流統合、システム統合、管理部門集約などが代表例です。売上シナジーより比較的実現しやすい一方、統合費用が先行することがあります。実現額と一時費用を分けて評価します。

M&Aや提携により販売チャネル、顧客基盤、商品ラインアップを組み合わせて売上を拡大する効果です。クロスセルや海外販売網の活用などが代表例です。コスト削減より実現難度が高く、時間もかかる傾向があります。具体的な売上寄与額と進捗を確認することが重要です。

株主還元 (71〜80)

企業が利益や余剰資金を株主へ還元する施策の総称です。配当、自社株買い、株主優待などがあります。還元強化は株価材料になりますが、成長投資とのバランスが重要です。FCFやネットキャッシュに対して無理のない還元かを確認します。

当期純利益のうち、どの程度を配当として株主へ支払うかを示す割合です。「年間配当総額÷当期純利益×100」で計算します。高いほど還元姿勢は強い一方、成長投資余力を圧迫する場合があります。利益変動の大きい企業では配当性向だけで配当の安定性を判断できません。

DOEはDividend on Equityの略で、株主資本に対する年間配当総額の割合です。利益が一時的に変動しても、株主資本を基準にすることで配当を安定させやすい特徴があります。近年、日本企業で配当方針として採用する例が増えています。DOE目標と利益成長を合わせて見ることで将来配当を予測しやすくなります。

原則として前期配当を維持または増配し、減配しない方針です。株主にとって配当の予見可能性が高まるため、安定配当を重視する投資家から評価されます。ただし長期的な業績悪化時には維持が困難になる可能性があります。FCFや財務余力と合わせて持続可能性を判断します。

企業が将来も配当を維持・増加できる財務的な余裕を指します。利益、営業CF、FCF、ネットキャッシュ、利益剰余金などが判断材料になります。高配当利回りでも配当余力が乏しければ減配リスクがあります。配当の金額より持続可能性を評価する概念です。

企業が市場などから自社株式を買い戻すことです。株式数が減ればEPSを押し上げる効果があり、株主還元の一つとして利用されます。買い戻した株式を消却するか保有するかでも意味が異なります。財務余力を超えた自社株買いは安全性を損なうため、規模と資金源を確認します。

企業が保有する自己株式を消滅させる手続きです。消却すると発行済株式総数が減少し、将来再放出される可能性もなくなります。利益が同じなら1株当たり指標の改善要因になります。自社株買い発表時には取得だけでなく消却方針も確認すると資本政策が分かりやすくなります。

配当と自社株買いを合計した株主還元額が、当期純利益の何%に相当するかを示す指標です。配当性向だけでは捉えられない自社株買いを含むため、総合的な還元姿勢を評価できます。高い総還元性向でもFCFを大きく上回る状態が続けば持続性に注意が必要です。

現在の株価に対して年間配当金が何%になるかを示します。「年間1株配当÷株価×100」で計算します。株価が下がると配当額が同じでも利回りは上昇します。極端な高利回りは減配懸念による株価下落の結果である場合もあるため、配当余力とセットで確認します。

増配は前期より配当金を増やすこと、減配は減らすことです。増配は利益成長や還元強化の表れとして好感されやすく、減配は業績悪化や財務負担のサインとして警戒されやすくなります。ただし成長投資を優先するための減配など、背景によって評価は異なります。配当方針の継続性を確認することが重要です。

資本効率・運転資本 (81〜90)

ROICはReturn on Invested Capitalの略で、事業に投下した資本からどれだけ税引後営業利益を生み出したかを見る指標です。一般にNOPATを投下資本で割って算出します。ROICがWACCを上回っていれば、投資によって企業価値を創造していると考えられます。事業ポートフォリオの資本効率を評価するのに有用です。

WACCはWeighted Average Cost of Capitalの略で、株主資本コストと負債コストを資本構成に応じて加重平均した資金調達コストです。企業が投資案件で最低限上回るべき収益率の基準として利用されます。ROICがWACCを継続的に上回る企業は企業価値を創造していると評価されやすくなります。

企業が株主や債権者から資金を調達する際に要求される期待収益率です。負債には金利、株主資本には投資家が要求する期待リターンがあります。企業は資本コストを上回る収益を上げることで企業価値を高められます。ROEやROICを評価する際の重要な比較基準です。

企業が投入した資本をどれだけ効率的に利益へ変えているかを示す考え方です。ROEやROICが代表的な指標です。同じ利益額でも少ない資本で稼げる企業ほど資本効率は高くなります。余剰現金や低収益資産を抱えすぎると資本効率が低下するため、資産構成と資本政策も重要です。

CCCは仕入れに現金を支払ってから、販売代金を回収するまでの日数を示す指標です。一般に「棚卸資産回転日数+売上債権回転日数-仕入債務回転日数」で計算します。短いほど資金回収が速く、運転資本効率が高いと考えられます。製造業や小売業のキャッシュ効率を見るのに有用です。

日常の事業活動を維持するために必要な資金です。分析上は「売上債権+棚卸資産-仕入債務」などで捉えます。売上増加時には売掛金や在庫が増えて運転資本負担が膨らむことがあります。利益が伸びても運転資本が急増すれば営業CFが悪化するため、キャッシュ分析で重要です。

在庫が一定期間に何回売上原価として回転したかを見る指標です。高いほど在庫を効率的に販売できている傾向があります。回転率低下は在庫滞留や需要悪化のサインになる場合があります。半導体や電子部品では在庫循環が業績転換点に直結するため重要です。

過剰となった在庫を適正水準まで減らすため、生産や仕入れを抑える動きです。在庫調整中はメーカーや部品企業の受注が落ち込みやすくなります。一方、調整完了後は補充需要によって生産が急回復する場合があります。景気敏感株では在庫調整の終了時期が株価反転の重要材料になります。

在庫の市場価値や回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に計上する損失です。価格下落、陳腐化、需要減少などが原因になります。在庫評価損は売上原価や特別損失などとして利益を圧迫する場合があります。技術変化の速い業種では在庫水準と評価損リスクを確認する必要があります。

原材料費、人件費、物流費などのコスト上昇分を販売価格へ反映することです。十分に価格転嫁できる企業は利益率を維持しやすく、価格決定力が高いと評価されます。転嫁のタイミングが遅れると一時的に利益率が悪化します。値上げ率、実施時期、需要への影響を確認することが重要です。

価格・為替・業績感応度 (91〜100)

企業が値上げしても需要やシェアを大きく失わずに販売できる力です。ブランド力、独自技術、高シェア、代替困難性などが源泉になります。価格決定力が高い企業はインフレ局面でも利益率を維持しやすくなります。決算では値上げ効果、ASP、販売数量への影響を見ることで確認できます。

ASPはAverage Selling Priceの略で、商品やサービス1単位当たりの平均販売価格です。販売数量が横ばいでもASPが上昇すれば売上は増加します。値上げ、高価格帯商品の比率上昇、高機能化などで改善します。売上成長を数量要因と単価要因に分解する際に重要です。

一定期間に販売した製品やサービスの数量です。売上高は基本的に販売数量と販売単価の掛け算で構成されます。数量増は需要拡大やシェア上昇を示す場合があります。売上増の要因が数量なのか単価なのかを分けることで成長の質を判断できます。

販売数量の増減が売上高や利益に与える影響です。固定費の大きい製造業では数量増加によって稼働率が上昇し、利益が売上以上に増える場合があります。反対に数量減少は固定費負担を重くし、利益を急減させることがあります。決算の増減益要因分析で頻繁に使われます。

販売単価の上昇・下落が売上高や利益に与える影響です。値上げや高付加価値製品へのシフトはプラスの単価効果になります。競争激化による値下げはマイナスの単価効果になります。数量効果と分けて見ることで売上・利益変化の原因を正確に把握できます。

為替レートが一定幅動いた場合に売上や利益がどれだけ変化するかを示す目安です。輸出企業では円安が利益を押し上げ、輸入企業ではコスト増になる場合があります。ただし海外生産、為替予約、現地調達比率によって影響は異なります。企業が開示する1円当たり利益影響などを利用して業績修正余地を試算できます。

会社が業績予想を作成する際に設定している想定為替レートです。実勢レートが会社前提より円安・円高に乖離すると、業績上振れ・下振れ要因になります。例えば輸出企業が1ドル145円前提で、実際は155円なら利益上振れ余地が生じる場合があります。為替予約の有無も合わせて確認します。

外貨建て資産・負債などを為替レートで換算した結果生じる利益または損失です。営業外損益として経常利益に影響することが多く、本業の営業利益とは性質が異なります。純利益や経常利益の変化が為替要因なのか、本業要因なのかを分けて分析することが重要です。

為替、金利、原材料価格、販売数量、販売単価などの前提が変化した場合に、売上や利益がどの程度変わるかを試算する分析です。業績予想の上振れ・下振れ余地を定量化するのに役立ちます。会社が開示する前提条件や感応度を使えば、決算前に独自の利益シナリオを作ることができます。

会社が公表している業績予想が上方修正または下方修正される可能性を指します。進捗率、為替、受注、原材料価格、販売数量、利益率などから修正余地を分析します。重要なのは修正の有無だけでなく、修正後の数字が市場期待を上回るかどうかです。株価がすでに上方修正を織り込んでいる場合、好材料でも売られることがあります。

株式報酬・新株予約権・税効果 (101〜109)

役員や従業員に対し、一定期間の譲渡制限などの条件を付けて自社株式を付与する報酬制度です。Restricted Stock、RSとも呼ばれます。在籍や業績条件を設定することで、経営陣と株主の利害を一致させる狙いがあります。新株発行で付与する場合は潜在的な希薄化要因となるため、付与株式数、希薄化率、解除条件を確認することが重要です。

企業買収において取得対価が取得した純資産の公正価値を下回った場合に認識される利益です。通常ののれんとは逆の状態です。会計上は利益を押し上げますが、本業で継続的に稼いだ利益ではありません。純利益が急増している場合でも、負ののれん発生益を除いた実力利益を確認する必要があります。買収価格が低かった理由や取得先のリスクも重要です。

発行済みの新株予約権が失効・消滅した際に、対応する新株予約権の帳簿価額を利益として戻し入れることで生じる一時的な利益です。権利行使期間の終了や条件未達などで発生します。本業による利益ではないため、継続利益と分けて見る必要があります。一方で新株予約権が失効した分だけ将来の希薄化可能性が減少する点も確認材料になります。

将来、あらかじめ定められた条件で会社の株式を取得できる権利です。資金調達、役員・従業員へのインセンティブ、M&A関連施策などに利用されます。行使されると新株発行または自己株式交付が行われ、株式数が増える場合はEPS希薄化要因になります。投資家は潜在株式数、希薄化率、行使価額、行使期間、資金使途を確認する必要があります。

株価に応じて行使価額が一定のルールで修正される新株予約権です。Moving Strike Warrantの略称で、株価が下落すると行使価額も下がる設計が多く見られます。そのため通常の固定行使価額型より行使が進みやすく、希薄化と売り圧力が継続しやすい点が警戒されます。確認項目は希薄化率、修正率、下限行使価額、行使期間、割当先、資金使途です。

現在の株価に対して年間配当金がどの程度あるかを示す利回りです。「年間1株配当÷株価×100」で計算します。例えば株価2,000円、年間配当100円なら5%です。株価下落によって見かけ上利回りが上昇することもあるため、高利回りだけで割安とは判断できません。株式益回りとは別の概念です。

株式分析では、一般に株式益回りと長期国債利回りの差を用いて、株式と債券の相対的な投資魅力を比較する指標です。例えば株式益回り8%、長期国債利回り2%なら差は6%です。スプレッドが大きいほど株式の益回りが債券に対して高い状態を示します。ただし資料によって差の取り方が逆の場合もあるため、計算式の定義を確認する必要があります。

現在の株価に対して1株当たり利益が何%に相当するかを示す指標です。「EPS÷株価×100」、または「1÷PER×100」で計算できます。PER10倍なら株式益回りは10%、PER20倍なら5%です。一般に高いほど利益に対して株価が低い状態ですが、将来EPSが低下する企業では見かけ上高くなることがあります。国債利回りとの比較にも使われます。

繰延税金資産として計上した税効果を、将来の課税所得などによって実際に利用できる見込みがあるかを判断する考え方です。ここでの回収は現金を受け取る意味ではなく、将来の法人税負担を減らせることを意味します。業績悪化で将来課税所得が減ると繰延税金資産を取り崩し、純利益が減少することがあります。逆に黒字化によって回収可能性が高まると、税効果によって純利益が増える場合があります。本業の営業利益とは分けて分析する必要があります。

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